AU-618
音質
ややかまぼこ。低域は厚みが薄く、量も少なめ。その割には曇りを感じる。中域はややうわずり気味ではあるものの、はっきり聴こえてくる。高域は必要量出るし、特に癖はない。
分解能、音場感、原音忠実性全ていまいちだが、価格の割には良い。エッジはきつくなく、基本的には聴きやすいのだが、中域に芯が通っている感じで、キンキンした音等があるソースだとやや聴き疲れする。
明瞭さは低域が弱いためそれなりにあるが、音の鮮やかさはいまいち。厚みは薄く、音が粗い。温かみはいまいち、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、バランスは悪くない。ただし、力強さに欠ける。比較的軽い音。響きはややあっさり。
弦楽器は繊細さも心地よさもないし、ヴァイオリン等は癖が出て悪い。金管楽器は安っぽい表現だし、鮮やかさもいまひとつ。打ち込み系の音の表現は悪くはないのだが、いかんせん低域が厚み・量ともに不足。
色々と不満点はあるものの、全体的なバランスは悪くないし、コストパフォーマンスが最高であることは間違いない。本を読んだりしながら何となく聴くのには向いているように思う。
装着感
良好。側圧は弱いが、軽量なためずれにくい。ヘッドバンドは剥き出しのプラスチックだが、長時間使用してもまったく痛くならない。
イヤーパッドは耳のせサイズ、角度調節はできない。材質は普通のスポンジで、肌触りは悪くないし、蒸れない。
その他
遮音性及び音漏れ防止は悪い。密閉型か開放型か明記されていないが、外観や音漏れからセミオープンと考えて良いと思われる。
何の飾り気もないデザインの上に、これ以上ないほどの安っぽさだが、価格を考えれば十分な出来。音質、装着感ともに十分使用に堪えるレベル。価格を考えれば驚くべき完成度。スペックから予想されるより音量が取りづらい。また、shop99以外では入手できないようだ。
プラグはL型ミニプラグ。コードの太さは合流前は約2mm、合流後は幅約4mm・厚さ約2mm、やや硬めで多少扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周60mm×54mm。
付属品
無し
参考
周波数特性グラフ
比較メモ
FH-40
AU-618はややかまぼこ、FH-40はやや低音より。低域はFH-40の方が量が多い。中域はどちらもややうわずり気味で、質的に良く似ている。高域はFH-40の方がやや高く金属的。分解能、原音忠実性はほぼ同レベル。音場感はAU-618の方が広く明確で癖がない。どちらもエッジはきつくないのだが、中域がキンキンする感じで疲れることがある点は似ている。明瞭さはAU-618の方が上、音の鮮やかさはFH-40の方がやや上。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベルだが、どちらかと言えばFH-40の方が良い。どちらもただ何となく鳴らしている感じ。響きはFH-40の方がやや豊か。全体的にはそれなりに似ている。FH-40はAU-618に比べて揺らぐような感じで不安定な鳴らし方。その点さえなければAU-618より良かったかもしれない。弦楽器はAU-618の方が安心して聴ける。金管楽器はFH-40の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。使い分けるなら、低域が欲しいときはFH-40、そうでないならAU-618。
HDS-701
どちらもかまぼこ。低域はどちらも不足に感じるが、HDS-701の方が若干出るようだ。高域もHDS-701の方が出る。つまり、全体的に見てHDS-701の方がフラットと言える。分解能、音場感、原音忠実性すべてHDS-701の方がやや上。HDS-701の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHDS-701の方が上。HDS-701の方がノリが良くしかも繊細。AU-618は低域が出ないわりには曇っているように感じるのに対して、HDS-701はそんなことはない。弦楽器はほぼ互角の表現力。金管楽器や打ち込み系の音の表現はHDS-701の方がややうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHDS-701の方が良いだろう。
NO.17100
AU-618はややかまぼこ、NO.17100はやや低音より。低域はNO.17100の方がやや量が多く、ぼやけていて歪みや癖が気になる。中域はAU-618の方が低域に邪魔されず、ややうわずり気味ではっきり聴こえてくる。高域は、量は大差ないがNO.17100の方がやや金属的で粗があり目立つ。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばNO.17100の方が上。音場感はAU-618の方が広く明確で癖がない。NO.17100は通常のヘッドホンと比べて下の方から音が鳴る。原音忠実性は微妙。AU-618の方が癖がないが、NO.17100の方が原音の粗や生っぽさが多少感じられる。エッジはNO.17100の方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはAU-618の方が上、音の鮮やかさはNO.17100の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはNO.17100の方が感じられる。ヴォーカルはNO.17100の方が艶っぽいだけでなく、うわずったりしない点も良い。AU-618の方がおとなしく、粗がないぶん繊細。響きはNO.17100の方がやや豊か。弦楽器はAU-618の方が粗や癖がなく安心して聴けるが、NO.17100の方が生楽器らしさが感じられて良いこともある。金管楽器はNO.17100の方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性は同レベル、低域の量感はNO.17100の方が上、切れはAU-618の方が上といった感じ。使い分けるなら、癖や聴き疲れを嫌うならAU-618、癖や聴き疲れがあっても良いから生楽器らしさやヴォーカルの艶っぽさが欲しいならNO.17100。
