SE-A1000

音質
 ややドンシャリ。低域は超低域までしっかり出る上、厚みも量も開放型にしてはかなりのものだが、ややぼやけ気味。中域は多少埋もれ気味だが、通常の音楽鑑賞や映画鑑賞ではそれほど問題にはならないだろう。高域は十分出るが、低域ほど豊かではない。
 分解能、音場感は価格なりといった感じだが、耳の近くで音が鳴っているのが気になる人も多いかもしれない。原音忠実性はいまいちだが、これは元々原音忠実など眼中にない音作りをしたためだろう。原音に忠実でないと言っても、特に不快な印象は受けない音。エッジはきつくなく聴きやすいが、適度な刺激はある。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてなかなか良い。サラサラした独特の透明感のようなものが楽しめるが、これがザラザラに感じて合わない人もいるかもしれない。かなりノリが良い上、繊細さも持ち合わせている。響きは豊か。
 弦楽器は伸びの良さと響きの豊かさで心地よさが前面に出すぎているきらいはあるが、最低限の線の細さは持っている。金管楽器はなかなか鮮やかで芯の通った鳴らし方をする。打ち込み系の音の表現はなかなかうまいが、切れを求める人には合わない。
 音楽鑑賞と映画鑑賞の両方に使いたいと考えている人にはコストパフォーマンス最高の素晴らしい機種。

装着感
 良好。側圧は普通で、フリーアジャストのヘッドバンドも煩わしくないレベル。重量も重くはなく、ずれにくいこともあり、長時間使用しても疲れない。
 イヤーパッドは耳をすっぽり覆うサイズで、左右方向の角度調節ができないがあまり気にならない。材質はジャージ素材で肌触りが良く、しかも蒸れない。全体的にK501をゆるくしたような装着感。
 ハウジングが大きいため視界に入るのが気になる。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作り、デザインともになかなか良い。
 ホームシアターヘッドホンという売り文句のため敬遠している人も多いようだが、無用の心配。音楽鑑賞に十分使える機種。オーディオ銘機賞受賞はだてではない。個人的には、購入するかどうかかなり迷ったのだが、買って良かったと断言できる機種。
 プラグは金メッキのミニプラグ、コードの太さは約4mm、布巻きで扱いやすいが、6mと長めなのは短所になっている気がする。ただし、メーカーもそのあたりは考えたようでコードストラップが付属している。イヤーパッドのサイズは、外周110mm×110mm、内周60mm×60mm、深さ14mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
キャリングポーチ
コードストラップ



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第9回 予算2万円の開放型ヘッドホン比較』
不定期コラム『第21回 映画鑑賞向きのヘッドホン』
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第62回 ヘッドホンの重さのメーカー公称値と実際』

周波数特性グラフ


比較メモ
DT860
DT860はやや高音よりのドンシャリ、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。全体的にDT860の方がややフラット。低域はSE-A1000の方が量が多い。中域はDT860がややうわずり気味ではっきり聴こえてくるのに対して、SE-A1000はやや低めの音で低域に埋もれ気味。高域はSE-A1000の方が高い音を鳴らすが、ややシャリつく。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT860の方が上。微細な描写、音の分離ともにDT860の方が上で、SE-A1000ほど作ったような感じはしない音。音場は、DT860の方が耳から離れたところで音を鳴らしてくれるだけでなく、明確。SE-A1000の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT860の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しい。DT860の方がタイト、SE-A1000の方がぼやけ気味。どちらもサラサラした質感がある点は似ている。温かみは低域の量が多く柔らかいことからSE-A1000の方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはDT860の方がやや上のように感じるが、それほど大きな差はない。ノリの良さにしろ繊細さにしろDT860の方がやや上。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器は心地よさではSE-A1000の方がやや上かもしれないが、繊細さはDT860に分がある。金管楽器はSE-A1000の方が高い音を鳴らすが、ややチープ。力強さではDT860の方が上。打ち込み系の音の表現はDT860の方がうまい。厚み、切れ、スピード感で上回る。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはDT860で、低域が欲しいときだけSE-A1000。

DT990PRO
どちらもドンシャリだが、SE-A1000の方がフラット。低域は、特に超低域がDT990PROの方が強く、大抵のソースでは一段低い音を鳴らすように感じる。高域は量はそれほど差がないが、DT990PROの方が細い高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT990PROの方が若干上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはDT990PROの方がやや上。厚みはSE-A1000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良い上、少し方向性の違う音なので表現に困るが、DT990PROは低域が強いわりには温かみより刺激が前面に出てくるのに対して、SE-A1000は音が太いわりには繊細さを感じさせる。SE-A1000の方がノリが良い。響きはSE-A1000の方が豊か。SE-A1000の方が太い音。弦楽器は原音に近いのはDT990PROだが、SE-A1000の方が心地よい。金管楽器はDT990PROの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方がうまい。得意分野はDT990PROがジャズ、SE-A1000がポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT990PRO、ポップスやロックはSE-A1000だと感じるが、聴き疲れしても良いならDT990PRO、聴き疲れしたくないならSE-A1000という使い分けもかなり有効だろう。

