K514

音質
 高音より。低域はローエンドが弱く、全体的な量も少ない。中域は低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくる。うわずったりもせず好印象。高域はかなり鮮やかで美しい。やや硬く金属的。ただ、もう少し線の細い音の方が好ましいという人も多そう。
 分解能は価格なりからやや悪いレベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろある程度はこなしてくれるが、決して良くはない。音場感は広さ・明確さともにいまいちだが、特別悪いと言うほどではない。原音忠実性はいまいち。低域が少なく高域に多少の癖があるのが難点だし、原音の粗や生っぽさもあまり感じられない。ただ、全体的なバランスはそれほど悪くはない。エッジのきつさは普通で、聴き疲れは特に問題ないレベル。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良いが、厳しく見るとソースによっては中域がやや曇っているように感じられることがある。厚みはやや薄め。温かみは低域不足なこともあってあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、どちらかと言うと明るく爽やかな鳴らし方。響きはややあっさり。
 弦楽器はやや硬くて心地よさに欠けるが、澄んだ感じを楽しみたいときにはそれなりに良いだろう。金管楽器はなかなか鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はそれなり。音の質感の相性や高域の明るさは良いのだが、低域の量や迫力が足りない。
 コストパフォーマンスが良いとは言いがたいが、高域の表現は魅力。

装着感
 良好。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力はやや弱め。ヘッドバンドやイヤーパッドの接触面積は普通にあるし、比較的フィットする構造の上に軽いこともあり、かなりずれにくい。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズ、上下左右に角度調節ができるが、調節できる幅があまり広くない。材質はレザータイプの人工皮革で、硬い・肌触りが悪い等の不満はない。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。普通の開放型レベル。
 作りは価格の割にはやや安っぽいが、デザインやカラーリングで安っぽさが緩和されている印象。デザインは多少変わっているが、なかなか良いと言えるだろう。
 プラグはミニプラグ。コードの太さは約3.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周102mm×84mm、内周54mm×38mm、深さ16mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
HP-AK101
HP-AK101はやや低音より、K514は高音より。低域はHP-AK101の方がやや多い。HP-AK101の方が柔らかくぼやけている感じ、K514の方が薄く目立たない感じ。中域はK514の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。HP-AK101はうわずったり張り出したりする感じが気になることがあるが、K514はそんなことはない。中高域はHP-AK101に癖があり、妙に量が多い印象。高域はK514の方が高く硬い音を鳴らす。HP-AK101の方がかなり粗が気になる。分解能はK514の方が上。音場感はHP-AK101の方が広く明確。原音忠実性はK514の方が上。HP-AK101は明らかに原音と違う音を鳴らすことがあるが、K514は比較的そういうことは少ない。また、HP-AK101はK514と比べると余計な音を鳴らしている印象を受ける。エッジのきつさや聴き疲れははほぼ同レベル。ただ、質感の違いがかなり大きいので、ソースによっては多少優劣が出ることもある。例えば、HP-AK101はザラザラした感じで疲れることがあるし、K514は硬質な高域で疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはK514の方が上。厚みはHP-AK101の方がある。温かみはHP-AK101の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは同レベルだが、HP-AK101はうわずったり張り出したりすることがある点が気になる。ノリの良さならHP-AK101、繊細さならK514。響きはHP-AK101の方が豊か。弦楽器はHP-AK101の方が柔らかく心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを求めるならK514の方が良い。金管楽器は、量的にはHP-AK101の方が多いのだが、質的にはK514の方が綺麗で癖が少なく楽しめる。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はK514の方が良いのだが、ノリの良さ等でHP-AK101の方が楽しめることも多い。使い分けるなら、シンプルで余計な音を鳴らして欲しくないならK514、そうでもないならHP-AK101。

K501
どちらも高音より。低域は質的にも量的にもそれなりに近いが、K514の方が薄く曇ったような質。中域はどちらも低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくるが、K514の方がやや低い音で若干低域の薄い曇りに覆われる感じ。高域はどちらも非常に美しい。K501の方が細く繊細、K514の方が金属的。分解能はK501の方が上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感はK501の方が広く明確。一聴してはっきり違いが分かるレベル。原音忠実性はK501の方がやや上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに多少差がある。K514の方がややエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはK501の方が上。K514はK501と比べると薄く曇っているように感じる。とは言え、これはK501が明瞭すぎると言うべきだろう。絶対値としては、K514もかなり明瞭。音の鮮やかさは微妙。K514の高域の金属的な質感が発揮されるようなソースであれば、K514の方が鮮やかに感じられるときもあるが、基本的にはK501の方が鮮やかだと思って良いだろう。厚みはK501の方がやや上。温かみはK514の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。線の細い感じを好むならK501の方が良いだろうが、K514の方が落ち着いた表現で適度に柔らかく良いと感じる人も多いだろう。ノリの良さならK514、繊細さならK501。響きはK514の方が若干豊か。弦楽器はK501の方がうまい。繊細さに差がある。金管楽器はK514の方が金属的な鮮やかさがあるが、K501の方が美しい。打ち込み系の音の表現はK514の方がうまい。K501は線が細すぎる。使い分けるなら、基本的にはK501、K501では線が細すぎたり明瞭すぎたりするならK514。

