EXH-313

音質
 ややかまぼこ。中低域はそれなりに出るが、ローエンドが不足。中域は癖なくはっきり聴こえてくる。量的な問題だけでなく、ヴォーカル等の音楽のメインをしっかり聴かせてくれる感じ。それでいて他の音も明瞭。高域は細く繊細。しっかり高い音を鳴らしてくれるが、量的には中域より少ない。
 分解能はかなり良い。(それが原音どおりのものかどうかはともかく)一つ一つの音の微細な描写を非常に細やかで丁寧にこなしてくれるし、音の分離も良い。音場感は独特だが立体感があり明確で、個々の楽器との距離感が測れるような良さがある。原音忠実性は、原音からかけ離れた音を鳴らさないという意味では悪くないが、原音の粗がまったく感じられないという意味では良くない。エッジはきつくなく非常に聴きやすい。痛い音をまったくと言って良いほど鳴らさない。普通のヘッドホンは分解能が高いと聴き疲れしやすくなる傾向があるが、本機は分解能の高さの割に驚異的に聴き疲れしにくい。
 明瞭さはなかなか良い。音の鮮やかさはそれなり。厚みは薄め。特に一部のヴォーカルやピアノで、紙のように薄い質感になることがある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは非常に良い。低域が少なめなので温かみという点では不利なはずだが、音そのものが柔らかく心地よいために十分な温かみが出ている。非常に繊細だが、スピード感はあるのでノリの良さもそれなりに感じられる。ただしあまりに刺激がないため、ポップスやロックを明るくノリ良く楽しむのには物足りない。響きは適度からややあっさりで、密閉型特有のこもり感はほとんど感じられない。薄いヴェールに包まれたような感じの音で、明るさや刺激には欠ける。破裂音やドラムが目立たない。全体的に外観から想像される音とかけ離れた音を鳴らす。特に音場の立体感と音の心地よさという点は、外観からは想像できないほど高レベル。
 弦楽器は非常にうまい。繊細さや透明感は十分感じられるし、何より心地よい。ただ、チェロやコントラバスの低域はもう少し欲しかったところ。金管楽器は、力強さには欠けるが、しっかり高い音を鳴らしてくれる。コンデンサー型のような美しい音色。打ち込み系の音の表現はいまいち。ただ、これは生楽器やヴォーカルがうまいためにそれと比べるといまいちに感じられるという側面もあるのだろう。
 UST(Ultra Sound Technology)という独自の技術が使われているが、その名の通り普通のダイナミック型ヘッドホンとはかなり違う鳴らし方。ダイナミック型とコンデンサー型の間に位置する第三の駆動方式であるように感じる。他にはない個性を持っている上、非常に心地よい音を鳴らす機種。

装着感
 良好。側圧は普通。audio-technica独自のウィングサポートのため頭頂部に圧力がかからず、ずれにくい。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズ。上下方向の角度調節ができないため、個人差はあるだろうがウィングサポートで頭の斜め上を押さえ耳の下に隙間が空くような装着感になる。材質はレザータイプの人工皮革。柔らかく心地よいかけ心地。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。
 作り、デザインともになかなか良い。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、布巻きで扱いやすい。イヤーパッドのサイズは、外周120mm×106mm、内周58mm×46mm、深さ16mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
キャリングポーチ
デモCD×2



