DR150

音質
 ややドンシャリ。低域はローエンドまで綺麗に出るし、量も十分。締まっている感じではなく、柔らかい質感。中域は低域に埋もれることなく聴こえてくるが、ややおとなしめ。高域はしっかり高い音を鳴らしてくれるし、量も十分。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて価格の割に良い。エッジはややきつめだが、聴き疲れとしては問題ないレベル。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなり。厚みは至って普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはかなり良い。ノリの良さと繊細さをある程度両立させている。響きは適度からやや豊か。
 弦楽器はなかなか心地よい。チェロ等の低域もヴァイオリンの澄んだ感じも表現してくれるし、ギターのエッジ等も必要量感じられる。金管楽器は高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はいまいち。低域の締まりが足りないし、切れやスピード感に欠ける。
 HD595をベースにDT990PROのエッセンスを加えたような音。かなりバランス良くまとまっていると言って良いだろう。

装着感
 非常に良好。側圧は普通で、ヘッドバンドも痛くない。長時間使用しても疲れない。重量は普通だが、それでいてずれにくい。ただし、ヘッドバンドの調節がしっかり固定できないのが難点。
 イヤーパッドは耳をすっぽり覆うサイズで、上下左右に角度調節ができる。材質は布製。
 ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは価格の割にやや良く、デザインもそれほど癖がない。ヘッドホン本体側でもコードの着脱が可能。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周112mm×78mm、内周68mm×36mm、深さ22mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
周波数特性グラフ



比較メモ
DT990PRO
どちらもややドンシャリだが、DR150の方がフラット。低域はどちらも十分な量出るが、DT990PROの方が厚みがある。どちらも柔らかめの質感。中域はどちらもそれほど低域に埋もれたりはしないが、質的な問題でDT990PROの方がやや目立つ。高域はDT990PROの方がとがった音で量も多い。分解能はどちらかと言えばDT990PROの方がやや上。音場感はDR150の方が良い。原音忠実性はDR150の方が上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT990PROの方がやや上か。ただ、どちらもウォームさがあるので、あまり明るいとは言えない。厚みはDT990PROの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良い。サ行の痛さが気にならないならDT990PROの方が艶っぽいと感じるだろうが、無難なDR150の表現も悪くないし、十分魅力的。ノリの良さならDT990PRO、繊細さならDR150。ただし、どちらも聴き込むとやや粗があるところは似ている。響きはDT990PROの方がやや豊か。DT990PROの方が中域から高域の線が細くやや痛い。弦楽器はウッドベースの量感等はDT990PROの方が良いが、滑らかでローエンドまで伸びているDR150も悪くない。金管楽器はDT990PROの方が高く鮮やかだが、刺激が強すぎると感じる人も多いだろう。その点、DR150は適度な表現と言える。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、低域の厚みが欲しいときはDT990PROの方が合うだろうし、線の細さを嫌うときにはDR150の方が合うだろう。得意分野はDR150がクラシック、DT990PROがジャズ。使い分けるなら、刺激が欲しいならDT990PRO、無難な機種を望むのならDR150。

DTX900
どちらもややドンシャリ。低域はDR150の方が厚み・量ともに上。ただし、ソースによってはDTX900の方が薄くぼやけて量だけは多く感じることもある。DTX900の方がローエンドまでフラットで、薄く癖がない感じ。DR150の方がかなり存在感のある低域で、ソースによっては締まりや塊のような量感を感じることもある。中域は、DR150が低域の量にやや負ける感じ、DTX900が低域の曇りにやや覆われる感じ。とは言えどちらも基本的には普通に聴こえてくる。質的にはDR150の方がやや高い音。高域は多少質が異なり、ソースによって聴こえ方が変わってくるので一概には言えないが、基本的にはDR150の方がやや鋭い音で量も多め。分解能はDR150の方がやや上。音場感は広さや明確さよりも質の違いが目立つ。DR150の方が前方定位する感じ、DTX900の方が左右に広い感じ。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性上の癖のなさはDTX900の方がやや上、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはDR150の方がやや上。エッジはDR150の方がきつく、やや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方がやや上。厚みはDR150の方がある。温かみはほぼ同等だが、DTX900の方が刺激が少なく聴き疲れしにくいという点である意味温かみがあるようにも感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等だが、DTX900の方が低く落ち着いた音で擦れやサ行の痛さも気にならないので好印象。DR150の方がノリが良い。力強く、迫力や説得力がある。粗がないという意味で、DTX900の方が繊細。響きはほぼ同等。弦楽器はDTX900の方が心地よく安心して聴けるが、生楽器らしさが欲しいならDR150の方が良い。金管楽器はDR150の方が鮮やかかつ力強いが、やや癖があるので癖を嫌うならDTX900の方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はどちらもうまくないが、どちらかと言えばDR150の方が良い。低域の量感や明るい鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、心地よさ優先で聴き疲れを嫌うならDTX900、ノリの良さや生楽器らしさが欲しいならDR150。