K530
K514はやや高音より、K530はかなりフラット。低域はK530の方がやや量が多い。質的にはそれなりに似ていて、K530の低域はK514の低域をそのまま増やしたような感じ。重心はK530の方が若干低い。中域は低域が少ない分どちらかと言うとK514の方がはっきり聴こえてくる。中高域はK530の方がややしっかり出る。高域はほぼ同量。K514の方が細く明るい質。分解能はほぼ同レベル。音の分離はK530の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はK514の方が若干上。音場感はK530の方がやや広く明確。原音忠実性はK530の方がやや上。周波数特性上の癖のなさでやや勝っている。原音の粗が感じられる度合いは大差ないが、生っぽさはK530の方がやや感じられる。エッジはK514の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はK514の方がやや細く刺さる、ヴォーカルのサ行の痛さは大差ない。明瞭さはK514の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはK530の方がややある。温かみは低域が多い分K530の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。K514の方がやや線が細い、K530の方がやや癖がなく聴きやすい。どちらも明るく爽やかな傾向だが、K530の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはK514の方がやや豊か。弦楽器はK530の方がやや心地よく、音色も自然。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、K514の方が細く明るい、K530の方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はK530の方がややうまい。K514は線の細さや低域不足が気になることがある。使い分けるなら、基本的にはK530、K530では低域の量が多すぎるとか線が太いという不満があるならK514。

K55
K514は高音より、K55は高音よりのドンシャリ。全体的にかなり似た音。低域は質・量ともに似ているが、K55の方がやや厚みや弾力がある。中域はどちらも低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくるし、質的にも似ている。高域も似ているが、K55の方がやや痛くて目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同レベル。エッジのきつさも大差ないが、K55の方がややきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ同レベル。K514の方が若干粗がなく自然、K55の方が若干ノリが良くポップス向き。響きはほぼ同等。弦楽器はK514の方が若干繊細かつ心地よい。金管楽器はK55の方が良くも悪くも粗っぽい感じ。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばK55の方がうまい。低域の量感や元気の良さで若干勝っている。どちらか片方持っていれば十分な機種。

RH600
K514は高音より、RH600はややドンシャリ。低域はどちらもローエンドが弱い点が良く似ているが、RH600の方がやや量が多く重心も低い。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、K514の方が癖がない。高域はK514の方が若干量が多く、硬い芯が通っていて粗がない。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ない。音場感はK514の方がやや広く明確。RH600の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はK514の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感も小さい。原音の粗や生っぽさはRH600の方がやや感じられる。エッジのきつさは微妙。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK514の方がやや痛いが、基本的にはRH600の方が粗っぽい音で、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さは低域が少ない分K514の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはRH600の方がややある。温かみはどちらもあまり感じられないが、どちらかと言うとRH600の方が感じられるか。ヴォーカルの艶っぽさはK514の方がやや上だし、全体的にK514の方が癖がなく好印象。どちらも明るく爽やかな傾向だが、K514の方が粗がなく上品。響きはほぼ同レベルだが、RH600はK514と違って不要な響きが乗る感じが気になることがある。弦楽器はK514の方が粗がなく綺麗、RH600の方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、K514の方が綺麗で若干明るい。打ち込み系の音の表現は微妙。どちらも音の質感の相性は良いのだが、線の細いところが合わない点は似ている。使い分けるなら、粗のなさや癖のなさ重視ならK514、低域の量や生楽器らしさ重視ならRH600。

UR/40
K514は高音より、UR/40はややドンシャリ。低域はUR/40の方が全体的にかなり量が多いし、しっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はK514の方がやや高い音で、低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域は質的にも量的にもそれなりに似ているが、K514の方がやや高い音で、硬く目立つ。分解能は基本的にはほぼ同レベルだが、音の質の違いで多少評価が変わりそうではある。音場感は広さ・明確さともに大差ない。原音忠実性は微妙。K514は低域が少なく高域が目立ちすぎるし、UR/40はK514と比べると余計な音を鳴らしているように感じる。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、K514の方が高域が多少痛いので聴き疲れしやすいかもしれない。明瞭さ、音の鮮やかさはK514の方が上。厚みはUR/40の方がある。温かみはUR/40の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ノリの良さならUR/40、繊細さならK514。響きはUR/40の方が豊か。K514の方が硬く締まった音。弦楽器はUR/40の方が柔らかく心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを求めるならK514の方が良いだろう。金管楽器はどちらもなかなかうまいが、K514の方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はK514の方が良いくらいなのだが、低域の量や全体的なバランスを見るとUR/40の方が好ましいと感じる。使い分けるなら、高域重視ならK514、低域重視ならUR/40。あるいは、明瞭さを求めるならK514、適度な柔らかさを求めるならUR/40。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了。後継機はK514 MKII。










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 半開放 18Hz〜22kHz 97dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
200g - 2.5m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 2 2 4 1 12400円

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公開日:2008.7.30

※生産終了。後継機はK514 MKII。