PX100
音質
低音より。低域は、厚みは薄めだが量は中域・高域に比べて出る。曇っているように感じる人もいるかもしれない。中域は低域に埋もれない程度には出るし、変な癖もない。高域はやや控え目で、刺激には欠けるがシャリついたりしないし質は良い。
分解能は価格なり。音場感は外見どおりいまいち。原音忠実性は価格の割には悪くないし、SENNHEISERらしい自然な味付けが楽しめる。エッジはきつくなく、かなり聴きやすい。
明瞭さは低域が強めのためにいまいちに感じるが、その割には音の鮮やかさはある。厚みはやや薄い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはかなり良い。繊細で柔らかく、上品な音。響きはやや豊か。SENNHEISERの耳のせ開放型ヘッドホンの音を想像したときに、想像されるとおりの音を鳴らす機種。迫力や力強さには欠けるが、温かみに溢れ自然な音作り。
弦楽器は繊細さはそれほどでもないが、なかなか心地よい。金管楽器は低音よりの割には意外と鮮やかで、必要な能力は持っている。打ち込み系の音の表現はあまりうまくない。低域の締まりが足りないし、おとなしすぎる。
コストパフォーマンスは悪くない。
装着感
良好。側圧は弱めで、ヘッドバンドにはしっかりクッションが付いていて痛くない。軽量でずれにくい。
イヤーパッドは耳のせサイズ、上下左右に角度調節ができる。材質は普通のスポンジで、肌触りは悪くない。
その他
遮音性及び音漏れ防止は悪い。
作り、デザインともに悪くない。折りたたみ可能でアウトドアでの使用を視野に入れた機種だが、開放型で音漏れが酷いことやコードが両出しな点はマイナス。
プラグはミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm、硬さは普通。イヤーパッドのサイズは、外周52mm×52mm。
付属品
収納ケース
参考
不定期コラム『第12回 耳のせ開放型比較』
不定期コラム『第19回 収納ケース特集』
周波数特性グラフ
比較メモ
AU-618
AU-618はややかまぼこ、PX100は低音より。低域も高域もPX100の方が出る。特に低域の量は段違い。AU-618と比べるとPX100がドンシャリに感じられるほど。そうは言っても、量だけでなく質も上なので、PX100が痛いようには感じない。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX100の方が上。どちらも聴き疲れしない。低域が出ない分、明瞭さはややAU-618の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはPX100の方が上。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPX100の方が上。特に密度は段違い。PX100の方がノリが良くしかも繊細。響きはPX100の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPX100の方が上。得意分野はAU-618がポップス、PX100がクラシック。ほとんど何を聴くにしてもPX100の方が良いように感じる。コストパフォーマンスはAU-618の方が良いが。
c-JAYS
どちらも低音より。低域はc-JAYSの方がやや量が多い。やや柔らかい質。PX100の方がやや重心が低く、制動が良い。中域はPX100の方がやや高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPX100の方がやや量が多い。明るい質で目立つ。分解能はPX100の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はどちらも耳の近くで音を鳴らす点は共通しているが、PX100の方がやや遠く見晴らしが良い。原音忠実性はPX100の方が若干上。c-JAYSは低域の量が多すぎる上、高域の量が少ない点がマイナス。PX100の方が一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさもPX100の方が感じられる。エッジはPX100の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はPX100の方がやや痛いが、ヴォーカルのサ行の痛さは大差ない。明瞭さ、音の鮮やかさはPX100の方がやや上。厚みはc-JAYSの方がややある。温かみはc-JAYSの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。c-JAYSの方が柔らかくスモーキー、PX100の方が線が細く癖がない。PX100の方が明るく切れが良いという意味でノリが良い。c-JAYSの方がおとなしい。響きは、低域はc-JAYSの方がやや豊か、高域はPX100の方がやや豊か。弦楽器はc-JAYSの方が柔らかく心地よい、PX100の方が繊細で癖がない。金管楽器はPX100の方がやや明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はPX100の方がややうまい。音の質感の相性や切れでやや勝っている。使い分けるなら、低域の量や温かみ重視ならc-JAYS、癖のなさや明瞭さ重視ならPX100。
HFI-15G
どちらも低音よりだが、PX100の方がやや高音より。超低域はHFI-15Gの方が出る上、高域〜超高域はPX100の方が出る。分解能はPX100の方が若干上、音場感はHFI-15Gの方が良い。どちらも低音が出すぎで原音忠実性はいまいちに感じるが、低音過多を除けばどちらもそれなりに原音に近い。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、PX100はソースによってはサ行の音が痛く感じる。明瞭さや音の鮮やかさはどちらもいまいちだが、PX100の方がやや良い。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良く、互角。どちらもノリが良いというよりは繊細で、繊細さという意味ではPX100の方が上手。響きは豊かだが、耳のせ開放型なので音の抜けが良くそれほど不快ではない。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よく楽しめる。その反面、金管楽器は鮮やかさが足りずいまいち。特にHFI-15Gはまったく鮮やかさがない。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、PX100の方がまだ楽しめる。得意分野はどちらもクラシック(弦楽器)。かなり似ているのでどちらか片方持っていれば十分の機種。基本的には何を聴くにもPX100の方が良いように思うが、HFI-15Gは耳のせ開放型としてはトップレベルの音場感を持っているのは確か。
K24P
