HFI-15G
音質
低音より。低域はややぼやけた感じで柔らかい表現。量は十分。中域は低域に埋もれたりはしないが、やや低めの落ち着いた音を鳴らすため、曇っているように感じる。高域の量はかなり控え目だが、最低限は出るし、特に癖はない。
分解能は価格の割にはいまいち。音場感は耳のせ型にしてはかなり良い。ただし、普通の耳覆い型のものと比べると劣る。原音忠実性はいまいち。音が柔らかくウォーム過ぎ、原音の粗や生っぽさはほとんど感じられない。エッジはきつくなく聴きやすい。
低域が強いこともあり、明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みはごく普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良い。それなりに線が細く、低域が柔らかいおかげだろう。ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、どちらかと言えば繊細で、低音よりであることを除けば一聴して違和感を感じにくい音。音のメリハリ、スピード感、音圧等が足りない。響きはやや豊か。上品でおとなしい音調。集中して音楽を聴くよりは、リラックスしてまったり楽しむのに向いている。
弦楽器はそれなりに心地よいのだが、繊細さがやや不足しているし、原音の粗も感じられない。SENNHEISERのような柔らかい味付け。金管楽器は低域の陰に隠れ気味だが、最低限の鮮やかさはある。打ち込み系の音の表現はいまいち。低域は柔らかすぎるし、中域から高域は厚みや切れが足りない。
コストパフォーマンスはあまり良くない。
装着感
良好。側圧は普通。軽量でヘッドバンドにクッションが付いているため、頭部への負担が小さい上ずれにくい。
イヤーパッドは耳のせサイズ、自由自在に角度調節ができる。材質は普通の布製。耳のせであることもあり蒸れない。長時間の使用に向いている機種。
その他
遮音性及び音漏れ防止は悪い。
作り、デザインともに悪くはない。小型・軽量だが、折りたたみできないため携帯性はいまいち。
プラグは金メッキのミニプラグ、コードの太さは約3.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周72mm×72mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
デモCD
参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ
不定期コラム『第12回 耳のせ開放型比較』
周波数特性グラフ
比較メモ
FH-40
FH-40はやや低音より、HFI-15Gは低音より。低域はHFI-15Gの方が重心が低く、量も多い。中域はHFI-15Gの方が癖がない。高域はFH-40の方がやや明るいが、質的にも量的にもあまり大きな差はない。ただ、FH-40の方が粗はある。分解能はHFI-15Gの方が上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感はHFI-15Gの方が広く明確。原音忠実性はHFI-15Gの方が上。FH-40は少しでも音量を上げるとすぐに歪む。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、FH-40の方が中域がキンキンして聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHFI-15Gの方が上。特に厚みはかなり差がある。HFI-15Gの方がノリが良くかつ繊細。響きはHFI-15Gの方がやや豊か。HFI-15Gの方が安定感があり安心して聴ける。弦楽器はHFI-15Gの方が繊細かつ心地よい。金管楽器は明るさや鮮やかさという点ではさほど差はないが、HFI-15Gの方が力強くて良い。打ち込み系の音の表現は、音の質感の相性という意味ではFH-40の方が若干良いように感じるが、音の厚みやダイナミックな鳴らし方で総合的にはHFI-15Gの方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもHFI-15Gの方が良いだろう。
HD435
どちらも低音より。低域は全体的にはHD435の方が出るが、ソースによってはHFI-15Gの方が出るように感じることもある。中域はどちらも低域に引きずられている。高域はHD435の方が高い音を鳴らすし目立つ。分解能、音場感ともにHD435の方が若干良い。原音忠実性はほぼ互角。HD435の方がややエッジがきつい。明瞭さは低音が出ない分HFI-15Gの方が上のように感じるが、音の鮮やかさはHD435の方がやや上。厚みはどちらかと言えばHD435の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないところは良く似ている。響きはHD435の方がやや豊か。弦楽器はどちらも柔らかく心地よいが、曇っており澄んだ感じには欠ける。金管楽器はHD435の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくない。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら低域の量や高域の鮮やかさが欲しいときはHD435、そうでなければHFI-15Gか。
HP-D7
