MDR-CD900ST

音質
 フラット。低域は厚み・量ともに十分だが、ややぼやけている感じ。中域は低域の強いソースではやや埋もれる感じだが、基本的にはしっかり聴こえてくる。高域は派手さのない鳴らし方ながらそれなりの量が出る。
 分解能、原音忠実性は非常に良い。音場感はいまいち。エージングによって多少は良くなるものの、エッジがきつくてソースの粗を拾いやすいため、非常に聴き疲れする。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みはそれなり。低域がかなり出るので温かみは多少あるように感じられるが、それ以上のものはない。ヴォーカルの艶っぽさはいまいちだが、これは味付けがしていないだけだろう。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない、モニター的な鳴らし方。響きは豊かで、こもり感が気になる。これも聴き疲れの一因。
 弦楽器は繊細さや原音の粗は感じられるが、心地よさはない。金管楽器は鮮やかさが足りない。打ち込み系の音の表現は下手。全体的に締まりや鮮やかさがない。

装着感
 良好。側圧は弱めだが、それほどずれやすくはない。ヘッドバンドはあまり柔らかくないが、意外と軽いため苦にならない。
 イヤーパッドはかろうじて耳を覆うサイズだが、深さが浅いため耳に当たる。上下左右に角度調節ができる。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。

その他
 遮音性は普通。音漏れ防止は良好。
 デザインはいかにもスタジオモニター用といった感じで、良くはない。作りは悪くないが、イヤーパッドの材質は安っぽい。音質的にはプロのスタジオモニター用として圧倒的なシェアを誇るだけのことはあるが、あくまでモニター用で音楽鑑賞にはあまり向かない。
 プラグは標準プラグ。ミニプラグ用ジャックに接続するには変換プラグが別途必要なのは難点。コードの太さは約3.5mm、硬さは普通。イヤーパッドのサイズは、外周98mm×78mm、内周58mm×38mm、深さ8mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ

不定期コラム『第15回 モニター用ヘッドホン比較』
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第44回 イヤーパッドの交換と音質の変化 2回目』
不定期コラム『第58回 追加測定ピックアップと注意点』

投稿レビュー『MDR-CD900ST』

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-M40fs
ATH-M40fsはかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域は全体的にMDR-CD900STの方が出る。高域はaudio-technica独特の癖があるためATH-M40fsの方が高い音に聴こえるが、量的にはほぼ互角。MDR-CD900STの方が若干分解能が良く原音忠実。音場感は互角。どちらもエッジがきつく非常に聴き疲れするが、響きが豊かで低音が出る分大抵のソースではMDR-CD900STの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-M40fsの方が上。厚みや密度はMDR-CD900STの方が上。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさには欠ける。モニター用らしい冷静な鳴らし方。弦楽器はMDR-CD900STの方が原音に近くしかも伸びも良い。金管楽器や打ち込み系の音の表現はATH-M40fsの方がうまい。使い分けるなら打ち込み系の曲やブラスメインの曲はATH-M40fs、それ以外はMDR-CD900ST。特に低音が欲しい場合にはMDR-CD900STの方が良い。

ATH-SX1
ATH-SX1はややかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域は全体的にMDR-CD900STの方が出る。高域はほぼ互角だが、若干ATH-SX1の方が出る。分解能はMDR-CD900STの方が良いか。音場感はややATH-SX1の方が良い。どちらも非常に原音忠実だが、MDR-CD900STはやや低音よりなところがあり、ATH-SX1は高域に癖がある。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-SX1の方がやや上。厚み、密度は若干MDR-CD900STの方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方がある。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が生っぽいのだが、心地よく音楽鑑賞できるのはATH-SX1。金管楽器はATH-SX1の方が鮮やかで良い。打ち込み系の音の表現もATH-SX1の方がうまい。メーカーが違うわりにはかなり似た機種なので、使い分けるのは難しいが、聴き疲れの少ないATH-SX1をメインにして、MDR-CD900STは原音忠実性が厳密に要求されるところで使いたい。

