HD435

音質
 低音より。低域はかなりの量で、柔らかい質感。中域はかなり低域に引きずられる印象。高域は意外と高い音を鳴らしてくれるが、量は少なめ。全体的に低域が支配的で、曇っているように感じる。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて価格の割にいまいち。音が柔らかくウォーム過ぎ、原音の粗や生っぽさはほとんど感じられない。エッジはきつくなく聴き疲れしにくい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みはSENNHEISERにしては厚いが、一般的に見るなら普通だろう。温かみは暑苦しいほど感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはそれなりに感じられる。ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、どちらかと言えば繊細で、低音よりであることを除けば一聴して違和感を感じにくい音。響きは適度からやや豊か。曇っていて明るさや切れに欠ける。
 弦楽器はそれなりに心地よいが繊細さや澄んだ感じには欠ける。金管楽器は質的には悪くないが、あまり目立たない。打ち込み系の音の表現はいまいち。低域の量はあるのだが、柔らかすぎるし、切れやスピード感に欠ける。
 雑誌を読みながらBGMを聴いたりする分には悪くないが、本格的に聴き込むには向かない機種のように感じる。

装着感
 良好。側圧は普通からやや強め。軽量でヘッドバンドにクッションが付いているため、頭部への負担が小さい上ずれにくい。
 イヤーパッドは耳のせサイズ、自由自在に角度調節ができる。材質は普通の布製。耳のせであることもあり蒸れない。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは価格なり。デザインは赤いハウジングが人を選ぶとは思うが、かなり良い。コードにボリュームコントロールが付いているが、実用に堪えるレベル。音量を最小にすると、ほぼ音が出なくなる。ボリュームコントロールがやや大きいため、邪魔に感じる人もいるかもしれない。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約2.5mm、やや硬めだがそれほど扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周86mm×80mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
キャリングポーチ



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
DTX900
DTX900はややドンシャリ、HD435は低音より。低域はHD435の方が低い音で量も多い。中域はDTX900の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はDTX900の方が高く鋭い音を鳴らす。この2機種を比べた場合、DTX900の方が高音よりと言える。分解能はDTX900の方がやや上。音場感はDTX900の方が広く明確。原音忠実性はDTX900の方がやや上。DTX900の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはDTX900の方がやや上。厚みはHD435の方がややある。温かみはHD435の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等レベル。DTX900の方が明るくノリが良い。響きは、低域はHD435の方が豊か、高域はDTX900の方が豊か。弦楽器はどちらも心地よいが、DTX900の方が生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はDTX900の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、どちらかと言えばDTX900の方が明るくメリハリがあってうまい。使い分けるなら、基本的にはDTX900、温かみや心地よさ重視ならHD435。

HD497
どちらもやや低音よりだが、HD497の方がフラット。低域はHD435の方がかなり量が多く、柔らかい質感。中域はHD497の方が曇りなく聴こえてくる。高域はHD497の方が量は出るのだが、音の高さはHD435の方がやや高いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD497の方がやや上。HD497の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはHD497の方が上。厚みは質感が違うので比較が難しいが、それほど大きな差はないように感じる。温かみは低域が出る分HD435の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはHD497の方がやや上。HD497の方が繊細であり、軽快さも感じる。HD435は温かみはあるのだがどこか重く、切れもないし、曇りも気になる。響きはどちらも適度だが、HD435の方が豊かに感じやすい音調。弦楽器はHD435の方が心地よさはあるのだが、繊細さや澄んだ感じはHD497の方がかなり良い。金管楽器はHD497の方が鮮やかで前に出てくる。打ち込み系の音の表現はHD497の方がうまい。HD435は低域の量は多いのだが柔らかい質感が打ち込み系の音には合わないし、スピード感がない。得意分野はどちらもクラシックだが、HD497の方がポップス向きと言えよう。使い分けるなら、低域の量が欲しいときはHD435、それ以外はHD497。

HFI-15G
どちらも低音より。低域は全体的にはHD435の方が出るが、ソースによってはHFI-15Gの方が出るように感じることもある。中域はどちらも低域に引きずられている。高域はHD435の方が高い音を鳴らすし目立つ。分解能、音場感ともにHD435の方が若干良い。原音忠実性はほぼ互角。HD435の方がややエッジがきつい。明瞭さは低音が出ない分HFI-15Gの方が上のように感じるが、音の鮮やかさはHD435の方がやや上。厚みはどちらかと言えばHD435の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないところは良く似ている。響きはHD435の方がやや豊か。弦楽器はどちらも柔らかく心地よいが、曇っており澄んだ感じには欠ける。金管楽器はHD435の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくない。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら低域の量や高域の鮮やかさが欲しいときはHD435、そうでなければHFI-15Gか。

