K701

音質
 かなりフラット。低域は厚み・量ともに適度で、何を聴くにしても過不足ないように感じる。質感は特に硬くも柔らかくもないが、上を見ると若干曇っているようにも感じる。中域は低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない落ち着いた鳴らし方。高域は線が細く粗がないし、量も十分。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて価格なりのものを持っている。分解能や音場感が特別優れているとは感じないが、非常に分かりやすくて癖がなく、ある意味ごく普通なのは長所だろう。原音の粗や生っぽさはあまり感じられないが、広い目で捉えたときに原音をなるべく変えずに音楽鑑賞向けに最適化したような印象を受ける。エッジはきつくなく、非常に聴きやすい。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、どれをとっても突出して良くはないが、決して悪くない。これは裏を返せば非常に癖がなくオールマイティーであることの証と言えよう。基本的には繊細だが、ノリの良さも持ち合わせている。響きは適度。
 弦楽器は味付けが少なくそれでいて心地よく繊細、低域から高域まで見事な表現。金管楽器は鮮やかさや力強さにはやや欠けるように感じるが、原音に近く繊細で自分の仕事はしっかりこなしてくれる印象。打ち込み系の音の表現はあまりうまくはないが、必要な能力は持っている。
 K501に代表されるようなAKGらしい上品で繊細な音作りでありながら、K501のローエンドの不足や音の硬さを払拭し、ワンランク上の非常に無難な音楽鑑賞用ヘッドホンとなっている。

装着感
 良好。側圧は普通。フリーアジャストのヘッドバンドが頭頂部を圧迫するのがやや気になる。重量は重くなく、ずれやすいとは感じない。
 イヤーパッドは耳をすっぽり覆うサイズで、自由に角度調節ができる。材質は質の良い布製で、心地よいが多少蒸れる。
 ハウジングが大きく、やや視界に入る。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作り、デザインともに基本的には非常に良いが、新品状態でも小傷が付いていることが多いようだ。
 プラグは金メッキの標準プラグ。コードの太さは約4mm、柔らかく扱いやすい。イヤーパッドのサイズは、外周110mm×110mm、内周60mm×60mm、深さ26mm。

付属品
標準→ミニ変換プラグ



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第44回 イヤーパッドの交換と音質の変化 2回目』
不定期コラム『第48回 K701のバランス化』
不定期コラム『第62回 ヘッドホンの重さのメーカー公称値と実際』

投稿レビュー『K701』
投稿レビュー2『K701』

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-AD2000
どちらもかなりフラットだが、ATH-AD2000の方がやや低音より。低域はどちらもローエンドまで出ている感じは似ているが、全体的にATH-AD2000の方が量が多い。中域はK701の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。これは、どちらかと言うとATH-AD2000の方が普通よりもやや低めの音で、低域の曇りが多少気になるせいもあるだろう。高域はK701の方が細く高い音を鳴らす。分解能はほぼ互角だが、細部の描写はK701の方がうまい。音場感はK701の方が上。ATH-AD2000は耳の近くで音が鳴っているのが致命的に感じるが、それさえ気にしなければむしろATH-AD2000の方が明確な音場と感じる。原音忠実性はK701の方が上。ただし、どちらも原音の粗や生っぽさをあまり感じない点は似ている。K701の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK701の方が上。厚みはATH-AD2000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が上。ノリの良さならATH-AD2000、繊細さならK701。響きはK701の方が豊か。弦楽器の表現力は基本的に何でもK701の方が良さそうだが、ATH-AD2000も独特の伸びの良さや低域があるので、心地よく弦楽器の低域を楽しみたいならATH-AD2000の方が良いように感じる。金管楽器はK701の方が高く鮮やかだが、力強さではATH-AD2000に分がある。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方がうまい。K701と比べて音が太く低域の量も多いし、何よりダイナミック。使い分けるならポップスやロックはATH-AD2000、クラシックやジャズはK701。どちらもかなりフラットな割には違う音を鳴らす2機種で、使い分けも楽しめる。

