RP-HT770

音質
 やや低音より。低域は厚みは薄くいが、量はそれなりに出る感じで、やや曇っているように感じる。中域はソースによっては多少変な癖が出るが、それほど気にはならないレベル。高域は控え目。
 分解能はいまいち。音場感、原音忠実性はそれなり。価格なりの価値があるかどうかは微妙なところ。エッジはきつくなく聴きやすい。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはいまいち。どこか没個性的で薄い音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなりにあるように感じられるが、これは曇りがあるためにそういう錯覚を起こしやすいせいもあるだろう。ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、無難でおとなしい鳴らし方。低価格開放型でかなりフラットという珍しい機種。響きは適度。
 弦楽器は繊細さに欠けるが、曇りのおかげもあってそこそこ心地よい。金管楽器は鮮やかさが足りない。打ち込み系の音の表現は厚みや切れに欠け、いまいち。

装着感
 良好。側圧、フリーアジャストのヘッドバンドの圧力ともに若干強めで、ずれにくい。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズで、左右方向の角度調節ができないがそれほど気にならない。材質は布製で肌触りは悪くないし、蒸れない。問題があるとすれば、頭の大きい人にはちょっときついかもしれないところくらいか。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 デザインはオーソドックスで、価格を考えれば上等な作りと言えるだろう。総合的にみてコストパフォーマンスは悪くない。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードは布巻き、太さは約4mmで布巻きのわりには硬くて扱いづらいが、基本的には悪くないレベル。イヤーパッドのサイズは、外周100mm×100mm、内周52mm×44mm、深さ16mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第14回 1万円以下の開放型ヘッドホン比較』
不定期コラム『第58回 追加測定ピックアップと注意点』

周波数特性グラフ


比較メモ
DR150
DR150はややドンシャリ、RP-HT770はやや低音より。低域はDR150の方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はDR150が素直に出るのに対して、RP-HT770はやや低域の曇りに覆われ、しかも若干うわずり気味。高域はDR150の方が高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDR150の方が良い。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDR150の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろDR150の方が良い。響きはDR150の方がやや豊か。RP-HT770はDR150に比べると全体的に曇っていて明瞭さが無く、ただ何となく鳴らしているように感じる。弦楽器はDR150の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDR150の方がかなり鮮やか。打ち込み系の音の表現はDR150の方がややうまい。厚みや低域の量感で勝っているため。使い分けるなら、基本的にはDR150、よほど聴き疲れを避けたいときだけRP-HT770。

DTX900
DTX900はややドンシャリ、RP-HT770はやや低音より。低域も高域もDTX900の方がしっかり出る。分解能はDTX900の方が上、音場感はほぼ互角。DTX900の方が原音に近いが、ややエッジがきつい。ただ、これはDTX900がきついというよりもRP-HT770がきつくないという表現の方が正しいだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDTX900の方が良い。RP-HT770は霞がかかったような曇った音で、ノリが悪く繊細さにも欠ける。響きはDTX900はあっさり、RP-HT770は適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDTX900の方がワンランク上の表現力。得意分野はDTX900がジャズ、RP-HT770がポップスだが、何を聴くにしてもDTX900の方が魅力的。

HD497
どちらもやや低音より。超低域はHD497の方が出るが、厚みは互角でどちらも程々。高域はHD497はそれなりに聴こえてくるがRP-HT770はあまり聴こえてこない。分解能はHD497の方が上、音場感はほぼ互角。HD497の方が圧倒的に原音に近く自然で魅力的。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、RP-HT770の方が曇っている分聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてHD497の方が上。HD497の方がノリが良くそれでいて繊細。響きはHD497の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにHD497の方が魅力的。弦楽器は生っぽさにはやや欠けるものの自然で伸びが良く温かみにあふれている。金管楽器にはSENNHEISERにありがちな曇った感じはなく、鮮やかで高い音を鳴らしてくれる。RP-HT770が曇っているため余計そう感じるのかもしれないが。打ち込み系の音の表現はHD497の方がうまい。得意分野はHD497がクラシック、RP-HT770がポップスだが、何を聴くにしてもHD497の方が上。使い分ける必要はない。