HFI-2200ULE
どちらもややドンシャリ。低域の量はかなり近いが、HFI-2200ULEの方が若干低い音を鳴らすし、厚みもある。SE-A1000の方が柔らかくぼやけている印象。中域はどちらもやや低域に負けるが、HFI-2200ULEの方が低域に埋もれないように感じる。高域はHFI-2200ULEの方がやや高くて目立つ。分解能及び音場感はHFI-2200ULEの方が上。原音忠実性は、癖のなさという意味ではSE-A1000の方が良いが、原音の実体感のようなものはHFI-2200ULEの方が感じられる。HFI-2200ULEの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-2200ULEの方が上。厚みはHFI-2200ULEの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは微妙。どちらもなかなか良いが、HFI-2200ULEはかすれが気になることがあるし、SE-A1000は柔らかい低域でぼやけた印象を受けることがある。どちらも基本的にノリが良く、それでいて繊細さも持っているが、ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならSE-A1000。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器はどちらも悪くないが、どちらかと言えばSE-A1000の方が繊細で、柔らかい質感で心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、HFI-2200ULEの方が鮮やかさで勝っているだけでなく力強い鳴らし方。打ち込み系の音の表現は、ウォームさや低域の締まりの無さが合わない点が良く似ているが、どちらかと言えばHFI-2200ULEの方が相性が良いように感じる。使い分けるなら、聴き疲れや癖を嫌うならSE-A1000、そうでなければHFI-2200ULE。

HI2050
HI2050はやや高音より、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。低域はSE-A1000の方がある程度量が多い。SE-A1000の方が柔らかい質で存在感がある。重心はSE-A1000の方が低い。中域は基本的にはHI2050の方がはっきり聴こえてくるが、ソースによってはSE-A1000の方が不要な芯が通っている感じで目立つことがある。高域はHI2050の方が若干量が多い。SE-A1000の方がざらつく感じ。分解能はHI2050の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとHI2050の方が勝っている。音場感は、SE-A1000の方がやや広く、HI2050の方が若干明確。HI2050の方が音像がシャープ。SE-A1000の方が広がりが感じられる。原音忠実性はHI2050の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはHI2050の方が若干感じられる。エッジはHI2050の方がややきつく、聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHI2050の方がやや鋭く刺さる。明瞭さはHI2050の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはSE-A1000の方が若干あるが、それよりもHI2050の方が硬く締まっている点に目が行く。温かみはSE-A1000の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。柔らかく鳴らして欲しいならSE-A1000の方が合うことが多い。どちらもノリが良い傾向。HI2050の方が切れやスピード感がある。SE-A1000の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはSE-A1000の方がやや豊か。弦楽器はHI2050の方がやや繊細。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならHI2050の方がやや良いが、チェロやコントラバスを濃厚に鳴らして欲しいならSE-A1000の方がやや良い。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、HI2050の方が細く硬く締まったような質。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性は大差ない。切れはHI2050の方がやや上だが、SE-A1000は厚みや低域の量感で聴かせてくれることがある。使い分けるなら、切れや明瞭さを求めるならHI2050、響きや低域の量を求めるならSE-A1000。

HP1000
どちらもドンシャリ気味だが、低音の厚みは若干SE-A1000の方があるように感じる。これはどちらかというとHP1000が薄いようにも思う。HP1000は中域が凹んでいるわけではないが、SE-A1000はやや凹んでいる。分解能、音場感ともにHP1000の方が良好。どちらもあまり原音に近いとはいえず、意図的に味付けしてある。味付けは、SE-A1000が聴きやすさと迫力、HP1000が温かみと刺激。どちらかと言えばHP1000の方が自然で原音に近い。SE-A1000の方がエッジがきつくなく聴きやすいが、HP1000も刺激として楽しめる範囲。どちらもそこそこ明瞭だが、どちらかと言えばHP1000の方が明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP1000の方が上。ノリの良さでは低域の厚みがある分SE-A1000の方が上。響きはSE-A1000は豊か、HP1000は適度。弦楽器はHP1000、金管楽器はSE-A1000の方が美しい。使い分けるならSE-A1000は打ち込み系等のポップス、HP1000はそれ以外といった感じか。