ATH-TAD500
どちらもかなりフラット。低域はATH-TAD500の方が若干量が多い。K701の方が締まりや制動が感じられる。重心の低さはほぼ同レベル。中域はK701の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。質的にはK701の方が芯が通っているような感じでしっかりしている。高域はほぼ同量。ATH-TAD500の方が線が細くシャリつく。分解能はK701の方がやや上。特に音の分離で勝っている。音場感はK701の方が広く明確。ATH-TAD500の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はK701の方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはATH-TAD500の方が若干感じられる。エッジはATH-TAD500の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はATH-TAD500の方が若干細く刺さる、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはK701の方がやや上。厚みはK701の方がややある。温かみは薄く曇っている分ATH-TAD500の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。ATH-TAD500の方がややスモーキー、K701の方が癖がなくソースを選ばない。K701の方がノリが良い。メリハリがある。響きはATH-TAD500の方がやや豊か。弦楽器はK701の方が滑らかで心地よい。金管楽器はK701の方がやや太く力強い。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はATH-TAD500の方が若干上だが、厚みや低域の質が不満に感じられることも多い。使い分けるなら、基本的にはK701、K701では中域に芯が通っている感じが気になるとか音が遠すぎるという不満があるならATH-TAD500。

DT880
DT880はやや高音より、K701はかなりフラット。低域は全体的にDT880の方が出る。質感的にはDT880の方が柔らかい。中域はどちらもはっきり聴こえてくるし癖もない点は良く似ている。高域はDT880の方が高く硬い音を鳴らすが、粗がある。こうして見ると、この2機種に限ればDT880の方がドンシャリ。分解能及び音場感はほぼ互角。DT880の方が細部の表現が優れているように感じるが、これはサラサラした質感で付帯音があるせいでもあるため、厳密にはどちらが上とは言いがたい。原音忠実性はK701の方が上だが、原音の粗はDT880の方が感じられる。DT880の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはK701の方がやや上。音の鮮やかさは、DT880の高域がかなり目立つためそこに目が行きがちだが、それを除けばほぼ互角。厚みはK701の方がややあるように感じるが、これはK701の方がやや芯の通った音であるためにそう感じる部分もあるし、それほど差はない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT880の方が上。どちらもノリの良さと繊細さを高いレベルで両立させているが、総合的に見るとどちらにせよK701の方が若干上のように感じる。その代わり、DT880にはK701にはない味わい深さがあるように感じる。響きはDT880の方が豊か。DT880は長所と短所があるのに対して、K701はとにかく無難な印象。弦楽器はK701の方が癖のない表現だが、DT880のサラサラした質感や低域の量感も素晴らしいものがあるので、ソースや好みによって評価が分かれるところだろう。金管楽器はDT880の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域が出る点ではDT880の方が良いように感じるが、それ以外の点についてはK701の方がややうまいように感じる。ただし、どちらにしてもそれほど相性が良いとは言えないだろう。得意分野はDT880がジャズ、K701がクラシック。使い分けるなら、ジャンル云々よりも、刺激が欲しいならDT880、無難な方が良いならK701という方法の方が良いだろう。

HD650
HD650はやや低音より、K701はかなりフラット。低域はHD650の方が厚み・量ともにある。中域はK701の方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけでなく、HD650よりやや高い音を鳴らすため。中高域はHD650の方が若干量が多いように感じるが、微妙な差。高域はK701の方が若干多いように感じるが、これも微妙。量よりも質感の違いの方が大きい。HD650の方が硬く金属的、K701の方が細い。分解能はほぼ互角。低域の多いソースではK701の方が良く感じるだろうが、そうでなければHD650の方が良く感じる。細部の描写はHD650の方がやや上のように感じる。音場感はHD650の方がやや上。立体感があり明確。原音忠実性はどちらも良いが、メーカー独自の味付けを感じさせる点は良く似ている。HD650は心地よくそれでいて力強く、K701はあくまで繊細さを第一にしている印象。どちらもエッジはきつくないが、どちらかと言えばHD650の方がきつい。特にサ行の音等では差が出る。明瞭さはK701の方が上。これは低域がやや弱めなことと線の細さからきていると思われる。音の鮮やかさはHD650の方が上。厚みはHD650の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD650の方がやや上だが、K701も十分なものを持っている。どちらかと言うと、この点はHD650が味付けしすぎなのだろう。どちらもノリの良さと繊細さを高いレベルで両立しているが、ノリの良さならHD650、繊細さならK701。響きはHD650の方が豊か。弦楽器はどちらも非常にうまい。チェロ等を心地よく聴きたいならHD650、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならK701。HD650の方が厚手で滑らか、K701の方が線が細く繊細。金管楽器はHD650の方が金属的で力強く鮮やか。K701も悪くは無いが、HD650と比べるとどこか物足りない。ただ、シンバル等の鳴らし方はコンデンサー型のような鳴らし方を好むならK701の方が合うだろう。この辺りは好みで変わってくると思われる。打ち込み系の音の表現はHD650の方がうまい。低域の量や音の厚み・密度で勝っている点が有利。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときはHD650、そうでもないときはK701。クラシックに限るなら、オーケストラはHD650、室内楽はK701。力強さを重視するならHD650、繊細さを重視するならK701。どちらもかなりバランスの良い機種なので、聴く人やソースによって使い分け方も様々だろう。

