SR-225

音質
 ややドンシャリ。低域はローエンドが弱めだが、厚みは十分。ただし、音の抜けが良いため量的にはやや不足に感じる人も多そう。中域は低域に埋もれたりせずにしっかり聴こえてくる。高域はやや粗いものの、癖がなく量も十分。
 分解能、原音忠実性はなかなか良い。音場感は狭いが明確。audio-technicaなどによくある耳から離れた場所で音が鳴っている感触とは正反対の独特の近さを持ち、それによる臨場感が魅力。GRADOサウンドという言葉が使われることがあるのも納得。エッジはややきつめだが、適度な刺激として楽しめるレベル。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはかなり良い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。非常にノリが良い。テンションが高く、軽快で明るい。繊細さにはやや欠けるが、最低限のものは持っている。響きはあっさりで、開放型の音の抜けの良さという長所が強く感じられる。非常に切れが良いので、これに慣れると他のヘッドホンが味気なく感じられる。音の粗さが多少気になるが、逆にそれがロックに絶妙にマッチする。ただ、密閉型のような音圧がないのは否めない。
 弦楽器は繊細さにしろ心地よさにしろやや不満が残る。金管楽器はなかなか鮮やか。打ち込み系の音の表現は悪くないが、やはり音圧が不足に感じる。ただ、中域から高域の明るさや鮮やかさはなかなか良い。

装着感
 悪い。重量は軽めだが頭頂部に優しくない作り。側圧が自由自在に変えられるのは良いが、強いと耳が痛く弱くしすぎるとずれやすくなるのが難点。
 イヤーパッドは耳のせサイズで、上下左右に角度調節ができる。材質はざらざらのウレタンのため不快。長時間使用すると頭頂部と耳が痛くなる。その反面蒸れにくいという利点はある。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い(通常の開放型と比較しても悪いレベルだろう)。
 作りがかなり無骨でかつ安っぽい。ハウジングがプラスチック製でバリが出ていたり、振動板と耳を隔てる布の隅がほぐれていたり、接着剤がはみ出していたりする。
 取説にエージングの方法や装着の調節がいかに大切か書いてある気づかいは良い。インピーダンスが低く、ポータブル機器でも十分鳴らせるのは良いが、ミニプラグ用ジャックに接続するには変換プラグが別途必要なのは難点。音質は良いのだが、総合的なコストパフォーマンスはどう考えても良くないという、困ったヘッドホン。
 プラグは金メッキの標準プラグ。コードの太さは合流前は約3.5mm、合流後は約5mm、硬いが癖は付きにくい。イヤーパッドのサイズは、外周80mm×80mm、内周40mm×40mm、深さ12mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第6回 価格別favorite headphones』
不定期コラム『第44回 イヤーパッドの交換と音質の変化 2回目』
不定期コラム『第58回 追加測定ピックアップと注意点』

投稿レビュー『SR-225』

周波数特性グラフ


比較メモ
DT860
どちらもやや高音よりのドンシャリ。低域はDT860の方がやや低く厚みがある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、SR-225の方が癖のない印象。高域はかなり似ているが、SR-225の方が若干高い音を鳴らすようだ。分解能はSR-225の方がやや上。音場感はほぼ互角。どちらも耳の近くで鳴っているものの明瞭な点は良く似ている。原音忠実性はSR-225の方が上。DT860はどの音域を鳴らすにしてもどこか癖がある。エッジのきつさはほぼ互角で、聴き疲れも同等。明瞭さは、低域が弱く抜けが良い点はSR-225の方が良いように感じるが、中域のはりだしはDT860の方が上で、総合的に見るとほとんど差は無いだろう。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはDT860の方があるように感じる。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはSR-225の方が若干良いように感じる。どちらも明るく爽やかでノリが良い。響きはSR-225の方がやや豊かだが、その分抜けも良いので、感じ方は人によって違ってきそう。メーカーが違う割には似ているが、DT860の方が圧力のある鳴らし方。弦楽器はSR-225の方が繊細で癖が無い。金管楽器はどちらも鮮やかだが、弦楽器同様SR-225の方が癖が無い。打ち込み系の音の表現はDT860の方がややうまい。低域の量感や圧力があるため。得意分野はDT860がポップス、SR-225がロック。使い分けるなら、癖が合っても良いから低域の量感や圧力を求めるならDT860、それ以外はSR-225。

