CX95

音質
 ややドンシャリ。低域は、量はやや多めだが、質的にはごく普通で癖がない感じ。中域は、低域の多いソースでは低域の量に負けるが、基本的には低域に埋もれたりせずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域も低域・中域同様癖がなく、質的にも量的にも十分なものを持っている。
 分解能は価格なり。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ特別良いとは感じないが、決して悪くはなく、普通に音楽を聴くのに必要な能力は持っている。音場感はごく普通。原音忠実性はなかなか良い。周波数特性上の癖が小さいし、一聴して違和感を感じない自然な音。原音の粗や生っぽさはもある程度感じられる。エッジのきつさは普通で、それほど聴き疲れしないレベル。ホワイトノイズはやや大きい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなりだが、低域が多い上に作ったような明るさがない割には良好。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良い。ノリの良さと繊細さを両立している。響きは適度からやや豊か。肩の力が良い具合に抜けた自然な音。
 弦楽器はそれなりに繊細で心地よい。金管楽器は十分な明るさや鮮やかさを持っているし、変な癖もない。弦楽器にしろ金管楽器にしろ、丁寧に鳴らしてくれる印象。打ち込み系の音の表現はそれなり。低域の量感、音の質感、厚み、切れ等、様々な点から見て良くもなく悪くもなくといった感じ。ただ、もう少し元気の良さが欲しかったところではある。
 癖がなくバランスが良いし、基本性能も悪くないので、これ1台で何でも聴きたい人にはかなり良いだろう。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。ずれやすい、重い等の不満もない。
 イヤーピースの材質はシリコンのようだ。3サイズ付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。
 作りは価格なり。デザインはやや変わっている。タッチノイズがやや大きめ。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は約2mm、やや硬いがそれほど扱いづらくはない。

付属品
イヤーピース3種類
1m延長コード
収納ケース



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
CX300
CX300は低音よりのドンシャリ、CX95はややドンシャリ。全体的にそれなりに似た音を鳴らす。低域はCX300の方が厚み・量ともにやや上。CX95の方が自然な低域。中域はCX300の方がやや高い音で目立つ。高域は量的にはかなり近いが、CX300の方が太く明るい。CX95の方が細く繊細。分解能はほぼ同レベルだが、CX95の方がやや上。一つ一つの音の微細な描写を丁寧にこなしてくれる。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベル。原音忠実性はCX95の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っていて、一聴して自然。ただし、原音の粗や生っぽさはCX300の方が多少感じられる。CX300の方がややエッジがきつい上、圧力のある音で聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ同レベルだが、CX300の方が作ったような明るさがあるので上に感じることもある。厚みはCX300の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCX95の方がやや上。ノリの良さならCX300、繊細さならCX95。CX300の方が硬く芯の通っている音。CX95の方が自然で滑らかで粗がない。響きはCX95の方がやや豊か。弦楽器はCX95の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はCX300の方がやや派手で楽しめるが、自然な感じが良いならCX95の方が合うだろう。打ち込み系の音の表現はCX300の方がうまい。低域の量感やダイナミックさで勝っている。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならCX300、繊細さ重視ならCX95。あるいは、生楽器やヴォーカルものはCX95、それ以外はCX300。

hf5
CX95はややドンシャリ、hf5はかなりフラット。低域はCX95の方がやや量が多い。やや柔らかく、厚みがある。中域は、中域の中でも低めの音はhf5の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、中域の中でも高めの音はCX95の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はCX95の方が若干量が多い。太く金属的な質。hf5がハイハットをシャンと鳴らすところを、CX95はチンと鳴らすような音色の違いがある。分解能はhf5の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はCX95の方がやや広い。hf5の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はhf5の方が若干上。どちらも一聴して違和感が小さいが、周波数特性上の癖のなさではhf5の方が若干勝っている。原音の粗や生っぽさもhf5の方が若干感じられる。エッジはCX95の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろCX95の方が若干粗っぽく痛い。明瞭さはhf5の方がやや上、音の鮮やかさはソースによってかなり印象が変わりやすいが、どちらかと言うとhf5の方が上に感じることが多い。厚みはCX95の方がある。温かみはCX95の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良く、甲乙つけがたい。柔らかく鳴らして欲しいならCX95、線の細い感じが欲しいならhf5。CX95の方が力強く基本的にはノリが良いが、切れはhf5の方がやや良い。hf5の方が上品であっさりしている。響きはCX95の方がやや豊か。弦楽器はCX95の方が心地よく、hf5の方が繊細。チェロ等を柔らかく心地よく聴きたいならCX95の方が良いが、基本的にはhf5の方が一枚上手の表現力を持っている。金管楽器はCX95の方が金属的で力強い、hf5の方が綺麗。打ち込み系の音の表現はCX95の方がややうまい。hf5は線の細さや厚みの薄さが不満。使い分けるなら、低域の量感や力強さ重視ならCX95、明瞭さや繊細さ重視ならhf5。

