音質
ドンシャリだが、普通のDJ用の機種と比べるとフラット。低域は十分な量で、それほど締まっているわけではないが、ぼわついた感じはしない。ヴォーカル等の中域はやや埋もれ気味。高域は細く硬いが、audio-technicaにしてはややおとなしめの印象。
分解能は価格なりだが、音場感はDJ用にしてはかなり良い。ただし、非常に耳の近くで音を鳴らす。原音忠実性はいまいちだが、DJとしてはこんなものだろう。エッジはややきつめで多少聴き疲れしやすい。
低域が強い割には明瞭で、そこそこ鮮やかな音を鳴らす。線の太い音で、厚みも十分ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいまいち。かなり明るく、ノリが良い。響きは適度だが、かなりこもり感が気になる。
弦楽器はややあっさりした表現で、繊細と言うよりは滑らかで意外と聴きやすい感じ。金管楽器はなかなか鮮やかだが、オーケストラ等で低域が強いものではあまり目立たなくなってしまう。打ち込み系の音の表現はかなりうまいが、他のメーカーの音に慣れていると高域の細い感じが気になるかもしれない。
欠点を挙げるなら、DJ用として見るとやや高域が細くて硬すぎる点か。ただ、音楽鑑賞にも使うのであればなかなかバランスの良い機種と言える。
装着感
悪い。側圧は強め、重量がやや重めでヘッドバンドもあまり柔らかくないためやや痛いし、側圧が強いわりにはずれやすい。
イヤーパッドは耳のせと耳覆いの中間サイズ、上下左右に角度調節ができる。材質はレザータイプの人工皮革で、やや硬め。かなり蒸れる。
その他
遮音性及び音漏れ防止は良好。
作りは価格なり、デザインは非常にオーソドックス。ただ、DJ用で黒一色はどうかと思う。DJ用らしくカールコードでスイーベル機構、折りたたみ可能。スイーベル機構はイヤーパッドが奥に回る方向に90度+イヤーパッドが手前に回る方向に90度で、計180度回るため、くねくねして慣れるまで扱いづらい。
プラグはNiメッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、硬さは普通。イヤーパッドのサイズは、外周90mm×90mm、内周52mm×52mm、深さ10mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
キャリングポーチ
参考
メーカー製品ページ
不定期コラム『第16回 DJ用ヘッドホン比較』
不定期コラム『第60回 DJ用ヘッドホンの大音量での音質』
周波数特性グラフ
比較メモ
ATH-ES7
どちらもややドンシャリだが、ATH-PRO700の方がややフラット。低域は厚み・量ともにATH-ES7の方が上。中域はATH-ES7の方が癖がなくしっかり聴こえてくる。ATH-PRO700はやや曇っているように感じるし、ソースによっては嫌味が出る。高域はかなり似た鳴らし方だが、中高域はATH-ES7の方がしっかり鳴っている印象。分解能、音場感はATH-PRO700の方がやや上。原音忠実性はどちらもいまいち。どちらも多少エッジがきつめ。聴き疲れは同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-ES7の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-ES7の方がやや感じられる。どちらもノリが良いが、ATH-ES7の方がストレートに音が届く感じで楽しめる。響きはATH-ES7の方が豊かで、こもり感がかなり気になるが、その点ははなから眼中にない音作り。弦楽器はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばATH-ES7の方が嫌味がない。金管楽器はどちらも鮮やかで楽しめるが、ATH-ES7の方が若干明るく力強い鳴らし方に感じた。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、低域の厚みがある分ATH-ES7の方がややうまいように感じた。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-ES7、どうしても分解能や音場感が欲しいときにはATH-PRO700か。
ATH-SX1
ATH-PRO700はドンシャリ、ATH-SX1はかまぼこ。特に低域は全体的にATH-PRO700の方がかなり出る。分解能はほぼ同等、音場感はATH-PRO700の方がやや良い。ATH-SX1の方が原音に近い。ATH-PRO700の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方が若干上。ATH-PRO700の方がノリが良い。どちらも響きはあっさり。弦楽器、金管楽器ともにATH-SX1の方が原音に近くしかも魅力的。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、ドンシャリな分ATH-PRO700の方が合うようだ。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く楽しみたい場合はATH-PRO700、それ以外はATH-SX1。
DJ Pro 3000
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方が高音より。低域はDJ Pro
3000の方がやや低めの音を鳴らすが、量はほぼ同量。高域はATH-PRO700の方がかなり強く細く硬い。分解能、音場感、原音忠実性はすべてATH-PRO700の方が上。ATH-PRO700の方が線が細い上に高域が出るためやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてATH-PRO700の方が上。DJ
Pro
3000は無難な音なのだが、ATH-PRO700と比べるとどうしても曇っているように感じる。別の言い方をすると、ATH-PRO700にはそれなりの水気があるが、DJ
Pro 3000は無い。温かみはDJ Pro
3000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろATH-PRO700の方が上。響きはATH-PRO700の方が豊か。弦楽器はATH-PRO700は弦楽器独特の繊細さを感じられるレベル、DJ
Pro
3000は感じられないレベル。金管楽器はATH-PRO700の方が一段高くキラキラ輝くような音を鳴らす。打ち込み系の音の表現もATH-PRO700の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。基本的には何を聴くにしてもATH-PRO700の方が良いのだが、audio-technica独特のスカスカした感じや高域の癖があるので、その辺りが気になる人はDJ