HD800
どちらもかなりフラット。低域はK701の方が若干量が多い。HD800の方が若干締まっていて制動が良い。重心の低さはほぼ同レベル。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。HD800は中域から中高域にかけてやや凹んでいる印象だが、K701はそういうことはない。高域はほぼ同量。HD800の方が若干硬く明るい質で目立つ。分解能はHD800の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はHD800の方がやや広く明確で、見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はHD800の方が若干上。HD800は中域から中高域にかけての凹みと高域の明るさが気になるのに対して、K701はエッジが丸すぎる点と金属的な質感を出すべきところでもあまり出してくれない点が気になる。原音の粗や生っぽさはHD800の方がやや感じられる。エッジはHD800の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHD800の方がやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはHD800の方が若干上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が若干感じられる。HD800の方がやや明るくノリが良い。切れやスピード感で若干勝っている。K701の方がややおとなしく聴きやすい。響きはK701の方が若干豊か。HD800の方がやや硬く締まった音。弦楽器はHD800の方が生楽器らしさが感じられ、K701の方がやや柔らかく上品。金管楽器はHD800の方がやや金属的で鮮やか。力強さという点でも若干勝っているように感じられる。打ち込み系の音の表現はHD800の方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはHD800、HD800では中域から中高域にかけての凹みが気になるとか聴き疲れしやすいという不満があるならK701。

K501
K501は高音より、K701はかなりフラット。低域は全体的にK701の方が出るし、柔らかい質感。中域はK501の方がやや高くはっきり聴こえてくる。高域はK501の方が硬く細い鳴らし方で、目立つ。分解能及び原音忠実性はK701の方がやや上。音場感はほぼ互角だが、音の広がり等まで含めるとK701の方が一枚上手。K501の方が硬く芯の通った音でやや聴き疲れする。明瞭さは低域が出ない上に硬い音を鳴らすK501の方がやや上に感じるが、音の鮮やかさではK701も負けていない。厚みはK701の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が上。この2機種の一番の違いはこの点と、音の硬さだろう。どちらも繊細だが、K701はノリの良さも感じさせるのに対してK501はただ繊細。響きはK701の方がやや豊か。弦楽器はヴァイオリンの硬く澄んだ感じを楽しみたいときはK501の方が良いだろうが、それ以外はK701。金管楽器はK501の方が硬い音を鳴らすため相性は良いが、K701の方が力強く余裕のある表現。打ち込み系の音の表現はK701の方がうまい。K501は音の硬さがマッチする部分もあるのだが、低域不足と音の細さが合わないことが多い。得意分野はどちらもクラシックだが、K701の方がよりオールマイティーと言えよう。使い分けるなら、基本的にはK701で、音の硬さが欲しいときだけK501。

K530
どちらもかなりフラット。低域はK530の方が若干量が多い。全体的に出る感じで大抵のソースではK530の方が存在感があるが、量が多い分ぼやけることが多い。重心はK530の方が若干低い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、K530の方が質的に硬い分はっきり聴こえてくるのに対して、K701の方が低域が少ない分はっきり聴こえてくる。高域はほぼ同量だが、どちらかと言うとK530の方が量が多い。K530の方がやや硬く明るい質。分解能はK701の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はK701の方がやや広く明確。音場的な意味でもK701の方が分離が良いように感じられる。原音忠実性はK701の方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはK530の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK530の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が感じられる。ヴォーカルはK530の方が擦れやリップノイズを出してくれる、K701の方が癖がなく聴きやすいし伸び伸び鳴らしている印象。K530の方がノリが良く、K701の方が繊細。K530の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは基本的にはK701の方がやや豊かだが、低域はK530の方がやや豊か。K530の方が付帯音が少なく無機質に感じられる。K701の方が雰囲気や情感といったものを出してくれる。弦楽器はK701の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。ただし、ヴァイオリン等を硬く澄んだ感じに鳴らして欲しい場合や、チェロやコントラバスの量感を求める場合にはK530の方が良い。金管楽器はK530の方がやや金属的。打ち込み系の音の表現はK530の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、基本的にはK701、K701では低域の量が少ないとか音が柔らかすぎるという不満があるならK530。

