第23回 愛が止まらない/Wink「Wink Memories 1988-1996」より

 Winkは、1980年代後半から1990年代にかけて活躍した、日本の女性アイドルユニットです。当時若者だった世代では知らない人がいないほど有名でしょう。共にミスコンのグランプリ受賞者である鈴木早智子と相田翔子の2人組ですが、そのことから受けるイメージとは裏腹に楽曲の質が非常に高かったことは多くの人が認めるところです。
 曲はカイリー・ミノーグのカヴァーで、日本語詞は後にCoCoの楽曲やテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニングテーマ曲等を作詞したことで有名な及川眠子です。メインは勿論2人のヴォーカルですが、昔風のややチープな打ち込み系の音も、今となっては特徴的に感じます。なお、今回取り上げたCDに収録されているのはリマスタリングされたものです。
 ヘッドホンとしては女性ヴォーカルを瑞々しく聴かせてくれる機種で、打ち込み系の音の表現が得意なものが良いでしょう。また、残念ながら録音状態があまり良いとは言えないので、録音の粗が目立たない機種の方が良いと思われます。


・1台目 HP-M1000(Victor)
 前述の条件をすべて満たしていると思って選びました。
 DJ1 PROやATH-PRO700もなかなか良いように感じましたが、この曲に限ってはHP-M1000が最も相性が良いと思いました。
 ヴォーカルは魅力的ですし、打ち込み系の音の表現もなかなかうまいです。しかもチープさや録音の粗を良い感じに目立たなくしてくれます。正直言って、ほとんど満足してしまいました。
 あえて不満点を挙げるなら、余計な味付けが多い点でしょうか。

・2台目 ATH-W1000(audio-technica)
 1台目の不満点は、ほぼ完全に払拭されました。その代わりやや録音の粗が目立つようになり、低域が少し不足に感じます。ヴォーカルはHP-M1000がサラサラした感じになるのに対して、ATH-W1000はやや明るく硬めの表現になります。全体的に見て、どちらが良いかは好みの問題でしょう。
 不満点は、録音の粗が目立つ点、低域が不足な点、ヴォーカルの表現がもうひとつと言ったところでしょうか。

・3台目 edition7(ULTRASONE)
 少し極端な気もしましたが、考えられる機種はこれくらいしかありませんでした。1台目、2台目の不満点はいずれも改善されます。ただ、ヴォーカルはどちらかと言えばATH-W1000に近い質感なので、HP-M1000のようなサラサラした感じを好むならあまり合わないでしょう。それ以外の点は非常に満足のいく鳴らし方です。


 今回は3台ともかなり魅力的な鳴らし方に感じましたが、ATH-W1000よりはedition7の方が良いでしょう。ただ、HP-M1000は他のどんなヘッドホンでも聴けない鳴らし方をしてくれるので、これはこれでかなり貴重な機種だと改めて感じました。
 なお、ヴォーカルを艶っぽく聴きたい等、違う鳴らし方を求めた場合には、当然まったく違う結果になると思います。試しにHD650等でも聴いてみましたが、方向性が違うだけでなかなか魅力的に感じました。打ち込み系の音の表現を無視するなら、そういった機種もありだと思います。


試聴は下のamazonのページで。













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