第36回 色彩のブルース/EGO-WRAPPIN'「色彩のブルース」より

 EGO-WRAPPIN'は日本のバンドです。ジャンルとしてはポップスに分類されることが多いようですが、実際に曲を聴くと昭和歌謡に近い印象を受けます。
 今回取り上げるのは2000年発表のミニアルバム「色彩のブルース」の3曲目です。女性ヴォーカルが主役で、楽器としてはエレキギター、ウッドベース、ドラムス、サックス、ピアノが入ってきます。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。今回の曲の暗さや味わいを出してくれること、ヴォーカルの艶をしっかり出してくれることを重視したいと思います。


・1台目 DT231PRO(beyerdynamic)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。この点についてはかなり満足で、様々な点から見て細かくケチをつけるような聴き方をしなければこれで十分と思えるほどです。すべての楽器から哀愁と色気が漂ってくるようです。
 他にはHFI-15G、MDR-XB700、PortaPro、SHP2500等で聴いてみました。HFI-15Gは音が団子になって一つ一つの楽器があまりはっきり聴き取れない上、音色もやや癖がある点が気になります。MDR-XB700はDT231PROと比べると暗さ、味わい、ヴォーカルの艶いずれも感じられませんし、ウッドベースの質に癖がある点も気になります。PortaProは最後までDT231PROと迷いましたが、DT231PROの方がウッドベースの主張が適度でバランスが良かったのでそちらにしました。SHP2500はなかなか良いのですが、DT231PROと比べると若干不要な芯が通っている感じが気になります。
 不満点は、一部でヴォーカルが埋もれ気味な点、音場が狭い点です。とは言え、ヴォーカルが埋もれ気味なのはどちらかと言うと音源の問題だと思います。

・2台目 DTX900(beyerdynamic)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。この点については若干改善されるという程度だと思います。1台目の良さを残しつつ不満点を改善できるものがこれしかなかったため消去法で選ばれたような感じです。言い換えると、1台目がかなり良かったとも言えます。とは言え、DTX900については1台目と同様に暗さ、味わい、ヴォーカルの艶いずれもしっかり感じられます。
 他にはATH-SX1、DR150、SRH840、SW-HP10、T50RP等で聴いてみました。ATH-SX1は1台目の不満点はそれなりに改善されるものの、ウッドベースの量感やサックスのふくよかさが足りないため暗さや味わいがもうひとつです。DR150はなかなか良いのですが、DTX900と比べると骨格がしっかりしていて、それが今回の曲には合わないように感じられます。SRH840はDTX900の良さを残したままモニター的に聴きたいのであれば良い選択肢だと思いますが、単純に最初に書いた条件だけ考えるなら見劣りします。SW-HP10は1台目の不満点はそれなりに改善されるものの、音色の癖が気になります。T50RPはこれはこれで魅力的なのですが、人間臭さや力強さが感じられない面があり、それが今回の曲には合わないように感じられます。
 不満点は特にありませんが、この方向性でより良いものを探してみたいと思います。

・3台目 HD650(SENNHEISER)
 以前どこかで「HD650はDTX900の音場を広くしたような音」というようなことを書いたことがありますが、今回の曲を聴いてもそういう印象です。他に違いがあるとすれば、2台目の方が若干エッジがきつい点くらいです。最初に書いた条件については2台目とほぼ同レベルだと思います。不快な癖やエッジのきつさがなく安心して聴ける点も魅力ですが、ヴォーカルはスモーキーで落ち着いているので、擦れや張りを求める場合には合わない傾向です。
 不満点は特にありませんが、音が丸すぎて物足りないと感じる人はいるかもしれません。

・4台目 DT880(beyerdynamic)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。この点については適度に改善される印象です。適度とは、あまり大幅に改善されても聴き疲れや違和感が酷くまともに聴けないという意味で、その点DT880の匙加減は絶妙だと思います。最初に書いた条件についても3台目とほぼ同レベルだと思います。
 他にはATH-AD2000、DT990PRO、PRO900、RS-1等で聴いてみました。ATH-AD2000は音の質感がどこかのっぺりしていて味わいがもうひとつといった印象です。DT990PROは最後までDT880と迷いましたが、DT990PROの方がヴォーカルが引っ込んでいる上にエッジがきつすぎると感じたので外しました。PRO900はウッドベースが主張しすぎでかなりバランスが悪いです。RS-1は味わいやヴォーカルの艶は申し分ないのですが、ローエンドが弱く抜けが良いせいかあまり暗さが感じられません。

・5台目 SE535(SHURE)
 最初に書いた条件を最も満たしていると感じたので選びました。暗さはそれほどでもありませんが、味わいとヴォーカルの艶はなかなか良いです。バランスが良くヴォーカルが埋もれない点も魅力です。色々と聴いてみたのですが、HiDefJax AcousticSteelはやや明るく不要な芯が通っている感じが気になる、IE8はウッドベースが主張しすぎでバランスが悪い、Image X10はなかなか良いもののSE535と比べると味わいやヴォーカルの艶は若干見劣りする等の不満がありました。
 他にはHP-CN40とHP-RLF11が良かったです。HP-CN40は最初に書いた条件についてどれも悪くない上にバランスが良く聴きやすい印象、HP-RLF11は特にヴォーカルの艶が良いです。


 今回はbeyerdynamicが多くなってしまいましたが、曲の内容と探索方針を考えれば妥当なところだと思います。それから、ここまで読んだ方は分かると思いますが、今回選んだものについては価格差ほどの音の差はないように感じられます。
 ヘッドホンアンプはHA-1Aが良いと思います。今回選んだヘッドホンをヘッドホンアンプにしたような音です。次点はHD-1L Limited Edition(RC1)です。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。













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