第12回 Untitled/Phat Phunktion「You & Me」より

 Phat Phunktionはホーン・セクション4人を含む、総勢9人編成のファンクバンドです。Tower Of Powerの影響を強く受けているという話を良く耳にします。基本的にはファンクなのでしょうが、R&Bやヒップホップといったジャンルにもかなり近い印象を受けます。
 曲の方はアルバム1曲目のテンポの良い印象的なナンバーです。ノリの良さ、音の厚みと切れ、そしてホーン・セクションとヴォーカルの表現力が求められる曲でしょう。ある種のカッコよさを如何に聴かせるか、というのがかなり大きなポイントになってくると思います。


・1台目 SE-900D(Pioneer)
 ホーン・セクションとヴォーカルが前に出てくる上、音に厚みと切れがある機種だと思って選びました。その点は期待通りでしたが、ホーンにはPioneer独特の癖が出ますし、やや硬くあっさりした鳴らし方に感じました。これは低域がやや弱めで響きがあっさりしているせいだと思います。また、かなり聴き疲れするように感じました。これは耳の近くで音を鳴らしている点が大きいでしょう。文句ばかり書きましたが、基本的にはそこそこ楽しめる鳴らし方です。
 不満点としては、ホーンの癖と全体的な硬さでしょうか。

・2台目 DT770PRO(beyerdynamic)
 とりあえず硬さをなくしたかったのと、ホーンが魅力的に聴こえることは間違いないだろうということで選びました。期待通り適度な低域と温かみがいい感じです。SE-900Dと比べてヴォーカルもかなり魅力的です。ホーンはやや前に出すぎでしょうか。これはbeyerdynamic特有の鮮やかな鳴らし方がそのまま出ていると思われます。これはこれで刺激的でいいですが。
 不満点としてはホーンが目立ちすぎと言ったところでしょうか。これは人によってバランス感が変わってくるところだとは思いますが。

・3台目 ATH-AD2000(audio-technica)
 ホーンを目立たなくした上で、ノリの良さを維持したいと思って選びました。予想通りホーンは目立たなくなりましたが、ちょっと行き過ぎたかもしれません。個人的には、音の高さ、量、鮮やかさ、エッジ、どれをとってもATH-AD2000とDT770PROの間くらいが良かったように感じます。さらにギターとベースが目立ちすぎですし、ヴォーカルにはDT770PROのような魅力が欠けています。
 ただし、ATH-AD2000らしいある種のダイナミックさが感じられ、当初のホーンを目立たなくした上で、ノリの良さを維持したいという狙いは成功しているように感じました。


 今回はどれも一長一短といった感じだったように思いますが、おそらくこの曲を普通に楽しむにはDT770PROぐらい派手な方が好みの人が多いでしょう。
 また、DT770PROとATH-AD2000の間くらいのホーン・セクションの表現ということで、試しにHFI-2200ULEやSR-225でも聴いてみましたが、個人的にはいずれもまだ多少刺激的に感じられました。バランスの良さという意味ではSR-225がかなり良かったように思います。この辺りを参考にホーン・セクションのバランスをメインで選んでもらうと、大きな外れは無いように思います。


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