PX100
AU-618はややかまぼこ、PX100は低音より。低域も高域もPX100の方が出る。特に低域の量は段違い。AU-618と比べるとPX100がドンシャリに感じられるほど。そうは言っても、量だけでなく質も上なので、PX100が痛いようには感じない。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX100の方が上。どちらも聴き疲れしない。低域が出ない分、明瞭さはややAU-618の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはPX100の方が上。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPX100の方が上。特に密度は段違い。PX100の方がノリが良くしかも繊細。響きはPX100の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPX100の方が上。得意分野はAU-618がポップス、PX100がクラシック。ほとんど何を聴くにしてもPX100の方が良いように感じる。コストパフォーマンスはAU-618の方が良いが。
SD-2900CD
AU-618はややかまぼこ、SD-2900CDはやや低音より。低域はどちらも薄く不満が残るが、SD-2900CDの方がやや出る。高域もSD-2900CDの方が若干強いようだ。ただし、大抵のソースでは低域の曇りが邪魔をしてまともに聴けない。分解能、音場感、原音忠実性すべてSD-2900CDの方が上。どちらも聴き疲れしない。どちらもかなり曇りが気になるが、どちらかと言えばAU-618の方がマシ。低域が出ない分、明瞭さはややAU-618の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはSD-2900CDの方が上。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSD-2900CDの方が上。SD-2900CDの方が繊細。響きはSD-2900CDの方が豊か。AU-618の方が癖のない音。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSD-2900CDの方が上。金管楽器の音の高さだけ見ればAU-618の方が高いのだが、密度が薄く粗が目立つ。これは他の楽器においてもかなり致命的。得意分野はAU-618がポップス、SD-2900CDがクラシック。個人的には、ほとんど何を聴くにしてもSD-2900CDの方が良いように感じるが、曇りが嫌いで低域不足でも構わないという人にはAU-618の方が合うかもしれない。
SE-F3
どちらもややかまぼこ。低域は抜けが良いせいかどちらもかなり迫力不足に感じるが、どちらかと言えばAU-618の方が出るようだ。高域も量はかなり近いが、SE-F3の方がやや高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はSE-F3の方がやや上。音場感はどちらもいまいちで、ほぼ互角。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかと言えばSE-F3の方が疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてSE-F3の方がやや上。AU-618の方が密度が薄くスカスカに感じる。SE-F3の方がスピード感がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもSE-F3の方が上。SE-F3の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-F3の方がややうまい。弦楽器はSE-F3の方が線が細く曇りがない。金管楽器はSE-F3の方が一段高く鮮やかで、価格のわりには安っぽさを感じさせない音。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-F3の方が良いと思われる。どちらもロックをノリ良く聴きたいならかなり合わないので要注意。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
戻る
スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 半開放 | 20Hz〜20kHz | 106dB | 32Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
40g | - | 1.5m | 両出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
2 | 4 | 2 | 3 | 3 | 3 | 均(中) | 100円 |
公開日:2005.7.3