Z headphones

音質
 かなり低音よりのドンシャリ。低域は厚みは程々だが、量が物凄い。ローエンドまで容赦なく大音量で鳴らす。中域は完全に低域に埋もれ、かなり曇っているように感じる。高域はかなり控え目だが中域よりは目立つ感じ。
 分解能、音場感、原音忠実性すべていまいち。エッジはそれほどきつくないが、大抵のソースでは低域が強すぎて聴き疲れする。
 明瞭さ、音の鮮やかさは悪い。ただし、低域のないソースではそれなりに明瞭になる。厚みはそれなり。温かみは、低域が強いためにそれなりにあるように感じられるが、それ以上のものはない。ヴォーカルの艶っぽさはいまいち。一般的な意味でノリが良いのか繊細なのかと問われればノリが良いと答えざるを得ないが、DJ用として見たときにノリが良いかと言われると、むしろノリが悪いと言わざるを得ない。かなり柔らかい音で、DJ用とは思えない鳴らし方。響きはやや豊かでこもり感が気になる。
 エージング前は非常に曇っているが、エージングによってその曇りは嘘のように晴れる。ただし、それでも一般的な見方をするならかなり曇っているし、全体的にも自然とは言えない音を鳴らす。
 弦楽器は滑らかな質感で、心地よいと言えば心地よいが、繊細さがまるで足りない。金管楽器は鮮やかさが全く足りない。打ち込み系の音の表現は、切れに欠けるためあまりうまくない。

装着感
 悪い。側圧は普通で重量は軽いがややずれやすい。ヘッドバンドはクッションが薄くやや痛い。
 イヤーパッドは耳のせサイズ、上下左右に角度調節ができる。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。
 ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。ヘッドバンドが短いと言われているUR/40やDT770PROと比較しても明らかに短いため、要注意。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは安っぽいが価格なり。透明なプラスチックを使用しており好みは分かれるだろうが、デザインは悪くない。構造的にはこれと言った特徴はないが、DJ用なのにコードが両出しで片耳モニターもできない。小型だが折りたたみできないため携帯性もいまいち。箱や取説に明記されていないが、開放型。
 プラグは標準プラグ。コードの太さは合流前は約2mm、合流後は幅約4mm・厚さ約2mm、やや硬めで癖が付きやすく扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周66mm×66mm、内周60mm×60mm、深さ6mm。

付属品
標準→ミニ変換プラグ
キャリングポーチ



参考
不定期コラム『第36回 周波数特性のグラフと実際』
不定期コラム『第56回 ヘッドホンの破損と経年劣化』

周波数特性グラフ


比較メモ
CDH-507
どちらもドンシャリ。超低域はZ headphonesの方が出るが、低域の厚みはCDH-507の方が若干あるように感じる。Z headphonesは分厚い雲のような低音、CDH-507は硬い低音。高域の量はCDH-507の方が上、質はZ headphonesの方が幾分良い。分解能はほぼ互角。基本的な能力はZ headphonesの方が上なのだが、どうしても物凄い低音が邪魔をする。音場感はCDH-507の方が若干良い。Z headphonesの方が原音に近い。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。CDH-507はスカスカした感じがあるが、Z headphonesは皆無。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み等すべてCDH-507の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはZ headphonesの方が上。それでいてノリが良い。響きはややZ headphonesの方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにZ headphonesの方が原音に近い上楽しめる。打ち込み系の音の表現はCDH-507の方がうまい。得意分野はCDH-507はポップス、Z headphonesはロック。使い分けるならポップスはCDH-507、それ以外はZ headphones。ただし、ジャンルで使い分けるよりも、明瞭さが欲しいときはCDH-507、そうでないときはZ headphonesという使い分けの方が良いかもしれない。

HD25-1
どちらもややドンシャリだが、HD25-1の方が高音より。低域はZ headphonesの方が全体的にかなり出る。何を鳴らしても低めの音に感じる。高域はHD25-1の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方が上。どちらもエッジはきつくないのだが、Z headphonesは低域が強すぎて疲れるのに対してHD25-1はそれほどでもない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHD25-1の方が上。HD25-1の方がノリが良い。特にスピード感は雲泥の差。響きはZ headphonesの方が豊か。どちらもこもり感はあるが、HD25-1の方がまだまし。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHD25-1の方がうまい。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもHD25-1の方が良いと思われる。