K612PRO
どちらもかなりフラット。全体的に良く似た音。低域はK612PROの方が若干量が多い。K612PROの方が若干柔らかい質。重心はK612PROの方が若干低い。中域は微妙だが、どちらかと言うとK701の方が低域の量が少なく芯が通っている分はっきり聴こえてくる。高域はほぼ同量だが、どちらかと言うとK612PROの方が多い。K612PROの方が若干線の細い質。分解能は大差ないが、どちらかと言うとK701の方が上。音の分離はK701の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はほぼ同レベル。音場感はK701の方が若干広く明確。K612PROの方が近くで音を鳴らす感じ。原音忠実性は大差ないが、どちらかと言うとK701の方が上。周波数特性上の癖のなさは大差ない。原音の粗や生っぽさはK701の方が若干感じられる。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さ。明瞭さはK701の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK612PROの方が若干感じられる。ヴォーカルはK612PROの方が若干透明感があり聴きやすい。K701の方が若干ノリが良い。切れやメリハリがある。響きはK612PROの方が若干豊か。K701の方が全体的に芯が通っている印象。弦楽器は、K612PROの方が若干心地よい、K701の方が若干生楽器らしさが感じられる。金管楽器は、K612PROの方が若干細く綺麗、K701の方が若干太く力強い。打ち込み系の音の表現はK701の方が若干うまい。音の質感の相性は大差ないが、切れで若干勝っている。あまり使い分けには向かないが、あえて使い分けるなら、音の近さや響きを求めるならK612PRO、音の遠さや芯の通っている感じを求めるならK701。

RS-1
K701はかなりフラット、RS-1はややドンシャリ。低域はRS-1の方がしっかり低い音を鳴らすが、全体的な量はほぼ同量。K701の方がローエンドまでフラットでやや曇っているような感じ。中域はRS-1の方がはっきり聴こえてくる。低域の曇りとは無縁なことと、K701よりも若干高めの音を鳴らすため。高域は、RS-1の方がややとがった高い音。分解能はRS-1の方が上。音の分離、細部の表現ともにやや勝っている。音場感は単純な優劣はつけられない。二次元的な広さではK701に分があるが、RS-1は奥行きがあり明確。3次元的な広さ、平面的あるいは立体的明確さ、残響音の利用の仕方等まですべて含めるとRS-1の方が上だろう。原音忠実性はどちらも良いが、どちらかと言えばRS-1の方が上。K701は曇っているように感じる部分があるし、原音の粗や生っぽさが感じられない。RS-1の方がエッジがきついが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。むしろK701のエッジが無さすぎと言うべきだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはRS-1の方が上。低域の曇りが無く、抜けが良く、どの音域も明確に聴こえてくる。それでいて輪郭が過剰に明確であるということがない。厚みは単純には比較できない。RS-1の方が全体的にタイト。どちらも音の圧力はしっかりある。温かみはK701の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方がやや上。ノリの良さならRS-1、繊細さならK701。ただし、どちらもノリの良さと繊細さを非常に高いレベルで両立しており、総合的に見てRS-1は若干ノリの良い側へ、K701は若干繊細な側へバランスが振れているように感じる、と言った程度。RS-1の方が爽やかでテンションが高い。K701の方がしっとりしているがそれでいて圧力では負けていない。響きはRS-1の方がやや豊かだが、抜けも良いため、一聴してK701の方が響きが豊かと感じる人も多そう。RS-1はしっかり音が抜けていくのに対して、K701は意外と高い圧力で叩きつけられた音が抜けずに潰れる印象。弦楽器は低域の質感から、心地よさではK701の方が上に感じられるが、基本的な表現力はRS-1の方が勝っている。金管楽器はどちらもうまいが、RS-1の方がやや高く鮮やか。細部の音の割れ方までしっかり表現してくれるし、何より聴いていて楽しい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、どこか物足りない。K701は明るさやテンションの高さが足りないし、RS-1は低域の量やどこかソフトな感じが不満。どちらもかなりオールマイティーと言ってよい。使い分けるなら、基本的にはRS-1、RS-1ではテンションが高すぎたり抜けが良すぎたりする場合にはK701。

