第97回 空耳ケーキ/Oranges & Lemons

 Oranges & Lemonsは伊藤真澄と上野洋子のユニットです。2人ともソロの歌手として、あるいは作曲家として活躍しています。
 今回取り上げるのはテレビアニメ「あずまんが大王」のオープニングテーマ曲「空耳ケーキ」です。ひとことで言えば女性ヴォーカルのポップスなのですが、かなり変わった曲です。雰囲気としてはとぼけたような脱力系とでも言えば分かりやすいでしょうか。楽器はドラムス、トランペット、ピアノ等色々使われているようですが、特別どの楽器が主役ということはありません。
 ヘッドホンとしては、ポップス向きの明るいもので、今回の曲の独特の雰囲気を出してくれるものが良いと思いますが、変わった曲なので聴いてみないと分からない面が大きいです。


・1台目 ATH-A900(audio-technica)
 今回の曲の雰囲気を良く出してくれるように感じたので選びました。明るい女性ヴォーカルとはなかなか相性が良いですし、比較的明瞭で硬く冷たい点が良い方向に働くようです。聴き疲れするかとも思ったのですが、十分許容範囲でした。
 色々聴いてみて思ったのですが、曇っているものや低域の量が多いものはあまり良くない傾向があるようです。今回の曲はある種チープな感じがあった方が雰囲気が出るようで、曇っていたり低域の量が多かったりするとそのチープな感じが出にくいようなのです。
 他にはRH-300、K181DJ、ATH-PRO700、SE-900D、HP-AURVN-LV、HP-M1000、PC-100等で聴いてみましたが、ATH-A900ほどには雰囲気が出ないように感じました。この中ではSE-900DとPC-100が良かったように思います。
 不満点は特にありませんが、もう少しフワフワした感じが出てくれると良いと思いました。

・2台目 KH-K1000(KENWOOD)
 1台目の不満点を踏まえて素直に選びました。
 基本的な音の傾向は1台目と似ていますし、1台目より耳から離れたところで音を鳴らす点がフワフワした感じを出すのに有効だと踏んだからです。
 実際に聴いてみると、耳から離れたところ云々はともかくフワフワした感じは多少良く出してくれるように思いました。また、声の表現がきめ細かくなり魅力的になります。各楽器の表現や分離も良くなり、全体的にランクアップしたような印象を受けます。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみるしかないと思います。

・3台目 SRS-4040(STAX)
 2台目を聴いた時点ではかなり満足していたのですが、更に色々聴いていく中でもう少し柔らかいものの方がフワフワした感じが出て良いような気がしてきました。基本的にはある程度明瞭でシャキシャキしている方が今回の曲との相性は良いので、シャキシャキとフワフワの両立という難題に突き当たったような気がしました。とりあえずシャキシャキ重視なら1、2台目で良いと思ったので、3台目はもう少しフワフワを重視してみることにしました。
 K701、RS-1、SR-007+SRM-717等いくつか良いものが見つかり、どれにするか迷ったのですが、最終的にはSRS-4040になりました。決め手は「脱力」です。SRS-4040が最も脱力できるように感じたのです。フワフワと近いようにも思いますが、SRS-4040の良さはフワフワと言うより脱力と言った方が近い気がします。贅沢を言うならSRS-4040の音でSR-007+SRM-717の音場があれば良かったのですが、ないものは仕方ありません。


 いつものことですが、今回の曲もどういう点を重視するかによって選ぶヘッドホンが変わってきます。シャキシャキ重視ならKH-K1000、脱力重視ならSRS-4040、その中間ならK701、RS-1、SR-007+SRM-717といった感じです。ただし、どの機種にしてもシャキシャキ、フワフワ、脱力といった条件をある程度は満たしていると思います。
 なお、シャキシャキと言ってもHFI-780のようなヘッドホンは硬く締まりすぎてギスギスするような印象で、フワフワや脱力という点で良くありません。
 好みに合わせて選んでください。


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