HP-AK101
どちらもやや低音より。低域、高域ともにHP-AK101の方が若干出る。基本的にはかなり近い周波数特性。分解能、音場感ともにHP-AK101の方がやや上。どちらも癖があり原音忠実性はいまいち。HP-AK101は独特の嫌味がありしかも粗がある。RP-HT770はHP-AK101ほど粗はないが、かすんでいる。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかといえばHP-AK101の方が疲れる。特にキンキンした女性ヴォーカル等はその傾向が顕著。明瞭さや音の鮮やかさはHP-AK101の方が上。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRP-HT770の方が若干上。ノリの良さならHP-AK101、繊細さならRP-HT770の方が上。響きはどちらも適度だが、HP-AK101の方が音に広がりがある。弦楽器はRP-HT770の方がマイルドで心地よい。金管楽器はHP-AK101の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-AK101の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら弦楽器メインのクラシックはRP-HT770、それ以外はHP-AK101といった感じか。ただ、基本的にはどちらもやや低音よりでしかも原音からは遠い音を鳴らすという似たところのある機種なので、どちらか片方あれば良い機種と言える。

MDR-F1
どちらもやや低音より。超低域は若干MDR-F1の方が出るが、全体的にはRP-HT770の方が出る。鳴らし方が違うのでソースによって違ってくる。ただ、大抵のソースではRP-HT770の方が曇ったような感じになる。高域はほぼ同量だが、若干RP-HT770の方が出るか。分解能はどちらもいまいちだが、MFR-F1の方が若干良い。音場感、原音忠実性はMDR-F1の方が上。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、どちらかといえばRP-HT770の方が疲れる。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-F1の方がやや良い。厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-F1の方がある。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはどちらもやや豊か出ほぼ互角。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべて若干MDR-F1の方が良い。弦楽器にしろ金管楽器にしろ、どちらもやや原音とは違う上に嫌味のある癖が出てしまうが、RP-HT770の方がやや癖が強い。どちらも得意というほど得意なジャンルはないような気がするが、あえて挙げるならMDR-F1はロック、RP-HT770はポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-F1の方が良いだろう。コストパフォーマンスは明らかにRP-HT770の方が上だが、価格を考えなければ若干MDR-F1の方が音質的なものは上。

SE-A1000
SE-A1000はドンシャリ、RP-HT770は低音より。超低域はSE-A1000の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。ただ、どちらもやや癖があるようで、SE-A1000はややぼわつく感じ、RP-HT770はかなり曇った感じになる。高域は圧倒的にSE-A1000の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-A1000の方が上。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、RP-HT770の方が芯の通った感じがありやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はSE-A1000の方がかなり良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかといえばSE-A1000の方が上。SE-A1000はノリの良さと繊細さを併せ持っているという感じだが、RP-HT770はノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはSE-A1000の方が豊か。SE-A1000は良くも悪くもサラサラした感触があるが、RP-HT770はない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-A1000の方が魅力的。弦楽器はRP-HT770には嫌味のある癖が出るが、SE-A1000はない。金管楽器はSE-A1000にはPioneerらしい癖があるが、それが気にならない人には非常に魅力的といえるだろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-A1000の方が上。RP-HT770は曇った感じと嫌味がかなりマイナス。

T50RP
RP-HT770はやや低音より、T50RPは低音よりのかまぼこ。低域はどちらも薄く全体的に鳴らす感じだが、どちらかと言えばRP-HT770の方が厚いか。高域はRP-HT770の方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてT50RPの方がやや上。どちらも聴き疲れしないレベルだが、どちらかと言えばT50RPの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRP-HT770の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはT50RPの方が上。どちらも曇りが気になるが、RP-HT770の方がまだマシ。RP-HT770の方が明るくノリが良い。響きはT50RPの方が豊か。弦楽器はどちらもいまいちだが、T50RPの方がまだ聴ける。RP-HT770は曇っているのにうわずっている独特の癖がある。金管楽器はRP-HT770の方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-HT770の方が明るく、うまい。使い分けるなら、ポップスやロック、ブラスメインの曲はRP-HT770、それ以外はT50RPか。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 5Hz〜30kHz 105dB 50Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
280g 50mm 3m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 4 2 2 3 1 均(低) 6200円
※生産終了

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公開日:2004.11.28