DT770PRO
音質
ドンシャリ。低域は厚み・量ともに十分。質的にはやや柔らかい感じ。中域は多少控え目だが、変な癖もない。高域はかなり尖った音で、量も十分。
分解能、音場感、原音忠実性すべて突出して良いわけではないが、特に不満は感じない。エッジはややきつめで、サ行の音等も痛い上、低域もかなり出るので多少聴き疲れするが、刺激として楽しめる範囲。
明瞭さはそれなりで、暗めの音調。音の鮮やかさは悪くない。厚みはかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはかなり良い。ただ、ヴォーカルはかすれが気になる人もいるかもしれない。非常にウォームで暗い音調ながら、刺激的で飽きさせないし、迫力や力強さはかなりのもの。ノリの良さと繊細さを併せ持っているが、スピード感や切れはいまひとつ。響きは適度からやや豊かで、こもり感は若干気になるが、密閉型の一般レベルと比べると気にならないレベル。
弦楽器は繊細さと心地よさを併せ持っており、原音の実体感も十分。思わず聴き入ってしまう。金管楽器は非常に鮮やかで、勢いや力強さがある。ただ、ハイハットやシンバルの鳴らし方は好みが別れるところかもしれない。シャリついていてダメという人もいそう。打ち込み系の音の表現はうまくない。中高域の鮮やかさは悪くないのだが、低域は締まりが足りないし、高域は細すぎて合わないことが多い。
装着感
良好。側圧は普通でヘッドバンドはあまり柔らかくないので長時間使用すると頭頂部が少し痛くなる。また、ヘッドバンド調節の固定が多少しづらい。
イヤーパッドは耳をすっぽり覆うサイズで、左右方向の角度調節があまりできないがほとんど気にならない。材質はしっとりした布製で、なかなか心地よい。
ハウジングとアームが大きいため視界に入るのが気になる。ほとんどDT880と同じ装着感だが、ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。
その他
遮音性及び音漏れ防止は普通。ただし、密閉型だがイヤーパッドが布製のため、普通の密閉型よりは悪いと考えたほうが良い。
デザインや作りはいまいち。コードはカールコードで、かなり安っぽい。イヤーカップを支えるアームが金属製で手荒に扱うと手が痛く、イヤーパッドも肌触りは良いのだが光沢があり見た目は微妙。インピーダンスが高く感度も低いため音量は取りづらい。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードは幅約5.5mm・厚さ約2mmで、硬さは普通なのだが癖が付きにくく扱いやすい。イヤーパッドのサイズは、外周104mm×104mm、内周58mm×58mm、深さ20mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ
不定期コラム『第11回 予算2万円の密閉型ヘッドホン比較』
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第60回 DJ用ヘッドホンの大音量での音質』
周波数特性グラフ
比較メモ
CUSTOM ONE PRO
CUSTOM ONE PROは低音より、DT770PROはドンシャリ。低域はCUSTOM ONE PROの方がやや量が多い。DT770PROの方がやや弾力のある質。CUSTOM ONE PROの方が曇ることが多い。どちらも中低域よりその下の帯域の方がしっかり出る点は似ている。重心の低さはほぼ同レベル。中域はDT770PROの方が若干明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方がやや量が多い。明るく鋭い質で目立つ。分解能はDT770PROの方がやや上。特に一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感は、広さはほぼ同レベル、明確さはDT770PROの方がやや上。原音忠実性はDT770PROの方が若干上。周波数特性上の癖のなさは大差ない。原音の粗や生っぽさはDT770PROの方がやや感じられる。エッジはDT770PROの方がややきついが、CUSTOM ONE PROの方が低域の量や音の圧力で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDT770PROの方が鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方がやや上。厚みはCUSTOM ONE PROの方がややある。温かみは低域の量が多い分CUSTOM ONE PROの方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではDT770PROの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方がやや感じられる。擦れやリップノイズを出してくれる。ノリの良さは微妙。音色としてはDT770PROの方が明るいことが多い。CUSTOM ONE PROの方が低域に基づく迫力や力強さがある。CUSTOM ONE PROの方が骨太でがっしりしていて、飾り気のない音。響きは、低域はCUSTOM ONE PROの方がやや豊か、高域はDT770PROの方がやや豊か。CUSTOM ONE PROの方がこもり感が気になる。どちらかと言うと、CUSTOM ONE PROの方がロック向き、DT770PROの方がジャズ向き。弦楽器はDT770PROの方が繊細で、生楽器らしさが感じられる。金管楽器はDT770PROの方が鮮やか。CUSTOM ONE PROの方がややシンプル、DT770PROの方がやや音の割れ方を出してくれる感じ。打ち込み系の音の表現はCUSTOM ONE PROの方がややうまい。音の質感の相性でやや勝っている。使い分けるなら、低域の量やソリッドさを求めるならCUSTOM ONE PRO、高域の量や生楽器らしさを求めるならDT770PRO。
