K530

音質
 そこそこフラットだが、どちらかと言うと高音より。低域は中域とほぼ同量。あまり癖のない質だが、存在感はやや控え目。量感や厚みよりは締まりや制動の方が感じられる質。重心の低さは普通。中域は低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域は若干多め。硬く明るい質で目立つ。線は太くも細くもない。
 分解能は価格なり。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろそれなりだが、どちらかと言うと音の分離の方が優れている。音場感は、広さは普通からやや広め、なかなか明確で癖がなく把握しやすい。原音忠実性はそれなりと評価すべきかなかなか良いと評価すべきか迷うところ。一聴して大きな違和感はない。原音の粗や生っぽさは必要量といった感じ。エッジのきつさは普通で、聴き疲れは特に問題ないレベル。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通。温かみはそれなりと評価すべきかいまいちと評価すべきか迷うところ。ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルはどちらかと言うと明るめで、柔らかくしっとりと鳴らして欲しい場合には合わない。ノリが良いとか繊細とかいうことよりも、硬めであっさりしている点に目が行く。低域に基づく迫力や力強さよりも切れやスピード感の方が良い印象。響きはややあっさり。付帯音が少なくやや無機質な感じ。
 弦楽器はやや硬い点が気になるが、それを除けばあまり癖がなく普通に聴ける。金管楽器はなかなか鮮やかで金属的な質感をある程度出してくれる。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。音の質感の相性や切れがなかなか良い。低域の質や厚みがもう少し良ければなお良かっただろう。
 暗さや重さを求める曲にはあまり合わないが、比較的バランス良くまとまっている機種。ロック・ジャズよりはポップス・クラシック向き。

装着感
 良好。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力は普通。重い、ずれやすいといった不満はない。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズ、上下左右に角度調節ができるが、調節できる幅があまり広くない。材質はレザータイプの人工皮革で、硬い・肌触りが悪い等の不満はない。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。普通の開放型レベル。
 作りは価格なり。デザインは悪くないが、ハウジングが白く光沢のあるプラスチックで個性的なので合わないと感じる人もいるだろう。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、柔らかく扱いやすい。イヤーパッドのサイズは、外周106mm×106mm、内周62mm×62mm、深さ20mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
K514
K514はやや高音より、K530はかなりフラット。低域はK530の方がやや量が多い。質的にはそれなりに似ていて、K530の低域はK514の低域をそのまま増やしたような感じ。重心はK530の方が若干低い。中域は低域が少ない分どちらかと言うとK514の方がはっきり聴こえてくる。中高域はK530の方がややしっかり出る。高域はほぼ同量。K514の方が細く明るい質。分解能はほぼ同レベル。音の分離はK530の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はK514の方が若干上。音場感はK530の方がやや広く明確。原音忠実性はK530の方がやや上。周波数特性上の癖のなさでやや勝っている。原音の粗が感じられる度合いは大差ないが、生っぽさはK530の方がやや感じられる。エッジはK514の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はK514の方がやや細く刺さる、ヴォーカルのサ行の痛さは大差ない。明瞭さはK514の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはK530の方がややある。温かみは低域が多い分K530の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。K514の方がやや線が細い、K530の方がやや癖がなく聴きやすい。どちらも明るく爽やかな傾向だが、K530の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはK514の方がやや豊か。弦楽器はK530の方がやや心地よく、音色も自然。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、K514の方が細く明るい、K530の方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はK530の方がややうまい。K514は線の細さや低域不足が気になることがある。使い分けるなら、基本的にはK530、K530では低域の量が多すぎるとか線が太いという不満があるならK514。

K701
どちらもかなりフラット。低域はK530の方が若干量が多い。全体的に出る感じで大抵のソースではK530の方が存在感があるが、量が多い分ぼやけることが多い。重心はK530の方が若干低い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、K530の方が質的に硬い分はっきり聴こえてくるのに対して、K701の方が低域が少ない分はっきり聴こえてくる。高域はほぼ同量だが、どちらかと言うとK530の方が量が多い。K530の方がやや硬く明るい質。分解能はK701の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はK701の方がやや広く明確。音場的な意味でもK701の方が分離が良いように感じられる。原音忠実性はK701の方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはK530の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK530の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が感じられる。ヴォーカルはK530の方が擦れやリップノイズを出してくれる、K701の方が癖がなく聴きやすいし伸び伸び鳴らしている印象。K530の方がノリが良く、K701の方が繊細。K530の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは基本的にはK701の方がやや豊かだが、低域はK530の方がやや豊か。K530の方が付帯音が少なく無機質に感じられる。K701の方が雰囲気や情感といったものを出してくれる。弦楽器はK701の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。ただし、ヴァイオリン等を硬く澄んだ感じに鳴らして欲しい場合や、チェロやコントラバスの量感を求める場合にはK530の方が良い。金管楽器はK530の方がやや金属的。打ち込み系の音の表現はK530の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、基本的にはK701、K701では低域の量が少ないとか音が柔らかすぎるという不満があるならK530。

