第54回 Hey Mama/「Sonic: Rock / Hiphop Playlist」より

 今回は「Sonic: Rock / Hiphop Playlist」というiPodのCM曲を集めたオムニバスアルバムから「Hey Mama」を取り上げます。この曲はThe Black Eyed Peas(アメリカの4人組ヒップホップグループ)の作品です。
 曲は彼らの代表的なナンバーで、いかにもヒップホップといった感じの曲でありながらキャッチーです。
 ヘッドホンとしては、低音がしっかり出て音に厚みがあるものが合いそうです。


・1台目 ATH-PRO700(audio-technica)
 今回の曲はDJ用ヘッドホンが合いそうだと思い、いくつか聴き比べてみましたが、最終的にはATH-PRO700の鳴らし方が最良に感じました。
 MDR-Z700DJ、HP-M1000、RH-300は低域の締まりに欠ける感じが気になりました。RP-DH1200やDJ Pro 3000は聴かなくても低域過剰で締まりもないと予想がつく感じです。K181DJは低域が質的にも量的にも過剰に感じます。MDR-7506はなかなか良かったのですが、ヴォーカルの表現がいまいちな上、高域も目立ちすぎなように感じました。
 低域の締まり、ヴォーカルの表現、全体のバランスを考えると、ATH-PRO700が最も良いように感じます。やや明るめの色彩で切れが感じられる点も良いと思います。
 不満点は特にありませんが、低域の締まりや全体の明るさはもう少し伸び代があるように感じました。

・2台目 HFI-650(ULTRASONE)
 1台目の不満点を解消できそうということで、素直に選びました。
 低域の量は1台目より少なめで、人によっては物足りなく思うかもしれませんが、質的には上です。個人的には量的にもこれくらいで良いように思います。逆に、これ以上の量を要求するとどうしても質的に追いついてこないように感じました。
 音の厚みや明るい表現もなかなか良いです。今回の曲の場合には理屈ではなく自然と体が動くような鳴らし方が良いと思うのですが、そういう意味では1台目も2台目も良いと思います。
 不満点は特にありません。あとは違った方向で選ぶしかないでしょう。

・3台目 SR-325i(GRADO)
 1台目と2台目は密閉型で、密閉型特有の音の圧力でノリの良さを出しているようなところがあるのですが、それが気に入らないという人もいるでしょう。そこで、開放型で今回の曲に合いそうな曲を選んでみました。
 1台目、2台目ともにある程度明るい表現であるものを選んだつもりですが、SR-325iは更に明るい感じです。低域は抜けすぎて足りないように感じるかもしれないと予想したのですが、実際聴いてみると十分な質・量のように感じます。全体のバランスとしてもなかなか良く、前述の「自然と体が動くような鳴らし方」というのに当てはまると思います。


 他にはHD25-1でも聴いてみたのですが、思ったよりも低域に切れがなくボンボン鳴っているように感じられて好きではありませんでした。この辺はこの曲独特の相性なのかもしれません。
 今回取り上げたヘッドホンをまとめると、低域の量を重視するならATH-PRO700、明るさや切れを重視するならSR-325i、その中間くらいならHFI-650と言ったところでしょうか。
 今回は低域の締まりや明るさを重視してヘッドホンを選びましたが、これが低域の量を重視したりするとまったく違う結果になりそうです。その場合にはMDR-Z700DJ、RP-DH1200、DJ Pro 3000あたりが良さそうです。
 いずれにせよ、今回の曲は分解能や音場感といった性能で聴くのではなく、音が好みに合うかどうかがすべてだと思いますので、そういう視点で今回の内容を参考にして欲しいと思います。


試聴はこちら(違うCDですが同一の曲です)。










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