HP-M1000
音質
ややドンシャリだが、普通のDJ用と比べるとフラット。低域は厚み・量ともに程々。中域は低域に埋もれたりせずしっかり聴こえてくるし、癖もない。高域は多少尖った音を鳴らすものの、それほど癖のない部類に入るだろうし、むしろ適度な刺激が楽しめる。量的にも低域よりやや多いように感じる。
分解能、音場感、原音忠実性すべて価格の割にはいまいちだが、DJ用として見るなら概ね良い方だろう。ただ、やや音が濁っているように感じる。エッジはややきついが、それほど聴き疲れしないレベル。
明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてそれなり。それなりだが、大きな欠点がなくバランスが良い。かなりノリが良い。低域でごり押しする感じではなく、厚みと切れに支えられたスピード感があり、その上適度な明るさや軽快さもある。分解能や音場感がいまいちでも、ノリとバランスの良さで十分音楽を楽しませてくれる。こういうヘッドホンもありだと思った。響きはややあっさりから適度で、こもり感は感じるもののそれほど苦にならない。
弦楽器はそれなりに繊細で心地よいが、全体的にやや明るめ。価格なりの表現と言ったところか。金管楽器はなかなか鮮やかで力強いが、目が覚めるような表現とまではいかない。打ち込み系の音の表現はかなりうまい。低域は十分量出るし、それなりに締まりもある。中域から高域もなかなか鮮やか。
ポップスをノリ良く楽しみたいならかなりコストパフォーマンスが良い。
装着感
良好。側圧はそれほど強くなく、それでいてずれにくい。ヘッドバンドはやや硬い。
イヤーパッドは耳全体をすっぽり覆い、上下左右に角度調節ができる。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。肌触りは悪くないが、パリパリする感じがやや気になる。
その他
遮音性及び音漏れ防止は良好。
モニター用という表示だが、なかばDJ用(VictorはDJ用のことをモニター用と言っているようだ)。オーソドックスなデザイン。イヤーパッドの材質が安っぽく、しわや付着する顔の油が気になる。装着する際にヘッドバンドを広げると軋むのが気になる人もいるかもしれない。ヘッドホン本体側でもコードの着脱が可能なだけでなく、左右どちらでも接続できるユニークな構造。
個人的にはVictorということで敬遠していたが、その先入観を改めるほどできが良い機種。ポップスメインで長時間音楽を楽しみたい人にはかなり向いているだろう。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、硬さは普通。イヤーパッドのサイズは、外周110mm×84mm、内周66mm×38mm、深さ14mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
メーカー製品ページ
不定期コラム『第16回 DJ用ヘッドホン比較』
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第56回 ヘッドホンの破損と経年劣化』
周波数特性グラフ
比較メモ
ATH-PRO700
どちらもややドンシャリだが、ATH-PRO700の方がやや高音より。低域は全体的にHP-M1000の方が若干出るし、高域はATH-PRO700の方が出る。高域はATH-PRO700の方が硬く澄んでいてシャリつかない。分解能はATH-PRO700の方が上、音場感はHP-M1000の方が上。ATH-PRO700の方が原音忠実だが、エッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはATH-PRO700の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度にはそれほど差は感じないが、HP-M1000はやや濁っているのに対してATH-PRO700はかなり澄んでいる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がやや良い。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならATH-PRO700。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はATH-PRO700の方が原音に近く生の粗っぽさが感じられるが、マイルドで心地よく聴けるのはHP-M1000。金管楽器はATH-PRO700の方が鮮やかで澄んでいる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。ATH-PRO700の方が芯が通っていて硬くシャープな鳴り方。見方を変えればHP-M1000の方がぼやけて濁っている。得意分野はどちらもポップス。基本的にどちらが優れたヘッドホンかと言われればATH-PRO700だと思うが、どちらが楽しく聴けるかと言われればHP-M1000。使い分けと言うより、そのあたりで好みが分かれる2機種だと思うので、あまり比較したくはない。
dj1001
dj1001はややかまぼこ、HP-M1000はドンシャリ。低域は全体的にHP-M1000の方が出る。高域はほぼ同量、中域はdj1001の方が出る。分解能、音場感、原音忠実はすべてdj1001の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかと言えばdj1001の方が疲れるか。明瞭さ、厚み、密度はdj1001の方が上。鮮やかさや温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がある。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならdj1001。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はHP-M1000の方がマイルドで心地よく楽しめるが、原音に近いのはdj1001。金管楽器はdj1001の方が若干良い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低音が出る分HP-M1000の方がやや有利か。得意分野はどちらもポップス。分解能や音場感はdj1001の方が良いが、あまり音楽を楽しむのに向いてない音作り。逆に、HP-M1000は音楽を楽しむためだけに作られたような音。どちらを好むかで評価はまったく変わると思われる。
DT660 Edition 2007
DT660 Edition
2007はやや高音より、HP-M1000はややドンシャリ。低域はHP-M1000の方がかなり量が多くぼやけている感じ。中域はDT660 Edition
