FA-002

音質
 かなりフラットだが、厳しく見るならやや高音より。低域は中域と同量から若干少なめ。大きな癖があるわけではないが、それでいて個性的。ローエンドよりも中低域の方がしっかり出る。やや薄く曇ったような質だが、制動は良い。厚みや量感はあまりない。重心は普通からやや高め。中域はやや低域の曇りに覆われる感じだが、基本的には普通に聴こえてくる。質的にはやや不要な芯が通っている感じが気になることがある。高域は中域とほぼ同量。どちらかと言うと線が太い傾向で、ややざらつく感じ。
 分解能は価格なりからやや良いレベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろそれなり。音場感はなかなか広く明確。遠くから音を鳴らす感じで空間を感じさせる表現。原音忠実性はそれなりと評価すべきかなかなか良いと評価すべきか迷うところ。周波数特性上の癖は小さいが、その割には違和感があるような印象。原音の粗や生っぽさは必要量といった感じ。エッジはあまりきつくなく、それほど聴き疲れしない。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなり。厚みは普通からやや薄め。温かみは薄い曇りのおかげでそれなりに感じられるが、それ以上のものはない。ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。低めのヴォーカルはややスモーキーな傾向、高めのヴォーカルはやや不要な芯が通っている感じが気になることがある。薄く曇っている割には心地よいヴォーカルとは言えず、透明感を求める向きにも合わない。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。スピード感は悪くないが、中高域から高域がしっかり出る割には派手さがなく、むしろ地味で古臭い音に感じられることも多い。響きは適度からやや豊か。
 弦楽器は微妙。どちらかと言うと滑らかで無機質、音色の癖が多少気になることがある。金管楽器はそれなりに鮮やかで金属的な質感も出してくれるが、派手ではない。打ち込み系の音の表現はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。音の質感の相性はそれほど悪くないが、切れが若干不満だし、地味さや低域の質が合わないように感じられることもある。
 音場感は長所だが、音楽を魅力的に鳴らしてくれるかどうかということを考えると微妙な機種。

装着感
 良好。側圧はやや強いが、イヤーパッドが柔らかく深さもあるので、装着している状態ではそれほど圧迫感はない。ずれにくい点は良い。ヘッドバンドのクッションは薄いが、側圧が強いため頭頂部への負担はあまり大きくない。ヘッドバンドの調節がしっかり固定できないのが難点。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズで、上下左右に角度調節ができる。ただし、左右方向は調節できる幅が狭い。材質はレザータイプの人工皮革で、やや柔らかめ。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。普通の開放型レベル。
 作りは価格の割にやや安っぽい。イヤーパッドは一見悪くないが作りはやや雑だし、本体のプラスチック部に傷がついていたりする。コードやプラグもやや安っぽい。デザインは地味。ヘッドホン本体側でもコードの着脱が可能(本体側のプラグはミニサイズのモノラルフォン)。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約3mm、合流後は幅約6mm・厚さ約3mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周114mm×90mm、内周72mm×44mm、深さ26mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
交換用イヤーパッド



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-AD2000
どちらもかなりフラット。低域はほぼ同量。どちらもソースによっては薄く曇ったような感じが気になることがあるもののそれでいて制動が良い点は似ている。重心はATH-AD2000の方が若干低い。中域はどちらも低域に邪魔されず普通に聴こえてくる。ソースによってはFA-002の方が若干不要な芯が通っている感じが気になることがある。高域はFA-002の方が若干量が多い。FA-002の方が若干明るく線が細い。分解能はATH-AD2000の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はFA-002の方がやや広く明確。FA-002の方が遠くから音を鳴らす感じで空間を感じさせる表現。FA-002の方が音像がシャープ。原音忠実性はATH-AD2000の方が若干上。周波数特性上の癖のなさはほぼ同レベル。原音の粗や生っぽさはATH-AD2000の方が若干感じられる。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うとATH-AD2000の方が粗っぽく痛い感じ、FA-002の方が細く刺さる感じ。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはATH-AD2000の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD2000の方がやや感じられる。ヴォーカルはATH-AD2000の方が厚手で、不要な芯が通っておらず聴きやすい傾向。ATH-AD2000の方がノリが良い。ATH-AD2000の方が耳元でガンガン鳴らす感じで鳴りっぷりが良い。響きはほぼ同レベル。全体のバランスはそれなりに近い。弦楽器はATH-AD2000の方が若干心地よく、FA-002の方が若干繊細。チェロやコントラバスを濃厚に鳴らして欲しいならATH-AD2000の方が良いが、ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならFA-002の方が良い。金管楽器は鮮やかさという意味では大差ない。ATH-AD2000の方が音の割れ方を出してくれる感じ、FA-002の方がシンプルで綺麗。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方がややうまい。音の質感の相性にしろ切れにしろ大差ないが、厚みやダイナミックな鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、近くで音を鳴らして欲しいならATH-AD2000、遠くで音を鳴らして欲しいならFA-002。あるいは、厚みや温かみを求めるならATH-AD2000、高域の明るさや繊細さを求めるならFA-002。

