HP-AK101

音質
 やや低音より。低域は厚みはあまりないが、量はそれなりにあり、ぼわつく感じ。中域は低域が覆ってしまう感じでやや曇っている。中高域から高域にやや癖がある。高域はやや控え目。
 分解能、音場感は価格なり。あまり原音に近いとは言えない音。エッジはきつくなく、聴きやすい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなりに感じられる。ノリが良いわけでも繊細なわけでもなく、比較的淡々と鳴らす感じ。響きは適度。
 弦楽器は心地よさは感じられるが、繊細さはない。金管楽器はかなりチープに感じられる。打ち込み系の音の表現もあまりうまくない。ただ何となく鳴らしている印象。
 曇りと中高域の癖がなければもう少し高い評価をしても良いと感じた。

装着感
 良好。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力は普通。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズ、左右方向の角度調節ができない。材質は安っぽい布製で、ややザラザラで不快に感じる人もいるかもしれない。ただ、かなり蒸れにくい点は良い。
 ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは価格なり、デザインはなかなか良い。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約3mmで柔らかく扱いやすいが、5mは長すぎて邪魔。イヤーパッドのサイズは、外周102mm×102mm、内周62mm×62mm、深さ16mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ




参考
不定期コラム『第14回 1万円以下の開放型ヘッドホン比較』

周波数特性グラフ


比較メモ
DTX900
DTX900はややドンシャリ、HP-AK101はやや低音より。低域はどちらも超低域まで出る。高域は全体的にDTX900の方が良く聴こえる。分解能はDTX900の方が上、音場感はHP-AK101の方が上。DTX900の方が原音に近いが、エッジもきつい。明瞭さはほぼ互角だが音の鮮やかさや厚みはDTX900の方が上。密度や情報量、温かみやヴォーカルの艶っぽさもDTX900の方が上。DTX900の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-AK101の方が豊かだが、それでも適度というレベル。弦楽器、金管楽器はいずれもDTX900の方が自然で魅力的。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はDTX900がジャズ、HP-AK101がポップス。使い分けるならポップスはHP-AK101、それ以外はDTX900だが、ポップスにしても傾向が違うもののそれほど差はないように感じる。

HP-X122
HP-AK101はやや低音より、HP-X122はドンシャリ。低域はHP-X122の方がかなり出る。高域はほぼ同量。HP-AK101は周波数特性にかなり癖があり、中域がスカスカになる。分解能、音場感ともにHP-AK101の方が上。原音忠実性はHP-X122の方がやや上。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良い。響きはどちらも適度。HP-X122の方が癖がない音だが、こもり感がかなり気になる。弦楽器、金管楽器ともにHP-X122の方がうまい。HP-AK101はなにかと嫌味が出るし、金管楽器は高すぎてチープな音。打ち込み系の音の表現もHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。こもり感やドンシャリなところが気にならないならHP-X122を使えば良い。それが駄目ならHP-AK101もありだとは思う。

K101
どちらもやや低音より。超低域はHP-AK101の方が出るが、厚みはほぼ互角。高域はほぼ同量だが、若干HP-AK101の方が出る。分解能はK101の方が良く、音場感はHP-AK101の方が良い。K101の方が原音忠実。HP-AK101の方が聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてK101の方がやや良いように感じる。温かみはHP-AK101の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはK101の方がある。音の傾向は違うのだが、どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない、中途半端な音。どちらもある種のシャープさがあるのだが、HP-AK101は超低域が出る上、K101よりは多少丸い。響きはHP-AK101の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにK101の方が自然で良い。打ち込み系の音の表現は、HP-AK101の方が若干良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスとロックはHP-AK101、それ以外はK101。

K514
HP-AK101はやや低音より、K514は高音より。低域はHP-AK101の方がやや多い。HP-AK101の方が柔らかくぼやけている感じ、K514の方が薄く目立たない感じ。中域はK514の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。HP-AK101はうわずったり張り出したりする感じが気になることがあるが、K514はそんなことはない。中高域はHP-AK101に癖があり、妙に量が多い印象。高域はK514の方が高く硬い音を鳴らす。HP-AK101の方がかなり粗が気になる。分解能はK514の方が上。音場感はHP-AK101の方が広く明確。原音忠実性はK514の方が上。HP-AK101は明らかに原音と違う音を鳴らすことがあるが、K514は比較的そういうことは少ない。また、HP-AK101はK514と比べると余計な音を鳴らしている印象を受ける。エッジのきつさや聴き疲れははほぼ同レベル。ただ、質感の違いがかなり大きいので、ソースによっては多少優劣が出ることもある。例えば、HP-AK101はザラザラした感じで疲れることがあるし、K514は硬質な高域で疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはK514の方が上。厚みはHP-AK101の方がある。温かみはHP-AK101の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは同レベルだが、HP-AK101はうわずったり張り出したりすることがある点が気になる。ノリの良さならHP-AK101、繊細さならK514。響きはHP-AK101の方が豊か。弦楽器はHP-AK101の方が柔らかく心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを求めるならK514の方が良い。金管楽器は、量的にはHP-AK101の方が多いのだが、質的にはK514の方が綺麗で癖が少なく楽しめる。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はK514の方が良いのだが、ノリの良さ等でHP-AK101の方が楽しめることも多い。使い分けるなら、シンプルで余計な音を鳴らして欲しくないならK514、そうでもないならHP-AK101。