DJX-1
どちらもドンシャリ。低域は全体的な量はDJX-1の方が多いが、DT770PROの方が重心が低く弾力のある鳴らし方。中域はDJX-1が低域の曇りにかなり覆われて目立たないのに対して、DT770PROははっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方が高い音で鋭い感じ。この2機種を見比べた場合DT770PROの方が高音よりと言える。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT770PROの方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろDT770PROが勝っているし、原音の粗や生っぽさも感じられる。音場はDT770PROの方が広く明確。DJX-1は耳のすぐ近くで鳴らしている感じだが、DT770PROはそんなことはない。DT770PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。ただし、DJX-1は低域の量とこもり感のせいで疲れる面があり、低域が多く高域が少ないソースでは聴き疲れは逆転しそう。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方がかなり上。厚みはDJX-1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が上。DJX-1の方がノリが良い感じ。響きはDJX-1の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はDJX-1の方が心地よいと感じる面もあるが、それは線が太くあまり原音の粗を出さないからで、普通の見方をするならDT770PROの方が繊細で原音らしさが感じられて良い。金管楽器はDT770PROの方が圧倒的に高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、線が太い点ではDJX-1の方が合うが、中域から高域の鮮やかさではDT770PROの方が合う。使い分けるなら、基本的にはDT770PRO、DT770PROでは高域が痛かったり線が細いと感じるときだけDJX-1。
DT231PRO
どちらもドンシャリだが、DT770PROの方がフラット。ただし、基本的にはかなり近い音調で、どちらもbeyerdynamicらしい。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT770PROの方がやや上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、DT770PROの方がまだ疲れにくい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDT770PROの方が若干上。DT770PROの方がワンランク上の繊細さを持っている。DT231PROはDT770PROと比べるとやや曇っているように感じる。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDT770PROの方が若干うまい。得意分野はどちらもジャズ。ほとんど何を聴くにしてもDT770PROの方が良い。ただし、DT231PROは小型・軽量であることから、使い分けはできそう。コストパフォーマンスを考えるとDT231PROの方が良いように感じるし、beyerdynamicらしさはしっかり感じられる。
DT660 Edition 2007
DT660 Edition
2007はやや高音より、DT770PROはドンシャリ。低域はDT770PROの方がかなり低い音で量も多い。中域はDT660 Edition
2007の方がややはっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方がやや高い音で鋭い感じ。分解能はほぼ互角。音場感はDT660 Edition
2007の方がやや耳の近くで鳴らしている感じはあるが、そのことを除けばほぼ互角。原音忠実性は周波数特性的にはDT660 Edition
2007の方が癖がなくて良いが、雰囲気の表現のようなところはDT770PROの方が良い。DT770PROの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはDT660
Edition
2007の方が上。音の鮮やかさ、厚みはほぼ同等レベル。温かみはDT770PROの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等レベルだが、湿り気のある感じが良いならDT770PROの方が合うだろう。DT660
Edition
2007の方が明るく爽やかでノリが良い。響きはDT770PROの方がやや豊か。弦楽器はDT770PROの方がある種の生っぽさがあるが、付帯音が少なく澄んだ感じを求めるならDT660
