MDR-EX90SL

音質
 ややドンシャリ。低域は厚みや音の低さはごく普通だが、量がやや多くぼやけている印象。中域は多少低域の曇りに覆われて明瞭に聴こえるとは言いがたい部分もあるが、基本的に落ち着いた鳴らし方で癖がない。高域はやや高めの音で多少目立つが、シャリついたりはしないし、量も過剰ではない。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて価格の割にはかなり良い。音の分離は特別良いわけではないが、微細な表現をしっかりこなしてくれる。音場感は独特の形状のためか癖はあるが、単純に色々なところから音が鳴っていて立体感があるのが楽しめる。エッジはそれほどきつくなく、あまり聴き疲れしない。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはごく普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはなかなか良い。ノリの良さと繊細さをある程度両立しているだけでなく、モニター的な冷静さも持っている。響きはやや豊か。かなり癖の無い機種。ヘッドホンの評価をする際には様々な視点から評価するものだが、この機種に関してはどの視点から見てもある程度のレベルに達している。悪い言い方をすれば無個性とも言えるが、それなりにノリ良く音楽を楽しめるし、良くここまでバランス良くまとめたというのが正直な感想。
 弦楽器は繊細さ、心地よさ、原音忠実性をバランス良く保っている。金管楽器は特に鮮やかとは感じないが、しっかり聴こえてくるし、チープな感じもしない。打ち込み系の音の表現はそれなり。低域のタイトさや音の厚み、切れがもう少し欲しかった印象。
 スタジオモニターヘッドホンMDR-CD900STの設計コンセプトを継承したインナーイヤーヘッドホンということだが、確かにMDR-CD900STに近いものを感じる。

装着感
 良好。一応カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。多少重めだが、実用上特に問題はない。ずれやすい、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。独特の形状から想像されるよりも、はるかに良好な装着感。ただし、形状が形状だけに合わない人には合わないかもしれない。
 イヤーピースの材質はシリコン。3サイズ付属している。

その他
 遮音性は良好だが、カナル型にしては良くない。音漏れ防止は普通。カナル型にしてはかなり悪いが、開放型ほどではない。
 作りはなかなか良い。デザインはその特殊な形状から人を選ぶ印象。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は約2mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

付属品
イヤーピース3種類
1m延長コード
キャリングポーチ
インナーケース



参考
不定期コラム『第39回 価格別favorite headphones インナーイヤー版』

投稿レビュー『MDR-EX90SL』

周波数特性グラフ


比較メモ
AH-C700
AH-C700は低音よりのドンシャリ、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はAH-C700の方がやや低く量も多い。中域はMDR-EX90SLの方が癖がなくはっきり聴こえてくる。AH-C700は中域から中高域にかけて潰れてキンキンと痛いような傾向がある。高域はMDR-EX90SLの方が細く尖っている。分解能はMDR-EX90SLの方がやや上。音場感はMDR-EX90SLの方が広く明確。原音忠実性はMDR-EX90SLの方がかなり上。AH-C700の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX90SLの方が上。厚みはAH-C700の方がある。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方が上。どちらもノリが良い傾向だが、ノリの良さならAH-C700、繊細さならMDR-EX90SLといった感じ。響きはMDR-EX90SLの方が豊か。自然に音が広がって消えていくのが分かる。こもり感はAH-C700の方が気になる。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細。金管楽器はどちらもそれなりに鳴らしてくれるが、MDR-EX90SLの方が高い音でしかも自然な感じ。打ち込み系の音の表現はどちらも低域の質感や切れに不満がある点は似ている。低域の量や音の圧力が欲しいならAH-C700、バランスの良さを求めるならMDR-EX90SLか。使い分けるなら、基本的にはMDR-EX90SLで、余程低域の量や音の厚みが欲しいときだけAH-C700。