SE-A1000
K530はかなりフラット、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。低域はSE-A1000の方が若干量が多い。SE-A1000の方が柔らかい質で存在感がある。重心はSE-A1000の方がやや低い。中域は低域が少ない分どちらかと言うとK530の方がはっきり聴こえてくる。SE-A1000の方が中域が引っ込んでいる感じ。高域はほぼ同量。どちらも明るい質で目立つが、SE-A1000の方が音色に癖がある上、ざらつく感じ。分解能は大差ないが、どちらかと言うとSE-A1000の方が上。音の分離はK530の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はSE-A1000の方が若干上。音場感は、広さは大差ないが、明確さはK530の方がやや上。SE-A1000の方が近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はK530の方が若干上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはSE-A1000の方が若干感じられる。エッジはK530の方がきつく聴き疲れしやすいが、これは音の硬さからくるもので、SE-A1000の方がザラザラしていて粗っぽく不快に感じられる人もいるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK530の方がやや痛い。明瞭さはK530の方が若干上、音の鮮やかさはSE-A1000の方が若干上。厚みはSE-A1000の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-A1000の方がやや感じられる。ただし、ヴォーカルはSE-A1000の方が艶を上乗せするような不自然さがあるし、明るい女性ヴォーカルは不要な芯が通っている感じが気になることもある。どちらかと言うとSE-A1000の方がノリが良い。低域に基づく迫力や力強さがある。ただし、切れやスピード感はK530の方がある。響きはSE-A1000の方がやや豊か。K530の方が付帯音が少なく無機質に感じられる。SE-A1000の方が雰囲気や情感といったものを出してくれる。弦楽器は、K530の方が音色が自然、SE-A1000の方が心地よい。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならK530の方が良いが、チェロやコントラバスを心地よく聴きたいならSE-A1000の方が良い。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、K530の方が癖がなく綺麗、SE-A1000の方が力強い。打ち込み系の音の表現はK530の方が若干うまい。付帯音が少ないぶん相性が良い印象。使い分けるなら、癖のなさや明瞭さを求めるならK530、温かみや響きを求めるならSE-A1000。

T-7M
どちらもかなりフラット。低域はK530の方が若干量が多い。どちらもあまり癖のない質だが、K530の方がやや薄く曇ったような質。重心はT-7Mの方が若干低い。中低域はK530の方がややしっかり出る。中域は低域が少ない分どちらかと言うとT-7Mの方がはっきり聴こえてくる。高域はK530の方が若干量が多い。T-7Mの方が線が細く粗がない。分解能はT-7Mの方が若干上。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はT-7Mの方が若干上。音場感はK530の方がやや広い。明確さはほぼ同レベル。原音忠実性はT-7Mの方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはT-7Mの方が若干感じられる。エッジはK530の方が若干きつく、やや聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK530の方が若干痛い。明瞭さはT-7Mの方が若干上、音の鮮やかさはK530の方が若干上。厚みはK530の方がややある。温かみはK530の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはT-7Mの方がやや上。ヴォーカルはT-7Mの方が線が細く透明感がある。K530の方がノリが良く、T-7Mの方が繊細。K530の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはT-7Mの方がやや豊か。T-7Mの方が響きが綺麗で伸び伸びしている。弦楽器はT-7Mの方が繊細で、音色も自然。金管楽器は、K530の方が太く力強い、T-7Mの方が細く綺麗。K530の方がやや金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はK530の方がややうまい。音の質感の相性や厚みでやや勝っている。使い分けるなら、低域の量や厚み重視ならK530、原音忠実性や繊細さ重視ならT-7M。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索2
第35回 Let Life Loose/Daishi Dance「the P.I.A.N.O.set」より





※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 半開放 17Hz〜26.5kHz 102dB 55Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
245g - 3m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3.5 4 2 2 4 1 9900円

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公開日:2010.11.22

※生産終了