第74回 Burn/APOCALYPTICA「WORLDS COLLIDE」より

 APOCALYPTICAはフィンランドのヘヴィメタル・バンドです。メンバーはチェロ3人とドラムスです。
 今回取り上げるのは2007年発表のアルバム「WORLDS COLLIDE」の9曲目です。チェロとドラムスだけでメタルになるのかという疑問を持たれそうですが、聴いてみるとしっかりメタルになっている印象を受けます。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、「チェロの深みのある美しい響きとキレのよいリフを聴かせて欲しいです」とのことです。響きと切れというある意味相反する要素を両立させるのは難しいと思いますが、他に「チェロならHD650かなと聴いてみたらチェロのリフのエッジが丸くなってしまうのが残念でした」という記述もあったのでその辺りを参考にしたいと思います。また、この曲は別にもリクエストがあったのですが、そちらは「チェロが複数絡むところでのエロさをぜひ観点の1つとして」とのことでした。今回は両方を考慮して探索していきたいと思います。基本的には、あまり低域の量の少ないもの、極端に音が硬いものや柔らかいものは合わないと思われます。


・1台目 HI2050(Takstar)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。特にリフの切れが良いです。響きについては素のままを出す感じです。HI2050は高域の痛さが気になることも多いのですが、今回の曲では高域がほとんど含まれていないため気になりません。
 他にはATH-PRO5MK2、ATH-TAD500、HA-S800、HPS5000、PortaPro等で聴いてみました。ATH-PRO5MK2はチェロとドラムスの分離が良い点が特徴的ですが、音色の癖が気になるため美しい響きやエロさを求めるならやや難があります。ATH-TAD500は悪くないのですが、HI2050と比べるとリフのエッジが丸い点が気になります。HA-S800はチェロの深みとリフのエッジをある程度両立している面があるものの、HI2050と比べるとリフのエッジが丸く音が団子になって細かい部分が聴こえてこないという欠点があります。HPS5000はリフの切れが良く、全体としてスピード感のあるメタルとして聴きたいならなかなか良いと思われますが、チェロの深みはあまり感じられません。PortaProはリフのエッジが丸い点が気になります。
 不満点は、もう少しチェロの深みが欲しい点です。

・2台目 Image ONE(Klipsch)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されます。濃密で重心の低い低域が効いている印象です。リフの切れやエロさという点でも平均以上だと思います。
 他にはES-HF300、K181DJ、MUSIC SERIES ONE、SRH840等で聴いてみました。ES-HF300は最後までImage ONEと迷いましたが、Image ONEの方が若干リフの切れが良く深みもあるように感じられたのでそちらにしました。ただし、美しい響きを求めるならES-HF300の方が良いと思います。K181DJはリフの切れが良く深みもあるのですが、あまり美しいという感じではありません。MUSIC SERIES ONEは悪くないのですが、1台目の不満点は改善されません。SRH840はあまり癖のない音ですし、美しい響きを求めるなら悪くないと思いますが、リフのエッジが丸い点がやや気になります。
 不満点は、もう少し細かいところまでしっかり鳴らして欲しい点です。

・3台目 DT770PRO(beyerdynamic)
 2台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはしっかり改善されます。どちらかと言うと、2台目より1台目に近い印象です。深みよりリフの切れが良く、濃密さは2台目ほどではありません。今回の曲は、ヘッドホンによっては低域だけが団子になって鳴っているように感じられることもあるのですが、DT770PROはそれとは逆の方向性で比較的低域以外も聴こえてきますし個々の音もそれなりに分離しています。
 不満点は、もう少し響きの美しさが欲しい点です。

・4台目 PS500(PHIATON)
 3台目の不満点を踏まえて選びました。響きの美しさだけなら他にも色々あると思いますが、深みやリフの切れまで考えた結果これになりました。2台目をベースに3台目のエッセンスを少し加えたような方向性です。2台目に近い濃密さが魅力ですが、2台目よりは細かいところまでしっかり鳴らしてくれますし、響きも美しいです。
 他にはH118、HD25-1、HP-DX1000、PROline750等で聴いてみました。H118はリフのエッジが丸い点が気になります。HD25-1は悪くないのですが、あまり美しいという感じではありません。HP-DX1000は音色の癖が気になるため美しい響きやエロさを求めるならやや難があります。PROline750は濃密さは魅力的ですが、あまり美しいという感じではありません。

・5台目 HiDefJax AcousticSteel(ATOMIC FLOYD)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。特にリフの切れが良いです。深みはそれほどでもありませんが、響きはなかなか美しいです。色々と聴いてみたのですが、IE8は響きは美しいもののリフのエッジが丸い点が気になる、m5は濃密さが魅力でリフの切れも悪くないもののHiDefJax AcousticSteelと比べるとやや見劣りする上あまり美しいという感じではない、SE535はHiDefJax AcousticSteelと比べるとリフの切れで見劣りする等の不満がありました。
 他にはK374とHA-FX3Xが良かったです。K374は響きが美しい傾向、HA-FX3Xはリフの切れが良い傾向です。


 今回は一見してかなり尖った探索結果になっているのではないでしょうか。その原因はおそらく、今回の曲には高域がほとんど含まれていないこと、低域の質が探索結果にかなり大きく影響する探索条件だったことだと思います。なお、今回選んだものはすべてHD650よりリフの切れが良いものになっていると思います(2台目と4台目は特に多くの点でHD650とは違う音なので、人によって意見が違ってくるかもしれませんが)。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)が良いと思います。響きと切れというある意味相反する要素を両立させるのに向いているところがあります。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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