SR-007+SRM-717
どちらもかなりフラット。低域は、量はそれほど差がないが、質感がかなり違う。SR-007+SRM-717の方が柔らかく、K701の方が圧力がある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、K701の方がやや高い音。中高域は低域と同じで、量よりも質に違いが出る。K701の方が金属的。高域はSR-007+SRM-717の方が細く高い音を鳴らすため目立つ。分解能及び音場感はSR-007+SRM-717の方が上。音の分離にしろ、微細な表現にしろ、SR-007+SRM-717の方が一段上。音場はSR-007+SRM-717の方が広く立体的な上に全面駆動の音の鳴り口の広さが加わっているため、差が明確。原音忠実性はどちらも良いが、癖のなさという意味ではK701の方が良く、コンデンサー型独特の質感を除けばSR-007+SRM-717の方が良いように感じる。ただし、どちらも原音の粗は感じられない。SR-007+SRM-717の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-007+SRM-717の方が上。曇りのない表現。厚みはそれほど差がないが、圧力はK701の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSR-007+SRM-717の方が上。どちらも繊細だが、やはりダイナミック型のK701の方がノリの良さという点では分がある。響きはSR-007+SRM-717の方がやや豊か。弦楽器はSR-007+SRM-717の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はK701の方が力強く、SR-007+SRM-717の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はK701の方がややうまい。音に圧力があるだけでなく、締まりもあるため。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、基本的にはSR-007+SRM-717、余程音の圧力が欲しいときやコンデンサー型の質感を嫌うときはK701。

SRH1840
どちらもかなりフラット。低域はほぼ同量。SRH1840の方が若干薄く曇ったような質。重心の低さはほぼ同レベル。中域は微妙。どちらかと言うと、K701の方が低域の曇りがない分はっきり聴こえてくるのに対して、SRH1840の方が若干音色が明るい分はっきり聴こえてくる。中高域はSRH1840の方が若干しっかり出る。高域はほぼ同量。SRH1840の方が若干線の細い質。分解能はSRH1840の方が若干上。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はSRH1840の方が若干上。音場感は、K701の方が若干広い、明確さはほぼ同レベル。SRH1840の方が近くで音を鳴らす感じ。原音忠実性はSRH1840の方が若干上。周波数特性上の癖のなさはSRH1840の方が若干上。原音の粗や生っぽさはSRH1840の方が若干感じられる。エッジのきつさや聴き疲れは微妙。ソースによって簡単に逆転する印象。高域はSRH1840の方が若干細く刺さる、ヴォーカルのサ行はK701の方が若干粗っぽく痛い。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはSRH1840の方が若干上。厚みはK701の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSRH1840の方が若干感じられる。ヴォーカルはSRH1840の方が若干透明感があり聴きやすい。ノリの良さは微妙。基本的には大差ないが、K701の方が芯が通っていてメリハリがある分ノリが良いように感じられることがある。響きはSRH1840の方が若干豊か。弦楽器は微妙。どちらかと言うと、K701の方が若干独特の滑らかさがあり上品、SRH1840の方が若干繊細。金管楽器は、K701の方が若干芯が通っている感じで力強い、SRH1840の方が若干細く鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はSRH1840の方が若干上、切れはK701の方が若干上。あまり使い分けには向かないが、あえて使い分けるなら、音の遠さや芯の通っている感じを求めるならK701、音の近さや響きを求めるならSRH1840。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索
第45回 宿替え/桂枝雀「THE 枝雀」より
第52回 交響曲第4番「ロマンティック」/ブルックナー
第62回 左手のためのピアノ協奏曲/ラヴェル
第79回 City Lights/Fantastic Plastic Machine「contact」より
第81回 牧神の午後への前奏曲/ドビュッシー

曲別HP探索2
第7回 ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 作品49/メンデルスゾーン
第25回 フィガロの結婚/モーツァルト
第49回 クラリネット五重奏曲/モーツァルト
第84回 平調越天楽残楽三返/「雅楽「越天楽」三調」より













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 10Hz〜39.8kHz 105dB 62Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
235g - 3m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
5 4 2 2 4 1 39800円

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公開日:2006.6.24