DT231PRO

音質
 高音よりのドンシャリ。低域は厚みはそれなりだが、量がやや多め。中域は低域に埋もれたりはしないが、やや控え目。高域は量が多く、細く硬く耳に突き刺さってくる。NGと言う人もかなり多そうだ。
 分解能、原音忠実性は価格の割にはかなり良い。音場感は価格なり。エッジがきつく高域が突き刺さってくるため非常に聴き疲れする。また、ソースによってはかなり音が割れる。おとなしいジャズを聴いたりするのには丁度良いかもしれないが、最近のポップスは聴けたものではない。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはそれなり。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなかか良いが、ヴォーカルは人によってはかすれが気になるかもしれない。エッジはきついが切れは悪いので、ノリの良さという意味では微妙。響きは適度からやや豊か、こもり感はあまり気にならない。暗い音調と高域の刺激が際立っているbeyerdynamicらしい音。
 弦楽器は繊細で且つ心地よい。価格を考えれば非常にうまいと言えるだろう。金管楽器はソースによってはチープで音が割れすぎに感じるが、基本的には鮮やかで迫力もある。打ち込み系の音の表現はあまりうまくない。低域は締まりがないし、中域から高域は音が細すぎる。

装着感
 良好。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力は普通。軽量であることもあり、かなりずれにくい。
 イヤーパッドはかろうじて耳を覆うサイズ、上下左右に角度調節ができるが、調節できる範囲がやや狭い。材質はフカフカの布製。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は密閉型にしては悪い。イヤーパッドがかなり音を通す布製のためだろう。
 デザインは非常に地味。作りは価格なりだが、イヤーパッドは非常に心地よい。構造的には非常にオーソドックスで、何一つ特筆すべき特徴がない。折りたたみはできないが、小型軽量で音質も装着感も価格分の価値はあるので、色々使いどころはあると思われる。
 プラグはミニプラグ。コードの太さは約3mmで、特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周86mm×68mm、内周50mm×34mm、深さ14mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-SQ5
ATH-SQ5はややドンシャリ、DT231PROは高音よりのドンシャリ。低域はATH-SQ5の方がやや重心が低く厚みがある。ただし、ATH-SQ5は中低域が一部少なくなっているため、スカスカした鳴らし方に感じることがある。DT231PROの方が癖がなく自然な低域。中域はどちらも癖なく聴こえてくるが、ATH-SQ5の方が中低域が少ない分ややはっきり聴こえることが多い。高域はDT231PROの方が高く鋭い音。分解能はほぼ同等レベル。音の分離はATH-SQ5の方がやや良いように感じられるが、一つ一つの音の微細な描写はDT231PROの方が細かくこなしてくれる。音場感はDT231PROの方がやや広く明確。原音忠実性は微妙。周波数特性的には、ATH-SQ5の方が低域に癖があり、DT231PROの方が高域に癖がある。原音の粗や生っぽさはDT231PROの方がやや感じられる。DT231PROの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはATH-SQ5の方が上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方が感じられる。特に温かみは対照的で、この2機種の大きな違いはこの点と高域の鳴らし方と言える。ATH-SQ5の方が明るく元気が良い感じ、DT231PROの方が重厚な感じ。響きはほぼ同レベルだが、高域はDT231PROの方が響く。ATH-SQ5の方が付帯音が少なくシンプルな鳴らし方。弦楽器はDT231PROの方がうまい。柔らかく心地よい。金管楽器はDT231PROの方が高い音を鳴らすが、明るさはむしろATH-SQ5の方が上で、好みによって評価が変わってくるだろう。打ち込み系の音の表現はATH-SQ5の方がうまい。音の質感や低域の量感が合う。使い分けるなら、ポップス系はATH-SQ5、ジャズ系はDT231PRO。あるいは、冷たい音が良いならATH-SQ5、温かい音が良いならDT231PRO。

