CDH-507

音質
 かなりのドンシャリで、低域よりも高域が痛い。低域は量はそれほど極端に多いわけではないが、かなり低い音を鳴らす。中域はややうわずり気味でヴォーカル等に嫌味が出やすいが、低域に埋もれたりはしない。ただし、やや引っ込んでいる印象は受ける。高域はかなりの量でしかもシャリつくためかなり耳に痛い感じ。
 分解能は価格の割には良いと言えるだろう。音場感はいまいち。原音忠実性は非常に悪い。エッジがきつくかなり聴き疲れするし、癖が強すぎて安心して聴けないほど凄い音を鳴らす。サ行の音等もかなり痛い。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはなかなか良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさは感じられない。ヴォーカルはソースによってはかすればかりが気になる。かなりノリが良く、繊細さはまったく感じられない。響きはややあっさりで、こもり感はあまり気にならない。なかなか切れが良く、エッジのきつさとあいまって、エレキギター等を刺激的に楽しみたいならこれはこれでありだと感じる。
 弦楽器はとにかく不自然。繊細さや心地よさというような評価をする以前の問題で、相当聴き込んでも安心して聴くことのできない音を鳴らす。金管楽器はなかなか鮮やかではあるのだが、やはり不自然。打ち込み系の音の表現は悪くないが、生楽器同様ソース本来の音とはかなり違う音になっているように感じる。

装着感
 悪い。一言で言うとごつごつした装着感。側圧がやや強めでありながらフィットしない形状のため、耳が痛くなるしずれやすい。
 イヤーパッドは耳のせと耳覆いの中間サイズで、上下左右に角度調節ができる。材質はかなり変わっていて、ジャージ素材のような感じで肌触りは悪くないし蒸れにくいのだが、硬くて痛さに拍車をかけている。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は密閉型にしてはかなり悪い。
 デザインそれなりに良いが、作りは安っぽい。折りたたみ可能でスイーベル機構、カールコードなどDJ用といった感じ。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、硬くて癖が付きやすいが、カールコードなので扱いづらくはない。イヤーパッドのサイズは、外周86mm×86mm、内周46mm×46mm、深さ12mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
CDH-505
CDH-505はやや低音より、CDH-507はドンシャリ。低域・高域ともにCDH-507の方が出る。どちらもやや曇ったような感じがあるのは似ている。分解能、音場感ともにCDH-505の方が若干良い。どちらも原音とは程遠い音。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはすべてCDH-507の方が上。ただし、どちらも非常に癖があるため、人によってかなり感じ方が変わりそう。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも不足しているが、CDH-507の方がまだましか。CDH-507の方がノリが良いが、癖も強い。響きはCDH-505の方が豊かで、音に広がりがある。弦楽器はCDH-505の方が心地よく楽しめる。金管楽器はCDH-507の方が一段高い音で楽しめるが、ソースによっては安っぽくなる。打ち込み系の音の表現はCDH-507の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならロックやポップスはCDH-507、それ以外はCDH-505。CDH-505の方がフラットでオールマイティな印象。

CDH-508
CDH-507はドンシャリ、CDH-508はやや低音より。低域はかなり鳴らし方が違うので判断に困るところ。ソースによってかなり印象が代わるが、基本的にはCDH-508の方が柔らかい表現。中高域から高域はCDH-507の方が一段高い。一聴してCDH-507の方が高域が目立つ。分解能はCDH-507の方が線が細い分やや上に感じる。音場感は若干CDH-508の方が上。どちらも原音忠実とは言えない。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCDH-507の方がやや上。CDH-508はやや曇っているように感じるが、CDH-507はそうでもない。温かみはCDH-508の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いが、刺激という意味ではCDH-507の方が上。響きはCDH-508の方が豊か。弦楽器はどちらもあまりうまくない。金管楽器、打ち込み系の音の表現はややCDH-507の方がうまい。得意分野はCDH-507はロック、CDH-508はジャズ。使い分けるなら、ジャンル以前にCDH-507の高域の癖とCDH-508の曇りの好みが問題だろう。

HPS5000
どちらもドンシャリで乾いた音を鳴らすところは似ているが、HPS5000の方が超低域は出ないし厚みもやや薄い。また、HPS5000の方が高音がおとなしくシャリつかない。つまりどちらがドンシャリかと問われれば、間違いなくCDH-507の方がドンシャリ。分解能、音場感ともにHPS5000の方が一歩勝る。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさに欠ける。HPS5000の方がヴォーカルはやや良いが温かみに欠けると感じる。ヴォーカルそのものがあまり聴こえてこない。HPS5000の方が明瞭で、非常に怜悧に感じる。一方、CDH-507は超低域が出るだけでなく中高域まで音がくもっているように感じる。その点、HPS5000はくもった感じはまったくない。切れは良いのだが、超低域が不足に感じる人もいるかもしれない。どちらもエッジがきつくあまり聴きやすいとは言えないが、HPS5000の方がまだ聴きやすい。どちらもクラシックを聴くのには絶対に使えない機種。得意分野はロックorポップスで、どちらにしてもHPS5000の方がやや良いように感じる。ただし、超低域は不足しているし装着感はCDH-507の方がまだまし。

Z headphones
どちらもドンシャリ。超低域はZ headphonesの方が出るが、低域の厚みはCDH-507の方が若干あるように感じる。Z headphonesは分厚い雲のような低音、CDH-507は硬い低音。高域の量はCDH-507の方が上、質はZ headphonesの方が幾分良い。分解能はほぼ互角。基本的な能力はZ headphonesの方が上なのだが、どうしても物凄い低音が邪魔をする。音場感はCDH-507の方が若干良い。Z headphonesの方が原音に近い。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。CDH-507はスカスカした感じがあるが、Z headphonesは皆無。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み等すべてCDH-507の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはZ headphonesの方が上。それでいてノリが良い。響きはややZ headphonesの方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにZ headphonesの方が原音に近い上楽しめる。打ち込み系の音の表現はCDH-507の方がうまい。得意分野はCDH-507はポップス、Z headphonesはロック。使い分けるならポップスはCDH-507、それ以外はZ headphones。ただし、ジャンルで使い分けるよりも、明瞭さが欲しいときはCDH-507、そうでないときはZ headphonesという使い分けの方が良いかもしれない。


※生産終了
※故障のため追加測定は測定不能











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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 20Hz〜20kHz 108dB 40Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
240g 50mm 5m(カール) 片出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 2 3 3 4 3 高、低 3600円
※生産終了

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公開日:2004.11.28