HP-DX3
音質
かなり低音より。低域は厚みもそれなりにあるが、それ以上に量が物凄い。これ以上低域が強い機種はそうない。中域はかなり低域にかき消される。高域は、質は悪くないが、量が不満。エージング前は低域が非常に強いだけでなく、曇った感じがするが、エージング後は若干良くなる。そうは言ってもものすごい低音よりで、曇ったような感じは残る。
分解能、音場感はそれなりだが、大抵のソースでは低域が強すぎてよくないように感じる。原音忠実性は悪い。とにかく全体的に低めの音を鳴らすし、原音の粗っぽい感じを感じない。エッジはきつくないが、低域が強すぎて聴き疲れする。
明瞭さ、音の鮮やかさは悪い。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。低域が出る割にはかなりノリが悪いし、かと言って繊細なわけでもない。響きは豊かで、イヤーパッドから音が漏れる割にはこもり感が気になる。
弦楽器は心地よさはともかく繊細さが足りない。金管楽器はなかなか鮮やかなのだが、低域に負けているためあまり良くないと感じることが多い。打ち込み系の音の表現は下手。とにかく切れに欠ける。
装着感
良好。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力は普通。あまり重さを感じないし、重いわりにはずれにくい。
イヤーパッドは耳を覆うサイズ、K501等と同様自由自在に角度調節できる。その上、フィットコントローラーという独自の機構で、ハウジングを支えるアームが根元から動かせ、上下方向の角度調節を3段階でできる。材質はメッシュ状のジャージ素材で、肌触りは悪くないし、蒸れない。
ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。
その他
遮音性及び音漏れ防止は密閉型にしてはかなり悪い。イヤーパッドがメッシュ状で相当音が通る模様。密閉型という表記になってはいるが、セミオープンと考えたほうが良いだろう。
作りは悪くないが、金色のハウジングが非常に癖の強いデザイン。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、やや硬いが癖は付きにくい。イヤーパッドのサイズは、外周108mm×108mm、内周60mm×38mm、深さ20mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
メーカー製品ページ
不定期コラム『第11回 予算2万円の密閉型ヘッドホン比較』
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
周波数特性グラフ
比較メモ
DT770PRO
HP-DX3の方が低音より。特に超低域にかなり差がある。HP-DX3は高域はまったく聴こえてこないが、DT770PROは低域同様非常に良く聴こえる。中域はHP-DX3は低域に流されるが、DT770PROはまったくそんなことはない。分解能、音場感ともにDT770PROの方が一段上。その上原音に近い。DT770PROの方がエッジがきつい上、サ行の音が痛くやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、情報量等DT770PROの方が圧倒的に上。温かみはHP-DX3の方がややあるが、ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が良い。DT770PROの方がノリの良く、それでいて繊細。響きはHP-DX3は豊か、DT770PROは適度。弦楽器、金管楽器ともにDT770PROの方が自然で魅力的。ただし、弦楽器はHP-DX3の方が伸びが良く、人によって評価が分かれるところだろう。金管楽器の差は圧倒的。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、DT770PROの方がまだ聴ける。得意分野はHP-DX3はクラシック(弦楽器)、DT770PROはジャズ。何を聴くにしてもDT770PROの方が上に感じるが、あえて使い分けるなら弦楽器だけはHP-DX3でそれ以外はDT770PRO。
HP-D7
どちらも低音よりだが、HP-D7の方が高音より。HP-DX3はとにかく低域が強くて高域はまったく聴こえないが、HP-D7は高域もそれなりに聴こえる。ただ、HP-DX3も高域の量が少ないだけでそれなりに高い音を鳴らす。分解能、音場感はHP-DX3の方が上。原音忠実性はHP-D7の方が上。ただし、低域が出すぎな点を除けばHP-DX3の方が上。HP-D7の方がエッジがきついがそれほど疲れないレベル。HP-DX3は低域が強すぎで疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-D7の方が上。厚みはどちらもあまりない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-DX3の方が上。HP-D7の方がノリが良い。響きはHP-DX3の方が豊か。弦楽器は低域が強いソースで無ければHP-DX3の方が良い。金管楽器はHP-D7の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野は、HP-D7はポップス、HP-DX3はクラシック。使い分けるなら弦楽器メインの曲やヴォーカルものはHP-DX3、それ以外はHP-D7。コストパフォーマンスはどう考えてもHP-D7の方が上。価格を無視しても、HP-D7の方が良いという人が多いだろう。HP-DX3は低域しか聴こえない上、低域も厚みも締まりも無い。
