第20回 大迷惑/ユニコーン「THE VERY BEST OF UNICORN」より

 ユニコーンは日本のロックバンドです。メンバーはヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス、キーボードです。1993年に一度解散しましたが、2009年に活動を再開しています。解散期間中も奥田民生を初めメンバーそれぞれが活躍していたため、そちらの方が馴染み深い人もいるでしょう。
 今回取り上げるのは1993年解散直後に発表されたベストアルバム「THE VERY BEST OF UNICORN」の9曲目です。ユニコーンの代表曲の1つと言って良いと思います。テンポの速いコメディのような曲です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。低域の少ないヘッドホンだとスカスカになってしまうのである程度低域の出るものが良いと思いますが、それ以上に軽快さや明るさが大事な曲なので、そこを両立してくれるものが望ましいです。あとは普通に各楽器をリアルに鳴らしてくれれば良いと思います。言い換えると、低域は量より締まりや厚み優先、切れやスピード感があって原音忠実性もある程度欲しい、といったところです。


・1台目 HPS5000(BEHRINGER)
 前述の条件をかなり高いレベルで満たしていますが、どちらかと言うとそれは後付けの理由で、実際には単純に楽しめたから選んだというのが大きいです。自然に体が動いたり歌詞を口ずさんでしまったりする感じです。冷静に分析するなら、低域の締まりや厚みはなかなかのもので、切れやスピード感がありますし、高域不足で暗く感じられるようなこともなく、ヴォーカルやギターの質感も悪くないです。HPS5000はソースによっては音色の不自然さがかなり気になることも多いのですが、今回の曲だとそれほど気になりませんでした。それからいくつかのヘッドホンで聴いてみて気づいたのですが、今回の曲は音場が下手に広いよりも耳の近くでガンガン鳴らす方が良いようです。HPS5000はその点でも魅力的でした。
 他にはHD215、SE-M870、SHL9600、SHP8900、UR/40等で聴いてみました。HD215はなかなか良いのですが、音場が広く耳から離れたところで音を鳴らすせいか他の機種と比べるとスカスカに感じられます。SE-M870は軽快と言うよりは重厚で、明るさという意味でももう少しといった印象です。SHL9600は低域の締まりや圧力はかなり良いですし耳の近くでガンガン鳴らす感じも好印象なのですが、高域が地味なせいか明るさが出ません。SHP8900はなかなか良いのですが、ヴォーカルが遠く全体的にまとまりに欠けるのが気になります。UR/40は最後までHPS5000と迷いましたが、どちらかと言うとUR/40が無難なのに対してHPS5000は低域の圧力や切れといった魅力が際立つ印象です。
 不満点は、もう少し音色の自然さが欲しい点です。

・2台目 HP-M1000(Victor)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。音色の自然さについてはしっかり改善されます。低域の締まりや切れではやや見劣りしますが、フィーリング重視で楽しめるかどうかという点では良い勝負です(もちろん個人差はあるでしょうが)。低域不足や音場のせいでスカスカに感じられるようなこともありません。
 他にはATH-ES7、K181DJ、MDR-7506、RP-21等で聴いてみました。ATH-ES7は1台目より低域の量が多く軽快よりも重厚に寄ったバランスで、1台目の不満点はそれなりに改善されますがHP-M1000ほどではありません。K181DJは低域の量が多すぎてバランスが悪いですし、軽快さがあまり感じられません(ただし、Bass boost switchをSMALLにすればかなり良い線だと思います)。MDR-7506は1台目と比べて低域の重心が低く量感がある点が違うものの全体的には悪くないのですが、1台目の不満点を改善できるかは微妙なところです。RP-21は最後までHP-M1000と迷いましたが、HP-M1000の方が明るく今回の曲の雰囲気にマッチしているように感じられたのでそちらにしました。
 不満点と言うか希望は、1台目と2台目の良いとこ取りをしたいということです。

・3台目 SR-325i(GRADO)
 2台目の不満点を踏まえて選びました。1台目以上に低域の締まりや切れがあり、2台目と同じくらい音色が自然です。それに加えて、高域の明るさと、ヴォーカルやギターの質感のリアルさも大きな長所です。耳の近くでガンガン鳴らす感じも好印象です。軽快でありながらスカスカに感じられることはなく、最初に書いた条件をこれ以上ないくらい満たしていると思います。
 不満点は、1、2台目のような密閉型特有の圧力とそれに伴う迫力がない点です。とは言え、3台目の長所や魅力を保ったままこれを改善するのは不可能だと思いますが・・・・・・

・4台目 HD25-1(SENNHEISER)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。この点については十分すぎるほど改善されます。1台目の音色を自然にして高域の明るさを控え目にしたような感じです。圧力や厚みに基づく迫力で聴かせるような感じで、あまり軽快ではないもののスピード感はあります。ベースの動きが非常にはっきり分かるのが特徴的です。贅沢を言うなら、これに3台目のような明るさとヴォーカルやギターの質感のリアルさがあれば言うことなしだったと思います。
 他にはAH-D5000、ATH-AD2000、DT860、HFI-780等で聴いてみました。AH-D5000は普通に聴けてしまうのですが、HD25-1と比べると圧力や切れに欠けます。ATH-AD2000は3台目と比べて暗いのが気になります。DT860は、ATH-AD2000よりはかなり3台目に近いのですが、軽快と言うよりは軽い印象でヴォーカルやギターの質感も若干見劣りします。HFI-780は3台目のような明るさを持った密閉型という点では最適なのかもしれませんが、ヴォーカルやドラムスが不自然で、全体的に硬く締まりすぎで無駄のない感じが今回の曲にはあまり合いません。

・5台目 HP-FX500(Victor)
 低域の締まりや厚み、切れやスピード感、ヴォーカルやギターの質感等、総合的に見て最も良いと感じたので選びました。もう少し聴き疲れしにくければなお良かったと思います。色々と聴いてみたのですが、ATH-CK7は明るさは良いものの音色の不自然さが気になる、E4cは低域が足りない上にヴォーカルやギターの質感がいまいち、HiDefJax AcousticSteelはなかなか良いもののHP-FX500と比べると明るさや軽快さに若干欠ける等の不満がありました。
 他にはCX300とKH-C311が良かったです。どちらも十分な量の低域と切れがありますが、HP-FX500と比べるとCX300は低域がやや支配的で軽快さに欠ける点、KH-C311は音色に癖がある点が気になります。


 今回はHPS5000が印象的でした。個人的には一番楽しめたように思います。これで装着感が普通ならもっとお薦めできるのですが・・・・・・
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)かHead Amp 2/MkII SEが良いと思います。低域をしっかり鳴らして欲しいなら前者、それよりも切れを重視するなら後者です。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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