第86回 PHASE3/THA BLUE HERB「PHASE3」より

 THA BLUE HERBは日本のヒップホップグループです。メンバーは男性2人で、MC(ヴォーカル)1人とトラックメイカー1人です。
 今回取り上げる曲は2007年発表の6枚目のシングルです。ヒップホップとしては暗めで、MCの声もやや低くしゃがれた感じの渋みがあります。伴奏は打ち込み音で、低域がボンボン鳴る印象です。
 ヘッドホンとしては、低音がしっかり出て音に厚みがあるものが合いそうです。


・1台目 HP-M1000(Victor)
 今回も色々聴いてみましたが、最終的にはこれになりました。
 低音がしっかり出て迫力やノリの良さがありますし、全体のバランスも良いです。声を太く魅力的に鳴らしてくれるという点も好印象です。
 他には、RP-21とDJX-1が良かったです。RP-21は、HP-M1000とどちらを選ぶか最後まで迷ったのですが、RP-21は声の擦れが目立ちすぎるので外しました。ただ、そうは言っても今回の曲ではその擦れが魅力でもあるわけで、なくても物足りないです。程度の問題ですが、RP-21は今回聴いたヘッドホンの中で最も擦れが気になりましたし、HP-M1000くらいの擦れで十分と感じました。DJX-1は迫力やノリの良さという点ではHP-M1000やRP-21に引けを取りませんが、声の擦れが潰れすぎて少し物足りない感じです(とは言え、それでも大抵のDJ用ヘッドホンよりは良いのですが)。HP-M1000を選びはしましたが、RP-21やDJX-1の方がどこか硬派な鳴らし方で好みと言う人も多いと思います。
 それ以外にも、大抵のDJ用ヘッドホンならそこそこ楽しめてしまいます。ただ、前述の機種と比べると、細かい部分、特に声のしゃがれた感じ等が塗りつぶしたようになってしまって魅力に欠けます。
 不満点は特にありませんが、もう少し締まりや渋さがあればなお良いという点でしょうか。

・2台目 HD25-1(SENNHEISER)
 1台目の不満点から自然に思いついたので選びました。
 実際聴いてみると、確かに1台目より締まりがあって地味な渋さがあります。全体のバランスも良いですし、圧力があってノリ良く楽しめます。HP-M1000よりはRP-21に近いですが、更に締まっていて飾り気がない感じです。
 不満点は、HP-M1000やDJ用ヘッドホンに鳴れた耳で聴くと低域の量が不満な点、声が少々味気ない点です。

・3台目 PROline2500(ULTRASONE)
 2台目の不満点を踏まえて色々考えながら聴いたのですが、最も魅力的に感じたのはこれでした。
 癖のなさや一聴したときの違和感のなさを重視するなら論外なのですが、今回の曲はそういう感じではないと思いますし、PROline2500は長所も多いです。まず、声が魅力的です。RP-21のようにかなり擦れが気になるのですが、やはり今回の曲はある程度擦れがあった方が良いです。太く低い点も今回の曲に合います。低域の量感がしっかりあって迫力がある点も良いです。また、これまで触れませんでしたが、今回の曲は打ち込み音の鳴る場所が多少バラけたり移動したりします。PROline2500の場合、声が少し遠くなってしまうという欠点もあるのですが、1、2台目と比べて音場が格段に広く楽しめます。


 今回は、どれが特別良いということはなかったと思います。渋めの表現が良いならHD25-1やPR-21、トータルバランスや素直に楽しめるということならHP-M1000、声の魅力や音場の広さならPROline2500といった感じです。
 好みに合わせて選んでください。













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