Pro 3000の方が良いかもしれない。
DJ1 PRO
どちらもややドンシャリ。超低域はATH-PRO700の方が出るが、厚みはほぼ互角。大抵のソースではATH-PRO700の方がかなり低音が強く感じる。高域は若干DJ1
PROの方が強め。分解能、音場感、原音忠実性すべてDJ1
PROの方がやや上。どちらもエッジがきつめでやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてDJ1
PROの方が上。特に、明瞭さや鮮やかさは雲泥の差で、DJ1
PROの非常に明瞭な音に比べるとATH-PRO700が曇っているようにすら感じられる。低音が出る分ATH-PRO700の方がノリが良いように感じられるが、音の厚みや切れはDJ1
PROの方が上なので、聴き込むとDJ1 PROの方がノリ良く感じられる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDJ1
PROの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもDJ1
PROの方が良いように感じるが、低域の欲しいロック等はATH-PRO700の方が良いかもしれない。
DJX-1
ATH-PRO700はややドンシャリ、DJX-1は低音よりのドンシャリ。低域はDJX-1の方がややぼやけていて量も多い。中域はATH-PRO700の方がややうわずっている感じで目立つが、これはDJX-1の方が非常に落ち着いていることもそう感じる要因だろう。高域はATH-PRO700の方がやや高い音で量も多い。この2機種だけを見比べた場合、ATH-PRO700の方がやや高音よりと言えるだろう。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろほぼ互角。音場はどちらもDJ用にしては広い。ATH-PRO700はソースによっては中域がうわずっている感じが気になるが、DJX-1は低域がぼやけて量が多いのが気になる。ATH-PRO700の方がややエッジがきついがそれほど差はないし、DJX-1の方が低域が出すぎで疲れる感じもあり、総合的な聴き疲れは同レベルだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方がやや上。厚みはDJX-1の方があるように感じるが、これはATH-PRO700の方が締まっていて無駄のない鳴らし方であるため相対的にそう感じる面が大きいように思う。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJX-1の方が上。これはDJX-1の方が低域の量が多く中域が落ち着いた鳴らし方であるためだろう。どちらもノリが良いが、ATH-PRO700の方がやや切れがある感じ、DJX-1の方が低音で押す感じ。ATH-PRO700の方が打楽器や破裂音が目立つ。響きは、低域はDJX-1の方が豊か、高域はATH-PRO700の方が豊か。DJX-1の方がこもり感が気になる。弦楽器はDJX-1の方が心地よいが、ヴァイオリンの澄んだ感じ等を求めるならATH-PRO700の方が良いこともあるだろう。金管楽器はATH-PRO700の方が金属的で鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はATH-PRO700の方が良い。DJX-1は低域がぼやけて量が出すぎだし、中高域の鮮やかさもATH-PRO700に分がある。使い分けるなら、中域のうわずっている感じが気にならないならATH-PRO700、気になるならDJX-1。或いは、ロックやヴォーカルものを聴くならDJX-1、それ以外はATH-PRO700。
HP-M1000
どちらもややドンシャリだが、ATH-PRO700の方がやや高音より。低域は全体的にHP-M1000の方が若干出るし、高域はATH-PRO700の方が出る。高域はATH-PRO700の方が硬く澄んでいてシャリつかない。分解能はATH-PRO700の方が上、音場感はHP-M1000の方が上。ATH-PRO700の方が原音忠実だが、エッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはATH-PRO700の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度にはそれほど差は感じないが、HP-M1000はやや濁っているのに対してATH-PRO700はかなり澄んでいる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がやや良い。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならATH-PRO700。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はATH-PRO700の方が原音に近く生の粗っぽさが感じられるが、マイルドで心地よく聴けるのはHP-M1000。金管楽器はATH-PRO700の方が鮮やかで澄んでいる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。ATH-PRO700の方が芯が通っていて硬くシャープな鳴り方。見方を変えればHP-M1000の方がぼやけて濁っている。得意分野はどちらもポップス。基本的にどちらが優れたヘッドホンかと言われればATH-PRO700だと思うが、どちらが楽しく聴けるかと言われればHP-M1000。使い分けと言うより、そのあたりで好みが分かれる2機種だと思うので、あまり比較したくはない。
MDR-Z700DJ
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方がやや高音より。低域は全体的に若干MDR-Z700DJの方が出るし、高域はATH-PRO700の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-PRO700の方が若干良い。ATH-PRO700の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚み、密度はMDR-Z00DJの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z700DJの方が若干良い。ノリの良さならMDR-Z700DJ、繊細さならATH-PRO700。響きはMDR-Z700DJの方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器、金管楽器ともにATH-PRO700の方が良い。特にブラスの輝きは段違い。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。低音が欲しい人はMDR-Z700DJの方が良く感じるだろうが、そうでなければATH-PRO700の方がシャープで良いと思われる。得意分野はどちらもポップス。使い分けと言うよりは、高域のキンキンした感じが嫌いな人や低域が欲しい人、厚みのある安定した音を求める人はMDR-Z700DJ、それ以外の人はATH-PRO700を使えば良いだろう。