参考
投稿レビュー『EXH-313』

周波数特性グラフ


比較メモ
AH-D5000
AH-D5000はかなりフラット、EXH-313はややかまぼこ。低域はAH-D5000の方が低い音でかなり量が多い。中域はEXH-313の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はAH-D5000の方が太く金属的。分解能はEXH-313の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろEXH-313の方がやや上。音場感はEXH-313の方が奥行きがある。原音忠実性はAH-D5000の方が上。どちらもあまり原音の粗が感じられる傾向ではないが、AH-D5000の方がまだ感じられるし、周波数特性上の癖も小さい。どちらも聴き疲れしにくいが、どちらかと言えばAH-D5000の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはEXH-313の方が上。音の鮮やかさはAH-D5000の方が上。厚みはAH-D5000の方がある。温かみはどちらもかなり良い。音そのものはEXH-313の方が温かみがあるように感じられるが、柔らかい低域がある分AH-D5000の方が良いと感じる人も多いだろう。ヴォーカルの艶っぽさはどちらも良いが、EXH-313の方がやや良いように感じる。AH-D5000の方がやや付帯音が多い感じ。どちらも繊細な傾向だが、AH-D5000の方がニュートラル。響きはAH-D5000の方がやや豊か。弦楽器はどちらもうまい。心地よさを追求するならEXH-313の方が良いだろうが、少しでも原音らしさや低域の量感を求めるならAH-D5000の方が良い。金管楽器はAH-D5000の方が金属的で鮮やか。ただし、細く繊細な鳴らし方を求めるならEXH-313の方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はどちらも得意ではない。低域の量を重視するならAH-D5000、スピード感を重視するならEXH-313か。使い分けるなら、低域が欲しいならAH-D5000、それほど必要ないならEXH-313。あるいは、原音らしさや鮮やかさを重視するならAH-D5000、基本性能や心地よさを重視するならEXH-313。

DT660 Edition 2007
DT660 Edition 2007はやや高音より、EXH-313はややかまぼこ。中低域はほぼ同等だが、ローエンドはDT660 Edition 2007の方がしっかり出る。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、どちらかと言えばDT660 Edition 2007の方が高い音で目立つ。高域はDT660 Edition 2007の方が金属的で粗く量が多い。EXH-313の方が細く繊細。分解能はEXH-313の方が上。一つ一つの音の微細な描写で勝っている。音場感はEXH-313の方が多少奥行きがある感じ。原音忠実性はDT660 Edition 2007の方が上。原音の粗が感じられる。DT660 Edition 2007の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはEXH-313の方がやや上、音の鮮やかさはDT660 Edition 2007の方が上。厚みはDT660 Edition 2007の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEXH-313の方が上。DT660 Edition 2007はノリが良い傾向、EXH-313は繊細な傾向。響きはEXH-313の方がやや豊か。どちらもこもり感が感じられない点は似ている。DT660 Edition 2007の方が付帯音が多くサラサラしている。弦楽器はEXH-313の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDT660 Edition 2007の方が金属的で鮮やかだが、粗が目立つし刺激が強すぎると感じる場合にはEXH-313の方が合うだろう。打ち込み系の音の表現はDT660 Edition 2007の方がうまい。どちらも低域不足な点は気になるが、DT660 Edition 2007の方が元気が良く爽やかな鳴らし方で楽しめる。使い分けるなら、ノリの良さや刺激を求めるならDT660 Edition 2007、繊細さや心地よさを求めるならEXH-313。

edition7
edition7はややドンシャリ、EXH-313はややかまぼこ。低域はedition7の方がかなり低い音で量も多い。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくるが、edition7の方がやや高めの音に感じる。高域はedition7が金属的なのに対して、EXH-313は細く繊細。量的にはedition7の方がやや多い。分解能はどちらも非常に良い。音の分離はedition7の方が上、一つ一つの音の微細な描写はEXH-313の方が上。音場感はどちらも耳から多少離れたところで鳴らす浮遊感のようなものが共通しているが、edition7の方が臨場感がある感じ、EXH-313の方が音の広がりがある感じ。原音忠実性はedition7の方が上。原音の粗や生っぽさの感じられる度合いにかなりの差がある。edition7の方がエッジがきつい上、音の圧力があり、聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはedition7の方が上。厚みはedition7の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEXH-313の方が上。edition7の方がノリが良く、EXH-313の方が繊細。響きはEXH-313の方が豊か。全体的に対照的な音。edition7は音の厚みや原音の実体感が強く感じられるのに対して、EXH-313はまったくと言って良いほど感じられない。また、EXH-313は一つ一つの音の微細な描写や心地よさが強く感じられるのに対して、edition7はあまり感じられない。edition7は低域が質的にも量的にも存在感があるのに対して、EXH-313は存在感が希薄。弦楽器はEXH-313の方が繊細かつ心地よいが、低域の量感が欲しいときや原音らしさが欲しいときはedition7の方が良い。金管楽器はedition7の方がかなり力強く、金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はedition7の方がかなりうまい。音の厚み、低域の量感等で勝っている。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならedition7、繊細さ重視ならEXH-313。様々な点で対照的な音なので、使い分けがしやすくかつ楽しめる2機種。