HP-850XB
HP-850XBは低音より、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。低域はSE-A1000の方が重心が低く厚みもある。中域はSE-A1000の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はSE-A1000の方が高く鋭い音で量も多い。分解能はSE-A1000の方が上。音場感は微妙。HP-850XBの方が普通に良い印象だが、SE-A1000の方が癖があるものの明確な面もある。原音忠実性はSE-A1000の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。エッジはSE-A1000の方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-A1000の方がかなり上。厚みはSE-A1000の方がある。温かみは、HP-850XBの方が薄く曇った音で感じられる面もあるが、その点を除けばむしろSE-A1000の方が良いとも感じる。ヴォーカルの艶っぽさはSE-A1000の方が上。SE-A1000の方がかなりノリが良い。響きは、低域はHP-850XBの方が豊か、高域はSE-A1000の方が豊か。弦楽器はSE-A1000の方がうまい。HP-850XBは生楽器らしさが不足。金管楽器はSE-A1000の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方がうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはSE-A1000、よほど聴き疲れを避けたいときや高域が控え目な方が良いときだけHP-850XB。

K530
K530はかなりフラット、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。低域はSE-A1000の方が若干量が多い。SE-A1000の方が柔らかい質で存在感がある。重心はSE-A1000の方がやや低い。中域は低域が少ない分どちらかと言うとK530の方がはっきり聴こえてくる。SE-A1000の方が中域が引っ込んでいる感じ。高域はほぼ同量。どちらも明るい質で目立つが、SE-A1000の方が音色に癖がある上、ざらつく感じ。分解能は大差ないが、どちらかと言うとSE-A1000の方が上。音の分離はK530の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はSE-A1000の方が若干上。音場感は、広さは大差ないが、明確さはK530の方がやや上。SE-A1000の方が近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はK530の方が若干上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはSE-A1000の方が若干感じられる。エッジはK530の方がきつく聴き疲れしやすいが、これは音の硬さからくるもので、SE-A1000の方がザラザラしていて粗っぽく不快に感じられる人もいるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK530の方がやや痛い。明瞭さはK530の方が若干上、音の鮮やかさはSE-A1000の方が若干上。厚みはSE-A1000の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-A1000の方がやや感じられる。ただし、ヴォーカルはSE-A1000の方が艶を上乗せするような不自然さがあるし、明るい女性ヴォーカルは不要な芯が通っている感じが気になることもある。どちらかと言うとSE-A1000の方がノリが良い。低域に基づく迫力や力強さがある。ただし、切れやスピード感はK530の方がある。響きはSE-A1000の方がやや豊か。K530の方が付帯音が少なく無機質に感じられる。SE-A1000の方が雰囲気や情感といったものを出してくれる。弦楽器は、K530の方が音色が自然、SE-A1000の方が心地よい。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならK530の方が良いが、チェロやコントラバスを心地よく聴きたいならSE-A1000の方が良い。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、K530の方が癖がなく綺麗、SE-A1000の方が力強い。打ち込み系の音の表現はK530の方が若干うまい。付帯音が少ないぶん相性が良い印象。使い分けるなら、癖のなさや明瞭さを求めるならK530、温かみや響きを求めるならSE-A1000。

MDR-F1
MDR-F1は低音より、SE-A1000はドンシャリ。低域は全体的にSE-A1000の方が出るが、特に厚みは段違い。高域もSE-A1000の方がかなり出る。SE-A1000の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-A1000の方が上。どちらも聴きやすいが、どちらかと言うとSE-A1000の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-A1000の方が上。SE-A1000の方がノリが良くしかも繊細。MDR-F1は曇ったような不鮮明さが気になる。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音すべてSE-A1000の方が魅力的。得意分野はMDR-F1はロック、SE-A1000はポップス。何を聴くにしてもSE-A1000の方が良いように感じる。