FA-002
DR150はややドンシャリ、FA-002はかなりフラット。低域はDR150の方が若干量が多い。FA-002の方が薄く曇ったような質。DR150の方が存在感がある。重心はDR150の方がやや低い。中域はどちらも普通に聴こえてくるが、どちらかと言うとDR150の方が低域の量に負ける感じ、FA-002の方が低域の曇りに覆われる感じ。ソースによってはFA-002の方が若干不要な芯が通っている感じが気になることがある。高域はDR150の方が若干量が多い。DR150の方が明るく鋭い質で目立つ。分解能はDR150の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとDR150の方が勝っている。音場感はFA-002の方がやや広く、DR150の方がやや明確。原音忠実性はDR150の方が若干上。周波数特性上の癖のなさは大差ないが、どちらかと言うとFA-002の方が上。原音の粗や生っぽさはDR150の方が感じられる。DR150の方が原音の実体感がある。エッジはDR150の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDR150の方がやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方がやや上。厚みはDR150の方がややある。温かみは薄く曇っている分FA-002の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではDR150の方が上。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。DR150の方が擦れやリップノイズを出してくれる、FA-002の方がスモーキー。DR150の方がノリが良い。FA-002の方がただ何となく鳴らしているような感じ。DR150の方がメリハリがある。響きはFA-002の方がやや豊か。FA-002の方が地味で無機質。弦楽器は、DR150の方が生楽器らしさが感じられる、FA-002の方が滑らかで伸びが良い。金管楽器はDR150の方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はFA-002の方がやや良い印象だが、切れはDR150の方がやや良い。FA-002は地味さや低域の質が合わないように感じられることがある。使い分けるなら、生楽器らしさやメリハリを求めるならDR150、音場の広さや聴き疲れのなさを求めるならFA-002。

HD595
DR150はややドンシャリ、HD595はやや低音より。低域は質・量ともに非常に良く似ているが、DR150の方が若干低い音を鳴らす。また、どちらもやや曇りのようなものを感じるが、DR150の方が曇りが少ないように感じる。中域はどちらもおとなしいが低域に埋もれることはない。高域はDR150の方がかなり高く、量も多い。分解能はほぼ互角。音場感は若干HD595の方が良いように感じる。原音忠実性はDR150の方が若干良いように感じる。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。サ行の音等もやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方が上。厚みはDR150の方がある。温かみはHD595の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、サ行が多少痛くても良いならDR150の方が良いだろう。ノリの良さならDR150、繊細さならHD595。響きはほぼ互角。DR150の方がやや細部に粗があるように感じるが、これはHD595のSENNHEIERらしいマイルドさによるところも大きいだろう。弦楽器はHD595の方が繊細で心地よいが、チェロ等の低域やヴァイオリンの澄んだ感じが欲しいときはDR150の方が良いだろう。金管楽器はDR150の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもそれほど得意ではないが、どちらかと言えばDR150の方が良いように感じる。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、高域が欲しいときにはDR150、粗を嫌うならHD595。

HFI-2200ULE
どちらもややドンシャリ。低域はHFI-2200ULEの方がやや低い音を鳴らすし、厚みもあるが、量はほぼ同量。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、多少低域の量に負け気味。中高域はDR150の方がやや高い音を鳴らすが、高域はHFI-2200ULEの方が高い音を鳴らす。全体的にはそれほど差は無いだろう。分解能はほぼ互角。音の分離はHFI-2200ULEの方が若干良いが、微細な表現はDR150の方が若干うまい。音場感はHFI-2200ULEの方が明確。原音忠実性はDR150の方が良いが、HFI-2200ULEの方が原音の実体感は感じられる。どちらもややエッジがきつく聴き疲れするが、どちらかと言えばDR150の方が疲れない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-2200ULEの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR150の方が上。ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならDR150。響きはDR150の方が豊か。HFI-2200ULEの方がメリハリがある。弦楽器はDR150の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDR150の方が若干高い音を鳴らしてくれるが、HFI-2200ULEの方が力強い。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がうまい。音の厚みや切れに違いがある。使い分けるなら、クラシックやジャズはDR150、ポップスやロックはHFI-2200ULE。

