第28回 New Kid In Town/Eagles「Hotel California」より

 Eagles(イーグルス)は1970年代に活躍した米国のカントリー・ロック・バンドです。楽器としてはギター、ベース、ドラム等ベーシックな構成ですが、メンバーのほとんどがヴォーカル(コーラス含む)を担当しているのが特徴的です。
 今回取り上げるアルバム「Hotel California」は、所謂ウエストコースト・ミュージックだけでなく、ロック史に残る名盤と言って良いでしょう。「New Kid In Town」はこのアルバムの2曲目で、シングルカットもされています。
 ヘッドホンとしては、難しいですが当時の雰囲気を感じさせてくれるものが良いように思います。


・1台目 ATH-AD700(audio-technica)
 当時の雰囲気、という曖昧なものを基準に探してみましたが、どうもATH-AD700がしっくりくるように感じました。いたって普通の鳴らし方なのですが、そこが良いのだと思います。変に味付けされていたり、低域の量感があったり、ノリが良かったりしないのです。コーラスがしっかり聴ける上、各楽器は控え目で自分の仕事をこなすだけといった感じです。
 不満点としては、もう少し低音よりでヴォーカルが魅力的に楽しめるものが良いといったところでしょうか。

・2台目 SR-225(GRADO)
 1台目の不満点をしっかり解消してくれました。ベースやドラムがしっかり出る上、ヴォーカルが前に出てきますし、声の質感やかすれ具合もうまく表現してくれます。独特のザラザラした粗い感じがこの曲に良く合っているようにも感じます。また、1台目より全体のバランスも良くなった感じです。
 個人的にはこれでほぼ満足でしたが、人によっては少し明るすぎると感じるかもしれません。

・3台目 DT880(beyerdynamic)
 SR-225では明るすぎると感じる人向けに選んでみました。明るすぎるというのは、主に抜けが良すぎる点、アタック感が強すぎる点です。これがどうもこの曲の古さ独特の古いが故の魅力を損なわせているように感じました。そういう意味で、もう少し古臭い鳴らし方をしてくれた方が雰囲気をうまく出してくれそうに感じたので、これにしました。
 思った通り、2台目と比べると暗いです。SR-225と比べてヴォーカルがスモーキーで前に出てこない感じですが、それもどこか古臭さを感じる要因になっていて良い雰囲気です。


 個人的にはSR-225が最も気に入りましたが、理屈ではなく雰囲気を大切にする人にはDT880が合うように感じます。このあたりは優劣ではなく好みでしょう。ただ、ヴォーカルを楽しみたいなら量的な問題でSR-225の方が向いていると思います。


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