CPH7000
CPH7000はややかまぼこ、MDR-CD900STはかなりフラット。低域は、全体的にはMDR-CD900STの方が量が多いが、特定帯域だけは同等に感じる。CPH7000に癖があるようだ。質感はMDR-CD900STがややぼやけている感じ、CPH7000の方が締まりがある感じ。中域はCPH7000の方がはっきり聴こえる。これは、低域に邪魔されないのと、うわずっていて目立つこと、両方のせいだろう。高域はCPH7000の方が高い音でかなり目立つ。分解能はMDR-CD900STの方が上。音の分離は差を感じないが、微細な表現はかなり違う。音場感はCPH7000の方がやや良い。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。中域の癖のなさだけでなく、原音の粗を感じやすい点でも勝っている。MDR-CD900STの方が細かい音が耳に突き刺さる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCPH7000の方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方が上。CPH7000はややノリが良いのに対して、MDR-CD900STは極めてモニター的。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が癖がなくうまい。金管楽器はCPH7000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域の量ではMDR-CD900STに分があるが、単純な音の質感の相性ではCPH7000の方がかなり良い。使い分けるなら、明るく楽しみたいときや聴き疲れを嫌うときにはCPH7000、低域の量が欲しいときや中域の癖を嫌うときはMDR-CD900ST。

DR-631
DR-631はかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域も高域もMDR-CD900STの方が出る。特に低域はMDR-CD900STの方がかなり出る。DR-631は中低域はしっかり鳴らすのに、それ以下はバッサリ鳴らない。分解能はDR-631の方が若干上に感じるが、線の細さや音の粒の細かさを求めているならMDR-CD900STの方が良い。音場感、原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはDR-631の方が上、音の鮮やかさはMDR-CD900STの方が上。厚み、密度はDR-631の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方がかなり上。DR-631は極めてモニター的な鳴らし方なのに対して、MDR-CD900STはモニター用にしてはフラットで響きが豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-CD900STの方が魅力的。音楽鑑賞に使うなら何を聴くにしてもほとんどMDR-CD900STの方が良いだろう。モニター的な用途以外では、DR-631は使えない。

HA-MX10-B
どちらもかなりフラット。低域はMDR-CD900STの方が若干量が多い。HA-MX10-Bの方が締まりや制動が感じられる。重心はMDR-CD900STの方が若干低い。中域はHA-MX10-Bの方が若干明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHA-MX10-Bの方が若干量が多い。やや硬く明るい質で目立つ。MDR-CD900STの方が若干線が細い。分解能はHA-MX10-Bの方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。ただし、一つ一つの音の微細な描写はMDR-CD900STの方が粗なく丁寧にこなしてくれる面はある。音場感は、広さはほぼ同レベル、明確さはHA-MX10-Bの方がやや上。原音忠実性はHA-MX10-Bの方が若干上。周波数特性上の癖のなさは大差ない。原音の粗や生っぽさはHA-MX10-Bの方が若干感じられる。エッジは基本的にはHA-MX10-Bの方が若干きついが、MDR-CD900STの方が高域の中でも高いところが一部出ていて耳障りな上にこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、HA-MX10-Bの方が若干粗っぽく痛いことが多いのに対して、MDR-CD900STの方が細く刺さることが多い。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-MX10-Bの方がやや上。MDR-CD900STの方が薄く曇っているような感じ。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方が若干感じられる。ヴォーカルは、HA-MX10-Bの方が明るい女性ヴォーカルに合う、MDR-CD900STの方がややスモーキー。HA-MX10-Bの方が明るくノリが良い。MDR-CD900STの方が地味でどっしりとした安定感がある。HA-MX10-Bの方が切れやスピード感がある。響きはMDR-CD900STの方がやや豊かで、こもり感が気になる。MDR-CD900STの方が生気に欠ける印象。弦楽器は、HA-MX10-Bの方が生楽器らしさが感じられる、MDR-CD900STの方が心地よい。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならHA-MX10-Bの方が良いが、チェロやコントラバスを柔らかく鳴らして欲しいならMDR-CD900STの方が良い。金管楽器はHA-MX10-Bの方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はHA-MX10-Bの方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れを求めるならHA-MX10-B、低域の量感や響きを求めるならMDR-CD900ST。