HP1000
どちらもややドンシャリ。低域は質・量ともにそれなりに近いが、DR150の方が厚みがある。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくる。中高域はDR150の方が量が多い。高域はDR150の方が太く金属的。HP1000の方が細く繊細。分解能はDR150の方がやや上。音場感は、広さにはそれほど差を感じないが、DR150の方が明確。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはHP1000の方がやや良いが、原音の粗や生っぽさはDR150の方が感じられる。エッジはDR150の方がややきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方が上。厚みはDR150の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP1000の方がやや上。DR150の方がエネルギッシュでノリが良い。HP1000の方が上品でおとなしい。響きは微妙。DR150の方が芯の通った音で切れも感じられるために響きがあっさりに感じる面もあるのだが、一つ一つの音の響きを細かく比べてみるとHP1000より響いていることが多い。これは、HP1000の方が柔らかくぼやけた音であることも一因だろう。ヴォーカルものや室内楽をしっとり聴きたいときにはHP1000の方が良いが、切れやスピード感の必要な曲はかなり苦手。そういう意味で、DR150の方がオールマイティー。弦楽器はHP1000の方が心地よいが、DR150の方が生楽器らしさがあり、どちらが良いかは好みが分かれるだろう。ただ、基本的にはどちらもなかなかうまい。金管楽器はDR150の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はDR150の方がうまい。音の厚み、切れ、ダイナミックさで勝っている。使い分けるなら、基本的にはDR150、ヴォーカルや弦楽器を心地よく聴きたいならHP1000。あるいは、聴き疲れを避けたいならHP1000、そうでもないならDR150。

K501
DR150はややドンシャリ、K501は高音より。低域はDR150の方がかなり出る。特にローエンドは雲泥の差。中域はK501の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域は意外と似た鳴らし方だが、DR150の方が若干高く太い音を鳴らすように感じる。分解能は低域が出ない上に線が細い分K501の方が良いように感じる。音場感はほぼ互角。原音忠実性は基本的にはK501の方が上のように感じるが、低域の表現は微妙。DR150の方が若干エッジがきつめだが、K501の方が線が細く硬い音のため、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはK501の方が上。特に明瞭さは低域の量の違いがはっきり出る。厚みはDR150の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR150の方が上。特に温かみはかなり差がある。ノリの良さならDR150、繊細さならK501。響きはDR150の方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の表現と音の硬さ、細さ。DR150の方が遥かに豊かな低域で、K501の方が硬く線の細い鳴らし方。弦楽器はチェロ等の低域を楽しみたいならDR150の方が良いが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならK501の方が良い。金管楽器はどちらもしっかり鳴らしてくれるが、DR150の方が高く力強い鳴らし方なのに対して、K501は細く硬い鳴らし方。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、うまくない理由がまったく違う。DR150は切れが悪くウォーム過ぎるため、K501は低域が不足で線が細いため。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときにはDR150、そうでもないときはK501。

RP-HT770
DR150はややドンシャリ、RP-HT770はやや低音より。低域はDR150の方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はDR150が素直に出るのに対して、RP-HT770はやや低域の曇りに覆われ、しかも若干うわずり気味。高域はDR150の方が高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDR150の方が良い。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDR150の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろDR150の方が良い。響きはDR150の方がやや豊か。RP-HT770はDR150に比べると全体的に曇っていて明瞭さが無く、ただ何となく鳴らしているように感じる。弦楽器はDR150の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDR150の方がかなり鮮やか。打ち込み系の音の表現はDR150の方がややうまい。厚みや低域の量感で勝っているため。使い分けるなら、基本的にはDR150、よほど聴き疲れを避けたいときだけRP-HT770。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索
第30回 ロメオとジュリエット/チャイコフスキー
第40回 For the love of you (Vanski's superdooper dance mix)/Candy Dulfer「For the love of you」より
第45回 宿替え/桂枝雀「THE 枝雀」より
第60回 I've Seen It All/Bjork「selmasongs」より
第63回 Salsa Caliente Del Japon/Orquesta De La Luz「De La Luz」より
第70回 Only You/GREGORIAN「MASTERS OF CHANT III」より
第80回 「必殺仕掛人」 〜必殺!/「必殺 The BEST」より
第85回 若葉の頃 First of May/須川展也「sugar」より

曲別HP探索2
第11回 熱情の律動/「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- オリジナル・サウンドトラック」より
第37回 弦楽四重奏曲第14番二短調「死と乙女」/シューベルト


※本レビューのスペック表記は現行(06年9月)のメーカーサイトとパッケージの表記に従ったものであるのに対して、不定期コラム第29回のスペック表記は当時のオフィシャルホームページの表記に従ったものです。なお、重量330gはコードを含んだ重量です。



※生産終了











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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 18Hz〜20kHz 110dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
240g 40mm 3m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4.5 5 2 2 3 1 均(高、低) 12700円

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公開日:2006.9.3

※生産終了