HP-X122

音質
 かなりのドンシャリ。低域、高域共に十分な量が出る上、ヴォーカル等の中域も埋もれない。低域の質はポップスやロック向きで悪くないが、高域はややシャリつく。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて価格以上の価値を持っているが、耳のすぐ近くで音が鳴っているのが気になる人もいるだろうし、一般的に見れば原音忠実とは言えない音。エッジはややきつめで聴きやすいとは言えないが、この価格帯にしては聴き疲れしない方だろう。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはなかなか良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさは最低限。非常にノリが良い。響きは適度だが、ソースによってはかなりこもり感が気になる。
 弦楽器、金管楽器ともに、価格を考えればかなりうまい。弦楽器の繊細さや心地よさは最低限感じられるし、金管楽器は鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はかなりうまい。
 正直言って、価格から期待される音質をはるかに上回っている。非常にコストパフォーマンスの良い機種。

装着感
 普通。フリーアジャストのため装着時に頭頂部を圧迫するが、一度装着してしまえばそれほど気にならない。側圧は普通からやや強めぐらいで問題ない。
 イヤーパッドがかろうじて耳を覆うサイズで上下方向の角度調節ができないため、耳の下に隙間ができているのが気になる。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。
 ずれにくく、軽いこともあり、長時間の使用にもなんとか耐える装着感。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は密閉型にしてはやや悪い。
 非常に安いだけあって、作りは安っぽい。デザインも良いとは言えないだろう。
 価格のわりには良い音が災い(幸い?)して、世間では間違いなく改造されるヘッドホンNo1になっている。そういう意味でも、コストパフォーマンスが良いだろう。ミニ→標準変換プラグが付属していて、コードもきちんと3mあるが、両出しなのが残念。
 プラグはミニプラグ。コードの太さは合流前は約2mm、合流後は幅約4.5mm・厚さ約2mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周102mm×86mm、内周58mm×36mm、深さ12mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
不定期コラム『第6回 価格別favorite headphones』
不定期コラム『第32回 おでかけヘッドフォン2試聴レポ』

周波数特性グラフ


比較メモ
AH-G100
AH-G100はややかまぼこ、HP-X122はドンシャリ。低域も高域もHP-X122の方が出る。特に低域はHP-X122の方が一段低く、量も多い。高域はHP-X122の方が細く高い。分解能、音場感、原音忠実すべてHP-X122の方が上。AH-G100の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、厚みはHP-X122の方が上。温かみは低域が強い分HP-X122の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-X122の方がノリが良い。響きはほぼ互角。AH-G100はソースによってはスカスカした感じが気になるが、HP-X122はそんなことはない。弦楽器はHP-X122方が繊細でしかも心地よい。金管楽器はどちらも意外と悪くないが、HP-X122の方が力強い。打ち込み系の音の表現はかなり違う印象を受けるが、低域が出る分HP-X122の方が大抵の場合良いようだ。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が上のように感じる。

AHP-505
AHP-505は低音より、HP-X122はドンシャリ。低域も高域もHP-X122の方が出る。特に高域は雲泥の差。AHP-505では高域がまったく不足に感じるソースでも、HP-X122なら問題なく鳴らしてくれることが多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良くしかも繊細。響きはAHP-505の方がやや豊か。最大の違いはこもり感や曇り。AHP-505はそのせいで聴けたものではない。AHP-505を聴いた後でHP-X122を聴くと、まったく曇っていないと感じる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はAHP-505はロック、HP-X122はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が良いように感じる。

ATH-T2
ATH-T2は低音より、HP-X122はドンシャリ。ATH-T2の方が低音より。低域はATH-T2の方が出るし、高域はHP-X122の方がでる。分解能はHP-X122の方が上、音場感はほぼ互角。どちらも原音からは程遠い上、エッジがきつく聴き疲れする。ただし、価格を考えればHP-X122は非常に原音に近い。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、ノリの良さ等すべてHP-X122の方が上。響きはHP-X122の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はATH-T2はロック、HP-X122はポップスだが、何を聴くにしてもHP-X122の方が良いような気がする。

HP-AK101
HP-AK101はやや低音より、HP-X122はドンシャリ。低域はHP-X122の方がかなり出る。高域はほぼ同量。HP-AK101は周波数特性にかなり癖があり、中域がスカスカになる。分解能、音場感ともにHP-AK101の方が上。原音忠実性はHP-X122の方がやや上。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良い。響きはどちらも適度。HP-X122の方が癖がない音だが、こもり感がかなり気になる。弦楽器、金管楽器ともにHP-X122の方がうまい。HP-AK101はなにかと嫌味が出るし、金管楽器は高すぎてチープな音。打ち込み系の音の表現もHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。こもり感やドンシャリなところが気にならないならHP-X122を使えば良い。それが駄目ならHP-AK101もありだとは思う。

