SRS-4040
音質
やや高音よりながら非常にフラット。低域は厚みがやや薄めで量も程々だが、それほど不足には感じない。中域はしっかり聴こえるし、癖もない。高域は非常に細く、それでいて痛くない鳴らし方。質・量ともに最高レベル。
分解能、音場感ともに最高レベル。音が細いため細部まで把握しやすく、しかも音場が全面駆動独特の非常に広く明確な音場なので、更に把握しやすさが増している。かなり原音に近いが、原音の粗っぽさ等は一切感じない。エッジはきつくなく非常に聴きやすい。
明瞭さ、音の鮮やかさは非常に良いが、キンキンしたような痛い音は全くしない。厚みはやや薄いが、密度が薄いわけではなく、他の長所のおかげかほとんど気にならない。温かみやヴォーカルの艶っぽさは非常に良い。響きは豊か。残響音が空気に溶け、蕩けるような心地よさがある。想像を絶する繊細さと言って良い。音が細くきめ細かいのに、硬さはまったくなく、むしろ柔らかい。音楽的という表現が、これほどしっくりくる機種は他にそうそうない。
弦楽器は非常に線が細くて繊細な表現でかつ心地よい。金管楽器は非常に鮮やか。特にハイハット等の高域が非常に美しく楽しめる。打ち込み系の音の表現は、線の細さが仇となりあまりノリが良くないが、慣れればこれはこれで楽しめる。
SRS-2020ではわずかに残っていた芯の通った感じや曇った感じが皆無。欠点はダイナミック型ほどの力強さが感じられない点だが、これは他の多くの長所によってまったくと言っていいほど気にならなくなっている。
装着感
良好。外観から想像されるよりも重さを感じず、ソフトなかけ心地。側圧が弱いにもかかわらず、ずれにくい。ただし、その装着感の良さはヘッドバンドの面積の広さからきているため、逆に言うと髪形の乱れがかなり気になる。
イヤーパッドは耳をすっぽり覆うサイズで、上下左右に角度調節ができる。材質はレザータイプの人工皮革。
その他
本機はイヤースピーカーSR-404とドライバ(アンプ)SRM-006tのセット。ラムダシリーズの最上位機種。
開放型のため、遮音性や音漏れ防止は良くない。特に音漏れは他社の一般の開放型と比較しても悪い。
作りは悪くないがデザインはいまいち。特に色はどうにかして欲しかったところ。また、コンデンサー型のためケーブルが重く、オーディオ機器に直接接続できないなど、色々と使いづらい。
コードは、合流前は幅約8.5mm・厚さ約2mm、合流後は幅約18.5mm・厚さ約2mm。イヤーパッドのサイズは、外周122mm×74mm、内周78mm×38mm、深さ16mm。
付属品
無し
参考
メーカー製品ページ(pdf)
不定期コラム『第25回 HE60/HEV70試聴レポ』
不定期コラム『第27回 価格別favorite headphones 3回目』
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第40回 ヘッドホンアンプの内部写真』
周波数特性グラフ
比較メモ
ATH-AD2000
どちらもかなりフラットだが、ATH-AD2000の方がややかまぼこ。低域はSRS-4040の方がやや出るが、コンデンサー型独特の薄さのため圧迫感はATH-AD2000の方がある。高域はSRS-4040の方がやや強い。SRS-4040の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らすような印象。分解能、音場感、原音忠実性はすべてSRS-4040の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく非常に聴きやすいが、ATH-AD2000は音があまり柔らかくない点、SRS-4040は擦れが気になる点が、それぞれ疲れることもある。明瞭さはSRS-4040の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度はATH-AD2000の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-4040の方が上。ノリの良さならATH-AD2000、繊細さならSRS-4040。響きはSRS-4040の方が豊か。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よく楽しめる。サラサラした感じを楽しみたいならSRS-4040、音の濃さみたいなものを楽しみたいならATH-AD2000。金管楽器はどちらも明るく鮮やかで非常に魅力的。残響音を楽しみたいならSRS-4040、メリハリを楽しみたいならATH-AD2000。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方が勢いがありうまい。ATH-AD2000はオールマイティー、SRS-4040はクラシックが得意。使い分けるならクラシックやヴォーカルものはSRS-4040、それ以外はATH-AD2000。
EXH-313
