第6回 価格別favorite headphones

 今回は価格別に好きなヘッドホンを特集してみることにしました。別にヘッドホンに限った話ではありませんが、価格やコストパフォーマンスは重要です。どうしても予算の範囲内で済ませたいという人もいるでしょう。
 ヘッドホンのレビューをするサイトであまり贔屓をするのは良くないとは思いますが、私の好みの範囲内の話ということでご容赦ください。


HP-X122(5千円以下、AIWA)
 一部ではあまりに有名で、ある意味ここで名前をあげるのは気が引けるのですが・・・
 ヘッドホンにあまり詳しくない人は、AIWA=安物という先入観で避けている人がいるかもしれませんが、正直言って5千円以下という価格帯ならこれです。
 ドンシャリではありますがノリが良いですし、最低限の分解能は持っています。低価格帯にありがちなエッジのきつさもそれほど酷くはなく、他社同価格帯と比較するとはるかに聴きやすいです。装着感も何とか使用に耐えるレベルです。この価格帯でこれだけの条件を満たしているものはほとんどないでしょう。

PortaPro(5千円〜1万円、KOSS)
 ポータブル用ヘッドホンですが、開放型で音漏れが酷いので電車等では使えないという、いまいち使いどころに困る機種です。が、世界中の業界人が愛用する一品でもあります。個人的には十分屋内での使用に堪えると思います。
 低音が豊かでノリが良いというのが一般の評価のようですが、それだけでなく高音も意外としっかり聴こえますし、女性ヴォーカルがなかなか艶っぽいのもポイントが高いです。ポップスやロックを聴くなら価格以上の能力を発揮します。小型なので音場の広さを求める人には向かないですが、音場を除く”音”と言う意味では非常に魅力的です。

HP1000(1万円〜2万円、PHILIPS)
 比較的新しい機種(日本での発売は04年10月)です。この価格帯はライバルも多いですが、女性ヴォーカルの艶っぽさが好みなので、これにしました。
 同価格帯のライバル機種として有名なものにはATH-A900やK501があると思いますが、個人的にはHP1000と比べるとどちらも温かみに欠ける気がします。
 音調としてはDT880やPROline2500等と似た傾向ですが、低域は超低域までしっかり出るのでHD650に近い印象を受けます。これら3機種と比較するとやや完成度が劣りますが、それでもこの価格帯としては非常に魅力的なヘッドホンです。前述のとおり女性ヴォーカルの艶っぽさでは負けていません。

SR-225(2万円〜3万円、GRADO)
 この価格帯になるとそれほど癖のない機種が多いですが、このヘッドホンは違います。
 音の切れと臨場感が非常に魅力的な一方、ソースによっては残響音のあっさりさや低音のタイトさがネックになる場合があります。ロックを聴くなら刺激的で楽しめますが、それ以外のジャンルでは温かみに欠けたり、スカスカに感じる点が気になることが多いです。
 その上、どう考えても装着感が良くありません。短時間なら軽くて悪くないと感じる人もいるかもしれませんが、長時間は耳にも頭頂部にも悪いです。

HD650(3万円以上、SENNHEISER)
 定番ですが、いいものはいいです。この価格帯になるとさすがに完成度の高いヘッドホンばかりですが、温かみのある音が好きなので、このヘッドホンを選びました。
 欠点として、高音がまったり気味と良く言われますが、きちんと聴こえる上でエッジがきつくなく音量がやや小さめという程度に感じます。ただ、聴き疲れしにくい反面、飽きやすいとも言えます。「美人だけど飽きる」というような表現が使われることもあります。
 個人的には、周波数特性は確かに高音が弱めで刺激的ではないものの、それを補って余りある分解能と音場感の広さ、そして繊細さと温かみを備えた稀有なヘッドホンで、飽きるということはありません。
 装着感も、側圧がやや強めですが、慣れると頭の一部になったかと思うほど馴染みますし、長時間使用しても疲れないです。


 書いてみてから気づいたのですが、全然音が違うヘッドホンばかりですね。音調に限ればHP1000とHD650はそれなりに近いですが。ヘッドホンの個性の強さを再認しました。また、個人的には装着感は非常に重要だと思っているのですが、SR-225を選んでしまうあたり、今更ながら音質と装着感なら音質が重要なのだなと思いました。







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