MDR-MA900
MDR-MA900はややドンシャリ、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。低域はSE-A1000の方がやや量が多い。SE-A1000の方が厚みや量感のあるしっかりした質。重心はSE-A1000の方がやや低い。中域はMDR-MA900の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にはMDR-MA900の方が癖がない。ソースによってはSE-A1000の方が若干不要な芯が通っている感じが気になることがある。高域はSE-A1000の方が若干量が多い。SE-A1000の方がざらつく感じ。分解能はMDR-MA900の方が若干上。音の分離はMDR-MA900の方が若干上。一つ一つの音の微細な描写はSE-A1000の方が若干良いように感じられることもあるが、MDR-MA900の方が粗なく丁寧にこなしてくれる。音場感はMDR-MA900の方が若干広く明確。MDR-MA900の方が見晴らしが良く把握しやすい。SE-A1000の方が近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はMDR-MA900の方が若干上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはSE-A1000の方が若干感じられる。エッジはSE-A1000の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろSE-A1000の方がやや痛い。明瞭さはMDR-MA900の方が若干上、音の鮮やかさはSE-A1000の方が若干上。厚みはSE-A1000の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-A1000の方が若干感じられる。ヴォーカルは、MDR-MA900の方が癖がなく聴きやすい、SE-A1000の方が擦れやリップノイズを出してくれる。SE-A1000の方がノリが良い。耳元でガンガン鳴らす感じ。SE-A1000の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはSE-A1000の方がやや豊か。弦楽器は、MDR-MA900の方が音色が自然、SE-A1000の方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器はSE-A1000の方が鮮やかだが、やややりすぎな感がある。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はSE-A1000の方が若干上だが、付帯音の多さが合わないことも多い。使い分けるなら、原音忠実性や聴き疲れのなさを求めるならMDR-MA900、音の鮮やかさやノリの良さを求めるならSE-A1000。

MHP-AV1
MHP-AV1はややドンシャリ、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。低域はSE-A1000の方が重心が低く厚みがある。MHP-AV1の方が薄く曇っていてぼやけているような感じ。全体的な量としてはMHP-AV1の方がやや多いように感じる。中域はSE-A1000の方が低域の曇りに覆われず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMHP-AV1の方がやや細く高い音。SE-A1000の方が金属的で明るい音。分解能はSE-A1000の方が上。音場感はSE-A1000の方がやや広く明確。原音忠実性はSE-A1000の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。SE-A1000の方がややエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-A1000の方が上。MHP-AV1は薄く曇っているように感じる。厚みはSE-A1000の方がある。温かみは低域の曇りのおかげでMHP-AV1の方が感じられる面もあるが、リアルな温かみという意味ではSE-A1000の方がある。ヴォーカルの艶っぽさは、MHP-AV1の方が落ち着いた音でスモーキーな感じが良い面もあるが、SE-A1000の方が細かい表現をこなしてくれる。SE-A1000の方がノリが良い。響きはMHP-AV1の方がやや豊か。弦楽器はSE-A1000の方がうまい。MHP-AV1は生楽器らしさが足りない。金管楽器はSE-A1000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方がうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、基本的にはSE-A1000、聴き疲れや高域の刺激を避けたいときだけMHP-AV1。

PROline2500
どちらもドンシャリで、開放型とは思えないほど低音が豊か。どちらも超低域まで出るが、全体的にPROline2500の方が若干大きめ。高域は若干PROline2500の方が出る。分解能、音場感はPROline2500の方がやや良い。どちらも原音忠実性より如何に楽しく聴かせるかを狙った音作り。PROline2500の方がエッジがきつくサ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みや密度はPROline2500の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを両立させている。響きはPROline2500の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器いずれもPROline2500の方が若干良いように感じる。SE-A1000も悪くはないが、ソースによっては安っぽくなってしまう。打ち込み系の音の表現は若干PROline2500の方がうまい。SE-A1000は独特のサラサラした感じが魅力なのに対して、PROline2500は厚みのある濃い音が魅力。どちらもかなりオールマイティーだが、あえて得意分野を挙げるならポップス。使い分けるなら、ジャンルで分けるよりも気分で使い分けたほうが良さそう。

RP-HT770
SE-A1000はドンシャリ、RP-HT770は低音より。超低域はSE-A1000の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。ただ、どちらもやや癖があるようで、SE-A1000はややぼわつく感じ、RP-HT770はかなり曇った感じになる。高域は圧倒的にSE-A1000の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-A1000の方が上。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、RP-HT770の方が芯の通った感じがありやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はSE-A1000の方がかなり良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかといえばSE-A1000の方が上。SE-A1000はノリの良さと繊細さを併せ持っているという感じだが、RP-HT770はノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはSE-A1000の方が豊か。SE-A1000は良くも悪くもサラサラした感触があるが、RP-HT770はない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-A1000の方が魅力的。弦楽器はRP-HT770には嫌味のある癖が出るが、SE-A1000はない。金管楽器はSE-A1000にはPioneerらしい癖があるが、それが気にならない人には非常に魅力的といえるだろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-A1000の方が上。RP-HT770は曇った感じと嫌味がかなりマイナス。