HP-DX1000
HP-DX1000はかなりフラット、HP-DX3はかなり低音より。Victorの新フラグシップ機と旧フラグシップ機であるが、まったく別物。低域の量はHP-DX3の方がかなり出るが、厚みはほぼ互角。HP-DX1000は低域の動きが明確に把握できるが、HP-DX3はぼやけてまったく把握できない。中域はHP-DX1000の方がはっきり聴こえてくる。高域はHP-DX1000の方が一段高い音で、しっかり聴こえるしシャリついたりもしない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-DX1000の方が上。どちらもエッジはきつくないが、HP-DX3は低域の量が多すぎて聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-DX1000の方がかなり上。温かみは低域が出る分HP-DX3の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-DX1000の方がノリが良くかつ繊細。響きはHP-DX3の方がやや豊か。HP-DX1000の方が音に広がりがあり、こもり感も気にならない。HP-DX3はかなり柔らかい音であるのに対して、HP-DX1000はやや硬めの音。弦楽器はHP-DX1000の方が澄んだ音色。柔らかくて心地よければ他の点はどうでも良いと言うならHP-DX3の方が良いと感じる人もいるかもしれないが、そうでなければHP-DX1000の方が良いだろう。金管楽器はHP-DX1000の方が鮮やかで前面に出てくる感じ。打ち込み系の音の表現はHP-DX1000の方が切れのある表現でうまい。ほとんど何を聴くにしてもHP-DX1000の方が良いように感じるが、まったく違う2機種なので、一部の極端なソースにはHP-DX3の方が合うこともある。それにしても、全体的な能力ではHP-DX1000の方が圧倒的に高い。
SP-K300
HP-DX3は低音より、SP-K300は低音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなりしっかり低い音を鳴らしてくれるが、こと量に関してはHP-DX3の方がある。厚みはSP-K300の方があるように感じる。中域はSP-K300の方がはっきり聴こえてくる。HP-DX3は圧倒的な量の低域に埋没する。高域はSP-K300の方が高く硬い音で、量も多い。分解能はSP-K300の方が上。音の分離で勝っているし、微細な表現もHP-DX3ほどは低域に埋もれない。音場感はHP-DX3の方が良い。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、原音の粗や生っぽさはSP-K300の方が感じられる。SP-K300の方がエッジがきつく圧力のある音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSP-K300の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-DX3の方が上。ノリの良さならSP-K300、繊細さならHP-DX3。響きは、低域はHP-DX3、高域はSP-K300の方が豊か。弦楽器はHP-DX3の方が繊細で心地よいが、どんな音も低めに鳴らしてしまうのが難点。金管楽器はSP-K300の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はSP-K300の方がうまい。締まりのある音で、厚みや圧力もあるため。得意分野はHP-DX3はクラシック、SP-K300はロック。使い分けるなら、アコースティックな楽器はHP-DX3、それ以外はSP-K300。温かみやヴォーカルの艶っぽさを重視するならHP-DX3、音の鮮やかさや厚みを重視するならという使い分けもありだろう。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 4Hz〜30kHz | 105dB | 90Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
340g | 50mm | 3.5m | 片出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
2.5 | 4 | 3 | 2 | 2 | 1 | 低 | 17700円 |
公開日:2005.2.15