DR150
DR150はややドンシャリ、FA-002はかなりフラット。低域はDR150の方が若干量が多い。FA-002の方が薄く曇ったような質。DR150の方が存在感がある。重心はDR150の方がやや低い。中域はどちらも普通に聴こえてくるが、どちらかと言うとDR150の方が低域の量に負ける感じ、FA-002の方が低域の曇りに覆われる感じ。ソースによってはFA-002の方が若干不要な芯が通っている感じが気になることがある。高域はDR150の方が若干量が多い。DR150の方が明るく鋭い質で目立つ。分解能はDR150の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとDR150の方が勝っている。音場感はFA-002の方がやや広く、DR150の方がやや明確。原音忠実性はDR150の方が若干上。周波数特性上の癖のなさは大差ないが、どちらかと言うとFA-002の方が上。原音の粗や生っぽさはDR150の方が感じられる。DR150の方が原音の実体感がある。エッジはDR150の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろDR150の方がやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方がやや上。厚みはDR150の方がややある。温かみは薄く曇っている分FA-002の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではDR150の方が上。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。DR150の方が擦れやリップノイズを出してくれる、FA-002の方がスモーキー。DR150の方がノリが良い。FA-002の方がただ何となく鳴らしているような感じ。DR150の方がメリハリがある。響きはFA-002の方がやや豊か。FA-002の方が地味で無機質。弦楽器は、DR150の方が生楽器らしさが感じられる、FA-002の方が滑らかで伸びが良い。金管楽器はDR150の方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はFA-002の方がやや良い印象だが、切れはDR150の方がやや良い。FA-002は地味さや低域の質が合わないように感じられることがある。使い分けるなら、生楽器らしさやメリハリを求めるならDR150、音場の広さや聴き疲れのなさを求めるならFA-002。

HI2050
FA-002はかなりフラット、HI2050はやや高音より。低域はFA-002の方が若干量が多い。HI2050の方がやや締まりや制動が感じられる。重心はFA-002の方が若干低い。中域は基本的にはHI2050の方がはっきり聴こえてくるが、ソースによってはFA-002の方が不要な芯が通っている感じで目立つことがある。高域はHI2050の方がやや量が多い。硬く明るい質で目立つ。FA-002の方がややざらつく感じ。分解能はほほ同レベル。音の分離はFA-002の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はHI2050の方が若干上。音場感は、FA-002の方がやや広い、明確さはほぼ同レベル。FA-002の方が遠くから音を鳴らす感じで空間を感じさせる表現。原音忠実性は微妙。全体のバランスはFA-002の方が若干良いが、個々の音はHI2050の方が癖がないことが多い印象。原音の粗や生っぽさはHI2050の方がやや感じられる。エッジはHI2050の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHI2050の方が鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはHI2050の方がやや上。厚みはHI2050の方が若干ある。温かみは曇っている分FA-002の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではHI2050の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはHI2050の方がやや感じられる。HI2050の方が明るくノリが良い。響きはFA-002の方がやや豊か。弦楽器は、FA-002の方がやや滑らか、HI2050の方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器はHI2050の方がやや鮮やかで金属的な質感を出してくれるが、やややりすぎな感がある。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性や切れはHI2050の方が若干上だが、低域不足や線の細さが気になることがある。使い分けるなら、音場の広さや聴き疲れのなさを求めるならFA-002、生楽器らしさや明瞭さを求めるならHI2050。