K240monitor
どちらもかなりフラットだが、K240monitorの方がややかまぼこか。低域は密閉型特有のこもり感の影響もあるのだろうがMDR-CD900STの方が強いように感じる。中域〜高域はほぼ同量だが、超高域はMDR-CD900STの方が出るし、鋭く突き刺さってくる。分解能、原音忠実性はMDR-CD900STの方がやや上。音場感はK240monitorの方がやや良い。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度はMDR-CD900STの方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK240monitorの方が上。MDR-CD900STの方がノリが良い。響きはMDR-CD900STの方が豊か。MDR-CD900STはこもり感が気になるが、K240monitorはそんなことはない。MDR-CD900STの方がかなりスピード感のある鳴らし方。弦楽器はK240monitorの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、MDR-CD900STの方がやや音が太く圧力がある。打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方がうまい。使い分けるなら、まずは聴き疲れの程度だろう。MDR-CD900STは音楽鑑賞には聴き疲れしすぎる。聴き疲れの点を除けば、クラシックはK240monitor、それ以外はMDR-CD900STか。

MDR-7506
MDR-7506はややドンシャリ、MDR-CD900STはかなりフラット。低域は、量はそれほど差がないように感じるが、MDR-7506の方が低く厚みのある音を鳴らす。中域はMDR-7506の方が曇りなくはっきり聴こえてくる。これは、MDR-7506の方が中域がやや高めの音を鳴らすのと、MDR-CD900STは低域の薄い曇りが気になるせいだろう。高域はかなり似ているが、MDR-7506の方が若干量が多い。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えば曇りに邪魔されない分MDR-7506の方が良いか。音場感はMDR-7506の方がやや良い。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつい上、こもり感が気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもソースの持っているもの以上は出さない感じだが、MDR-CD900STの方がやや良いように感じる。どちらもモニターライクな鳴らし方ではあるが、MDR-7506の方がノリが良く楽しめる。響きはMDR-CD900STの方がやや豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が原音に近く、繊細さや心地よさでもMDR-7506にも負けていない。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-7506の方がかなりうまい。音の厚みとドンシャリ具合がマッチする。使い分けるなら、聴き疲れしても良いから原音忠実性を保ちたいときにはMDR-CD900ST、それ以外はMDR-7506。

MDR-D777SL
MDR-CD900STはかなりフラット、MDR-D777SLは低音より。低域はMDR-CD900STの方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はMDR-CD900STの方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMDR-CD900STの方が高い音で量も多い。分解能はMDR-CD900STの方がかなり上。音場感はMDR-D777SLの方がやや立体感がある。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-CD900STの方が上。温かみはMDR-D777SLの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、MDR-CD900STはモニター的な冷静さを感じさせるのに対して、MDR-D777SLは本当にただ何となく鳴らしているだけに感じる。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-D777SLの方が心地よいが、作った心地よさ以外のものをすべて放棄してしまっている感じなので、普通に聴くならMDR-CD900STの方が良いだろう。金管楽器はMDR-CD900STの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方がうまい。使い分けるなら、基本的にはMDR-CD900ST、余程聴き疲れを嫌う場合や少しでも音場感を優先したい場合だけMDR-D777SL。

MDR-V6
MDR-CD900STはかなりフラット、MDR-V6はややドンシャリ。低域はMDR-V6の方がやや量が多い。特に所謂重低音より下はMDR-V6の方がしっかり出る。MDR-V6の方がやや締まりや制動が感じられる。重心はMDR-V6の方がやや低い。中低域はMDR-CD900STの方がしっかり出る。中域はMDR-V6の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はMDR-V6の方が若干量が多い。MDR-CD900STの方が若干線が細く粗がない。分解能は微妙。音の分離はMDR-V6の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はMDR-CD900STの方が粗なく丁寧にこなしてくれる。音場感はMDR-V6の方がやや広く明確。MDR-CD900STの方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はMDR-CD900STの方が若干上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗はMDR-V6の方が若干感じられるが、生っぽさはMDR-CD900STの方が若干感じられる。エッジはMDR-CD900STの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろMDR-CD900STの方がやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-V6の方が若干上。厚みはMDR-V6の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方がやや感じられる。ヴォーカルはMDR-CD900STの方が癖がなくソースを選ばない。MDR-V6の方がややノリが良い。切れやメリハリ、低域に基づく迫力や力強さ、いずれも勝っている。響きはMDR-CD900STの方がやや豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方がやや心地よいし、音色も自然。金管楽器は、MDR-CD900STの方がやや癖がない、MDR-V6の方がやや太く力強い。打ち込み系の音の表現はMDR-V6の方がややうまい。切れで勝っている。使い分けるなら、原音忠実性や響きを求めるならMDR-CD900ST、重低音の量や音場感を求めるならMDR-V6。