EXH-313はややかまぼこ、SRS-4040はやや高音より。中低域の量はほぼ同等レベルだが、ローエンドはSRS-4040の方がやや出る。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくる。高域はどちらも細く繊細な鳴りだが、SRS-4040の方が若干高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。どちらも音の分離より一つ一つの音の微細な描写に長けている点が似ている。音場感はどちらが良いとは一概に言えない。SRS-4040の方が全面駆動型特有の二次元的な広さがあり、EXH-313の方が奥行きがある。原音忠実性は、原音の粗が感じられないという点ではどちらも良くないが、原音とかけ離れた音を鳴らさないという意味では原音忠実。SRS-4040の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはEXH-313の方がややある。温かみはEXH-313の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはどちらも非常に良いが、心地よさならEXH-313、繊細さならSRS-4040。どちらもノリの良さとは正反対の傾向で、非常に繊細。響きはSRS-4040の方がやや豊か。弦楽器はどちらも非常にうまい。EXH-313の方が柔らかく心地よい感じ、SRS-4040の方が透明感があり繊細な感じ。金管楽器はどちらも力強さに欠ける点が不満ではあるが、しっかり高い音を鳴らしてくれるし、美しい。打ち込み系の音の表現はどちらも苦手。SRS-4040の方が中高域〜高域の表現が明るくて良いが、EXH-313の方が音の厚みやスピード感で勝っている。得意分野が似ているため、あまり使い分けには向かないと思われるが、それでもあえて使い分けるなら、心地よさを重視するならEXH-313、繊細さを重視するならSRS-4040。
HD650
HD650はやや低音より、SRS-4040はやや高音より。低域は厚み・量ともにHD650の方がかなりある。中域はSRS-4040の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はHD650の方がやや量が多く金属的な鳴りに感じる。SRS-4040の方が線が細い。こうして見ると、この2機種を比較した場合にはHD650の方がドンシャリという表現をした方が良いのかもしれない。ただ、高域の違いは質的なもので、全体的に見て低域ほど明確な差は無い。分解能、音場感ともにSRS-4040の方がやや上。分解能は低域に邪魔されない上に線の細いSRS-4040の方が上に感じる。音の細部の描写も上だろう。音場感は、平面的な広さや明確さは全面駆動型のSRS-4040に分があるが、立体感ではHD650も負けていない。原音忠実性は微妙。どちらも基本的には原音に近い音を鳴らしながら、音楽鑑賞に適した味付けがされている点は似ている。HD650は音を丸めて心地よさを増しているのに対して、SRS-4040は低域をやや控え目にした上で線の細さを上げている。どちらもエッジはきつくなく非常に聴きやすい。ただし、どちらもサ行の音等は若干気にはなる。明瞭さはSRS-4040の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHD650の方がかなりある。温かみはHD650の方がかなり上、ヴォーカルの艶っぽさはどちらも非常に良いが、どちらかと言えばSRS-4040の方が良い。どちらも繊細だが、HD650の方が力強く、SRS-4040の方が線が細く繊細。この辺りはダイナミック型とコンデンサー型の違いが非常に明確に出ている印象。響きはHD650の方が豊か。弦楽器はどちらもうまい。チェロ等の低域を楽しみたいならHD650、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならSRS-4040。金管楽器は、力強さを求めるならHD650、細部の表現力を求めるならSRS-4040。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、低域が出る上に力強く音も太いHD650の方が合うように感じる。ただ、シャープな鳴りを求めるならSRS-4040の方が良いだろう。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、分解能や音場感が欲しい場合や特に室内楽等のクラシックはSRS-4040、それ以外はHD650か。或いは低域が欲しい場合はHD650、それ以外はSRS-4040という使い分けも有りだろう。
RS-1
RS-1はややドンシャリ、SRS-4040はやや高音より。超低域はSRS-4040の方がかなり出るが、厚みはRS-1の方がある。高域はどちらも質・量ともに最高レベル。分解能、音場感はSRS-4040の方が若干上。原音忠実性はRS-1の方がやや上。RS-1の方が原音の粗が感じられるし、コンデンサー型のような独特の質感も無い。どちらも聴き疲れしないが、どちらかといえばRS-1の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRS-1の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-4040の方が若干上。どちらも非常に繊細で柔らかい。ただ、RS-1はノリの良さもあるのに対して、SRS-4040は芯までとろけきった柔らかさ。響きはどちらも豊か。弦楽器はどちらも伸びが良く楽しめるが、SRS-4040の方がまろやかで心地よい。金管楽器はRS-1の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、どちらかといえばRS-1の方がメリハリがありうまい。RS-1はオールマイティー、SRS-4040はクラシックが非常に得意。使い分けるならポップスやロックはRS-1、それ以外はSRS-4040。
