第98回 21世紀の精神異常者/キング・クリムゾン「クリムゾン・キングの宮殿」より

 キング・クリムゾンはイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドです。プログレを語る上で避けて通れないバンドで、初期のプログレはキング・クリムゾンとピンク・フロイドによって作られたと言っても過言ではないでしょう。
 今回取り上げるのは、1969年発表のファーストアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」の1曲目です。キング・クリムゾンの代表曲の1つです。使われている楽器はギター、ベース、ドラムス、サックスといった感じです。どの楽器も活躍する場があります。かなり加工されたヴォーカルも入ってきますが、量的には少なく脇役と言えそうです。
 ヘッドホンとしては切れや音の厚みがあるものが良いでしょう。


・1台目 MDR-7506(SONY)
 各楽器の表現、特に切れと生っぽさを評価して選びました。また、今回の曲は録音が古いので大抵のヘッドホンでは薄く曇っていて明瞭さに欠けるように感じたのですが、MDR-7506はそういうことがない点も良かったです。今回の曲についてあまり理屈でどうこう言うのは違うかもしれませんが、理屈抜きにしてもMDR-7506は良いと感じました。
 他にはRP-21、RH-300、HP-M1000、Studiophile Q40、HD280Pro、K181DJ等で聴いてみましたが、それぞれ不満点がありました。RP-21、RH-300、HP-M1000、K181DJは曇っていて切れに欠ける点、Studiophile Q40は低域の量が多すぎてベースが主役になってしまう点、HD280Proは低域不足で音が軽い点です。Studiophile Q40については場合によっては長所でしょうが、今回はバランスも考えて選んだので外しました。基本的にはMDR-7506に次いで良かったように思います。
 不満点は、聴き疲れする点です。特に中盤のギターがキンキンして痛いです。見ようによっては長所なのかもしれませんが、それにしても少し行き過ぎているように感じました。

・2台目 SR-225(GRADO)
 1台目のような切れのあるもので、キンキンしないものを選んだ結果これになりました。思ったとおり各楽器の表現が良いです。1台目も良かったですが、SR-225の方が音そのものに大きな癖がないという点で勝っているように感じます。また、1台目も分離が良いと思いましたが、2台目も同等以上に良いです。
 なお、SR-325iでも良かったのですが、SR-225と比べてキンキンする点がマイナスでした。
 不満点は、1台目やStudiophile Q40と比べると音が軽く感じられる点です。

・3台目 edition7(ULTRASONE)
 2台目の音で低域の量感を増やせれば良いのですが、そういうヘッドホンは存在しないと思います。
 色々聴いてみて、切れと低域の量感を重視して選んだ結果これになりました。2台目の不満点は大幅に改善されますし、各楽器の表現や分離も良いです。
 他にはDT860、ATH-AD2000、HP-DX1000等で聴いてみたのですが、それぞれ不満点がありました。DT860はやや不自然な音である点、ATH-AD2000は切れや楽器の生っぽさが不足である点、HP-DX1000は1台目と同様ギターが痛い点です。ただし、どれもそれほど悪くなかったとは思います。


 色々聴いていく中で気づいたのですが、今回の曲は切れや楽器の生っぽさよりも雰囲気を重視する聴き方もあると思います。その場合には例えばDR150やDT880が合います。切れはいまいちですが、音そのものは普通に聴けます。
 また、今回選んだ3台はどれも明るい傾向になっていますが、明るくもなくDR150やDT880のようなウォームさもなくというものが良いのならStudiophile Q40やHD25-1が合うと思います。
 好みに合わせて選んでください。


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