PRO/4AA
MDR-CD900STはフラット、PRO/4AAはかまぼこ。低域は圧倒的にMDR-CD900STの方が出るが、これはむしろPRO/4AAの低域が出なさ過ぎと言うべきだろう。高域はほぼ同量だが、様々な理由によりPRO/4AAの方が出るように感じられる。どちらもモニター用だが一聴して全然違う音調。分解能はほぼ互角だが、若干MDR-CD900STの方が良いか。音場感はPRO/4AAの方が良い。MDR-CD900STの方が原音忠実。どちらもかなり聴き疲れするが、エッジのきつさではMDR-CD900STの方が上。PRO/4AAは硬く芯が通り過ぎていて疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはPRO/4AAの方が良い。厚み、密度、情報量等はほぼ互角だが、かなり違う方向性なので、比較しない方が良いかもしれない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方がある。PRO/4AAはよほどうがった聴き方をしない限り温かみやヴォーカルの艶っぽさはゼロと言って良い。響きはMDR-CD900STの方が圧倒的に豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてMDR-CD900STの方が上。使い分けは難しい。まったく違う音なので気分で変えるのが良いかもしれないが、基本的には何を聴くにしてもMDR-CD900STの方が良いだろう。

RP-21
MDR-CD900STはかなりフラット、RP-21はややドンシャリ。低域は量的にはあまり差はない。MDR-CD900STの方が柔らかくぼやけている感じ、RP-21の方がタイトでパンチがある感じ。中域はRP-21の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はRP-21の方が高く鋭い音で目立つ。分解能はRP-21の方が若干上。一つ一つの音の微細な描写にはあまり差がないが、音の分離はRP-21の方が良い。音場感はRP-21の方が広く明確。原音忠実性はどちらも良いが、原音の粗はMDR-CD900STの方が感じられる。エッジは基本的にはMDR-CD900STの方がきついが、サ行の音はRP-21の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-21の方が上。厚みはRP-21の方がある。温かみはMDR-CD900STの方が感じられる。これは、MDR-CD900STの方が低域が柔らかくぼやけていることと、RP-21の方がやや硬くて冷たい質感であることが原因。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。RP-21の方がメリハリがある鳴らし方で、ノリが良い。響きは、低域はMDR-CD900STの方が豊か、高域はRP-21の方が豊か。MDR-CD900STの方がかなりこもり感が気になる。弦楽器は好みの差だろう。RP-21では硬く冷たいと感じるならMDR-CD900STが良いだろうし、MDR-CD900STではベースがぼやけていたりヴァイオリンの澄んだ感じが出ないと感じるならRP-21の方が良いだろう。金管楽器はRP-21の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-21の方がうまい。音の質感や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはRP-21、高域の癖を避けたいときや低域の柔らかい感じが欲しいときはMDR-CD900ST。