DT770PRO
どちらもドンシャリだが、DT770PROの方がフラット。ただし、基本的にはかなり近い音調で、どちらもbeyerdynamicらしい。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT770PROの方がやや上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、DT770PROの方がまだ疲れにくい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDT770PROの方が若干上。DT770PROの方がワンランク上の繊細さを持っている。DT231PROはDT770PROと比べるとやや曇っているように感じる。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDT770PROの方が若干うまい。得意分野はどちらもジャズ。ほとんど何を聴くにしてもDT770PROの方が良い。ただし、DT231PROは小型・軽量であることから、使い分けはできそう。コストパフォーマンスを考えるとDT231PROの方が良いように感じるし、beyerdynamicらしさはしっかり感じられる。

DTX900
どちらもややドンシャリだが、DT231PROの方がやや高音より。低域はDTX900の方が厚みがあるし、高域はDT231PROの方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT231PROの方が若干上。どちらもややエッジがきつく聴き疲れするが、DTX900は一般的に聴ける範囲、DT231PROはかなり厳しいレベル。サ行の音等もDT231PROの方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT231PROの方が上。厚みはDTX900の方がある。温かみはDTX900の方が上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、DT231PROはいささか擦れすぎにも感じる。どちらも一般的な意味では繊細と言って良いだろう。響きはどちらも適度。弦楽器はDTX900の方が滑らかで心地よいが、細い音を好む人にはDT231PROの方が合うかもしれない。金管楽器はDT231PROの方が一段高く鮮やか。上位機種ゆずりの見事な表現だが、一方DTX900はDT231PROと比べるとごく普通といった印象。、打ち込み系の音の表現はDTX900の方がうまい。DT231PROの方が高音よりでありながら、音が細くある種のウォームさがあるためだと思われる。得意分野はどちらもジャズ。使い分けるなら、ジャズはDT231PRO、それ以外はDTX900。DTX900は何でも聴けるが、DT231PROはジャズやクラシック以外には使えない。ただし、聴き疲れしないことに自信がある人ならDT231PROの方が一段上の実力を持っているように感じると思われる。

HP830
どちらもドンシャリだが、HP830の方がフラット。低域は、DT231PROの方がローエンドまで伸びていて薄い感じ、HP830の方がかなり厚みがある。高域はDT231PROの方が一段高く、細く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角だが、DT231PROの方が線が細いため、分解能は若干高いように感じる。DT231PROの方がかなり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP830の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは若干DT231PROの方が上。ただし、HP830も十分な温かみと艶っぽさを持っている。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにDT231PROの方がややうまいように感じる。ただし、金管楽器はあまりに細く高い音になるため、ソースによってはチープに感じられるし、HP830もなかなかうまいので人によって評価は逆転すると思われる。打ち込み系の音の表現はHP830の方がかなりうまい。得意分野はDT231PROがジャズ、HP830はポップス。使い分けるなら、ジャズはDT231PRO、それ以外はHP830。どちらもなかなかコストパフォーマンスが良い。ただ、DT231PROでポップスやロックは厳しい上かなり聴き疲れするのに対して、HP830は何でも聴ける上あまり聴き疲れしない。HP830の方が明らかにオールマイティー。

HP-D7
DT231PROはドンシャリ、HP-D7はやや低音より。低域はほぼ同量だが若干HP-D7の方が出る。量の差よりも、ソースによってHP-D7の方が一段低い音を鳴らすことの方が気になる。高域はDT231PROの方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT231PROの方が上。DT231PROの方がエッジがきつくかなり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT231PROの方が上。厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方が上。ノリの良さならHP-D7、繊細さならDT231PRO。響きはどちらも適度だが、HP-D7の方がやや豊か。弦楽器はDT231PROの方が繊細なのだが、線が細すぎるという人も多そう。金管楽器はDT231PROの方が高く鮮やか。雲泥の差。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野はDT231PROはジャズ、HP-D7はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT231PRO、ポップスやロックはHP-D7。