Edition 2007の方が良い。金管楽器はDT770PROの方がやや高い音だが、癖の強さも上。DT660 Edition
2007でも十分な鮮やかさを持っている。打ち込み系の音の表現はDT660 Edition
2007の方がうまい。全体的に明るく爽やかな点がDT770PROとは異なる。使い分けるなら、明るい音を求めるならDT660 Edition
2007、暗い音を求めるならDT7770PRO。あるいは低域の量感を求めるならDT770PRO、そうでもないならDT660 Edition
2007。
DT880
全体的に非常に近い音。DT770PROの方が低音の厚みがあるが、超低域はDT880の方が出る。また、ハイハット等の高域の鳴らし方の癖が似ている。低域の抜けと高域の透明感がDT880の方が若干良い印象。それによってDT880はDT770PROと比べてある種の空気感が楽しめる。分解能、音場感ともにほぼ互角。どちらも原音にかなり近いが、DT880の方が低域の自然な抜けや弦楽器の繊細さで一歩勝る。エッジのきつさ、聴き疲れのしやすさはほぼ同レベル。明瞭さはほぼ互角だが、超低域が強いソースではDT880の方が曇ってしまうため悪く、チェロやベース等の一般的な低域が強いソースではDT770PROの方が悪い。基本的にはどちらも非常に鮮やかで刺激的な音調。ヴォーカルの艶っぽさや温かみはほぼ互角。ソースによってはサ行の音がややきつく感じるところや、擦れ具合など非常に近い。どちらもノリの良さと繊細さを持ち合わせているが、低域の厚みがあるのと音自体にやや粗があるせいかD770PROの方がノリが良く感じる。響きはほぼ同じだが、低域を大音量で鳴らすとDT770PROは密閉型特有のこもり感が気になる。前述のとおり弦楽器の表現はDT880が勝っているが、金管楽器の美しさは互角で、どちらも非常に良い。得意分野はどちらもジャズだが、クラシックや女性ヴォーカルものもなかなか美しい。
HD25-1
どちらもドンシャリだが、DT770PROの方が低域も高域も出る。特に超低域と超高域の量はかなり違う。HD25-1は締まりがあるが、DT770PROは良く伸びている印象。分解能や原音忠実性はDT770PROの方が上。音場感はほぼ互角だが、HD25-1の小型さを考えれば驚異的と言えよう。DT770PROの方がエッジがきつく音が割れるような感じで聴き疲れする。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方が上だが、ウォームさがあるためどちらが明るい音調かという問題ならHD25-1の方が明るいだろう。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が上だが、サ行の痛さやかすれが気になる人からすると評価は逆転するだろう。ノリの良さならHD25-1、繊細さならDT770PRO。響きはHD25-1の方が豊か。こもり感はHD25-1の方が気になるし、曇っているようにも感じる。弦楽器はDT770PROの方が繊細だが、まったり聴きたいならHD25-1の方が良いときもあるかもしれない。金管楽器はDT770PROの方がかなり高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。DT770PROはどうしてもウォームに感じる。得意分野は、HD25-1はロック、DT770PROはジャズ。使い分けるならポップスやロックはHD25-1、クラシックやジャズはDT770PRO。これほど見事に使い分けができる2機種も珍しい。そういう意味では両方買っても損はしない。
HD590
DT770PROの方が高域が強く、超低域が弱い。低域の厚みそのものはDT770PROの方がある。分解能、音場感は両機種ともやや不満に感じる部分はあるが、致命的ではないレベル。DT770PROは当然密閉型特有のこもり感があるが、HD590はない。両機種ともやや刺激的として知られるが、それは各メーカーの標準から見たらそうなると言う話で、絶対的な見方でエッジのきつさ等から刺激的なのはDT770PROと言える。HD590の方がホワイトノイズが大きい。DT770PROの方が明瞭さはあるが、温かみや音そのものの自然さ、ヴォーカルの艶っぽさでは負ける。音の密度や鮮やかさではDT770PROの方が一枚上手。ヴォーカル曲はどちらもサ行の音等が痛く感じることがある。トランペットやシンバルなどの高音は、HD590はSENNHEISERのなかでは美しい方だがDT770PROはさらにその上を行くように感じる。ただ、同じ金管楽器でもホルンのような低音のものはHD590の方がふくよかで良いようだ。弦楽器や打楽器はHD590の方が総じて良い。特に低音の抜けの違いは大きい。ただ、ギターの高域などはDT770PROの方が一段高い音に聴こえ、刺激が強い。打ち込み系の音は両機種ともなかなか刺激的で面白い音を鳴らしてくれる。この2機種を使い分けるならジャズやブラスならDT770PRO、それ以外ではHD590という感じになるだろうか。
HP-DX3