2007の方が低域に邪魔されない上やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はDT660 Edition
2007の方が高く鋭い音だが、意外と似た音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT660 Edition
2007の方が上。音の分離にしろ細部の描写にしろDT660 Edition 2007の方が勝っている。音場はDT660 Edition
2007の方が立体感があり明確。DT660 Edition 2007の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等。高域はDT660
Edition 2007の方が痛いが、サ行の音はHP-M1000の方が痛い。明瞭さはDT660 Edition 2007の方がかなり上、音の鮮やかさもDT660
Edition
2007方がやや上。厚みはHP-M1000の方があるように感じられるが、これは厚みと言うよりも音が太く低域の量が多いことが主な要因だろう。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT660
Edition 2007の方が上。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならDT660 Edition
2007。響きはHP-M1000の方が豊かで、こもり感がかなり気になる。どちらもある種の爽やかさがある点や付帯音が感じられる点は似ている。弦楽器はDT660
Edition 2007の方が繊細かつ心地よい。金管楽器は意外と近い鳴らし方だが、HP-M1000は余計な音を鳴らしすぎる感があり、基本的にはDT660
Edition 2007の方が良い。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。低域の量や音の太さがマッチする。ただ、DT660 Edition
2007の方が軽快でスピード感があるので、ソースによってはDT660 Edition
2007の方が良いと感じられることもある。使い分けるなら、基本的にはDT660 Edition
2007、低域が欲しいときにはHP-M1000。
HA-MX10-B
HA-MX10-Bはかなりフラット、HP-M1000はややドンシャリ。低域はHP-M1000の方がやや量が多い。特に所謂重低音より下はHP-M1000の方がしっかり出る。HA-MX10-Bの方が締まりや制動が感じられる。重心はHP-M1000の方がやや低い。中域はHA-MX10-Bの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。中高域はHA-MX10-Bの方がしっかり出る。高域はほぼ同量。HA-MX10-Bの方が硬い質、HP-M1000の方が線が細い。分解能はHA-MX10-Bの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、HP-M1000の方がやや広く、HA-MX10-Bの方がやや明確。原音忠実性はHA-MX10-Bの方がやや上。周波数特性上の癖のなさはHA-MX10-Bの方が若干上。原音の粗や生っぽさはHA-MX10-Bの方が感じられる。エッジはHA-MX10-Bの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はHP-M1000の方が若干細く刺さる、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-MX10-Bの方がやや上。厚みはHA-MX10-Bの方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がやや感じられる。ヴォーカルは、HA-MX10-Bの方が明るい女性ヴォーカルに合う、HP-M1000の方がスモーキー。どちらもノリが良い傾向だが、HA-MX10-Bの方がしっかり制御されている感じ、HP-M1000の方が自由奔放な感じ。HA-MX10-Bの方が切れやスピード感がある。響きはHP-M1000の方がやや豊かで、こもり感が気になる。弦楽器は、HA-MX10-Bの方が生楽器らしさが感じられる、HP-M1000の方が心地よい。金管楽器はHA-MX10-Bの方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はHA-MX10-Bの方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れを求めるならHA-MX10-B、温かみや響きを求めるならHP-M1000。
HA-S800
HA-S800は低音よりのドンシャリ、HP-M1000はややドンシャリ。低域はHA-S800の方がやや量が多い。HA-S800の方がかなりぼやけていて癖のある質。重心はHP-M1000の方が若干低い。中低域はHA-S800の方がしっかり出る。中域はHP-M1000の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHP-M1000の方が若干量が多い。細く明るい質で目立つ。分解能はHP-M1000の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はHP-M1000の方が広く明確で見晴らしが良く把握しやすい。HA-S800の方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はHP-M1000の方が上。HA-S800は低域の量が多すぎるし、一聴して違和感が大きい。原音の粗や生っぽさはHP-M1000の方がやや感じられる。エッジはHP-M1000の方が若干きついが、HA-S800は低域の量やこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHP-M1000の方が若干細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上。厚みはHA-S800の方がややある。温かみは曇っている分HA-S800の方が感じられる面もあるが、それを除けばHP-M1000の方があるし、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではHP-M1000の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がやや上。HP-M1000の方が癖がなく、HA-S800の方がスモーキー。HP-M1000の方が明るく元気でノリが良い。HA-S800の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはHA-S800の方がやや豊かで、こもり感がかなり気になる。弦楽器はHP-M1000の方が繊細で生楽器らしさが感じられるし、音色も自然。金管楽器はHA-S800の方が太く力強く、HP-M1000の方が明るく癖がない。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはHP-M1000、低域の量や迫力重視ならHA-S800。