HPS3000
HPS3000は低音よりHP-X122はドンシャリ。低音はHPS3000の方が全体的に出るし、高音はHP-X122の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角。HP-X122の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-X122の方が上。厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも基本的にはノリが良いが、HP-X122の方が全音域聴こえてくること、スピード感があることから、よりノリが良いように感じる。響きはHPS3000の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現いずれもHP-X122の方がややうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が楽しめる。HPS3000の方が低音よりなこともあり、ややおとなしい印象。

HPS5000
どちらもドンシャリ。超低域は若干HP-X122の方が出るが、低域の厚みそのものはHPS5000の方がある。高域はほぼ同量だが、HPS5000の方が若干澄んだ感じがある。分解能はHPS5000の方が若干良い。音場感はHP-X122の方が広く明確。一聴して原音に近いのはHP-X122だが、生の粗っぽさはHPS5000の方が感じられる。どちらもエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてHPS5000の方がやや上。HPS5000はHP-X122を凝縮したような音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方が感じられる。どちらもノリが良いが、繊細さを求めるならHPS5000だろう。響きはHPS5000はあっさり、HP-X122は適度。弦楽器はHP-X122の方が心地よく楽しめる。金管楽器はどちらも同様の安っぽさがありいまいち。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HPS5000の方がシャープさや明瞭さが良くマッチするように思う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならポップスはHPS5000、それ以外はHP-X122だが、基本的にはHP-X122があればHPS5000は不要かもしれない。

RP-HT510
どちらもドンシャリだが、RP-HT510の方が高音より。超低域はHP-X122の方がかなり出る上厚みもある。高域はRP-HT510の方が細く高い。分解能、原音忠実性はHP-X122の方が上、音場感はほぼ互角。RP-HT510は非常にエッジがきつくしかもホワイトノイズが大きいため聴き疲れするが、HP-X122はそれほどでもない。明瞭さや音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、ノリの良さはHP-X122の方が上。響きはどちらも適度だが、HP-X122の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方が上。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもHP-X122の方が良い。

RP-HTX7
HP-X122はドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はHP-X122の方が全体的に量が多いが、RP-HTX7の方がやや低い音でタイト。中域はRP-HTX7の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方が細く硬く高い音だが、量はそれほど差が無い。分解能はRP-HTX7の方が上。微細な表現はHP-X122の方が良いようにも感じるが、音の分離はRP-HTX7の方がかなり良い。音場感はRP-HTX7の方が立体的で明確。原音忠実性はHP-X122の方が上。RP-HTX7は中域がうわずっている上、低域が低くタイト過ぎるし、硬く芯が通り過ぎている。エッジのきつさはほぼ互角だが、RP-HTX7の方が硬く芯の通った音でやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HTX7の方が上。厚みは付帯音の量がかなり違うため判断しづらいが、基本的にはRP-HTX7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方がやや上。どちらもかなりノリが良い。響きはHP-X122の方が豊かでこもり感が気になる。RP-HTX7の方がタイトで付帯音の少ない音。弦楽器はHP-X122の方が心地よい。金管楽器はRP-HTX7の方が高く鮮やかだが、ソースによってはチープに感じる。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、RP-HTX7の方が低域のタイトさ、切れで勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、付帯音が多く多少ぼやけていても良いならHP-X122、付帯音が少なくタイトな音を求めるならRP-HTX7。もしくは、音場感を重視するならRP-HTX7、そうでも無いならHP-X122という使い分けもありだろう。

SE-M380
SE-M380は低音より、HP-X122はドンシャリ。超低域はSE-M380の方が出るが、低音の厚みそのものはHP-X122の方が若干上。中域〜高域はHP-X122の方が圧倒的に出る。分解能や原音忠実性はHP-X122の方がやや上、音場感はほぼ互角。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-X122の方が上。温かみはSE-M380の方がある。HP-X122も無いわけではないが、どうしても刺激や鮮やかさに目が行く。ヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方が良い。ノリの良さはHP-X122の方が上。響きはどちらも適度。弦楽器はHP-X122の方が繊細さがあり楽しめる。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が好きな人でなければ、HP-X122だけあれば良いだろう。

VR-403SV
どちらもドンシャリ。HP-X122の方が低域も高域も出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。VR-403SVはかなり曇っていて明瞭さにかけるが、HP-X122は明瞭。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が上。とにかく明瞭さがまったく違う。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 5Hz〜25kHz 104dB 35Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
170g 38mm 3m 両出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 3 3 3 2 2 低、高 1300円
※生産終了

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公開日:2004.11.28