KH-K1000
EXH-313はややかまぼこ、KH-K1000はかなりフラット。低域はKH-K1000の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし、量も多い。中域はどちらも低域に邪魔されず聴こえてくるが、EXH-313の方が前に出る感じでしっかり聴こえる。音の高さとしては、KH-K1000の方がやや高め。高域はKH-K1000の方が細く高い音を鳴らす。量的には大差ない。分解能はEXH-313の方がやや上。音場感は微妙。KH-K1000の方が癖がなく見晴らしの良さがあるように感じるが、EXH-313の方が立体感と妙な明確さがある。原音忠実性はKH-K1000の方がやや上。EXH-313は低域不足が気になるし、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いでもKH-K1000の方がやや上。エッジはKH-K1000の方がややきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはKH-K1000の方が上。厚みはKH-K1000の方がややある。温かみはEXH-313の方が感じられる。ヴォーカルは艶っぽさという点では大差ないが、心地よさや魅力ということを考えるとEXH-313の方が上。一聴した感じKH-K1000の方が明るくノリが良いと感じる面もあるが、スピード感はEXH-313の方がかなり上で、様々なソースを聴き比べるとEXH-313の方がノリが良いのではないかとも思えてくる。KH-K1000はすべての音が遠く、ワンテンポ遅れて音が鳴っているかのように感じることさえある。響きはKH-K1000の方がやや豊か。どちらも響きを楽しめる鳴らし方という点は似ている。EXH-313の方が柔らかく心地よい音で、良くも悪くも個性的。弦楽器はEXH-313の方が心地よくて魅力的。ただし、ヴァイオリン等を澄んだ音で聴きたいならKH-K1000の方が良いかもしれない。金管楽器はどちらも力強さに欠け、あまり前に出ない点が似ている。KH-K1000の方がやや明るい。打ち込み系の音の表現はKH-K1000の方がややうまい。低域の量が多いし、音の質感の相性でもやや上。ただし、スピード感がある点はEXH-313の方が良い。使い分けるなら、心地よさ重視ならEXH-313、低域の量や癖のなさ重視ならKH-K1000。

MDR-ZX700
EXH-313はややかまぼこ、MDR-ZX700はやや低音より。低域はMDR-ZX700の方がやや量が多い。柔らかくぼやけた質。重心はMDR-ZX700の方がやや低い。中域はEXH-313の方が若干明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はEXH-313の方が若干量が多い。細く明るい質で目立つ。分解能はEXH-313の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はEXH-313の方が広く明確で見晴らしが良く把握しやすい。MDR-ZX700の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性は大差ないが、どちらかと言うとEXH-313の方が上。周波数特性上の癖のなさは大差ない。原音の粗や生っぽさはEXH-313の方が若干感じられる。エッジのきつさや聴き疲れは微妙。基本的にはどちらも聴き疲れしにくいが、EXH-313は線が細いため疲れる面があるのに対して、MDR-ZX700は頭内定位やこもり感で疲れる面がある。総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろEXH-313の方が若干細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはEXH-313の方が上。厚みはMDR-ZX700の方がややある。温かみはどちらもぬるま湯のような質である点は似ているが、MDR-ZX700の方がやや塗りつぶしたような質感。ヴォーカルの艶っぽさはEXH-313の方が感じられる。EXH-313の方が線の細い女性ヴォーカルに合う、MDR-ZX700の方が男性ヴォーカルに合う。EXH-313の方が繊細。EXH-313の方がスピード感がある。MDR-ZX700の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは、低域はMDR-ZX700の方がやや豊か、高域はEXH-313の方がやや豊か。MDR-ZX700の方がこもり感が気になる。弦楽器はどちらも滑らかで心地よい傾向だが、EXH-313の方が繊細。金管楽器は、EXH-313の方がやや細く明るい、MDR-ZX700の方がやや太く力強い。どちらかと言うとEXH-313の方が金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はEXH-313の方が若干上、厚みはMDR-ZX700の方がやや上。使い分けるなら、基本的にはEXH-313、EXH-313では低域の量が足りないとか厚みが薄いという不満があるならMDR-ZX700。