DT880
DT880の方が超低域が出るが、それ以外はかなり近い。どちらも高域を綺麗に出してくれるが、SR-225の方が若干高い。低域の厚みはSR-225の方がある。分解能及び音場の明確さはほぼ互角だが、音場の広さではDT880の方が上。DT880の方が原音に近い。どちらもエッジがきつめでやや聴き疲れするが、DT880の方がまだおとなしい。明瞭さや音の鮮やかさ、厚みはSR-225の方が若干良いようだが、両機種ともこの点は非常に良い。DT880の方が温かみがありヴォーカルも艶っぽい。これはDT880に水気があるだけでなく、SR-225が乾いているため。ノリの良さではSR-225、繊細さではDT880といった感じだが、どちらも刺激的ではある。響きはDT880の方が豊か。SR-225は音の立ち上がりが良い上、非常に切れがあり、抜けも良い。弦楽器は全般的にDT880の方が繊細で自然かつ温かみがある。金管楽器はほぼ互角で、どちらも非常に魅力的。低域のふくよかさが欲しいならDT880、トライアングルを聴きたいならSR-225。打ち込み系の音の表現は、両機種とも得意ではない。SR-225は抜けが良すぎてスカスカになってしまい、DT880はウォームな感じになってしまう。得意分野はSR-225はロック、DT880はジャズ。使い分けるならロックはSR-225、それ以外はDT880となるだろう。SR-225はソースによっては安っぽい音を鳴らすが、DT880はそんなことはない。

HPS5000
どちらもドンシャリ。HPS5000の方が若干低音よりか。どちらも超低域がやや弱めでありながら低域の厚みはかなりあるところ等似ている。高域はどちらもかなり出るが、SR-225の方がシャープな鳴り方をする。分解能はSR-225の方が良い。音場感はどちらも狭いが明確、ほぼ互角。SR-225の方が原音忠実。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、SR-225の方がまだまし。明瞭さや音の鮮やかさはSR-225の方が上、厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、SR-225の方がまだ良い。どちらもノリが良く、繊細さはあまり感じられない。響きはどちらもあっさり、音の抜けはSR-225の方が良い。弦楽器、金管楽器はともにSR-225の方が魅力的。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、単なる相性ならHPS5000の方が良い。得意分野はSR-225はロック、HPS5000はポップス。ほとんど使い分ける必要なくSR-225を使えば良いが、一部のトランスやテクノはHPS5000の方が面白いかもしれない。

K501
どちらも超低域がかなり弱く、高域が強いという点は非常に良く似ている。低域の厚みはSR-225の方がああり、高域の量もSR-225の方がやや上。分解能はほぼ互角、音場の広さはK501の圧勝だが、音場の明確さであればほぼ互角。原音忠実性はK501の方が良好。エッジはSR-225の方がきつく、聴き疲れしやすい。どちらも非常に明瞭で甲乙つけがたい。音の鮮やかさや厚みではSR-225の方が上だが、K501は音そのものが細く繊細。ノリの良さではSR-225、繊細さではK501の圧勝。響きはどちらもあっさり。ヴォーカルの艶っぽさはどちらも意外と良いが、K501の方がやや上。温かみはどちらもいまいちだが、SR-225の方がやや良い。弦楽器はK501の圧勝だが、金管楽器はほぼ互角。一般的にはまったく違う機種という印象の強いこの両機種だが、意外なことに似ている点もかなりあった。得意分野はK501はクラシック、SR-225はロック。使い分けるならクラシックはK501、それ以外はSR-225が良い。

MUSIC SERIES ONE
かなり近い音。どちらもドンシャリだが、SR-225の方がやや高音より。低域は抜けが悪いせいかMUSIC SERIES ONEの方が出るように感じる。高域はほぼ互角だが、SR-225の方が若干細く高いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてSR-225の方がやや上。SR-225の方が線が細くやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-225の方がやや上。厚み、密度はほぼ互角。温かみはMUSIC SERIES ONEの方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもかなりノリが良い。響きはMUSIC SERIES ONEの方がやや豊か。弦楽器はSR-225の方が線が細く繊細だが、MUSIC SERIES ONEの方が心地よさでは勝っているように感じる。金管楽器はどちらもうまく、ほぼ互角の表現力。打ち込み系の音の表現は、線が太く低域が強めに感じる分MUSIC SERIES ONEの方がうまいように感じる。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、低域が欲しいときはMUSIC SERIES ONE、それ以外はSR-225か。