Studiophile Q40
MDR-CD900STはかなりフラット、Studiophile Q40は低音より。低域はStudiophile Q40の方が全体的にかなり量が多い。重心が低く、圧迫感がある。締まりはあまりなく、MDR-CD900STと比べて曇っているように感じる。中域はMDR-CD900STの方が低域の曇りに覆われず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はそれなりに似ているが、MDR-CD900STの方がやや太く金属的で明るい。分解能はMDR-CD900STの方が上。音場感は大差ないが、Studiophile Q40の方がやや広い。どちらも耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。Studiophile Q40は低域の量が多すぎるし、原音の粗や生っぽさもMDR-CD900STの方が感じられる。エッジはMDR-CD900STの方がきついが、Studiophile Q40はMDR-CD900STと違って低域の量や圧迫感で疲れるため、総合的な聴き疲れは聴く人やソースによって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-CD900STの方が上。厚みはStudiophile Q40の方がある。温かみは低域の量が多い分Studiophile Q40の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではMDR-CD900STの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは大差ないが、味付け少なくリアルな質感を好むならMDR-CD900ST、スモーキーな感じが良いならStudiophile Q40。Studiophile Q40の方が低域でごり押しするような迫力があるが、切れやスピード感はMDR-CD900STの方がある。響きはほぼ同レベル。Studiophile Q40の方がこもり感が気になる。弦楽器はMDR-CD900STの方が繊細で生楽器らしさが感じられて良い。Studiophile Q40は塗りつぶしたような質感が気になる。金管楽器は意外と似ているが、MDR-CD900STの方がやや明るく、Studiophile Q40の方がやや力強い。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の量が欲しいならStudiophile Q40の方が良いが、音の質感の相性や切れやMDR-CD900STの方が若干良い。使い分けるなら、低域の量が欲しいならStudiophile Q40、そうでもないならMDR-CD900ST。

T50RP
MDR-CD900STはフラット、T50RPはややかまぼこ。超低域はほぼ同量だが、低域・高域ともにMDR-CD900STの方が若干出る。分解能はMDR-CD900STの方が良い。音場感はT50RPの方が広く明確。MDR-CD900STの方が原音忠実だが、エッジがきつくかなり聴き疲れする。ホワイトノイズも大きい。明瞭さ音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてMDR-CD900STの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。T50RPの方が生ぬるい印象。ヴォーカルはMDR-CD900STの方が芯が通っている。どちらもモニター用の音作りで、ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、あえて分けるならノリの良さならMDR-CD900ST、繊細さならT50RP。響きはどちらも豊か。弦楽器はT50RPの方が心地よく聴ける。金管楽器や打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方が良い。原音に近く鮮やか。もっともそれはT50RPが曇っているだけかもしれないが。何を聴くにしてもMDR-CD900STの方が若干良いように感じるが、聴き疲れするのは確か。T50RPを使うのは、MDR-CD900STに聴き疲れしたときや広い音場を楽しみたいときくらいか。

TR-HP03B
MDR-CD900STはかなりフラット、TR-HP03Bはややドンシャリ。低域はMDR-CD900STの方がやや量が多いが、TR-HP03Bの方がしっかり低い音を鳴らす。中域はTR-HP03Bの方が低域に埋もれない感じで明確に聴こえてくる。高域はTR-HP03Bの方がやや高い音で量も多い。分解能はMDR-CD900STの方が上。音の分離はさほど違いを感じないが、細かい部分はMDR-CD900STの方が分かる。音場感はTR-HP03Bの方が上。明確で広がりがある。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。特に原音の粗を強く感じられる点が違う。MDR-CD900STの方がかなり聴き疲れする。これはエッジのきつさよりもこもり感の酷さの影響が大きいようだ。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてTR-HP03Bの方が上。TR-HP03Bの方がノリが良い。響きはMDR-CD900STの方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はTR-HP03Bの方が粗のない表現で心地よく聴ける。金管楽器はTR-HP03Bの方が鮮やかで力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はTR-HP03Bの方がうまい。音の厚みや低域の質感で勝っている。使い分けるなら、ほとんど何を聴くにしてもTR-HP03Bの方が良いだろう。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索
第14回 ヴィオラ・ソナタ 作品147/ショスタコーヴィチ

曲別HP探索2
第27回 Part 1/Keith Jarrett「The Koln Concert」より
第40回 愛をこめて花束を/Superfly「Superfly」より
第70回 Turn Off The Light/三浦大知
第75回 Split Kick/Art Blakey「A Night at Birdland, Vol.1」より
第96回 襟裳岬/森進一「森進一 ベスト」より













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 5Hz〜30kHz - 63Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
200g - 2.5m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 3 4 3 1 14000円

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公開日:2004.12.12