RS-1
EXH-313はややかまぼこ、RS-1はややドンシャリ。低域はRS-1の方が重心が低く量もかなり多い。中域はRS-1の方がやや高い音。低域と比べたときの相対的な中域の量はEXH-313の方が多いのだが、RS-1と比べると薄く曇ったような感じであまり聴こえてこない。高域は低域ほどの差はなく、ソースによってはかなり似た音を鳴らすが、EXH-313の方が線が細くRS-1の方が癖がない。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばEXH-313の方が良い。微細な描写を丁寧にこなしてくれる点に差がある。音場感はEXH-313の方がやや広く明確。原音忠実性はRS-1の方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさもRS-1の方が感じられる。エッジはRS-1の方がややきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはRS-1の方が上。EXH-313は薄いヴェールに包まれたような音だが、RS-1はヴェールのようなものはほとんど感じない。厚みはRS-1の方がある。EXH-313は紙のように薄いのが気になることが多いが、RS-1はそういうことはない。温かみはどちらもかなり感じられるが、EXH-313の方がマイルドで心地よい傾向。ヴォーカルの艶っぽさもどちらもかなり良いが、EXH-313の方が低く落ち着いた音でスモーキーな感じ。RS-1の方が明るく元気でノリが良いし、迫力もある。EXH-313の方が粗がないという意味で繊細。響きはRS-1の方が豊か。RS-1の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はEXH-313の方が心地よいが、生楽器らしさが欲しいならRS-1の方が良い。金管楽器はRS-1の方がやや鮮やかで抜けが良く楽しめる。打ち込み系の音の表現はRS-1の方がうまい。音の質感の相性や低域の量感で勝っている。ロック系のソースは全般的にRS-1の方がかなりうまい。ギターのエッジの表現、ベースの量感、ドラムのアタック感等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、心地よさや粗のなさ重視ならEXH-313、それ以外はRS-1。あるいは、低域が少なめな方が良いならEXH-313、普通に欲しいならRS-1。

SRS-4040
EXH-313はややかまぼこ、SRS-4040はやや高音より。中低域の量はほぼ同等レベルだが、ローエンドはSRS-4040の方がやや出る。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくる。高域はどちらも細く繊細な鳴りだが、SRS-4040の方が若干高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。どちらも音の分離より一つ一つの音の微細な描写に長けている点が似ている。音場感はどちらが良いとは一概に言えない。SRS-4040の方が全面駆動型特有の二次元的な広さがあり、EXH-313の方が奥行きがある。原音忠実性は、原音の粗が感じられないという点ではどちらも良くないが、原音とかけ離れた音を鳴らさないという意味では原音忠実。SRS-4040の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはEXH-313の方がややある。温かみはEXH-313の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはどちらも非常に良いが、心地よさならEXH-313、繊細さならSRS-4040。どちらもノリの良さとは正反対の傾向で、非常に繊細。響きはSRS-4040の方がやや豊か。弦楽器はどちらも非常にうまい。EXH-313の方が柔らかく心地よい感じ、SRS-4040の方が透明感があり繊細な感じ。金管楽器はどちらも力強さに欠ける点が不満ではあるが、しっかり高い音を鳴らしてくれるし、美しい。打ち込み系の音の表現はどちらも苦手。SRS-4040の方が中高域〜高域の表現が明るくて良いが、EXH-313の方が音の厚みやスピード感で勝っている。得意分野が似ているため、あまり使い分けには向かないと思われるが、それでもあえて使い分けるなら、心地よさを重視するならEXH-313、繊細さを重視するならSRS-4040。

