PC-100
音質
やや高音より。低域は質は悪くないが、必要最小限の量。DJ用にしては非常に低域がタイト。中域はややうわずり気味ながらはっきり聴こえてくる。高域はややシャリつくものの、量は十分。
分解能、音場感は価格なりの価値はある。原音忠実性はいまいち。エッジはそれほどきつくないが、芯の通った中域のせいで、キンキンしたヴォーカル等は聴き疲れする。
非常に明瞭な割には音の鮮やかさはいまいち。ただ、それでも価格を考えれば十分なものは持っている。厚みはかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさには欠ける。曇っているヴォーカルでも、良くも悪くも明るく表現する。かなりノリが良いように感じる。低域は弱めなのだが、厚みはあるし切れが良くスピード感があるためだろう。その反面、繊細さには欠ける。響きはややあっさりから適度。こもり感はそれほど気にならない。かなり芯の通った硬くて明るい音を鳴らす。
弦楽器は低域が足りないせいで心地よさが感じられないし、線の太い音なので繊細さもいまいち。ソースによっては原音とは違った嫌味が出ることもある。金管楽器はなかなか鮮やかで芯の通った音が楽しめる。打ち込み系の音の表現はかなりうまいが、低域の量がもう少し欲しかったところ。ただし、中域から高域にかけてはなかなか鮮やかで楽しめる。
装着感
普通。側圧はやや強めで、ヘッドバンドにはクッションが付いているが多少痛い。真上を向いたりしない限りずれない。
イヤーパッドは耳を覆うサイズ、上下左右に角度調節ができる。材質はレザータイプの人工皮革で蒸れるが肌触りは良い。
HFI-650と同様、ヘッドバンドの長さ調節が固定できないのに加えて、調節位置がずれやすいため何度も着けたり外したりする場合には調節が面倒。
その他
遮音性及び音漏れ防止は良好。
作りは悪くないが、黒と水色を基調にしたデザインは微妙。HFI-650やdj1001の色違いといった感じ。DJ用らしくカールコードでスイーベル機構、折りたたみ可能。1万円台のDJ用を探していて、MDR-Z700DJやRP-DH1200では低音が出すぎという人にはかなりおすすめできる機種。
プラグは金メッキのL型標準プラグ。コードの太さは約4mm、やや硬く扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周98mm×88mm、内周54mm×44mm、深さ16mm。
付属品
標準→ミニ変換プラグ
キャリングポーチ
参考
不定期コラム『第16回 DJ用ヘッドホン比較』
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第58回 追加測定ピックアップと注意点』
周波数特性グラフ
比較メモ
Alp Horn
Alp Hornはややかまぼこ、PC-100はやや高音より。低域はほぼ同量だが、どちらかと言うとAlp Hornの方が多い。PC-100の方が締まっている。重心はPC-100の方がやや低い。中低域はAlp Hornの方がしっかり出る。中域はPC-100の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPC-100の方がやや量が多い。PC-100の方が線が細く伸びが良い。Alp Hornの方が粗や癖が気になる。分解能はPC-100の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はPC-100の方がやや広く、明確で癖がない。Alp Hornの方がやや頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はPC-100の方が若干上。Alp Hornの方が周波数特性上の癖がやや大きく、違和感がある。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、基本的にAlp Hornの方が粗っぽい音でやや聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろAlp Hornの方が粗っぽく痛い感じ、PC-100の方がやや細く刺さる感じ。明瞭さ、音の鮮やかさはPC-100の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみはAlp Hornの方が若干感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはPC-100の方がやや上。PC-100の方がノリが良くかつ繊細。PC-100の方が切れやスピード感がある。響きは、低域はAlp Hornの方がやや豊か、高域はPC-100の方がやや豊か。弦楽器は基本的にPC-100の方が繊細で良いが、Alp Hornの方が中低域が出る分チェロやコントラバスの音色が自然で心地よく感じられることはある。金管楽器はAlp Hornの方が太く芯が通っている感じ、PC-100の方が細く綺麗。打ち込み系の音の表現はPC-100の方がうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、基本的にはPC-100、PC-100では中低域が足りないとか高域が細く刺さるという不満があるならAlp Horn。
ATH-PRO700