PX100の方が低音より。ただし、低域はどちらも超低域まで延びていて、厚みはそれほどでもない。ただし、PX100は量が凄い。中域〜高域はK24Pの方が圧倒的に出る。分解能はK24Pの方が良い。音場感はほぼ同じ。K24Pの方がエッジがややきついがどちらもそれほど聴き疲れしないレベル。原音忠実性はK24Pの方がやや上か。K24Pの方が繊細でしかも明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が若干良い。どちらも響きが豊かでありながら、音の抜けも良いので、あまり不自然な響きにはなっていない。弦楽器はほぼ互角。どちらもなかなか音の伸びが良く、繊細さと温かみを保っている。PX100の方が低音よりで腰の据わった音を鳴らす。K24Pはややうわずり気味。金管楽器はK24Pの方がやや良いが、PX100も低音よりのわりにはなかなか鮮やかな音を聴かせてくれる。全体的にはK24Pの方がやや上をいっており、コストパフォーマンスを考えるとK24Pは素晴らしい機種と言える。得意分野はどちらもクラシックだと感じたが、K24Pはポップスもノリ良く鳴らしてくれる。逆に、PX100は低音が出すぎで生ぬるいためあまり合わない。しっとり系の女性ヴォーカルならPX100の方が向いていると思う。
PortaPro
PortaProの方がドンシャリ。低域、高域ともにPortaProの方が出る。その上ヴォーカル等の中域も凹んでいない。どちらも超低域まで出ているのは似ている。これは耳のせ開放型特有の抜けのよさから来ている模様。分解能はほぼ同等、音場感はPortaProの方がやや明確で良いと感じる。どちらもエッジがきつくなくかなり聴きやすいが、どちらかといえばPortaProの方が刺激的。明瞭さではややPortaProの方が上。PX100がぬるすぎると言う方が的確かもしれない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。PortaProの方がノリが良く、PX100の方が繊細。PX100だとスカスカに感じるソースでもPortaProだとそんなことはない。どちらも低域〜中域の響きは豊かだが、高域はPX100は豊かでPortaProはあっさり。弦楽器はPX100の方が表現がうまい。金管楽器はPortaProの方が鮮やかな音を鳴らしてくれるが、響きが欲しい場合にはPX100の方が良い。使い分けするなら、クラシックはPX100、それ以外はPortaProといった感じか。PX100は低域が支配的過ぎて相性の良いソースが限られてくる。
SD-2900CD
どちらも低音より。低域、高域ともにPX100の方がやや強い。PX100の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX100の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく、聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPX100の方が上。PX100の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもやや豊か。SD-2900CDは低音がそれほど強いわけでもないのに曇りが非常に気になるが、PX100は低音よりのわりにはそれほど気にならない。PX100の方が圧倒的に力強く繊細。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPX100の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもPX100の方が良いように感じる。
Z headphones
どちらも低音よりだが、Z
headphonesの方が低音より。密閉型のようなこもり感があり中域以下はすべてその低域に飲み込まれる。PX100は低音はしっかり抜けるし、中高域もそれなりに聴こえる。分解能、音場感ともにPX100の方が良好。どちらもそれほど原音に近いわけではないが、PX100はそれなりに原音に近い、Z
headphonesはまったく原音に近くない。意図的に味付けしたとは思えない無茶苦茶な音。どちらもあまり明瞭ではないが、低域がまったくないソースではZ
headphones、それ以外ではPX100の方が明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が圧倒的に良い。ノリの良さはZ
headphonesの方が良いが、それでもかすんだような音であまりノリが良いとは言えない。響きはPX100の方が圧倒的に豊か。弦楽器、金管楽器いずれもPX100の方が良い。Z
headphonesはまったく自然さがないため、生楽器は全般的に向かない。使い分けるならポップスとロックをノリ良く聴きたいならZ
headphones、それ以外はPX100。
サウンド-ヘッドホンNo.1
PX100は低音より、サウンド-ヘッドホンNo.1はやや低音より。低域はPX100の方がある程度量が多い。重心が低く厚みもあるため、存在感にかなりの差がある。中域は、PX100は低域の量に負ける感じ、サウンド-ヘッドホンNo.1は低域の曇りに覆われる感じ。基本的にはPX100の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はPX100の方がやや量が多い。高く明るい音で目立つ。分解能はPX100の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろある程度の差がある。音場感はPX100の方がやや広く明確。サウンド-ヘッドホンNo.1の方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はPX100の方が上。一聴して違和感が小さいし、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いでもやや勝っている。エッジはPX100の方がきついが、サウンド-ヘッドホンNo.1は癖や頭内定位で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろPX100の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはPX100の方がやや上。厚みはPX100の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が感じられる。PX100の方がかなり繊細さの感じられる音だが、それでいて迫力やノリの良さでもやや勝っている。響きはPX100の方がやや豊か。PX100の方がドラムや破裂音が目立つ。サウンド-ヘッドホンNo.1はどこか不安定な鳴らし方をするところがあるが、PX100はそういうことはない。弦楽器はPX100の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はPX100の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はPX100の方がややうまい。音の質感の相性や切れを個別に見ていくとそれほど差はないのだが、PX100の方が安定感がある。使い分けるなら、基本的にはPX100、よほどエッジのきつさや低域の量の多さが気になるときだけサウンド-ヘッドホンNo.1。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了。後継機はPX100-II。
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 開放型 | 15Hz〜27kHz | 114dB | 32Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
60g | - | 1.4m | 両出し | 折りたたみ可能 |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3 | 4 | 2 | 2 | 3 | 4 | 低 | 5700円 |
公開日:2005.1.14