K24P

音質
 ややドンシャリ。低域は厚み・量ともに十分だが、あまり締まった音ではない。中域はやや弱めではあるが、それほど低域に埋もれたりはしない。高域はややシャリつくものの細く硬い質感で、量も十分。
 分解能は価格以上のものを持っている。音場感、原音忠実性はいまいち。ただ、音場感はサイズを考えれば悪くないし、原音忠実性など眼中にない音作り。エッジはややきつめだが、刺激として楽しめるレベルだろう。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてそれなりだが、価格を考えればどれもなかなか良いと言えるだろう。ソースによってはヴォーカルのかすれが気になる人もいそう。非常にノリが良いが、低域の量だけでなく、切れの良さやスピード感がある。それでいて繊細さが無いわけではない。響きは適度。
 弦楽器は伸びは良いのだが、繊細さにしろ心地よさにしろどこか足りない。金管楽器はかなり鮮やかでしかも力強い。打ち込み系の音の表現は悪くないが、低域の締まりに欠けるのが不満。

装着感
 普通。側圧はやや強めだが気にならないレベル。ヘッドバンドにはクッションが付いているし軽量なのだがやや痛い。ただし、ずれにくいことは確か。
 イヤーパッドは耳のせサイズ、上下左右に角度調節ができる。材質は普通のスポンジで、肌触りは悪くない。
 PortaProやForm2と比べてヘッドバンドの長さに余裕がある。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。作り、デザインともになかなか良い。折りたたみ可能でアウトドアでの使用を視野に入れた機種だが、開放型で音漏れが酷いことやコードが両出しな点はマイナス。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅3.5mm・厚さ1.5mm、硬くて癖が付きやすくやや扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周60mm×60mm。

付属品
キャリングポーチ



参考
不定期コラム『第12回 耳のせ開放型比較』
不定期コラム『第27回 価格別favorite headphones 3回目』

周波数特性グラフ


比較メモ
FH-40
FH-40はやや低音より、K24Pはややドンシャリ。低域は、全体的な量はFH-40の方が若干多いように感じるが、K24Pの方が重心が低く存在感がある。中域はK24Pの方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくるし、癖もない。高域はK24Pの方が高く鋭い音で、量も多い。分解能はK24Pの方が上。音場感はK24Pの方が広く明確。原音忠実性はK24Pの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いが違う。K24Pの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてK24Pの方が上。K24Pの方が圧倒的にノリが良く、かつ繊細でも上。響きはほぼ同レベル。弦楽器はK24Pの方がうまい。FH-40は生楽器らしさがほとんど感じられないが、K24Pはある程度感じられる。金管楽器はK24Pの方が高く鮮やかでしかも力強い。打ち込み系の音の表現はK24Pの方がうまい。音の質感、厚み、スピード感等で勝っている。ほとんど何を聴くにしてもK24Pの方が良いだろう。

Form2
K24Pはドンシャリ気味、Form2はかまぼこ気味。K24Pは全音域過不足なしという印象だが、Form2は高域も低域も不足に感じる。分解能、音場感ともにK24Pの方が若干良い。原音に近いのはForm2かもしれないが、それは粗や生っぽさ、ライブ感という意味で、自然な音はどちらかと言われればK24Pに軍配が上がる。どちらもある種の明瞭さはあり、純粋な明瞭さの比較は難しい。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK24Pの方が良いが、芯の通った音を求めるならForm2の方が良いかもしれない。K24Pは音が細めで繊細な部分があるが、Form2は塗り潰したように繊細さがない。ノリの良さという意味でも、K24Pは低音が十分で音の立ち上がりが良くスピード感があるのに対し、Form2は低域が出ない上にスピード感がない。K24Pは響きが豊か、Form2はあっさり。弦楽器、金管楽器ともにK24Pの方が圧倒的に魅力的。何を聴くにしてもK24Pの方が良いが、あえてForm2を使うならモニター的な用途には向いているかもしれない。