HP-RX900
DT231PROは高音よりのドンシャリ、HP-RX900はかなりフラット。低域は意外と似ている。どちらもローエンドが弱く、中低域がしっかり出る。DT231PROの方が柔らかく、HP-RX900の方が薄く曇っている感じ。中域はDT231PROの方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はDT231PROの方が高く鋭い音を鳴らす。分解能はDT231PROの方がやや上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感はHP-RX900の方が広く明確。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはHP-RX900の方がかなり良いのだが、原音の粗や生っぽさはDT231PROの方が感じられる。エッジはDT231PROの方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはDT231PROの方がやや上。厚みはHP-RX900の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方が上。HP-RX900も冷たいわけではないのだが、ぬるま湯のような温かみで、DT231PROの血の通ったリアルな温かみとは違う。HP-RX900はヴォーカルに芯が通っているような癖や嫌味が出ることがあるが、DT231PROはそういったことがほとんどない。ただし、サ行の痛さは気になる。HP-RX900の方が安定感があり、おとなしい。DT231PROの方が、明るい曲は明るく、暗い曲は暗く鳴らしてくれる。響きは、低域・中域はHP-RX900の方がやや豊か、高域はDT231PROの方がやや豊か。HP-RX900はDT231PROと比べると塗りつぶしたようにのっぺりとしていて無機質。弦楽器はDT231PROの方がうまい。特に生楽器らしい温かみが感じられる点が良い。金管楽器は、DT231PROの方が高く鮮やか、HP-RX900の方が太い芯が通っていて力強い。HP-RX900はDT231PROと比べると上が伸びておらず詰まっているように感じる。打ち込み系の音の表現はHP-RX900の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、無難な音を求めるならHP-RX900、個性や魅力を求めるならDT231PRO。

RP-HTX7
DT231PROは高音よりのドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はRP-HTX7の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるが、全体的な量はDT231PROの方がやや多く、柔らかくぼやけている。中域はRP-HTX7の方が低域の曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方がやや高い音を鳴らすが、量はDT231PROの方が多い。分解能は微妙。音の分離はRP-HTX7の方が良いが、微細な表現はDT231PROの方がうまい。音場感はRP-HTX7の方が明確で良い。原音忠実性はDT231PROの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる。DT231PROの方が若干エッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはRP-HTX7の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはRP-HTX7の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方がかなり上。RP-HTX7の方がノリが良い。響きはDT231PROの方が豊か。DT231PROがウォームかつ刺激的なのに対して、RP-HTX7は冷たくタイト。弦楽器はDT231PROの方が心地よい。金管楽器はどちらも鮮やかだが、DT231PROはやや音が割れすぎ、RP-HTX7はあっさりしすぎ。打ち込み系の音の表現はRP-HTX7の方がうまい。付帯音が少なく、タイトな鳴らし方。得意分野はDT231PROがジャズ、RP-HTX7がポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT231PRO、ポップスやロックはRP-HTX7。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索2
第10回 なごり雪/イルカ「イルカベスト」より
第11回 熱情の律動/「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- オリジナル・サウンドトラック」より
第15回 恋の面影/菊地成孔「南米のエリザベス・テイラー」より
第34回 蒼氓/山下達郎「僕の中の少年」より
第36回 色彩のブルース/EGO-WRAPPIN'「色彩のブルース」より
第51回 Mediterranean Sundance/Rio Ancho/Al Di Meola、John McLaughlin、Paco de Lucia「Friday Night in San Francisco」より
第57回 Don't Know Why/Norah Jones「Come Away With Me」より
第64回 はじめて/一青窈
第71回 ミラクルペイント/OSTER project feat. 初音ミク「OSTERさんのベスト」より
第72回 Different Trains/Steve Reich「Different Trains」より













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 20Hz〜18kHz 95dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
130g - 2.5m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 3 3 3 2 高(低) 5900円

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公開日:2005.5.20