K101
音質
やや低音より。低域は厚み・量ともにそこそこあるが、過剰ではない。ただ、密閉型のこもり感や曇った感じに似ている部分がある。中域はやや控え目な気もするが、癖はないし低域に埋もれたりはしない。高域は十分量。
分解能、原音忠実性はそれなり。音場感はいまいち。エッジはややきつめだが、それほど聴き疲れしないレベル。
明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてそれなり。大きな欠点はないが、突出した長所もない印象。ノリの良さと繊細さをある程度併せ持っている。響きはややあっさりから適度。AKGにしては線が太いが、一般的に見れば普通だろうし、やや音が硬いところ等はAKGらしい。クラシックに合う機種の多いAKGの音を、ポップス向きに調整したと言う印象。それでもなおすっきりした明るめの音調。セミオープンという表記だが、実際の音は開放型よりも密閉型に近い鳴り方をする。K501やK271studioのような繊細さを求めるならあまりおすすめできないが、価格なりの音ではある。
弦楽器はそれなりに心地よいが、繊細さが足りない。金管楽器はなかなか鮮やかで芯の通った鳴らし方が好印象。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。低域の質感は悪くないし、中域から高域もなかなか鮮やか。ただ、力強さや迫力には欠ける。
装着感
悪い。側圧及びフリーアジャストのヘッドバンドの圧力は普通からやや強め。その上軽いため非常にずれにくい。
イヤーパッドは耳のせと耳覆いの中間サイズで、長時間使用すると耳が痛くなる。K501等と同様自由自在に角度調節できるが、調節できる範囲が狭いためしっくりくる角度に調節できない人もいるかもしれない。材質はレザータイプの人工皮革だが、やや硬めなので余計に痛い。また、レザータイプのわりにはシワが気になる。
その他
遮音性及び音漏れ防止は普通。セミオープンだが遮音性・音漏れ防止ともに普通の密閉型よりはやや悪いという程度で、普通の開放型と比べてかなり良い。
作りは価格なりだが、デザインは独特で価格のわりには高級そうに見えるし、決して悪いデザインではない。ただ、万人に似合うデザインでないことは確か。インピーダンスは小さいが、感度も低いため、どちらかと言えば音量が取りづらい。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約3mmで、硬くて癖が付きやすく扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周80mm×80mm、内周46mm×46mm、深さ14mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
不定期コラム『第14回 1万円以下の開放型ヘッドホン比較』
周波数特性グラフ
比較メモ
HD497
どちらもやや低音よりだが、超低域はHD497の方がかなり出る。中域〜高域はほぼ互角。分解能、音場感ともにHD497の方が良い。原音忠実性はHD497の方がやや上だが、生の粗っぽさはK101のほうがある。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとK101の方が芯が通っていてしかも粗のある音で疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD497の方が上。K101はノリが良いわけでも繊細なわけでもないという印象を受けるが、HD497はノリの良さと繊細さを両立しているように感じる。K101は芯が通っているわりに超低域が不足していること等から、スカスカした感じがする。響きはHD497の方がやや豊か。K101の方が感度が低いためどうしてもボリュームを上げなければならず、ホワイトノイズが非常に気になる。弦楽器、金管楽器ともにHD497の方が魅力的。打ち込み系の音の表現もHD497の方がうまい。得意分野はHD497がクラシック、K101がポップス。ほとんど何を聴くにしてもHD497の方が良いように感じるが、あえてK101を使うなら芯の通った硬い感じが欲しいときくらいか。
HP-AK101
どちらもやや低音より。超低域はHP-AK101の方が出るが、厚みはほぼ互角。高域はほぼ同量だが、若干HP-AK101の方が出る。分解能はK101の方が良く、音場感はHP-AK101の方が良い。K101の方が原音忠実。HP-AK101の方が聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてK101の方がやや良いように感じる。温かみはHP-AK101の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはK101の方がある。音の傾向は違うのだが、どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない、中途半端な音。どちらもある種のシャープさがあるのだが、HP-AK101は超低域が出る上、K101よりは多少丸い。響きはHP-AK101の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにK101の方が自然で良い。打ち込み系の音の表現は、HP-AK101の方が若干良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスとロックはHP-AK101、それ以外はK101。
K501
K101の方が低音より。全音域に渡って一段低い音に聴こえる。特に超低域はK101の方がかなり出る上、密閉型のようなこもり感がある。分解能、音場感ともにK501の方がかなり良い。K501の方が原音に近く、自然。どちらもあまりエッジがきつくなく聴きやすいが、高域が強くしかも線が細いK501の方がやや聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはK501の方がかなり良い。K101はK501と比べるとかなり曇っているように感じる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、K101の方がやや良い。K501は非常に繊細だが、K101は繊細と言うよりはノリが良い。響きはどちらも適度だが、K501の方がややあっさり。弦楽器、金管楽器ともにK501の方がワンランク上の音だが、低域が欲しい場合にはK101の方が良い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いのだが、線の細さや低域不足のためK501は総合的にはいまいち。得意分野はK101はポップス、K501はクラシック。使い分けるならポップスやロックはK101、それ以外はK501。
UR/40
K101はやや低音より、UR/40はややドンシャリ。超低域はUR/40の方が出るが、厚みはほぼ互角。高域は若干UR/40の方が強い。分解能はほぼ互角、音場感はUR/40の方が広く明確。K101の方が原音に近い。特に原音の粗っぽさがある。UR/40の方が聴き疲れしない。明瞭さや音の鮮やかさはUR/40の方が上、厚みや密度はK101の方が上。UR/40の方が温かみやヴォーカルの艶っぽさがある。K101の方が芯の通った感じがある。UR/40は良くも悪くも圧力が感じられない音。UR/40はノリの良さと繊細さを両立さえている感じだが、K101はノリのも繊細さもいまいち。響きはK101の方が若干豊か。弦楽器、金管楽器ともにUR/40の方が楽しめるが、生っぽい感じが欲しいときはK101の方が良い。打ち込み系の音の表現はUR/40の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ほとんどの場合UR/40だが、生っぽい感じが欲しいときや芯の通った実体感のある音が聴きたいときはK101。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 半開放 | 18Hz〜22kHz | 82dB | 19Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
160g | - | 3m | 片出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3 | 2 | 3 | 3 | 4 | 2 | 均(低) | 7800円 |
公開日:2005.2.15