どちらも低音より。低域は出方が違うので一概には言えないが、HFI-15Gの方がやや出るようだ。高域はHP-D7の方がかなり出るが、超高域の音の高さはほぼ同等。シャープさと柔らかさのバランスがかなり似ている。分解能、音場感、原音忠実性はほぼ互角。HP-D7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-D7の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。ノリの良さならHP-D7、繊細さならHFI-15G。響きはHFI-15Gの方が若干豊かだが、抜けも良いのであまり差はないように感じる。弦楽器はHFI-15Gの方が伸びが良く心地よい。金管楽器はHP-D7の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野は、HFI-15Gはクラシック、HP-D7はポップス。使い分けるなら、弦楽器メインの曲やヴォーカルものはHFI-15G、それ以外はHP-D7。
iCans
HFI-15Gは低音より、iCansは高音よりのドンシャリ。低域の量はHFI-15Gの方がかなり出るが、厚みはiCansの方がある。HFI-15Gは曇っているように感じる低域であるのに対して、iCansは曇りを感じない。どちらも中域はやや引っ込んでいるように感じる。高域はiCansの方がかなり強くしっかり聴こえてくる。分解能はほぼ同等、音場感はiCansの方が上。HFI-15Gは耳のすぐそばで音が鳴っているように感じるのに対して、iCansはそんなことはない。原音忠実性はHFI-15Gの方が上。低音よりではあるものの、おとなしく癖のない鳴らし方。iCansの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはiCansの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。iCansはかすれが気になる。iCansの方がかなりノリが良い。響きはHFI-15Gの方がやや豊か。切れはiCansの方が良い。弦楽器はHFI-15Gの方が癖がなく繊細で心地よい。金管楽器はiCansの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもそれほど得意とは言えないが、どちらかと言えばiCansの方がうまい。得意分野はHFI-15Gがクラシック、iCansがポップス。使い分けるなら、ポップスやロックはiCans、クラシックやジャズはHFI-15G。この2機種は同一メーカーながらまったく違う鳴らし方で、HFI-15GがHFIシリーズらしい鳴らし方とするなら、iCansはPROlineシリーズらしい鳴らし方。
i-o-Ta
HFI-15Gは低音より、i-o-Taは低音よりのドンシャリ。低域はi-o-Taの方がかなり量が多く、質的にも低い音を鳴らす。中域はHFI-15Gの方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はi-o-Taの方が金属的で目立つ感じ。分解能はHFI-15Gの方が上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。音場感はHFI-15Gの方が耳の近くで音を鳴らすものの広がりがあって分かりやすい。原音忠実性はHFI-15Gの方が上。i-o-Taの方がエッジがきつい上、低域の量が多すぎて聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が少ない分HFI-15Gの方が上、音の鮮やかさはi-o-Taの方がやや上。厚みはi-o-Taの方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。HFI-15Gの方が繊細。響きはi-o-Taの方が豊か。弦楽器はHFI-15Gの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はi-o-Taの方がやや鮮やかだが明らかに癖のある音なので、無難な鳴らし方を望むならHFI-15Gの方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はどちらもいまいち。使い分けるなら、基本的にはHFI-15G、よほど低域の量や高域の硬い質感を求めるならi-o-Ta。
PortaPro
HFI-15Gは低音より、PortaProはドンシャリ。低域はどちらも超低域までしっかり出るが、厚みはややPortaProの方がある。HFI-15Gは高域がまったく聴こえてこないが、PortaProはある程度聴こえる。中域はどちらも埋もれがち。分解能は互角、音場感はHFI-15Gの方がやや良い。どちらもあまり原音忠実とは言えない。HFI-15Gは高域が不足の上マイルドすぎ、PortaProは高域は出るが全体的に味付けしすぎ。どちらもエッジはきつくなくかなり聴きやすいが、HFI-15Gの方が高域が出ない上にサ行の音等も痛くなく、聴きやすさという点では上。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはすべてPortaProの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、柔らかさ重視ならHFI-15G、芯の通った感じ重視ならPortaPro。ただし、芯の通った感じというのはHFI-15Gに比べて、というだけで、一般的な見方をするならPortaProもあまり芯が通っているとはいえない。ノリの良さならPortaPro、繊細さならHFI-15Gの方が上。ただ、HFI-15Gはかなりノリが悪いのに比べて、PortaProはそれなりに繊細さもある。響きはHFI-15Gは適度、PortaProは豊か。弦楽器はHFI-15Gの方が伸びが良く繊細で心地よい。金管楽器は圧倒的にPortaProの方が鮮やかで魅力的。打ち込み系の音の表現はPortaProの方が得意。得意分野はHFI-15Gは弦楽器メインのクラシック、PortaProはロック。使い分けるなら、弦楽器メインのクラシックはHFI-15G、それ以外はPortaPro。ジャンルではなく、まったり聴きたいときはHFI-15G、ノリ良く聴きたいならPortaProという気分による使い分けの方が適しているかもしれない。
