第68回 All The Love In The World/hard Romantic「Sincerely」より

 今回とりあげるCDは、Liam O’kaneをフィーチャーしたhard Romanticのアルバムです。hard Romanticはコンポーザー・大橋宏司を中心としたユニット、Liam O’kaneはAngel Voicesのトップ・ソリスト(ボーイ・ソプラノ)です。
 曲は6曲目の「All The Love In The World」で、Korgisのカバーです。帯に「この音楽はひそやかで夜のように美しい・・・・。」とありますが、まさにそんな雰囲気の曲です。
 ヘッドホンとしては、この曲のしっとりと落ち着いた雰囲気を出してくれるもので、ヴォーカルの表現がうまいものが良いでしょう。


・1台目 HP1000(PHILIPS)
 今回の曲を取り上げることにしたときに、真っ先に思い浮かんだ機種です。実際に聴いてみると、思った通り素晴らしかったです。HP1000の雰囲気とこの曲の雰囲気がぴったりと重なります。ヴォーカルはボーイ・ソプラノ(ほとんど女性の声です)、これもまたHP1000がその力をいかんなく発揮してくれます。
 他にはDR150やMUSIC SERIES ONEも良かったのですが、雰囲気にしろヴォーカルの表現にしろHP1000には及ばない印象でした。これはDR150やMUSIC SERIES ONEが悪いということではなく、HP1000と今回の曲の相性があまりに良いと言った方が正しいです。
 不満点はほとんどありません。ヴォーカルがもう少し厚手で滑らかなら良いかな、という程度です。

・2台目 HD650(SENNHEISER)
 HP1000と近い傾向で厚手なものとなると、HD650とDT880が思い浮かびます。両方聴いてみたところどちらも良かったのですが、HD650の方がしっかりと安定した鳴らし方でHP1000との違いが大きかったのでこちらにしました。
 正直、HP1000、HD650、DT880の3台はどれでも良いという気がします。どれも素晴らしい鳴らし方で、今回の曲ではあまり大きな違いは出ない印象でした。ただ、そうは言っても違いはあるわけで、HP1000が最もしっとりで、HD650が最も安定感があり、DT880はその中間くらいの鳴らし方です。
 不満点がどうこう言う以前に、この系統の鳴らし方はこの3台で突き詰めてしまった感じなので、次は少し違う感じのものを選びたいです。

・3台目 EXH-313(Audio Interu)
 ヴォーカルの表現のうまさという点で、1台目、2台目とは違うベクトルながら完成度の高いものということで選びました。1台目ほどしっとりした感じはしませんが、この曲の夜のひっそりとした雰囲気は感じられます。痛い音を鳴らさないという意味では、最もこの曲と相性が良いのかもしれません。


 今回の曲と合うヘッドホンには、大雑把に分けて3系統あるように感じました。HP1000・HD650・DT880系、EXH-313・AH-D5000系、STAX系です。しっとり感を重視するならHP1000・HD650・DT880系、透明感・繊細さを重視するならSTAX系、その中間ならEXH-313・AH-D5000系といった感じです。どれも魅力的だとは思いますが、個人的にはHP1000のしっとりさが忘れられない感じでした。
 好みに合わせて選んでください。


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