第37回 弦楽四重奏曲第14番二短調「死と乙女」/シューベルト

 今回取り上げるのはシューベルトの弦楽四重奏曲第14番二短調「死と乙女」です。演奏はアルバン・ベルク四重奏団で、1984年の録音です。
 この曲は作曲中にシューベルトが病気にかかったことも影響しているのか、暗さを伴った緊張感が漂っているところがあります。アルバン・ベルク四重奏団は1970年にオーストリアで結成された、非常に有名で評価の高いカルテットです。今回のCDでもその実力は遺憾なく発揮されています。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。弦の音色や質感をきちんと表現してくれることと、今回の曲の暗さや緊張感を出してくれることを重視したいと思います。


・1台目 SHP2500(PHILIPS)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。音色の自然さだけなら同等以上のものがいくつかありましたが、緊張感については最も良く出してくれる印象です。今回聴いた中では生楽器らしさがしっかり感じられる点も魅力です。
 他にはHP-RX900、RP-HT560、SE-M870、UR/40等で聴いてみました。HP-RX900は音色が不自然で、一聴して違和感があります。RP-HT560は音色はなかなか自然なのですが、SHP2500と比べると生楽器らしさが感じられないせいか緊張感が出ません。SE-M870はHP-RX900ほどではないものの音色の癖が気になります。UR/40は最後までSHP2500と迷いましたが、SHP2500の方が緊張感を出してくれるように感じたのでそちらにしました。
 不満点は、もう少し音色の自然さが欲しい点です。

・2台目 DR150(Goldring)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。1台目の音色を自然にした上で更に緊張感を出してくれるような音です。1台目と比べると高域がしっかり伸びている点も魅力です。
 他にはFA-002、HP-AURVN-LV、MDR-CD900ST、RP-21、SRH840等で聴いてみました。FA-002はある種の暗さがあるものの、それでいて不要な芯が通っていて弦の質感がいまいちです。HP-AURVN-LVとSRH840は音色は自然なのですが、DR150と比べると緊張感が出ません。MDR-CD900STは音色がやや不自然です。RP-21は最後までDR150と迷いましたが、DR150の方が弦の質感が1台目に近く、1台目の不満点の解消という意味で適切に感じられたのでそちらにしました。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・3台目 DT770PRO(beyerdynamic)
 色々聴いてみた結果これになりました。基本的に1、2台目と近い傾向だと思います。特に弦の質感と生楽器らしさのおかげで緊張感が感じられる点についてはそう感じます。ヴァイオリンの高いところの音色がやや明るめなだけでなく、スタッカートの表現もなかなか歯切れが良いのですが、それでいて全体としてはあまり明るくならず十分聴けるバランスになっているように思います。これは低域の重心が低く量感があることと、一部付帯音が多めであることが原因だと思われます。
 不満点は特にありません。

・4台目 HD650(SENNHEISER)
 ここまでは暗さよりも緊張感に寄ったものを選んできてしまった(偶然そういう傾向で魅力的なヘッドホンが多かった)ので、もう少し暗さに寄ったものを選ぼうと考えたところ、これになりました。3台目が弦の切れで緊張感を出すのに対して、4台目は音色の暗さと重厚感で暗さを出す感じです。緊張感は若干落ちるようにも感じられますが、3台目が張り詰めた緊張感だとすれば4台目は重苦しい緊張感といった感じで、緊張感の質が異なるという風にも受け取れます。1〜3台目と比べると粗がなく聴きやすい点は魅力です。
 他にはAH-D5000、ATH-AD2000、DT880、K701等で聴いてみました。AH-D5000はヴァイオリンの透明感が魅力ではありますが、今回の曲と探索条件では明るすぎる印象です。ATH-AD2000は弦の質感にやや癖があります。DT880はなかなか良いのですが、DT770PROほどの緊張感やHD650ほどの暗さはなかったので外しました。K701は弦の音色や質感は良いのですが、暗さや緊張感はあまり感じられません。

・5台目 MDR-EX1000(SONY)
 最初に書いた条件を最も満たしていると感じたので選びました。弦の音色はかなり自然ですし、緊張感もしっかり感じられます。質感については味付けのなさが今回の演奏の凄みをそのまま出すことに繋がっているような印象です。暗さだけはもう少し欲しかった気もしますが、これ以上に暗くて他の条件も同等以上に満たしているものはありませんでした。色々と聴いてみたのですが、ER-4Sは弦の質感や緊張感は良いものの音色が明るく繊細な傾向である点が合わない、Image X10は緊張感を出してくれない、SE535はヴァイオリンの高いところが足りない等の不満がありました。
 他にはHP101とHP-CN40が良かったです。どちらも緊張感はあまり感じられませんが、価格の割に音色が自然です。


 今回はDR150が印象的でした。あと一歩で選ばれないことも多い機種なのですが、今回は曲と探索条件にピッタリはまった印象です。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)が良いと思います。弦の音色や質感をきちんと表現してくれますし、暗さや緊張感も出してくれます。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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