HDS-701
HDS-701は高音よりのかまぼこ、K24Pはややドンシャリ。低域はK24Pの方がかなり量が多い。中域は、HDS-701はやや癖がある上に低域の量が少ないこともあってはっきり聴こえてくるのに対して、K24Pは癖が無く低域の量にやや負け気味。高域はK24Pの方がややとがっていて目立つが、全体的な量としては大差ない。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。音の分離はHDS-701の方が若干良いように感じるが、K24Pの方が密度が高く細部までしっかり表現してくれる。HDS-701は中域に癖があるのに対して、K24Pは低域・高域にやや癖がある。K24Pの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さは低域が少ない分HDS-701の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはK24Pの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK24Pの方がやや上。K24Pの方がドンシャリでノリが良いように感じるが、スピード感としてとらえるならHDS-701もさほど劣っていない。繊細さは、HDS-701の方が音が薄く粗いのを除けば、ほぼ互角に感じる。響きはK24Pの方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の量と、音の密度だろう。K24Pの方が低域の量が多くしっかりと音楽を支えてくれるし、密度も高く一つ一つの楽器の実体感のようなものが上。弦楽器はK24Pの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまい。癖のない素直な表現を求めるならHDS-701、力強さを求めるならK24P。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くは無いのだが、欠点がある。HDS-701は低域の量が不足、K24Pは低域の締まりのない質感が不満。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはK24P、K24Pでは低域の量が多すぎる場合にはHDS-701。

PortaPro
K24Pの方が高音より。K24Pの方が線が細く鮮やかな高音を聴かせてくれる。分解能、音場感はほぼ互角だが、音の広がりはK24Pの方が良い。K24Pの方が若干エッジのきつい部分はあるが、原音に近い。明瞭さでもK24Pの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPortaProの方がやや上。K24Pの方が芯が通った硬めの音を鳴らす。どちらも響きが豊かだが、低域はPortaProの方が上、高域はK24Pの方が上といった感じ。音の立ち上がりやスピード感は互角だが、PortaProはさらに豊かな低音があるため、ノリの良さではK24Pはやや劣る。ソースによってはスカスカに聴こえてしまうだろう。弦楽器、金管楽器ともにK24Pの方が若干良い。ノリの良さ重視ならPortaPro、繊細さ重視ならK24Pといったところか。ただし、K24Pにしてもそれほど繊細と言うわけではないし、絶対的な見方をすればノリが良いとさえ言える。使い分けるならロックやポップスはPortaPro、ジャズやクラシックはK24Pだが、K24Pの方がオールマイティに使える。

PX100
PX100の方が低音より。ただし、低域はどちらも超低域まで延びていて、厚みはそれほどでもない。ただし、PX100は量が凄い。中域〜高域はK24Pの方が圧倒的に出る。分解能はK24Pの方が良い。音場感はほぼ同じ。K24Pの方がエッジがややきついがどちらもそれほど聴き疲れしないレベル。原音忠実性はK24Pの方がやや上か。K24Pの方が繊細でしかも明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が若干良い。どちらも響きが豊かでありながら、音の抜けも良いので、あまり不自然な響きにはなっていない。弦楽器はほぼ互角。どちらもなかなか音の伸びが良く、繊細さと温かみを保っている。PX100の方が低音よりで腰の据わった音を鳴らす。K24Pはややうわずり気味。金管楽器はK24Pの方がやや良いが、PX100も低音よりのわりにはなかなか鮮やかな音を聴かせてくれる。全体的にはK24Pの方がやや上をいっており、コストパフォーマンスを考えるとK24Pは素晴らしい機種と言える。得意分野はどちらもクラシックだと感じたが、K24Pはポップスもノリ良く鳴らしてくれる。逆に、PX100は低音が出すぎで生ぬるいためあまり合わない。しっとり系の女性ヴォーカルならPX100の方が向いていると思う。

RH-5Ma
どちらもドンシャリだが、K24Pの方がやや高音より。どちらも低域は全体的に非常に強いが、どちらかと言うとRH-5Maの方が出るか。高域はK24Pの方がかなり強い。特にハイハットやシンバルは差がある。また、RH-5Maは中域が埋もれ気味だが、K24Pはそれほど埋もれない。RH-5Maは大抵のソースでは曇っているように感じるが、K24Pはそんなことはない。分解能はK24Pの方が上、音場感や原音忠実性はどちらもいまいち。K24Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。ただし、低域の強いソースではRH-5Maの方が低音で疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてK24Pの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。K24Pの方がノリが良くしかも繊細。音域傾向云々よりも、スピード感がまったく違う。K24Pは非常にスピード感があるが、RH-5Maはむしろ鈍重。響きはRH-5Maの方が豊かで、かなりこもる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK24Pの方がうまい。特に金管楽器は一段高く鮮やかな音で楽しめる。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもK24Pの方が良いように感じるが、RH-5MaはZ headponesと似た独特の雰囲気がある。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了。後継機はK412P。その後K420。外観が変更。音質も若干変化した可能性あり。
 










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 半開放 13Hz〜27kHz 110dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
63g - 1.5m 両出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3.5 3 2 2 5 4 均(高、低) 4800円
※生産終了。後継機はK412P。その後K420。

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公開日:2005.1.14