SRH1840
どちらもかなりフラット。低域はほぼ同量だが、どちらかと言うとSRH1840の方が多い。FA-002の方が個性的な質。重心はSRH1840の方が若干低い。中低域はFA-002の方がしっかり出る。中域はSRH1840の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。ソースによってはFA-002の方が不要な芯が通っている感じが気になることがある。高域はほぼ同量。FA-002の方がややざらつく感じ。SRH1840の方が癖がない。分解能はSRH1840の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はSRH1840の方が若干広く明確。原音忠実性はSRH1840の方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはSRH1840の方が若干感じられる。エッジはFA-002の方が若干きつく、聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろFA-002の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはSRH1840の方がやや上。厚みはSRH1840の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSRH1840の方がやや感じられる。ヴォーカルはSRH1840の方が透明感がある。ノリの良さは微妙。FA-002の方が若干スピード感がある、SRH1840の方が若干音色が明るい。響きはほぼ同レベル。FA-002の方が地味で無機質。弦楽器はSRH1840の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はSRH1840の方が若干鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はFA-002の方が若干良い印象だが、地味さや低域の質が合わないように感じられることがある。使い分けるなら、基本的にはSRH1840、SRH1840では芯が足りないとか質感が合わないという不満があるならFA-002。

T50RP
FA-002はかなりフラット、T50RPはややかまぼこ。低域はFA-002の方が若干量が多い。T50RPの方が柔らかくぼやけた質。FA-002の方が圧力や制動が感じられる。重心はFA-002の方がやや低い。中域はFA-002の方が明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。FA-002の方が不要な芯が通っている感じが気になることがあるのに対して、T50RPの方があまりに芯が通っていない感じが気になることがある。中高域はFA-002の方がしっかり出る。高域はFA-002の方がやや量が多い。FA-002の方が硬い質で目立つ。T50RPの方が線が細く粗がない。分解能はFA-002の方が若干上。音の分離はFA-002の方がやや上、一つ一つの音の微細な描写は基本的には大差ないがT50RPの方が粗なく丁寧にこなしてくれる傾向ではある。音場感は微妙。T50RPの方が独特の広がりの良さがある、FA-002の方が遠くから音を鳴らす感じで空間を感じさせる表現。FA-002の方がやや明確。FA-002の方が音像がシャープ。原音忠実性はFA-002の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはFA-002の方が感じられる。エッジはFA-002の方がきついが、T50RPは独特の聴き疲れがあるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろFA-002の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはFA-002の方が上。厚みはFA-002の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはT50RPの方がやや感じられる。ヴォーカルはFA-002の方が擦れやリップノイズを出してくれる、T50RPの方がスモーキー。FA-002の方が明るくノリが良い。FA-002の方が切れやスピード感がある。響きはT50RPの方がやや豊か。FA-002の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はFA-002の方が生楽器らしさが感じられるし音色も自然、T50RPの方が滑らかで心地よい。金管楽器はFA-002の方が鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はFA-002の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、癖のなさやノリの良さを求めるならFA-002、独特な音の広がりや粗のなさを求めるならT50RP。

UR/40
FA-002はかなりフラット、UR/40はややドンシャリ。低域はUR/40の方がやや量が多い。単に量が多いと言うよりも、しっかりした量感があるという印象。FA-002の方が制動が良い。重心はUR/40の方が低い。中域はFA-002の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。ソースによってはFA-002の方が不要な芯が通っている感じが気になることがある。中高域はFA-002の方がしっかり出る。高域はUR/40の方が若干量が多い。明るく鋭い質で目立つ。分解能はFA-002の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとFA-002の方が勝っている。音場感はFA-002の方がやや広く明確。FA-002の方が遠くから音を鳴らす感じで空間を感じさせる表現。FA-002の方が音像がシャープ。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはFA-002の方が上だが、それでいて違和感が大きいように感じられることも多い。原音の粗や生っぽさはUR/40の方が若干感じられる。エッジはUR/40の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はUR/40の方がやや痛い、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはUR/40の方がやや上。厚みはUR/40の方が若干あるが、それよりもFA-002の方が締まっている点に目が行く。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはUR/40の方がやや感じられる。ヴォーカルはUR/40の方が柔らかく聴きやすい。UR/40の方が低域・高域ともに主張してくるためノリが良いように感じられることが多いが、切れやスピード感はFA-002の方がある。響きはUR/40の方がやや豊か。FA-002の方が地味で無機質。UR/40の方が付帯音が多い。弦楽器はFA-002の方が余計な音を鳴らさない感じ、UR/40の方が心地よい。金管楽器はFA-002の方がやや力強い、UR/40の方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はUR/40の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、音場の広さや周波数特性上の癖のなさを求めるならFA-002、低域の量感やヴォーカルの聴きやすさを求めるならUR/40。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生











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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
- 開放型 10Hz〜26.5kHz 105dB 64Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
280g - 3m 両出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4 4 2 2 3 1 17500円

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公開日:2011.2.25