RH600
どちらもややドンシャリ。低域はRH600の方が若干量が多く柔らかい。ローエンドはSR-225の方が出る。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、SR-225の方が癖がない。高域は多少似ている。どちらもやや粗がある。RH600の方が若干芯が通ったような質だが、それでいてハイハット等は鋭く刺さる。分解能はSR-225の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろSR-225の方が若干上。音場感はどちらも耳の近くで音を鳴らす傾向ではあるが、SR-225の方が遠い。SR-225の方が明確で把握しやすい。原音忠実性はSR-225の方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはRH600の方が若干きつく聴き疲れしやすい。ヴォーカルのサ行の痛さは大差ないが、高域はRH600の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはSR-225の方がややある。温かみはほぼ同レベル。柔らかい低域がある分RH600の方が温かみが感じられることもあるのだが、中域から高域の癖で台無しになることも多い。ヴォーカルの艶っぽさはSR-225の方が上だし、全体的にSR-225の方が癖がなく好印象。どちらも爽やかでノリが良い傾向だが、SR-225の方が粗がないという意味で繊細。響きはほぼ同等で、どちらかと言うとSR-225の方が豊かなくらいなのだが、RH600は不要な響きが乗る感じが気になることがある。弦楽器はSR-225の方が自然で粗がない。金管楽器はどちらも鮮やかだが、RH600の方がやや太く芯が通った感じ、SR-225の方がソースをそのまま鳴らしてくれる感じ。打ち込み系の音の表現はSR-225の方がややうまい。RH600の方が線の細さや癖がマイナスに感じられることが多い。ほとんど何を聴くにしてもSR-225の方が良いように感じられる。

RS-1
どちらもややドンシャリ。全体的に非常に近い音。超低域は弱めだが、厚みはかなりある。高域はかなり強め。違いは微妙だが、RS-1の方が若干低音が出るようだ。分解能はRS-1の方がやや上。音場感はほぼ同等だが、RS-1はSR-225にはない独特の空気感があり、立体感があるようにも感じる。どちらも意外と原音に近いが、原音忠実性という意味ではRS-1の方が若干上。SR-225の方がややエッジがきつく粗があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みは互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方が上。ノリの良さならSR-225、繊細さならRS-1。響きはRS-1の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにRS-1の方が心地よく楽しめる。打ち込み系の音の表現は互角。RS-1の方が柔らかく水気のある音。豊潤で情緒がある。一方SR-225は粗のある乾いた音。RS-1はかなりオールマイティー、SR-225はロックが得意。使い分けるならロックはSR-225、それ以外はRS-1。まったく違う音という評価を耳にするわりにはかなり似た音を鳴らす。簡単に言うと、明らかに同一メーカーと分かる音。ただし、聴きこむと決定的な違いがあるのも確か。

SR-325i
非常に良く似た音。SR-325iの方が低域も高域もやや強めか。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角だが、分解能だけは若干SR-325iの方が良いように感じる。エッジのきつさはほぼ互角だが、SR-325iの方が硬い音で、しかも高域も強めなため、聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSR-325iの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さはSR-325iの方が上。響きは若干SR-325iの方が豊か。SR-325iの方が音に広がりがある。逆に言えば、SR-225の方が切れが良い。SR-325iの方が澄んだ音。SR-225のザラザラした粗っぽい感じがSR-325iにはない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSR-325iの方が若干うまいように感じる。得意分野はどちらもロック。ロックで刺激を求めるならSR-325iだが、そうでないならSR-225の方が割りとオールマイティーに鳴らしてくれる。ロック以外の曲は、聴き疲れを気にしないならSR-325iの方が大抵の場合良いように思う。

SR-60
どちらもドンシャリだが、SR-225の方が高音より。特に超低域はSR-60の方がかなり強い。高域は、線が細いこともありSR-225の方がかなり強いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-225の方が一段上。どちらかというとSR-225の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてSR-225の方が上。温かみは超低域が出る分SR-60の方が良いように感じるが、その点を差し引けばほぼ互角のように思う。ヴォーカルの艶っぽさはSR-225の方が上。SR-225の方がノリが良くしかも繊細に感じるが、超低域はSR-60の方が出るので、SR-225では超低域が不足と言う人にはSR-60はわりと合うと思われる。響きはSR-60の方が豊か。SR-225の方が明るくテンションが高く、音の抜けが良い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSR-225の方がうまい。ただし、超低域が欲しい曲の場合には、SR-60の方が相性は良い。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもSR-225の方が良いように思うが、前述の通り超低域の違いがかなりあるため、使い分けはできるように思う。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索
第20回 Everywhere/Michelle Branch「The Spirit Room」より
第28回 New Kid In Town/Eagles「Hotel California」より
第38回 ルシファー・サム/ピンク・フロイド「夜明けの口笛吹き」より
第46回 Have a nice day/BON JOVI「HAVE A NICE DAY」より
第94回 Our Town/Radio 4「Gotham!」より
第98回 21世紀の精神異常者/キング・クリムゾン「クリムゾン・キングの宮殿」より





※09年春にマイナーチェンジ。外観が変更になった他、音質も若干変化した可能性あり。
  本レビューはマイナーチェンジ前のもの。











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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 20Hz〜22kHz 98dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
140g - 2m 両出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4.5 2 1 1 3 2 均(高、低) 26000円

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公開日:2004.11.28