HP-H500N
HD435は低音より、HP-H500Nはやや低音より。低域はHD435の方がやや量が多い。重心が低く厚みもあるため、存在感にかなりの差がある。中域は、HD435は低域の量に負ける感じ、HP-H500Nは低域の曇りに覆われる感じ。質的にはHD435の方がやや明るく目立つことが多いが、低域の多いソースではHP-H500Nの方が聴こえてくる傾向。高域はHD435の方がやや量が多い。太く明るい質で目立つ。この2機種を比べると、HD435の方がドンシャリと言える。分解能はHD435の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はHD435の方が広く明確。HP-H500Nの方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はHD435の方がやや上。周波数特性上の癖のなさや違和感は大差ないが、HP-H500Nの方が歪みが気になる。原音の粗や生っぽさはHD435の方が感じられる。エッジはHD435の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHD435の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHD435の方がやや上。厚みはHD435の方がある。温かみはどちらもしっかり感じられるが、HD435の方が暑苦しいような感じ、HP-H500Nの方がぬるま湯のような感じ。人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではHD435の方が上。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。HP-H500Nの方がスモーキーで心地よいが、HD435の方が一枚上手の表現力を持っている。HD435の方が擦れが気になる。HD435の方がノリが良い。低域に基づく迫力や力強さがあるだけでなく、メリハリがあり一つ一つの音をしっかりと鳴らしきっているような印象を受ける。HP-H500Nの方がおとなしく、芯の通っていない音。響きはほぼ同レベルだが、どちらかと言うとHP-H500Nの方が豊か。弦楽器はHD435の方が生楽器らしさが感じられてうまいが、心地よさ最優先ならHP-H500Nの方が良いこともある。金管楽器はHD435の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はどちらもいまいちだが、どちらかと言うとHD435の方がうまい。低域の質やダイナミックな鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、基本的にはHD435、HD435では低域の量が多すぎるとか聴き疲れするという不満があるならHP-H500N。

iGrado
どちらも低音より。全体的に、別メーカーの割には良く似ている。低域はどちらも柔らかくぼやけた感じな点が似ている。HD435の方がしっかり低い音、iGradoの方が薄くぼやけた音。中域はどちらも低域に負ける感じ。高域はHD435の方が細く高い音を鳴らすが、量的にはiGradoの方が多く、明るい。分解能および音場感はほぼ互角。原音忠実性は周波数特性の癖のなさからしてiGradoの方が若干良いが、これもあまり差はない。HD435の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、どちらかと言えばiGradoの方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばiGradoの方が上。ノリの良さならiGrado、繊細さならHD435。響きはiGradoの方がやや豊かだが、それでいて抜けも良い。弦楽器はどちらも心地よい感じの鳴らし方。どちらかと言えばHD435の方が繊細で安心して聴ける。金管楽器はiGradoの方が明るくて目立つ。ただ、音の高さ的にはHD435の方が高いように感じる。この2機種のもっとも分かりやすい違いはこの点だろう。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくない。切れやスピード感に欠ける。どちらか1台持っていれば十分な機種。

MUSIC SERIES ONE
HD435は低音より、MUSIC SERIES ONEは低音よりのドンシャリ。低域はHD435の方が若干低い音で、量はかなり多い。質感はどちらも柔らかく、似ている。中域はMUSIC SERIES ONEの方が曇りなくはっきり聴こえてくる。中高域から高域はかなり似ている。HD435の方が若干高い音だが、量はMUSIC SERIES ONEの方が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMUSIC SERIES ONEの方が若干良いように感じる。MUSIC SERIES ONEの方がややエッジがきついが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはMUSIC SERIES ONEの方が上。厚みもMUSIC SERIES ONEの方がある。温かみは低域が出る分HD435の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばMUSIC SERIES ONEの方が良い。MUSIC SERIES ONEの方がノリが良くかつ繊細。響きはMUSIC SERIES ONEの方がやや豊か。弦楽器は全体的にはMUSIC SERIES ONEの方が繊細で良いが、チェロ等の低域が欲しいときはHD435の方が良い。金管楽器はMUSIC SERIES ONEの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMUSIC SERIES ONEの方がややうまい。HD435は低域の量では勝っているのだが、スピード感に欠ける。得意分野はHD435がクラシック、MUSIC SERIES ONEがロック。ただし、別メーカーにしてはかなり似た音を鳴らす。使い分けるなら低域の量が欲しいときはHD435、それ以外はMUSIC SERIES ONEか。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索2
第23回 Sour Times/Portishead「Dummy」より





※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 18Hz〜19.5kHz 110dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
160g - 3m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 2 2 4 1 8500円

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公開日:2006.4.1

※生産終了