HP-DX3の方が低音より。特に超低域にかなり差がある。HP-DX3は高域はまったく聴こえてこないが、DT770PROは低域同様非常に良く聴こえる。中域はHP-DX3は低域に流されるが、DT770PROはまったくそんなことはない。分解能、音場感ともにDT770PROの方が一段上。その上原音に近い。DT770PROの方がエッジがきつい上、サ行の音が痛くやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、情報量等DT770PROの方が圧倒的に上。温かみはHP-DX3の方がややあるが、ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が良い。DT770PROの方がノリの良く、それでいて繊細。響きはHP-DX3は豊か、DT770PROは適度。弦楽器、金管楽器ともにDT770PROの方が自然で魅力的。ただし、弦楽器はHP-DX3の方が伸びが良く、人によって評価が分かれるところだろう。金管楽器の差は圧倒的。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、DT770PROの方がまだ聴ける。得意分野はHP-DX3はクラシック(弦楽器)、DT770PROはジャズ。何を聴くにしてもDT770PROの方が上に感じるが、あえて使い分けるなら弦楽器だけはHP-DX3でそれ以外はDT770PRO。
K271studio
DT770PROはドンシャリ、K271studioはやや高音より。低域はDT770PROの方がかなり低い音を鳴らすし、量も多い。中域は、低域の多いソースではK271studioの方がはっきり聴こえてくることもあるが、基本的にはDT770PROの方が聴こえてくる。これはK271studioは低域の薄い曇りに覆われるように明瞭さがないため。高域はDT770PROの方がかなり高い音で、粗がある感じ。分解能及び音場感はDT770PROの方が上。ただし、微細な表現はK271studioの方が粗なくこなしてくれる。原音忠実性は微妙。K271studioの方が癖のない音だが、DT770PROの方が原音の粗は感じられる。DT770PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDT770PROの方が上。ノリの良さならDT770PRO、繊細さならK271studio。響きはDT770PROの方が豊か。弦楽器はK271studioの方がうまいのだが、DT770PROの方が艶があり情感豊かに鳴らしてくれるので、魅力という点ではむしろDT770PROの方が上回っているように感じる。金管楽器はDT770PROの方が高く鮮やかだが、癖や粗があるのは確かだし、上品な鳴らし方を好むならK271studioの方が良かろう。打ち込み系の音の表現はどちらもうまくないが、どちらかと言えばDT770PROの方がまし。得意分野はDT770PROはジャズ、K271studioはクラシック。使い分けるなら、粗があっても良いから魅力的な音楽を聴きたいならDT770PRO、上品さや繊細さを優先するならK271studio。
MDR-7509HD
DT770PROはドンシャリ、MDR-7509HDはやや低音より。低域は全体的な量としてはそれほど差がないように感じるが、質がまったく違う。DT770PROの方が低く厚みがある。MDR-7509HDの方が薄く曇っている感じ。中域はDT770PROの方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方が高く鋭い音で量も多い。分解能はDT770PROの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ勝っている。音場感はDT770PROの方がやや広く明確。原音忠実性はDT770PROの方が上。周波数特性上の癖のなさはMDR-7509HDの方がやや良いように感じるが、原音の粗や生っぽさはDT770PROの方が圧倒的に感じられる。DT770PROの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方がかなり上。厚みはDT770PROの方がある。温かみは、ぬるま湯のような温かみならMDR-7509HDの方が感じられるが、肉声や生楽器の温かみという意味ではDT770PROの方が圧倒的に感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。スモーキーな感じを好むならMDR-7509HDも良いかもしれないが、基本的にDT770PROの方が艶っぽいように感じる。ただ、DT770PROはサ行等の擦れが気になる。DT770PROの方がノリが良い。響きはDT770PROの方が豊か。DT770PROを聴いた後だと、MDR-7509HDは薄く曇っていて明瞭さに欠けるつまらない音に聴こえる。弦楽器はDT770PROの方がうまい。粗のなさだけならMDR-7509HDの方が良いのだが、生楽器らしさや細部の表現はDT770PROの方が圧倒的に良い。金管楽器はDT770PROの方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はDT770PROの方がうまい。低域の質感、音の厚み、中高域の鮮やかさ等で勝っている。ただ、多少音の割れが気になることはある。使い分けるなら、基本的にはDT770PRO、よほど聴き疲れを避けたいときだけMDR-7509HD。
PROline750