ATH-CK7
どちらもやや低音よりのドンシャリ。低域はATH-CK7の方が低く厚みがあるが、量そのものはMDR-EX90SLの方が多い。中域はATH-CK7の方が低域がタイトな上、うわずり気味ではっきり聴こえてくる。中高域はATH-CK7の方が高く金属的な鳴りだが、高域はMDR-EX90SLの方が自然に良く伸びている。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX90SLの方が上。音の分離はATH-CK7の方がやや上のようにも感じるが、微細な描写のうまさでMDR-EX90SLが圧倒的に勝っている。ATH-CK7が原音忠実など眼中に無い音作りであるのに対して、MDR-EX90SLは基本的に原音忠実路線のように感じる。ATH-CK7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-CK7の方が上。ただし、すべて原音忠実を犠牲にした上でのもの。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方がかなり良い。ATH-CK7がノリが良いのに対して、MDR-EX90SLはノリの良さと繊細さを両立させている。響きはMDR-EX90SLの方が豊か。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-CK7の方が鮮やかで金属的な鳴りが楽しめるが、ソースによってはチープに感じるし原音と違いすぎる。MDR-EX90SLはそれほど原音とかけ離れていない音で鮮やかさを必要量持っている感じ。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。低域の厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-EX90SL、原音忠実などどうでも良いからポップスやロックをノリ良く楽しみたいならATH-CK7。

CX95
どちらもややドンシャリ。メーカーが違う割には似た音を鳴らす。低域は量的にはほぼ同等だが、MDR-EX90SLの方がやや厚みや弾力がある感じ。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくるが、CX95の方がやや高い音で目立つ。高域はCX95の方がやや高く明るい音を鳴らす。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろほとんど差がない。音場感はMDR-EX90SLの方がやや広く明確。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性上の癖のなさにしろ原音の粗や生っぽさが感じられる度合いにしろ、大きな差はない。エッジはCX95の方がややきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはCX95の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCX95の方がやや上。どちらもノリの良さと繊細さを両立しているが、MDR-EX90SLの方がやや重厚で落ち着いている。響きはほぼ同等。CX95の方がすっきりしていてスムーズな感じ。弦楽器はCX95の方が滑らかに音が伸びる感じで好印象。金管楽器はCX95の方がやや明るく楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。CX95の方がやや明るく、MDR-EX90SLの方が低域の量感がややある。使い分けるなら、高音重視ならCX95、低音重視ならMDR-EX90SL。明るくすっきりした感じが良いならCX95、重厚で安定感がある感じが良いならMDR-EX90SL。

E2c
E2cはかなりフラット、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はMDR-EX90SLの方がかなり低い音で厚みもある。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。MDR-EX90SLの方がやや高い音で目立つ感じなのに対して、E2cは量が多くてはっきり聴こえる感じ。高域はMDR-EX90SLの方が高く金属的な鳴り。分解能はMDR-EX90SLの方が良いように感じる。これは、MDR-EX90SLに比べるとE2cはややヴェールがかかったように明るさがないため。音の分離にしろ、微細な表現にしろ、一聴してMDR-EX90SLの方がしっかり感じられるが、聴き込むとそれほど差はないように感じる。音場感はどちらも良いのだが、MDR-EX90SLの方が立体感がある。原音忠実性はE2cの方が良いように感じるが、これは低域と高域の味付けの無さで勝っているためで、原音の実体感や中域の癖のなさではMDR-EX90SLの方が良いように感じる。表現が難しいが、E2cは一部のモニター用ヘッドホンに見られるような中域の張り出したようなそれでいて曇っているような感じがある。MDR-EX90SLの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-EX90SLの方がかなり上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは質感の違いのために判断が難しいが、MDR-EX90SLの方があるように感じられる。MDR-EX90SLはどちらか言えばノリが良いのに対して、E2cはモニター的な冷静さがある。響きはMDR-EX90SLの方がやや豊かだが、この点も響き方がまったく違うため判断に困る。E2cは太く輪郭のはっきりしない音で、付帯音も少ない。MDR-EX90SLは他のSONY製イヤホンと基本的な音作りにあまり大きな違いを感じない。MDR-EX90SLに比べてE2cは平板でメリハリがない感じ。逆に言えば、MDR-EX90SLはE2cに比べてドンシャリでエッジがきつい。かなり違う音を鳴らすが、それゆえにどちらがどう勝っているか判断に困る点もある機種。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-EX90SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX90SLの方がうまい。厚み、スピード感、低域の量感で勝っている。使い分けるなら、低域や高域の味付けのない冷静な音を求めるならE2c、ノリ良く音楽を楽しみたいならMDR-EX90SLか。何にせよ、非常に違う音を鳴らす2機種なので、両方持っていてもおもしろいだろう。