HP-NC80
HP-NC80はややドンシャリ、Z headphonesは低音よりのドンシャリ。低域はZ headphonesの方が厚みがあり量も多い。中域は、HP-NC80は低域の曇りに覆われる感じ、Z headphonesは低域の量に負ける感じ。高域は量的には大差ないが、Z headphonesの方が太く金属的。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-NC80の方がやや上。音場感はHP-NC80の方が広くて良い。原音忠実性はほぼ同等。HP-NC80の方がややエッジがきついが、Z headphonesの方が低域の圧力で疲れる面があり、ソースや聴く人によって聴き疲れは変わってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはZ headphonesの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。Z headphonesの方がノリが良いが、軽快なテンポの良さではなく、迫力のある感じ。響きはZ headphonesの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角。金管楽器はHP-NC80の方が明るい鳴らし方。打ち込み系の音の表現はHP-NC80の方がやや良い。中高域から高域の質感が違う。使い分けるなら、低音は迫力重視ならZ headphones、そうでなければHP-NC80。

HPS5000
どちらもドンシャリだが、Z headphonesの方が低音より。低域はZ headphonesは超低域までしっかり大音量で鳴らすが、HPS5000は超低域が弱めでありながら厚みはかなりある。高域はHPS5000の方がかなり豊か。HPS5000は低域よりもむしろ高域が出るドンシャリと言える。Z headphonesは低域が物凄い量出るが、不思議なことに高域があまり埋もれずに聴こえてくる。分解能はHPS5000の方がやや上に感じるが、低域がまったくないソースではかなりいい勝負。音場感はどちらも狭いがそれなりに明確で、ほぼ互角の印象。原音忠実性はどちらもDJ用にしては良いといったレベル。Z headphonesは大抵のソースでは低域が出すぎだし、HPS5000はシャープすぎる印象。HPS5000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度等すべてHPS5000の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはZ headphonesの方が感じられる。Z headphonesの方がノリが良く、HPS5000の方が繊細。響きはZ headphonesの方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにHPS5000は安っぽくなってしまいいまいち。Z headphonesは低域が強すぎることを除けば悪くない。打ち込み系の音の表現はHPS5000の方が得意。得意分野はZ headphonesがロック、HPS5000はポップス。どちらの機種もジャズやクラシックには使わない方が良いだろう。その反面、得意分野の相性が良いソースと合わせると価格以上の価値を発揮する。特にZ headphonesの癖のある音と合うロックはたまらない。

i-o-Ta
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はi-o-Taの方がかなり量が多く、質的にもやや低い音を鳴らす。中域はZ headphonesの方が癖がなく、しかもはっきり聴こえてくる。高域はi-o-Taの方がやや金属的で高い音を鳴らす。分解能及び音場感はほぼ互角。原音忠実性はZ headphonesの方がかなり良い。これは、i-o-Taがあまりに癖のある音を鳴らすため。エッジはi-o-Taの方がややきつく、しかも低域が非常に多いため、聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が少ない分Z headphonesの方が上。音の鮮やかさはi-o-Taの方が上。厚みはどちらかと言えばi-o-Taの方があるように感じる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはZ headphonesの方がやや上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない鳴らし方。響きはi-o-Taの方が豊か。弦楽器はZ headphonesの方が繊細で癖がない。金管楽器はi-o-Taの方が鮮やかではあるが、癖が強すぎるように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらもいまいち。低域の質感が合わない。中域から高域の表現はi-o-Taの方が明るく好印象。使い分けるなら、基本的にはZ headphones、癖があっても良いから低域の量や高域の明るさを求めるならi-o-Ta。

K27i
どちらもかなり低音よりのドンシャリ。低域はK27iの方が厚みがあるが、量はZ Headphonesの方が多い。中域はどちらも低域に負けているが、K27iの方がまだ埋もれずに聴こえてくる。高域はK27iの方がやや細く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてK27iの方が良い。どちらもエッジはきつくないが、低域が出すぎでこもり感が気になり聴き疲れする点は良く似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはK27iの方が上。厚みはK27iの方がある。温かみはほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはややK27iの方が良い。よほど低域の量が欲しいのでなければ、K27iの方がノリが良くかつ繊細で良いだろう。響きはZ Headphonesの方がやや豊か。弦楽器はどちらもうまくないが、K27iの方がまだまし。金管楽器も同様。打ち込み系の音の表現は厚みと低域の締まりがある分K27iの方がうまい。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもK27iの方が良いだろう。