HD215
HD215はかなりフラット、HP-M1000はドンシャリ。低域はHP-M1000の方がかなり量が多いし、一段低い音を鳴らす。中域はHD215の方がはっきり聴こえてくる。高域はHD215の方がやや線が細い感じ。どちらも十分量出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD215の方がやや上。HP-M1000の方がかなり耳の近くで音が鳴っている感じ。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さは低域が弱い分HD215の方がやや上に感じられるが、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上に感じられる。厚み、温かみはHP-M1000の方がかなり上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-M1000の方がノリが良い。響きはHP-M1000の方が豊か。低域が強いこともあり、こもり感はHP-M1000の方がかなり気になる。弦楽器はHP-M1000の方が心地よいが、ヴァイオリンの清涼さ等を求めているならHD215の方が良いだろう。金管楽器はどちらもなかなか鮮やか。HD215の方がやや高く細い鳴らし方。HP-M1000の方が力がある。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HP-M1000の方が一段上。低域が出るだけでなく、音の厚み、圧力等、様々な意味で勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスやロックはHP-M1000、それ以外はHD215。かなり違う鳴らし方をする2機種だが、粗がある等の類似点もあるので要注意。
HFI-650
どちらもドンシャリ。超低域はHP-M1000の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はほぼ互角だが、どちらかといえばHF-650の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHFI-650の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さはHFI-650の方が上だが音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度はHFI-650の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。過度の味付けが気にならないならHP-M1000の方が良いが、そうでないならHFI-650の方が良い。どちらもノリが良いが、HFI-650は低域に頼らないノリの良さ、HP-M1000は低域にかなり頼ったノリの良さ。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はHFI-650の方が原音に近いが、マイルドな心地よさはHP-M1000の方がある。金管楽器はHFI-650の方が一段高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、HFI-650の方が切れが良くスピード感があるように感じる。得意分野はどちらもポップスで、どちらもドンシャリなのだが、意外に違う音調。HP-M1000は妙なウォームさやぼやけた感じがあるが、HFI-650はまったくそんなことはない。HP-M1000はサラサラした感触が楽しめるが、HFI-650は芯が通っていて余分な音はしない。ただ、ポップスを楽しむという視点で見るならどちらが特に良いということはない。使い分けるなら、ポップスはHP-M1000、それ以外はHFI-650だが、どちらも一癖ある音なので、好みが分かれるところだろう。
HP-D7
HP-D7は低音より、HP-M1000はドンシャリ。超低域はHP-D7の方が若干強めだが、厚みはほぼ互角。高域はHP-M1000の方が若干出る上、低域に埋もれないためかなり差があるように感じられる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHP-M1000の方がやや上。ただし、どちらも原音忠実とは言いがたい。HP-M1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてHP-M1000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ただ、HP-M1000の方がやや芯の通った感じがある。HP-M1000の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-D7の方が豊か。HP-D7はHP-M1000と比べると曇っていてスピード感に欠ける。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-M1000の方が良いが、明るい音調が嫌なときはHP-D7の方が良いかもしれない。
MDR-7506
どちらもややドンシャリ。低域はMDR-7506の方がやや低い音で厚みもあるが、全体的な量はHP-M1000の方が多い。HP-M1000の方が曇っているように感じる。中域はMDR-7506の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくるが、これはMDR-7506の中域がややうわずり気味なせいもあるかもしれない。中高域はMDR-7506の方がかなり出るが、高域はHP-M1000の方が細くて目立つ印象。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-7506の方が上。HP-M1000の方がややエッジがきつく聴き疲れするが、絶対値としては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方が上。どちらもノリが良いが、HP-M1000はとにかく楽しく聴かせる音作りになっているのに対して、MDR-7506は楽しく聴かせながらもモニター的な部分がしっかり感じられる。響きはどちらも適度だが、どちらかと言えばHP-M1000の方がやや豊かか。弦楽器はMDR-7506の方が繊細。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やかで楽しめるし原音に近い。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまい。HP-M1000では切れが足りないようならMDR-7506の方が合うだろうし、MDR-7506では低域の絶対量が不足に感じるならHP-M1000の方が合うだろう。使い分けるなら、基本的にはMDR-7506で、温かみやヴォーカルの艶っぽさが欲しいときにはHP-M1000。