HiDefJax AcousticSteel
どちらもややドンシャリ。低域はほぼ同量。MDR-EX90SLの方がやや柔らかい質。重心はHiDefJax AcousticSteel方がやや低い。中低域はMDR-EX90SLの方がややしっかり出る。中域はHiDefJax AcousticSteelの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHiDefJax AcousticSteelの方が若干量が多い。線が細く明るい質。量と言うよりも質的にHiDefJax AcousticSteelの方が高音よりに感じられる。分解能はHiDefJax AcousticSteelの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、広さはほぼ同レベル、HiDefJax AcousticSteelの方が明確で見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性上の癖のなさは人によって評価が違ってきそうな印象。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはHiDefJax AcousticSteelの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHiDefJax AcousticSteelの方がやや細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはHiDefJax AcousticSteelの方がやや上。MDR-EX90SLはHiDefJax AcousticSteelに比べると薄く曇っているように感じられる。厚みはMDR-EX90SLの方が若干あるように感じるが、それよりもHiDefJax AcousticSteelの方が硬く締まった音である点に目が行く。温かみはMDR-EX90SLの方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。明るさや透明感を求めるならHiDefJax AcousticSteelの方が良いだろうが、柔らかさやスモーキーな感じを求めるならMDR-EX90SLの方が良いだろう。HiDefJax AcousticSteelの方が切れやスピード感がある。MDR-EX90SLの方が迫力や力強さがある。響きはMDR-EX90SLの方がやや豊か。弦楽器はHiDefJax AcousticSteelの方が繊細、MDR-EX90SLの方が心地よい。金管楽器はHiDefJax AcousticSteelの方が細く綺麗、MDR-EX90SLの方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はHiDefJax AcousticSteelの方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れ重視ならHiDefJax AcousticSteel、温かみや聴き疲れのなさ重視ならMDR-EX90SL。

HP-CN40
HP-CN40はかなりフラット、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はMDR-EX90SLの方がやや重心が低く厚みもある。全体的な量は大差ない。中域はMDR-EX90SLの方がややうわずったり張り出したりして目立つ。高域はMDR-EX90SLの方がやや太く金属的。HP-CN40の方が繊細で粗がない。分解能はMDR-EX90SLの方が若干上。音場感は広さ・明確さともにほぼ同等。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性上の癖のなさはHP-CN40の方がやや上、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはMDR-EX90SLの方がやや上。エッジはMDR-EX90SLの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろMDR-EX90SLの方がやや痛い。MDR-EX90SLは中域が張り出したりする点、音の圧力が強いように感じられる点も聴き疲れしやすい要因になっている。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはMDR-EX90SLの方がやや上。厚みはMDR-EX90SLの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-CN40の方がやや上。MDR-EX90SLはHP-CN40と比べるとヴォーカルがうわずったり張り出したりすることが多く、安心して心地よく聴きたいのならHP-CN40の方がかなり良い。MDR-EX90SLの方がノリが良い。メリハリや迫力がある。ただ、曲によってはHP-CN40のおとなしさや繊細さの方が魅力的に感じられる。響きはMDR-EX90SLの方がやや豊か。MDR-EX90SLの方がドラムや破裂音が目立つ。HP-CN40の方が全体的にのっぺりしている印象。弦楽器はHP-CN40の方が滑らかで心地よいが、生楽器らしさが欲しいならMDR-EX90SLの方が良い。金管楽器はMDR-EX90SLの方が鮮やかかつ力強いが、HP-CN40の方が綺麗に感じる。MDR-EX90SLの方が荒々しいとも言える。打ち込み系の音の表現はMDR-EX90SLの方がややうまい。音の質感の相性、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等、様々な点で少しずつ勝っている感じ。使い分けるなら、まったり聴きたいならHP-CN40、明るくノリ良く聴きたいならMDR-EX90SL。