PC-100
ATH-PRO700はややドンシャリ、PC-100はやや高音より。低域は全体的にATH-PRO700の方が出る。中域はPC-100の方がやや出ている感触。高域はほぼ互角だが、ATH-PRO700の方がaudio-technica独特の金属めいた鳴り方があるためやや出るように感じがち。分解能はATH-PRO700、音場感はPC-100の方が良い。ATH-PRO700の方が原音忠実だがエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚みや密度はPC-100の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方が上。ATH-PRO700の方がノリが良くしかも繊細さもある。響きはATH-PRO700の方が豊か。弦楽器、金管楽器はいずれもATH-PRO700の方が良い。PC-100は塗り潰したような癖がありいまいち。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばATH-PRO700の方が良い。低音が出る上、音にシャープさがあるため。ただし、音に厚みがあるほうが好きならPC-100の方が良いかもしれない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならテクノやトランスでPC-100の音の粗さや厚みにマッチするソースにはPC-100、それ以外はATH-PRO700。
PHX
どちらもややドンシャリ。低域はATH-PRO700の方が重心が低く厚みもあるため、存在感がある。トータルの量は大差ないが、どちらかと言えばPHXの方が多い。中域はATH-PRO700の方が高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はATH-PRO700の方がやや高く明るい音で量も多め。この2機種を比べると、ATH-PRO700の方が高音よりと言える。分解能はATH-PRO700の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ差がある。音場感はATH-PRO700の方がやや広く明確。原音忠実性はATH-PRO700の方が上。一聴してやや違和感が小さいし、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いでも勝っている。エッジのきつさはほぼ同レベル。高域はATH-PRO700の方がやや痛く、ヴォーカルのサ行等はPHXの方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚みはATH-PRO700の方がややある。温かみはPHXの方がやや感じられるが、これは曇っていることによる部分が大きい。ヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方がやや上だが、スモーキーな感じを好むならPHXの方が良いだろう。ATH-PRO700の方が明るく元気でノリが良い。響きはPHXの方がやや豊かで、こもり感が気になる。PHXの方が全体的に柔らかくぼやけた音。弦楽器はATH-PRO700の方がうまい。PHXは生楽器らしさが不足。金管楽器はATH-PRO700の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はATH-PRO700の方がうまい。音の質感の相性、低域の量感、明るい鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはATH-PRO700、ATH-PRO700では明るすぎるとか高域が多すぎるといった場合にはPHX。
SE-MJ5
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方がややフラット。低域はSE-MJ5の方がやや低い音を鳴らすが、量はあまり差がない。中域はATH-PRO700の方がはっきり聴こえてくる。中高域から高域はSE-MJ5の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-PRO700の方が上。どちらもそれほどエッジはきつくないのだが、音の圧力で聴き疲れする部分は似ている。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ互角だが、音の密度はATH-PRO700の方が高いように感じる。どちらもノリが良い。響きはSE-MJ5の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はどちらもうまくない。金管楽器はSE-MJ5の方がかなり高い音で目立つが、チープな感触。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、基本性能に勝るATH-PRO700にやや分があるように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-PRO700、高域が欲しいときにはSE-MJ5。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
曲別HP探索
第2回 BILLIE JEAN/Michael Jackson「NUMBER
ONES」より
第16回 WE WILL ROCK YOU/Queen「GREATEST HITS」より
第54回 Hey Mama/「Sonic: Rock / Hiphop
Playlist」より
※生産終了。後継機はATH-PRO700MK2。コードが着脱可能になり、付属品が変更になった。音質も多少異なる。
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 5Hz〜33kHz | 105dB | 36Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
320g | 53mm | 3m(カール) | 片出し | 折りたたみ可能 |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3.5 | 2 | 4 | 4 | 3 | 3 | 均(低、高) | 13200円 |
公開日:2005.3.7