HP101
どちらもややドンシャリ。低域はHP101の方がやや量が多い。質的にはやや柔らかく、重心が低い。中域は、低域が多いソースではCX95の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、ソースによってはHP101の方が張り出すような癖があって目立つため、どちらが聴こえてくるかはソースによって違ってくる。高域はCX95の方が高く硬い音で量も多い。この2機種を比べると、CX95の方が高音よりと言える。分解能はCX95の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろどちらかと言えばCX95に分がある。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルで、鳴らし方も良く似ている。原音忠実性はCX95の方が若干上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いで若干勝っている。エッジはCX95の方が若干きつく聴き疲れしやすい。特に高域はCX95の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはCX95の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみはほぼ同等、ヴォーカルの艶っぽさはCX95の方が若干上。HP101はソースによってはやや張り出すような感じが気になる点もマイナス。CX95の方がやや明るく元気でノリが良い。CX95の方がやや硬く締まった音で、切れやスピード感がある。響きは、低域はHP101の方が豊か、高域はCX95の方が豊か。弦楽器はそれなりに良く似ている。生楽器らしさが欲しい場合や締まった音が良い場合にはCX95、心地よさやコントラバス等の豊かさが欲しい場合にはHP101。金管楽器はCX95の方がやや高く鮮やか。HP101の方が太い。打ち込み系の音の表現はCX95の方がうまい。切れやダイナミックな鳴らし方で勝っている。使い分けるなら、高域が欲しいならCX95、低域が欲しいならHP101。あるいは、基本的にはCX95、CX95では聴き疲れする場合やもう少し柔らかい音が良い場合にはHP101。

HP-FX500
どちらもややドンシャリ。低域はHP-FX500の方が重心が低く粘りがある感じ。HP-FX500の方が中低域から中域にかけてやや凹んでいる印象。HP-FX500の方が存在感のある低域だが、全体的な量は大差ない。中域はHP-FX500の方がやや高い音で低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、これはうわずっているのも要因。高域はCX95の方が細く粗がない。HP-FX500の方が太く金属的。HP-FX500は低域・中域・高域それぞれやや癖があり主張してくるような印象だが、CX95は変な強調感がなく自然にまとまっている印象。分解能は微妙。音の分離はHP-FX500の方がやや上、一つ一つの音の微細な描写はCX95の方が丁寧に粗なくこなしてくれる。音場感はCX95の方がやや広く、HP-FX500の方がやや明確。原音忠実性はほぼ同レベル。CX95の方が周波数特性上の癖が小さく一聴して違和感がないが、原音の粗や生っぽさはHP-FX500の方が感じられる。エッジはHP-FX500の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHP-FX500の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX500の方がやや上。ただし、これは作ったような明るさがあることも一因。厚みはほぼ同レベル。HP-FX500の方がやや締まった音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCX95の方がやや上。HP-FX500はヴォーカルがうわずることが多いが、CX95はほとんんどそういったことがなく安心して聴ける。CX95の方が繊細、HP-FX500の方がノリが良い。HP-FX500の方が明るくメリハリがある。響きはCX95の方がやや豊か。弦楽器はCX95の方が繊細かつ心地よい。滑らかに音が伸びる印象。ただし、生楽器らしさが欲しいならHP-FX500の方が良い。金管楽器はHP-FX500の方が太い芯が通っている感じで目立つ。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベルだが、どちらかと言うとHP-FX500の方がややうまい。切れで勝っている。使い分けるなら、自然さや繊細さ重視ならCX95、明るさや生楽器らしさ重視ならHP-FX500。

IE8
CX95はややドンシャリ、IE8は低音より。低域はIE8の方がやや量が多い。IE8の方が柔らかい質。重心はIE8の方がやや低い。中域はCX95の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。中高域はCX95の方がしっかり出る。高域はCX95の方がやや量が多い。硬く明るい質で目立つ。IE8の方が線が細く粗がない。分解能は微妙。音の分離はCX95の方が若干上。一つ一つの音の微細な描写はIE8の方が丁寧にこなしてくれる。音場感はIE8の方がやや広い。明確さは大差ない。原音忠実性はCX95の方が若干上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはCX95の方がやや感じられる。エッジはCX95の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろCX95の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはCX95の方がやや上。厚みはIE8の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはIE8の方が上。ヴォーカルはCX95の方が硬く明るい、IE8の方が柔らかくスモーキー。どちらもノリの良さが感じられるが、傾向は多少違う。CX95の方が切れやスピード感がある。IE8の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは、低域はIE8の方がやや豊か、高域はCX95の方がやや豊か。IE8の方が重厚で濃密なので一部メタル等との相性が良い一方、音場が広く音が混ざりつつ分離してくれるためオーケストラに向いている面もある。弦楽器はCX95の方が生楽器らしさが感じられる、IE8の方が滑らかで心地よい。チェロやコントラバスを濃厚に鳴らして欲しいならIE8の方が良いが、ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならCX95の方が良い。金管楽器はCX95の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はCX95の方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、高域が欲しいならCX95、低域が欲しいならIE8。あるいは、明るさや切れを求めるならCX95、音場の広さや重厚さを求めるならIE8。