HP-FX300
どちらもややドンシャリ。低域は質・量ともにある程度似ているが、MDR-EX90SLの方がやや厚みがある。中域はHP-FX300の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-FX300の方がやや高い音で明るい鳴らし方。分解能はほぼ同等だが、どちらかと言えばMDR-EX90SLの方が上。音場感は広さ・明確さともに同レベルだが、どちらかと言えばMDR-EX90SLの方が耳の近くで音を鳴らす感じ。原音忠実性はMDR-EX90SLの方がやや良い。HP-FX300は中域がややうわずっているのがマイナス。HP-FX300の方がエッジがややきつく、若干聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX300の方がやや上。厚みはMDR-EX90SLの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方がやや上。HP-FX300の方が明るく元気が良い。MDR-EX90SLの方が安定した鳴らし方で、モニター的な冷静さがある。響きはほぼ同等。弦楽器はMDR-EX90SLの方がしっかりと密度の高い音を聴かせてくれる。ただ、澄んだ感じを求めるならHP-FX300の方が良いだろう。金管楽器はHP-FX300の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。使い分けるなら、明るく元気が良いものを求めるならHP-FX300、癖のなさや安定感を求めるならMDR-EX90SL。

MDR-EX1000
MDR-EX1000はかなりフラット、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はMDR-EX90SLの方がやや量が多い。MDR-EX1000の方が締まりや制動が感じられる。重心はMDR-EX1000の方が若干低い。中域はMDR-EX1000の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はほぼ同量。ソースによって印象が変わりやすいが、基本的にはMDR-EX90SLの方がやや粗があり響く。分解能はMDR-EX1000の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、MDR-EX90SLの方がやや広く、MDR-EX1000の方がやや明確。MDR-EX1000の方が音像がシャープ。原音忠実性はMDR-EX1000の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはMDR-EX1000の方が若干感じられる。エッジはMDR-EX1000の方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域は大差ない痛さ、ヴォーカルのサ行はMDR-EX1000の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX1000の方がやや上。厚みはほぼ同レベルだが、それよりもMDR-EX1000の方が硬く締まった音である点に目が行く。温かみはMDR-EX90SLの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。MDR-EX1000の方が味付けが少ない、MDR-EX90SLの方が柔らかく落ち着いている。MDR-EX1000の方が冷静な鳴らし方。MDR-EX1000の方が切れやスピード感がある。MDR-EX90SLの方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはMDR-EX90SLの方が豊か。弦楽器はMDR-EX1000の方が繊細、MDR-EX90SLの方が心地よい。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならMDR-EX1000の方が良いが、チェロやコントラバスを心地よく聴きたいならMDR-EX90SLの方が良い。金管楽器は微妙。MDR-EX1000の方が若干シンプル、MDR-EX90SLの方が若干金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はMDR-EX1000の方がうまい。音の質感の相性にしろ切れにしろ勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れを求めるならMDR-EX1000、低域の量感や響きを求めるならMDR-EX90SL。

MDR-EXQ1
どちらもややドンシャリだが、MDR-EX90SLの方がややフラット。低域はMDR-EXQ1の方が低く厚みがありタイト。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、MDR-EXQ1に比べるとMDR-EX90SLはやや曇っているように感じる。中高域から高域はMDR-EXQ1の方がやや高い音を鳴らすが、量は大差ない。分解能は微妙。音の分離はMDR-EXQ1の方が良いが、微細な表現はMDR-EX90SLの方がややうまいかもしれない。音場感はMDR-EX90SLの方がやや良い。特殊ではあるが、明瞭。原音忠実性はMDR-EX90SLの方が癖がなく良いように感じる。ただし、原音の実体感のようなものはMDR-EXQ1の方が感じられる。MDR-EXQ1の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-EXQ1の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-EX90SLの方が良いか。MDR-EXQ1がどちらかと言えばノリの良い感じなのに対して、MDR-EX90SLは冷静な鳴らし方。響きはMDR-EX90SLの方が若干豊か。弦楽器、金管楽器ともに癖のない音を求めるならMDR-EX90SLの方が良いだろうが、魅力的に感じる音となるとMDR-EXQ1の方が良いように感じる。これは原音の実体感、厚み、鮮やかさ、心地よさ等で勝っているためだろう。MDR-EXQ1の方が弦楽器は心地よく、金管楽器は高く鮮やか。ただ、総合的に見てそれほど差があるとは思わない。打ち込み系の音の表現はMDR-EXQ1の方がうまい。低域の量感や厚みで勝っているため。使い分けるなら、癖のない音を求めるならMDR-EX90SL、ドンシャリでも良いから魅力的に音楽を楽しみたいならMDR-EXQ1。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 5Hz〜25kHz 106dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
7g 13.5mm 0.5m 両出し(ネックチェーン) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4 4 4 3 4 5 均(低、高) 7500円
※生産終了

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公開日:2006.8.23