SE-M390
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はSE-M390の方がやや重心が低い。量的にはほぼ同量。中域はSE-A1000の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSE-M390の方が高く鋭い音で粗がある。分解能はほぼ同レベル。音場感はSE-A1000の方が広く明確。原音忠実性はSE-A1000の方がやや上。SE-M390の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはSE-M390の方が上。厚みはSE-A1000の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルは、SE-A1000がソースによっては少しキンキンするようなことがあるのに対して、SE-M390は擦れが気になる。どちらもノリが良いが、SE-A1000の方が制御されている印象。響きはほぼ同レベル。SE-A1000の方が音に芯が通っている。どちらもサラサラした感じがあるが、SE-A1000の方が粗がない。弦楽器はSE-A1000の方がうまい。SE-M390は余計な音を鳴らす感じが気になる。金管楽器はSE-M390の方が鮮やかだが、少しやりすぎな感もある。打ち込み系の音の表現は、SE-A1000の方がうまい。SE-M390の派手さも良いのだが、音が割れたり制御できていない部分が目立つ。使い分けるなら、基本的にはSE-A1000、粗があっても良いから高域の鮮やかさを取るならSE-M390。

SHP8900
どちらも低音よりのドンシャリ。メーカーが違う割には似た音を鳴らす。低域はSE-A1000の方がやや柔らかくぼやけている。SHP8900の方が圧力があり、ガツンとくる感じ。量は同程度。中域はSHP8900の方がやや高い音で、ソースによっては張り出すような感じで目立つ。高域はSE-A1000の方が硬く鋭い音。量は同程度。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばSE-A1000の方が良いか。音の分離はほぼ互角、一つ一つの音の微細な描写はSE-A1000の方が若干こなしてくれる。音場感は広さや明確さより質に違いを感じる。SHP8900の方が前方定位する感じ。SE-A1000の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばSHP8900の方が良い。SE-A1000の方が中高域から高域に癖がある。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはSE-A1000の方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベルだが、どちらかと言えばSHP8900の方が上。音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みもほぼ同レベルだが、どちらかと言えばSHP8900の方が上。温かみはSE-A1000の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはSE-A1000の方がやや上。どちらもかなりノリが良いが、どちらかと言えばSE-A1000の方がおとなしく繊細さを感じさせる。どちらもサラサラした質感である点が似ている。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器はSE-A1000の方がややうまい。繊細かつ心地よいし、伸びも良い。金管楽器はどちらも鮮やかで楽しめるが、SE-A1000の方が良くも悪くも芯が通っている感じ。打ち込み系の音の表現はSHP8900の方がややうまい。低域の質感や切れに差がある。ある程度似ているので使い分けにはあまり向かないが、あえて使い分けるなら、温かみや繊細さ重視ならSE-A1000、低域の締まりや爽やかさ重視ならSHP8900。

SR-60
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は鳴らし方がかなり違うので一概には言えないが、SR-60の方が素直に全体的に鳴らす印象。高域はSE-A1000の方がやや強め。分解能はSE-A1000の方が若干良い。音場感はSE-A1000の方がかなり広く明確。原音忠実性はSR-60の方がやや上に感じられる。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてほぼ互角だが、SE-A1000の方が若干良いように思う。どちらも基本的にはノリが良いのだが、繊細さも持ち合わせている。響きはSE-A1000の方が豊かで、音に広がりがある。SR-60の方が音がやや太く、ストレートに耳に届く。弦楽器はSE-A1000の方が繊細で心地よい。金管楽器は基本的にはSE-A1000の方が高く鮮やかなのだが、Pioneer独特の癖があるのは確か。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方が若干うまいように感じる。得意分野はSE-A1000がポップス、SR-60がロック。使い分けるなら、ロックはSR-60、それ以外はSE-A1000か。ただし、SE-A1000よりSR-60の方が癖のない音ではあるので、SE-A1000はSR-60と比べると合わないと言う人も多そう。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索
第7回 So What/Miles Davis「Kind of Blue」より
第21回 澪音の世界/Sound Horizon「Elysion〜楽園への前奏曲〜」より
第46回 Have a nice day/BON JOVI「HAVE A NICE DAY」より
第69回 夢ノエンアレ/PE'Z「千歳鳥」より

曲別HP探索2
第2回 Svefn-G-Englar/Sigur Ros「Agaetis Byrjun」より
第15回 恋の面影/菊地成孔「南米のエリザベス・テイラー」より
第38回 渦/Kagrra,
第61回 交響曲第9番ニ短調/ベートーヴェン
第73回 メサイア/ヘンデル













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 10Hz〜30kHz 102dB 45Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
280g 50mm 6m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4 4 2 2 4 1 低(高) 12700円

TOP > ヘッドホンレビュー > SE-A1000

公開日:2004.12.12