MDR-Z700DJ
どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方が低音より。低域はどちらも超低域まで出るが、厚み・量ともにMDR-Z700DJの方がやや上。高域はHP-M1000の方がかなり出る。中域はどちらもやや埋もれ気味。分解能はMDR-Z700DJの方が若干良いが、音場感はHP-M1000の方が上。どちらも原音忠実とは絶対に言えないが、味付けの少なさと言う観点から見るとMDR-Z700DJの方がまだ原音に近いと言える。どちらもエッジはきつくないが、MDR-Z700DJの方が低音よりで濁りもないため聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-M1000、厚み、密度はMDR-Z700DJの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がある。HP-M1000は濁っているという見方もできるが、好意的に解釈するならSE-A1000やUR/40に通じるサラサラした独特の感触が楽しめると言える。余韻が空気に溶けていく感じもなかなか楽しめる。どちらも非常にノリが良い。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方が楽しめる。ただし、少しでも原音に近い方が良いなら前述の通りMDR-Z700DJの方が良いだろう。得意分野はどちらもポップス。使い分ける必要性は感じられない。どちらか片方持っていれば良い機種。
MDR-Z900
MDR-Z900は低音より、HP-M1000はドンシャリ。MDR-Z900の方が超低域はかなり出るし、厚みもやや上。高域は若干HP-M1000の方が強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z900の方が上。HP-M1000の方が聴き疲れしない。明瞭さはHP-M1000の方が上だが、音の鮮やかさは互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらもノリが良いが、HP-M1000の方が明るいノリ。響きはどちらもかなり豊か。弦楽器は基本的にはMDR-Z900の方が美しいが、低域の強いソースではHP-M1000の方が良い。金管楽器はHP-M1000の方が一段高く鮮やかだが、ソースによっては安っぽくなる。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。得意分野はMDR-Z900はロック、HP-M1000はポップス。使い分けるならポップスや金管楽器メインの曲はHP-M1000、それ以外はMDR-Z900。
RP-21
どちらもややドンシャリ。低域はHP-M1000の方がややぼやけていて量が多く、RP-21の方がやや重心が低く締まっている。中域はRP-21の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴きこえてくる。高域はそれなりに似た鳴らし方だが、RP-21の方がやや高い音で粗が少ない。分解能はRP-21の方が上。特に音の分離に差がある。音場感は、どちらも多少癖があり耳の近くで音を鳴らす感じは共通しているが、RP-21の方が明確。原音忠実性はRP-21の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等レベル。明瞭さはRP-21の方がやや上、音の鮮やかさは大きな差はないがどちらかと言えばRP-21の方が良い。厚みはほぼ同等レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方があるように感じられるが、これは付帯音が多く余計な音を鳴らすためにそう感じる部分が大きい。どちらもノリが良い傾向だが、HP-M1000の方が元気が良い感じ、RP-21の方がしっかり統制が取れている感じ。響きはHP-M1000の方が豊か。HP-M1000の方が大味で無駄な音を沢山鳴らす感じ、RP-21の方が多少モニター的で硬い感じ。弦楽器はRP-21の方が澄んでいる。HP-M1000は適当に気持ち良く鳴らしてくれる面もあるのだが、かなり脚色されている。そのあたりは金管楽器も同様。RP-21の方が無駄な音を鳴らさずにストレート。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。低音の量や元気の良さを求めるならHP-M1000、締まりやをスピード感を求めるならRP-21。使い分けるなら、基本的にはRP-21、原音と違っても良いから楽しく元気に鳴らして欲しいならHP-M1000。
RP-HC500
HP-M1000はややドンシャリ、RP-HC500は低音よりのドンシャリ。低域はRP-HC500の方がぼやけていてやや量が多い。中域はHP-M1000の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HC500の方が金属的、HP-M1000の方が明るい。分解能はHP-M1000の方が上。音場感は広さには同レベルだがHP-M1000の方が明確。原音忠実性はHP-M1000の方が上。周波数特性上の癖のなさだけでなく、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いも上。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、RP-HC500の方がこもり感が酷く聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみは低域の曇りのおかげでRP-HC500の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方が上。HP-M1000の方が明るく元気の良いノリの良さがある。響きはRP-HC500の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はHP-M1000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRP-HC500の金属的で硬い鳴らし方も良いが、全体的に見るとHP-M1000の方が明るくて良い。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。使い分けるなら、基本的にはHP-M1000、よほど明るさを嫌うときや温かみが欲しいときだけRP-HC500。