ATH-PRO700はややドンシャリ、PC-100はやや高音より。低域は全体的にATH-PRO700の方が出る。中域はPC-100の方がやや出ている感触。高域はほぼ互角だが、ATH-PRO700の方がaudio-technica独特の金属めいた鳴り方があるためやや出るように感じがち。分解能はATH-PRO700、音場感はPC-100の方が良い。ATH-PRO700の方が原音忠実だがエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚みや密度はPC-100の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方が上。ATH-PRO700の方がノリが良くしかも繊細さもある。響きはATH-PRO700の方が豊か。弦楽器、金管楽器はいずれもATH-PRO700の方が良い。PC-100は塗り潰したような癖がありいまいち。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばATH-PRO700の方が良い。低音が出る上、音にシャープさがあるため。ただし、音に厚みがあるほうが好きならPC-100の方が良いかもしれない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならテクノやトランスでPC-100の音の粗さや厚みにマッチするソースにはPC-100、それ以外はATH-PRO700。
dj1001
非常に近い音だが、低域はPC-100の方がやや出る。高域はほぼ同等、ヴォーカル等の中域はややdj1001の方が出る。と言っても、PC-100が凹んでいると言うよりはdj1001が出ているという印象。違いは微妙。一番の違いは音の粒の粗さで、PC-100はかなり粗く、dj1001は細かい。高域はPC-100はシャリつくがdj1001はそんなことはない。分解能はdj1001の方が上、音場感はほぼ同じ。どちらもエッジはきつくなくそれなりに聴きやすいが、dj1001の方が聴き疲れは少ない。どちらも非常に明瞭で、明瞭さという意味では差はない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも不足気味だが、dj1001の方が若干良いか。どちらも響きがあっさりで、ノリ良く切れの良い音だが、低域が出るのと音の粗さからPC-100の方が若干ノリが良く感じる。どちらも打ち込み系の音と相性が良い。弦楽器はdj1001の方が繊細かつ自然。金管楽器はほぼ互角で、粗い感じが好きな人はPC-100、澄んだ感じが好きな人にはdj1001がオススメ。使い分けるなら、ロックやノリ重視のポップスはPC-100、それ以外はdj1001。
HFI-650
HFI-650の方が低音が出るが、中域・高域はほぼ同レベルで、全体的には良く似た音。PC-100は低域がでないこともありスカスカに感じる部分があるが、HFI-650はそんなことはない。分解能はHFI-650の方がやや上、音場感はほぼ同じ。エッジのきつさはほぼ同レベルで、どちらもそれほど聴き疲れはしない。明瞭さでは低音が出ない分PC-100の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の圧勝。どちらも響きはかなりあっさりでノリが良く切れの良い音。打ち込み系の音とかなり相性が良い。PC-100の方が粗い感じで、基本的にはHFI-650の方が一段上のクオリティーだが、PC-100の粗っぽさがうまくマッチして生き生きしてくれるソースもあることは確か。低域がもう少し出れば、ロックにはPC-100の方が向いていると断言できたと思われる。どちらもクラシックには向かない機種だが、どちらかを使うなら間違いなくHFI-650。弦楽器はどちらもあまり得意ではないが、HFI-650の方がまだ自然な印象を受ける。金管楽器は弦楽器ほどの差は感じられないが、それでもHFI-650の方がやや良い。大太鼓などの低音はPC-100はかなり不満だが、HFI-650はほぼ満足できる音。何を聴くにしてもHFI-650の方が良いと思われるが、あえて使い分けるならやはりロックにPC-100、それ以外にはHFI-650か。
RP-DH1200
PC-100はやや高音より、RP-DH1200は低音よりのドンシャリ。低音は圧倒的にRP-DH1200の方が出る。逆に高域は圧倒的にPC-100の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてPC-100の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、低音が出るぶん大抵のソースではRP-DH1200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはPC-100の方が上。厚みはRP-DH1200の方があるが、密度は互角。温かみはRP-DH1200の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはPC-100の方が若干ある。ノリの良さならRP-DH1200、繊細さならPC-100。響きはRP-DH1200の方が豊かで、こもり感がすごい。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPC-100の方が良い。ただし、何を聴くにしても若干低音が不足に感じられる恐れはあるし、粗がありマイルドさに欠ける。それにしてもRP-DH1200の低音過多よりはましと思う人が多いだろう。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が欲しい人でなければPC-100の方が何を聴くにしても良いだろう。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了
戻る
スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 20Hz〜20kHz | 102dB | 64Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
270g | 50mm | 3.3m | 片出し | 折りたたみ可能 |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3 | 3 | 4 | 4 | 3 | 3 | 均(高、中) | 11000円 |
公開日:2005.2.15