SR-007+SRM-717
どちらも非常にフラットだが、どちらかと言うとSR-007+SRM-717の方がドンシャリ。低い音は低く、高い音は高く鳴らす。中域はSRS-4040の方がはっきり聴こえるように感じるが、これはSR-007+SRM-717の方が低域が多いせいではなく、中域そのものの音の高さがSRS-4040の方がやや高いため。ただし、それほど顕著な差があるわけではない。分解能はほぼ互角。音の分離は、低域の多いソースではSRS-4040の方が良いように感じるが、基本能力はむしろSR-007+SRM-717の方が高い。とは言え微妙な差。微細な表現はどちらも素晴らしく、一聴してSRS-4040の方が線が細く良好に感じるものの、聴き込むとSR-007+SRM-717の方が粗がないように感じられる。音場感はSR-007+SRM-717の方がかなり良い。SRS-4040は耳の近くで鳴っているのがやや気になるのに対して、SR-007+SRM-717はそんなことはまったくないし、立体感があり非常に明確。原音忠実性はどちらもコンデンサー型独特の質感があることを除けば非常に良い。原音の粗が感じられない点等、良く似ている。エッジのきつさはほぼ同等だが、ヴォーカルのサ行の音等はSRS-4040の方がやや痛く、高域はSR-007+SRM-717の方がやや痛い。明瞭さは低域が少なくやや高めの中域を鳴らすSRS-4040の方がやや良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはSR-007+SRM-717の方がある。温かみはSR-007+SRM-717の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも非常に繊細だが、あえて差をつけるなら、SR-007+SRM-717が力強さを感じさせる点があるのに対して、SRS-4040はひたすら繊細。響きはどちらも豊かでそれほど差はないが、低域の響きはSR-007+SRM-717の方が豊か。弦楽器はどちらも非常に繊細かつ心地よいが、低域の量感があることからSR-007+SRM-717の方が全体的な表現はやや上のように感じる。金管楽器は微妙に違う表現だが、どちらもそれぞれ鮮やかで楽しめる。SRS-4040の方が(悪い意味ではなく)音が割れ、SR-007+SRM-717の方がシンプルな鳴らし方。打ち込み系の音の表現は、どちらも線が細い点が合わないような印象を受けるが、SR-007+SRM-717の方が低域の量感や音の厚みで勝っているためややうまい。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域の量感や音場感を求めるならSR-007+SRM-717、明瞭さや繊細さを求めるならSRS-4040。
SRS-2020
どちらもやや高音よりながら非常にフラット。低域は超低域までフラット、高域はやや強めで最高レベルの質。質的なものはSRS-4040の方が上。どちらかと言えばSRS-4040の方が高音よりに感じる。分解能はSRS-4040の方がやや上、音場感や原音忠実性はほぼ同等。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSRS-4040の方が若干上。SRS-4040の方が音の粒が細かく繊細。SRS-2020の方が若干曇ったような感じがある。響きはどちらも豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSRS-4040の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもSRS-4040の方が良い。違いは微妙ではあるが、決定的であることも確か。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
曲別HP探索
第11回 ナオミの中のもう一人の勇魚 乖離性同一性障害 そうはいっても飛ぶのは易しい
/「白倉由美作品集ベストセレクションシリーズVOL.3 S-nery リーディングストーリー 「東京星に、いこう」総集編」より
第22回 ブランデンブルク協奏曲/バッハ
第97回 空耳ケーキ/Oranges & Lemons
曲別HP探索2
第22回 唄の島/やなわらばー「歌ぐすい」より
第38回 渦/Kagrra,
第43回 チェンバロ協奏曲第1番ニ短調/バッハ
第45回 KNIGHT'S SONG/T-SQUARE「BLUE IN RED」より
第49回 クラリネット五重奏曲/モーツァルト
第69回 Morning Dance/Spyro Gyra「Morning Dance」より
第82回 桜の栞/AKB48
※生産終了。後継機はSRS-4040A。その後SRS-4170。
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
コンデンサー | 開放型 | 7Hz〜41kHz | 100dB | 144kΩ |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
295g | - | 2.5m | 両出し | ドライバとセット |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
5 | 4 | 2 | 1 | 3 | 1 | 均(高) | 98500円 |
公開日:2005.4.6