PX100
どちらも低音よりだが、PX100の方がやや高音より。超低域はHFI-15Gの方が出る上、高域〜超高域はPX100の方が出る。分解能はPX100の方が若干上、音場感はHFI-15Gの方が良い。どちらも低音が出すぎで原音忠実性はいまいちに感じるが、低音過多を除けばどちらもそれなりに原音に近い。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、PX100はソースによってはサ行の音が痛く感じる。明瞭さや音の鮮やかさはどちらもいまいちだが、PX100の方がやや良い。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良く、互角。どちらもノリが良いというよりは繊細で、繊細さという意味ではPX100の方が上手。響きは豊かだが、耳のせ開放型なので音の抜けが良くそれほど不快ではない。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よく楽しめる。その反面、金管楽器は鮮やかさが足りずいまいち。特にHFI-15Gはまったく鮮やかさがない。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、PX100の方がまだ楽しめる。得意分野はどちらもクラシック(弦楽器)。かなり似ているのでどちらか片方持っていれば十分の機種。基本的には何を聴くにもPX100の方が良いように思うが、HFI-15Gは耳のせ開放型としてはトップレベルの音場感を持っているのは確か。
SD-2900CD
どちらも低音より。低域、高域ともにHFI-15Gの方がやや強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHFI-15Gの方がやや上。どちらもエッジはきつくなく、聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHFI-15Gの方が上。HFI-15Gの方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもやや豊か。SD-2900CDは低音がそれほど強いわけでもないのに曇りが非常に気になるが、HFI-15Gは低音よりのわりにはそれほど気にならない。HFI-15Gの方が圧倒的に力強い鳴らし方をしてくれる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHFI-15Gの方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもHFI-15Gの方が良いように感じる。
SR-60
HFI-15Gは低音より、SR-60は低音よりのドンシャリ。低域は、開放型のわりにはHFI-15Gの方が重低音という表現が合う一段低い音を鳴らす。高域は基本的にはSR-60の方が出るのだが、超高域はほぼ同量に感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-60の方が若干上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSR-60の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。ノリの良さならSR-60、繊細さならHFI-15G。響きはどちらもやや豊かだが、どちらかと言えばSR-60の方があっさり。SR-60はGRADOの中では音の抜けが良いとは言えない部類に入るが、HFI-15Gと比べたら抜けが良い。弦楽器はHFI-15Gの方が線が細く柔らかい音で心地よい。金管楽器は、かなり違う音を鳴らすので好みが分かれるところだろう。HFI-15Gの方が高く細い感じ、SR-60の方が原音に近く太い感じ。HFI-15GはPioneerの高域に少し似た癖がある。打ち込み系の音の表現は厚みと切れで勝るSR-60の方がうまいように感じる。得意分野はHFI-15Gがクラシック、SR-60がロック。使い分けるなら、クラシックやジャズはHFI-15G、ロックやポップスはSR-60。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※08年にマイナーチェンジ。同型番で、コードの長さ・外観・付属品が変更。音質も多少変化した可能性あり。
本レビューはマイナーチェンジ前のもの。
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 開放型 | 20Hz〜20kHz | 90dB | 32Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
85g | - | 3m | 片出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
3 | 4 | 2 | 2 | 3 | 3 | 低 | 8600円 |
公開日:2005.2.28