どちらもドンシャリ。両機種とも高域・低域ともに癖がありどちらが量的に上かは判別しにくい。高域はDT770PROの方が細い音で一段高く聴こえる。低域はPROline750の方が超低域まで出ており、しかも粘りがある感じがする。PROline750の方が全体的に低音よりなのかもしれない。分解能、音場感ともにPROline750の方が良好。原音忠実性はDT770PROの方が上。どちらもエッジがややきつめで聴き疲れしやすいが、PROline750の方がおとなしい。特にヴォーカルのツの音等は、ソースによってはDT770PROの方がかなり痛い。明瞭さはDT770PROの方がやや上だが、音の厚みと鮮やかさではPROline750の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPROline750の方が上だが、DT770PROも十分だと感じる。どちもノリが良いが、PROline750の方がノリが良く、DT770PROの方が繊細。響きはどちらも適度だが、DT770PROの方がややあっさり気味か。弦楽器はPROline750の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はDT770PROの方が一段高く繊細な音を聴かせてくれる。打ち込み系の音とはPROline750の方が相性が良い。得意分野はPROline750はオールマイティ、DT770PROはジャズやブラスメインのオーケストラ等。使い分けするならDT770PROがジャズやブラスメインのオーケストラ、PROline750でそれ以外という感じ。
SHP2500
どちらもドンシャリ。低域はSHP2500の方が若干量が多い。SHP2500の方がやや柔らかい質。重心の低さはほぼ同レベル。中低域はSHP2500の方がややしっかり出る。中域はDT770PROの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方がやや量が多い。明るく尖った質で目立つ。DT770PROの方が伸びが良い。この2機種を比べると、DT770PROの方が高音よりと言える。分解能はDT770PROの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろDT770PROの方がやや勝っている。音場感はDT770PROの方がやや広く明確だし、見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はDT770PROの方がやや上。周波数特性上の癖のなさは人によって評価が違ってきそうな印象だが、原音の粗や生っぽさはDT770PROの方が感じられる。エッジはDT770PROの方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDT770PROの方が鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみは曇っている分SHP2500の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではDT770PROの方が上。ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROのやや方が上だが、スモーキーな感じを好むならSHP2500の方が良いと感じることもあるだろう。DT770PROの方が擦れが気になる。DT770PROの方がノリが良い。DT770PROの方が全体的に硬く締まった音。響きは、低域はSHP2500の方がやや豊か、高域はDT770PROの方がやや豊か。DT770PROの方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はDT770PROの方が生楽器らしさが感じられてうまいが、心地よさ最優先ならSHP2500の方が良いこともある。金管楽器はDT770PROの方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はDT770PROの方が明るくて良いと感じることが多いが、音が割れているように感じたり高域が痛すぎたりすることも多い。使い分けるなら、基本的にはDT770PRO、DT770PROでは聴き疲れするとか高域が多すぎるという不満があるならSHP2500。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
曲別HP探索
第12回 Untitled/Phat Phunktion「You & Me」より
曲別HP探索2
第21回 A Moment So Close/Bela Fleck & The Flecktones「Live at the Quick」より
第37回 弦楽四重奏曲第14番二短調「死と乙女」/シューベルト
第39回 Bright Moments/John Swana「Bright Moments」より
第50回 Nemesis/Arch Enemy「Doomsday Machine」より
第62回 Battle Metal/TURISAS「Battle Metal」より
第74回 Burn/APOCALYPTICA「WORLDS COLLIDE」より
第93回 FOUR BROTHERS/Brian Bromberg「WOOD II」より
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 5Hz〜35kHz | 96dB | 270Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
270g | - | 3m(カール) | 片出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 1 | 高、低 | 20800円 |
公開日:2004.12.27