PHX
PHXはややドンシャリ、Z headphonesは低音よりのドンシャリ。低域はZ headphonesの方がかなり量が多く、ぼやけている。中域はPHXの方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくるが、ソースによっては張り出したりして悪い意味で目立つ。音の高さにはあまり差がないが、PHXの方が癖がある音。高域はPHXの方が明るく金属的で目立つ。分解能はPHXの方がやや上。音の分離に差がある。音場感はPHXの方が広く明確。原音忠実性は微妙。Z headphonesの方が一聴して違和感がないが、それにしても低域の量が多すぎる。原音の粗や生っぽさはPHXの方が感じられる。エッジはPHXの方がややきつく、聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはPHXの方が上。厚みはZ headphonesの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはZ headphonesの方が上。どちらもノリが良い傾向だが、PHXは明るくやや軽い感じ、Z headphonesは低域の量に基づく迫力がある感じ。Z headphonesの方が粗がない。響きはZ headphonesの方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はZ headphonesの方が心地よく、癖がなく安心して聴ける。ただし、PHXの方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器はPHXの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はPHXの方がうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、PHXでは違和感が気になるならZ headphones、Z headphonesでは低域の量が多すぎるならPHX。あるいは、明るさや高域重視ならPHX、温かみや低域重視ならZ headphones。

PX100
どちらも低音よりだが、Z headphonesの方が低音より。密閉型のようなこもり感があり中域以下はすべてその低域に飲み込まれる。PX100は低音はしっかり抜けるし、中高域もそれなりに聴こえる。分解能、音場感ともにPX100の方が良好。どちらもそれほど原音に近いわけではないが、PX100はそれなりに原音に近い、Z headphonesはまったく原音に近くない。意図的に味付けしたとは思えない無茶苦茶な音。どちらもあまり明瞭ではないが、低域がまったくないソースではZ headphones、それ以外ではPX100の方が明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が圧倒的に良い。ノリの良さはZ headphonesの方が良いが、それでもかすんだような音であまりノリが良いとは言えない。響きはPX100の方が圧倒的に豊か。弦楽器、金管楽器いずれもPX100の方が良い。Z headphonesはまったく自然さがないため、生楽器は全般的に向かない。使い分けるならポップスとロックをノリ良く聴きたいならZ headphones、それ以外はPX100。

RH-5Ma
どちらもドンシャリだが、RH-5Maの方がやや高音より。低域の質は良く似ているが、量はZ headphonesの方がかなり出る。ただし、厚みはRH-5Maの方がある。高域はRH-5Maの方が全体的にかなり出る。量はともかく、音程的なものとしてRH-5Maの方が高い音は高く、低い音は低く鳴らす。分解能及び原音忠実性はRH-5Maの方が上。音場感、聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-5Maの方が上、厚みはZ headphonesの方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはRH-5Maの方がやや上。ノリの良さならZ headphones、繊細さならRH-5Ma。響きはZ headphonesの方がやや豊か。Z headphonesはとにかく分厚い雲のような低域が酷く、曇っていることしか印象に残らないが、RH-5Maはそれほどではない。ただ、Z headphonesの方がストレートに音が届くという矛盾したような印象も受ける。弦楽器はRH-5Maの方が繊細で良い。金管楽器はRH-5Maの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現も、よほど低域が欲しいのでなければRH-5Maの方がうまい。得意分野は、RH-5Maはポップス、Z headphonesはロック。使い分けるならロックはZ headphones、それ以外はRH-5Maだが、そもそもZ headphonesはヘッドバンドが短すぎてまともに装着できない人がかなり多そう。

RP-DJ700
Z headphonesは低音より、RP-DJ700はドンシャリ。低域はZ headphonesの方がやや量が多い。特に超低域は差がある。ただし、RP-DJ700も十分しっかりした低音の鳴らし方をする。中域はRP-DJ700の方が埋もれずに聴こえてくる。Z headphonesはかなり中域が埋もれる。中高域から高域はRP-DJ700の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-DJ700の方が上。基本的にはRP-DJ700の方がエッジがきつく聴き疲れするが、ソースによってはZ headphonesの方が低域が出過ぎで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-DJ700の方が上、厚みや温かみはほぼ互角。ヴォーカルは、RP-DJ700はキンキンしたり割れたりうわずったりするのが欠点、Z headphonesはとにかく曇りが欠点。艶っぽさという意味ではZ headphonesの方がやや上のように感じる。どちらもかなりノリが良いが、RP-DJ700の方が軽快、Z headphonesはスピード感に欠けるものの重みを感じる。響きはZ headphonesの方が豊かで、しかも物凄い量の低域でこもり感が気になる。弦楽器はRP-DJ700の方が線が細く表現もうまい。金管楽器はRP-DJ700の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現もRP-DJ700の方が明るく好印象。得意分野はどちらもポップス・ロック。ロックはZ headphones、それ以外はRP-DJ700。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 20Hz〜22kHz 102dB 40Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
170g 40mm 1.8m 両出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 2 2 2 4 2 低(高) 5400円
※生産終了

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公開日:2005.1.14