SE-900D
SE-900Dはかなりフラット、HP-M1000はドンシャリ。低域は全体的にHP-M1000の方が出る。中域〜高域はほぼ同等。分解能、音場感、原音忠実性はSE-900Dの方がやや上。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすい。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上。厚み、密度はSE-900Dの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならSE-900D。響きはどちらも適度。SE-900Dは地味ながら安定感のある音。HP-M1000は明るく楽しめる音。弦楽器、金管楽器はSE-900Dの方がうまい。HP-M1000は余計な音を鳴らしすぎて原音とは違う感じ。ただ、全体の雰囲気は出る。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、HP-M1000の方が若干上。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならロックやポップスはHP-M1000、それ以外はSE-900D。
SP-K300
どちらもドンシャリ。低域はどちらも全体的にかなり出るが、SP-K300は密閉型特有のこもり感で量を稼いでいる感じ。実質的な出音はHP-M1000の方がある。高域は量的にはほぼ互角。中高域はHP-M1000の方が高く鮮やかだが、超高域はSP-K300の方が高い。全体的にはSP-K300の方がやや低音よりか。分解能、原音忠実性はSP-K300の方が上。音場感はHP-M1000の方がやや良い。SP-K300の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-M1000の方が上。どちらもかなりノリが良いが、HP-M1000の方が元気な鳴り。響きはSP-K300の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方がうまいが、純粋に原音忠実を求めるならSP-K300の方が良いだろう。得意分野はHP-M1000はポップス、SP-K300はロック。使い分けるならロックはSP-K300、それ以外はHP-M1000。
Studiophile Q40
HP-M1000はややドンシャリ、Studiophile Q40は低音より。低域はStudiophile Q40の方が量が多い。重心が低く、圧迫感がある。HP-M1000の方がやや柔らかい低域。中域はHP-M1000の方が低域に埋もれずやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-M1000の方が高く明るい音で、量も多い。この2機種を比べた場合、HP-M1000の方が高音よりと言える。分解能はHP-M1000の方が若干上。音場感はHP-M1000の方が広い。Studiophile Q40の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性は微妙。どちらも一聴して違和感のあるような音ではないが、HP-M1000は余計な音を鳴らしすぎるし、Studiophile Q40は低域の量が多すぎる。エッジはHP-M1000の方がきついが、Studiophile Q40は低域の量や圧迫感で聴き疲れする面があり、総合的な聴き疲れは聴く人やソースによって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-M1000の方がやや上。厚みはStudiophile Q40の方がある。温かみはHP-M1000の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、HP-M1000の方が明るく爽やかなノリの良さ。Studiophile Q40はノリが良いと言うより迫力がある感じ。響きは、低域はStudiophile Q40の方が豊か、高域はHP-M1000の方が豊か。Studiophile Q40の方がこもり感が気になる。HP-M1000はかなり味付けされているのに対して、Studiophile Q40はかなり味付けが少ない。そういう意味では対照的な2機種。弦楽器はHP-M1000の方が繊細かつ心地よいが、味付けを嫌うならStudiophile Q40の方が良いだろう。金管楽器はHP-M1000の方が明るく楽しめるが、力強さはStudiophile Q40の方がある。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、味付けされていても良いから楽しく聴きたいならHP-M1000、味付けを嫌うならStudiophile Q40。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
曲別HP探索
第8回 Little Wish 〜lyrical step〜/田村ゆかり
第23回 愛が止まらない/Wink「Wink Memories 1988-1996」より
第51回 夏の思い出/ケツメイシ「ケツノポリス3」より
第61回 勇者王誕生!/遠藤正明「勇者王ガオガイガー ― ソング・コレクション」より
第86回 PHASE3/THA BLUE HERB「PHASE3」より
第89回 New Wave/noodles「Fuzz hill」より
曲別HP探索2
第20回 大迷惑/ユニコーン「THE VERY BEST OF UNICORN」より
※生産終了
戻る
スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 5Hz〜29kHz | 105dB | 60Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
300g | 50mm | 3m(カール) | 片出し | 折りたたみ可能 |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3 | 4 | 4 | 4 | 3 | 3 | 均(高、低) | 11000円 |
※生産終了
公開日:2004.11.28