第85回 若葉の頃 First of May/須川展也「sugar」より

 須川展也はサックス奏者です。元々はクラシック畑でしたが、今はクラシックだけでなく幅広い曲を演奏しています。
 今回取り上げるのは、2002年発表のベストアルバム「sugar」の11曲目です。映画「小さな恋のメロディ」の挿入歌として使われてヒットした曲を、ソプラノサックスとクラシックギターだけというシンプルな構成にアレンジしています。主役は一応ソプラノサックスですが、クラシックギターも同じくらい活躍します。
 ヘッドホンとしては、柔らかく心地よく聴かせてくれるものが良いでしょう。


・1台目 DR150(Goldring)
 柔らかくて心地よく、それでいてギターのエッジもしっかり立っています。曲が進むに従ってソプラノサックスが低い音から高い音へと移っていくのですが、どの音程でも破綻せず魅力的な表現です。また、今回の曲は音のそのものだけでなく響きもかなり楽しめる傾向なのですが、DR150は響きも十分で楽しめます。
 他にはDTX900とMUSIC SERIES ONEが良かったです。DTX900はDR150より全体的に低く落ち着いた音で、温かみや心地よさという点ではDR150より良いくらいだったのですが、細かい表現、特にギターのエッジが潰れてしまうのが気になりました。MUSIC SERIES ONEはバランスが良く聴きやすいですが、DR150と比べると線が細くあっさりで物足りない感じです。少し違う傾向のものだと、HP-AURVN-LVも良かったです。前述の機種と比べると流石にやや冷たい印象は受けますが、柔らかくかつ繊細な表現は見事です。温かみにこだわらないならHP-AURVN-LVが最も良いと言う人も多いでしょう。
 不満点は、ほとんどありません。次は色々聴いてみて考えるしかないです。

・2台目 DT880(beyerdynamic)
 いろいろ聴いてみた結果、1台目と似た傾向で順当に良くなっているように感じたので選びました。
 柔らかく心地よく、それでいて細部の描写もしっかりこなしてくれます。1台目より窮屈な感じがせず、伸び伸び鳴らしている点が好印象です。どちらもギターのエッジがしっかり立ってくれる点は共通していますが、2台目の方がやや痛くない立ち方のように感じます。
 不満点は特にありません。1台目以上に完成度が高いです。

・3台目 SR-007+SRM-717(STAX)
 3台目は2台目以上に悩みましたが、最終的にはこれを選びました。
 響きが豊かで、しかも非常に美しいです。そういう意味で、今回の曲との相性はかなり良いです。ソプラノサックスの表現はふくよかで心地よいのですが、例えばHD650やPROline2500と比べるとあっさりです。STAXというと聴き疲れしないという印象が先行していてギターのエッジは立たないと思う方もいるかもしれませんが、ある程度しっかり立ってくれます。細部の描写は文句なしで、全体のバランスも良いです。


 今回は選びませんでしたが、ソプラノサックスを厚手に魅力的に鳴らしてくれるという意味ではHD650が最も良かったです。選ばなかった理由は、ギターのエッジの表現や響きの美しさという点で2台目や3台目に及ばないと感じたからです。
 今回の結果は、ギターのエッジや温かみを優先するならDT880、響きの美しさや繊細な表現を優先するならSR-007+SRM-717だと思います。
 好みに合わせて選んでください。


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