MDR-F1
どちらもやや低音よりだが、HP-AK101の方がやや高音より。低域はMDR-F1の方が若干出る上、高域はHP-AK101の方がかなり出る。MDR-F1は周波数特性に癖がないが、HP-AK101は非常に癖がある。HP-AK101は中域の一部がごっそり欠けている。分解能、音場感はほぼ互角。原音忠実性はMDR-F1の方がかなり上。HP-AK101の方がエッジがきつく聴き疲れする。HP-AK101の方が線の細い音。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AK101の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-F1の方が上。どちらもノリが良いが、HP-AK101はスカスカになりがちな部分もある。響きはどちらも適度。MDR-F1の方が安定感がある。弦楽器はMDR-F1の方が嫌味が無く心地よい。金管楽器はMDR-F1の方が自然。HP-AK101はかなり高い音で鮮やかなのだが、あまりに不自然でチープ。打ち込み系の音の表現はMDR-F1の方がうまい。得意分野はHP-AK101はポップス、MDR-F1はロック。使い分けはジャンルではなく好みだろう。HP-AK101に嫌味を感じる人はMDR-F1が良い。

RP-HT770
どちらもやや低音より。低域、高域ともにHP-AK101の方が若干出る。基本的にはかなり近い周波数特性。分解能、音場感ともにHP-AK101の方がやや上。どちらも癖があり原音忠実性はいまいち。HP-AK101は独特の嫌味がありしかも粗がある。RP-HT770はHP-AK101ほど粗はないが、かすんでいる。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかといえばHP-AK101の方が疲れる。特にキンキンした女性ヴォーカル等はその傾向が顕著。明瞭さや音の鮮やかさはHP-AK101の方が上。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRP-HT770の方が若干上。ノリの良さならHP-AK101、繊細さならRP-HT770の方が上。響きはどちらも適度だが、HP-AK101の方が音に広がりがある。弦楽器はRP-HT770の方がマイルドで心地よい。金管楽器はHP-AK101の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-AK101の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら弦楽器メインのクラシックはRP-HT770、それ以外はHP-AK101といった感じか。ただ、基本的にはどちらもやや低音よりでしかも原音からは遠い音を鳴らすという似たところのある機種なので、どちらか片方あれば良い機種と言える。

SHP8900
HP-AK101はやや低音より、SHP8900は低音よりのドンシャリ。低域はSHP8900の方が重心が低く、しっかりとした量感がある。HP-AK101の方が薄く曇ったような質。中域はSHP8900の方が低域の曇りに覆われない。どちらも中域から中高域にかけて張り出すような感じで目立つことがあるが、HP-AK101の方がその癖が強い。高域はHP-AK101の方がやや細く、SHP8900の方がやや明るい。どちらも多少粗がある点は似ている。分解能はSHP8900の方がやや上。音場感はどちらもなかなか広く明確。HP-AK101の方がやや広く、SHP8900の方が前方定位する感じ。原音忠実性はSHP8900の方がやや上。どちらもあまり原音忠実とは言えないが、SHP8900の方が嫌な癖がなく一聴して違和感が少ない。エッジはHP-AK101の方がややきつく、中域から中高域が張り出すこともあってやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはSHP8900の方が上。HP-AK101はSHP8900と比べると曇っているように感じる。厚みはSHP8900の方がある。温かみはHP-AK101の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはHP-AK101の方がやや上だが、HP-AK101の方が張り出すような感じで嫌味が出ることが多く、そういったソースではSHP8900の方が聴きやすい。SHP8900の方が明るく元気でノリが良い。響きはHP-AK101の方が豊か。弦楽器はHP-AK101の方がやや心地よい。金管楽器はHP-AK101の方が高い音を鳴らすが、癖の強さが気になる。SHP8900の方が太く力強く魅力的。打ち込み系の音の表現はSHP8900の方がうまい。音の質感の相性、低域の量感、切れ、元気の良い鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはSHP8900、SHP8900では明るすぎたり低域の量が多すぎたりするならHP-AK101。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック フルオープン 20Hz〜30kHz 100dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
250g 50mm 5m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 1 2 4 1 均(低) 5400円
※生産終了

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公開日:2005.2.15