SW-HP10
EXH-313はややかまぼこ、SW-HP10はやや低音より。低域はSW-HP10の方がかなり量が多い。重心が低く厚みもあるため、存在感にかなりの差がある。中域はEXH-313の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はEXH-313の方が線が細く高い音で、量も多い。この2機種を比べると、EXH-313の方が高音よりと言える。分解能はEXH-313の方が上。音の分離にしろ一つ一つのとの微細な描写にしろ多少差がある。音場感はEXH-313の方が広く明確。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはSW-HP10の方がやや上。どちらも原音の粗や生っぽさが感じられない傾向だが、線が細い分EXH-313の方がまだ感じられるように思う。エッジはどちらもきつくなく聴きやすいが、どちらかと言うとEXH-313の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろEXH-313の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはEXH-313の方が上。厚みはSW-HP10の方がある。温かみはどちらもしっかり感じられる。低域の量が多い分SW-HP10の方が上に感じられることもあるが、基本的にはEXH-313の方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさEXH-313の方が上。どちらもあまりノリが良いとは言えず、心地よいという表現がしっくりくる。響きはSW-HP10の方がやや豊か。EXH-313の方が線が細く繊細、SW-HP10の方がおとなしい。弦楽器はEXH-313の方が繊細でうまいが、コントラバス等の低域が欲しいならSW-HP10の方が良い。金管楽器は、基本的にはEXH-313の方が高く鮮やかで楽しめるのだが、ソースによってはSW-HP10の方が太く力強く魅力的に感じられることもある。打ち込み系の音の表現はSW-HP10の方がややうまい。低域の量感や音の厚みで勝っている。ただし、スピード感を重視するならEXH-313の方が良い。使い分けるなら、それなりに低域が欲しいならSW-HP10、そうでもないならEXH-313。あるいは、繊細さや細部の表現力が欲しいならEXH-313、聴きやすくおとなしい方が良いならSW-HP10。

TR-HP03B
EXH-313はややかまぼこ、TR-HP03Bはややドンシャリ。低域はTR-HP03Bの方がしっかり低い音を鳴らすし、厚み・量ともに上。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。EXH-313の方が低域が弱い分しっかり聴こえる面もあるのだが、おとなしい音であまり目立つ感じではない。質的にはTR-HP03Bの方がやや高く目立つこともある。高域は量的にはさほど差を感じないが、EXH-313の方が線が細い。TR-HP03Bの方が太く金属的。分解能はEXH-313の方が上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感はEXH-313の方が広く明確。原音忠実性はTR-HP03Bの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。TR-HP03Bの方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすいが、これはEXH-313があまりに聴き疲れしにくいと言った方が正しいだろう。TR-HP03Bの方が適度な刺激があるとも言える。明瞭さはEXH-313の方がやや上だが、非常におとなしく作ったような明るさとは無縁なので、一聴した感じTR-HP03Bの方が良いと感じることもある。音の鮮やかさはTR-HP03Bの方がやや上。厚みはTR-HP03Bの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEXH-313の方が上。ノリの良さならTR-HP03B、繊細さならEXH-313。EXH-313の方がおとなしく、圧倒的に粗がない。TR-HP03BはEXH-313と比べると鳴らし方も音の細部もかなり雑。響きはTR-HP03Bの方が豊かだが、EHX-313の方が残響音の最後の一粒まで味わえるような良さがある。どちらもしっかり音楽を楽しめる魅力的な鳴らし方をしてくれるが、EXH-313が心地よさと細部を極限まで描き出すことによって聴かせてくれるのに対して、TR-HP03Bは個々の音にリアリティと魅力がありかつ音楽の芯をしっかりとらえることによって聴かせてくれる。TR-HP03Bの方が分かりやすくストレートな魅力と言えるかもしれない。弦楽器はEXH-313の方が繊細かつ心地よいが、生楽器らしさが欲しいならTR-HP03Bの方が良い。金管楽器は意外と似た音を鳴らすが、EXH-313の方が繊細で粗がなく、TR-HP03Bの方が金属的でやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はTR-HP03Bの方がうまい。低域の量感、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならTR-HP03B、繊細さ重視ならEXH-313。あるいは、低域の量がある程度欲しいならTR-HP03B、それほどなくても良いならEXH-313。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索
第68回 All The Love In The World/hard Romantic「Sincerely」より
第82回 青きドナウの岸辺〜愛あればこそ/「2001 宝塚歌劇全主題歌集」より
第93回 星雲仮面マシンマン/「MoJoスーパーベスト」より

曲別HP探索2
第18回 Made In Hongkong/Fennesz「Endless Summer」より
第23回 Sour Times/Portishead「Dummy」より













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 5Hz〜40kHz 102dB 60Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
300g - 3m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
5 4 4 4 4 1 均(中) 48000円

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公開日:2007.11.8