第62回 Battle Metal/TURISAS「Battle Metal」より
TURISASはフィンランドのヴァイキングメタル・バンドです。メンバーはヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス、キーボードで、他にアコーディオンやヴァイオリンが入ってくることが多いようです。
今回取り上げるのは2004年発表の1stアルバム「Battle Metal」の3曲目です。ひとことで表現するなら男くさい曲です。テンポはあまり速くなく、音もメタルとしては特に刺激的と言うほどではありません。
「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、「この曲の持つ勇壮さを最大限に引き出してくれるヘッドホンが良いです」とのことです。低域の量の少ないヘッドホンや綺麗な音を鳴らすヘッドホンは合わないのではないかと思いますが、あとはフィーリングで選んでいきたいと思います。
・1台目 SE-M390(Pioneer)
前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。低域がしっかり出ますし、粗っぽい部分が今回の曲にマッチするように感じられます。SE-M390は曲によっては違和感がかなり気になるのですが、今回の曲は比較的気にならない印象です。
他にはATH-PRO5MK2、HA-S800、HPS5000、MDR-V6、UR/40等で聴いてみました。ATH-PRO5MK2はイントロからして中域が張り出すような感じで不自然に目立つため、まともに聴けない印象です。HA-S800は低域がしっかり出る点は良いのですが、すべての音が団子になっているだけでなくそれぞれの音の細部も聴き取れませんし、頭内定位が気になりやすい点もマイナスです。HPS5000とMDR-V6は悪くないのですが、SE-M390と比べるとどちらもこじんまりまとまっている感じでやや迫力に欠けます。UR/40は違和感なく聴ける点は良いのですが、SE-M390と比べると少し上品にまとまりすぎている印象です。
不満点は、癖が多少気になる点、低域の質がもう少ししっかりしているとなお良いと思われる点です。
・2台目 Studiophile Q40(M-AUDIO)
1台目の不満点を踏まえて選びました。低域が質的にも量的にもしっかりしています。変に味付けして勇壮さを出すと言うよりは、曲の持っているものをそのまま出すような印象です。1台目と比べると低域の質がしっかりしていて圧力があり、高域の量や粗が少なく全体的に癖のない堅実な表現に感じられます。
他にはAH-D1100、Image ONE、K181DJ、MDR-1R、SRH840等で聴いてみました。AH-D1100は音自体は悪くないのですが、遠くから音を鳴らしている感じで他人事のような印象を受けてしまいます。Image ONEは低域の質が濃密で圧力もあり魅力的なのですが、ヴォーカルに癖がある点と音場が狭いためやや迫力に欠ける点が気になります。K181DJは最後までStudiophile Q40と迷いましたが、Studiophile Q40の方がサイズが大きいぶん若干迫力があるように感じられたのでそちらにしました。MDR-1RはStudiophile Q40と比べるとマイルドで圧力に欠けるのが気になります。SRH840は今回聴いた他の機種と比べると低域不足のせいで迫力に欠けます。
不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。
・3台目 PROline750(ULTRASONE)
色々聴いてみた結果これになりました。低域がしっかり出るのはもちろん、全体的に線の太い音で力強さが感じられますし、音場が広くそれでいて遠くから音を鳴らしている感じで駄目ということもありません。粗や癖があるという意味では1台目に近い傾向ですが、低域の質がしっかりしているという意味では2台目に近いと思います。全体としては1台目と2台目の良いとこ取りとまでは行きませんが、2台目とはまた違った方向性でハイレベルな相性の良さがあるように思われます。
不満点は特にありません。
・4台目 DT770PRO(beyerdynamic)
かなり迷いましたが、最終的にはこれになりました。3台目と比べると低域の量が少なく線が細い印象ですが、代わりに声や楽器の質感がリアルでそういう意味で勇壮さが感じられます。ただ、やはり今回の曲では低域の量が足りないように感じられる人もいるレベルだと思われるので、その場合にはPS500等、他にもっと合うものがあると思います。
他にはCUSTOM ONE PRO、HD25-1、PRO900、PS500等で聴いてみました。CUSTOM ONE PROは悪くないのですが、今回の曲にはソリッドすぎると言うか、もう少し遊びがあって声のしゃがれ具合等を出してくれた方が勇壮さが出るように感じられます。HD25-1もCUSTOM ONE PROと似たような印象を受けますし、もう少し重低音が出ても良かったように思います。PRO900は悪くないのですが、3台目と比べると闇雲に低域の量を増やしたような感じですし、遠くから音を鳴らしている感じで他人事のような印象を受けてしまいます。PS500は最後までDT770PROと迷いましたが、低域が支配的すぎる点と声や楽器の質感で見劣りする点が気になったので外しました。
・5台目 m5(FUTURE SONICS)
最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。2台目よりは3台目に近い傾向で全体的に粗や癖があり、それが今回の曲にマッチする印象です。低域はかなりしっかりしていて、今回の曲の男くささが感じられます。色々と聴いてみたのですが、HiDefJax AcousticSteelはやや明るすぎて男くささが感じられない、HP-TWF11Rはなかなか良いもののm5と比べるとマイルドすぎる、XBA-4SLは高域が悪目立ちするうえ男くささが感じられない等の不満がありました。
他にはSE215とS1110が良かったです。どちらも低域がしっかり出ますし、男くささも感じられます。
今回はフィーリング重視で選んだため人によっては合わないといったことが起きやすいかもしれませんが、Studiophile Q40は比較的癖が小さくかつ独特の相性の良さがあるため外れにくいのではないかと思います。
ヘッドホンアンプはAT-HA2002が良いと思います。力強さや迫力があり、男くささも出してくれます。
今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。
試聴は下のamazonのページで。
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