KEB/79
CX95はややドンシャリ、KEB/79は低音よりのドンシャリ。低域はKEB/79の方が量が多く重心も低いためかなり存在感がある。中域はCX95の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はCX95の方が高く明るく金属的。KEB/79の方がややざらつく感じが気になる。分解能はCX95の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろCX95の方がやや上。音場感はCX95の方がやや広く明確。原音忠実性はCX95の方が上。KEB/79は低域の量が多すぎるし、中域・高域の癖のなさもCX95の方が上。原音の粗や生っぽさもCX95の方が感じられる。エッジはCX95の方がややきついが、KEB/79は低域で疲れる面があり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはCX95の方が上。厚みはKEB/79の方がやや上。温かみは低域が多い分KEB/79の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではCX95の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはCX95の方がやや上。CX95はノリの良さと繊細さを両立しているのに対して、KEB/79は低域に基づく迫力でノリの良さを感じさせる印象。響きはKEB/79の方がやや豊かで、こもり感が気になる。KEB/79の方が線が太く、力強さや音の圧力で聴かせるタイプ。弦楽器はCX95の方が繊細で生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はCX95の方が明るく鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は大差ないが、CX95の方がやや音の質感の相性が良いように感じる。使い分けるなら、基本的にはCX95、低域が欲しいときだけKEB/79。

MDR-EX90SL
どちらもややドンシャリ。メーカーが違う割には似た音を鳴らす。低域は量的にはほぼ同等だが、MDR-EX90SLの方がやや厚みや弾力がある感じ。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくるが、CX95の方がやや高い音で目立つ。高域はCX95の方がやや高く明るい音を鳴らす。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろほとんど差がない。音場感はMDR-EX90SLの方がやや広く明確。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性上の癖のなさにしろ原音の粗や生っぽさが感じられる度合いにしろ、大きな差はない。エッジはCX95の方がややきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはCX95の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCX95の方がやや上。どちらもノリの良さと繊細さを両立しているが、MDR-EX90SLの方がやや重厚で落ち着いている。響きはほぼ同等。CX95の方がすっきりしていてスムーズな感じ。弦楽器はCX95の方が滑らかに音が伸びる感じで好印象。金管楽器はCX95の方がやや明るく楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。CX95の方がやや明るく、MDR-EX90SLの方が低域の量感がややある。使い分けるなら、高音重視ならCX95、低音重視ならMDR-EX90SL。明るくすっきりした感じが良いならCX95、重厚で安定感がある感じが良いならMDR-EX90SL。

v-moda vibe
CX95はややドンシャリ、v-moda vibeは低音よりのドンシャリ。低域はv-moda vibeの方がぼやけていて量が多い。中域はCX95の方が低域に負けずはっきり聴こえてくる。高域はCX95の方が細く高い音で量も多い。分解能はCX95の方がかなり上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ段違い。音場感はCX95の方がかなり明確で把握しやすい。原音忠実性はCX95の方が上。v-moda vibeはとにかく低域の量が多すぎる。原音の粗や生っぽさもCX95の方が感じられる。CX95の方がややエッジがきついが、v-moda vibeの方が低域の量が多すぎてこもり感が酷いために疲れることが多い。明瞭さ、音の鮮やかさはCX95の方がかなり上。厚みはv-moda vibeの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCX95の方が上。CX95の方が圧倒的に繊細。響きはv-moda vibeの方が豊か。弦楽器はCX95の方が繊細かつ心地よい。v-moda vibeは生楽器を聴ける音ではない。金管楽器はCX95の方が明るく楽しめる。v-moda vibeも金管楽器については比較的まともで、力強さという点ではCX95より良いかもしれないが、それでもトータルとしてはCX95の方が魅力的。打ち込み系の音の表現はCX95の方がうまい。音の質感の相性やバランスの良さで勝っている。ほとんど何を聴くにしてもCX95の方が良いだろう。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生


曲別HP探索2
第10回 なごり雪/イルカ「イルカベスト」より





※生産終了










戻る





スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 17Hz〜22.5kHz 113dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
6g - 0.6m 両出し(Y型) 収納ケース付属

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4 5 4 5 3 5 均(低、高) 12900円
※生産終了

TOP > ヘッドホンレビュー > CX95

公開日:2008.4.5