HP-FX300

音質
 ややドンシャリ。低域は厚みや音の低さは普通だが、量はやや多め。あまり締まっている感じではないが、極端にぼやけていたりはしない。中域は低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、これはややうわずっているのも要因。ソースによってはキンキンする。高域はしっかり高い音を鳴らしてくれるし、量的にも多め。やや硬質で澄んだ音。粗はそれほど感じない。
 分解能は価格なりのものは持っている。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ、あまり不満を感じないレベル。音場感は特に広くはないが、そこそこ明確で把握しやすい。原音忠実性はそれなり。原音の粗や生っぽさはある程度感じられる。中域のうわずりがなければもっと高く評価できただろう。エッジのきつさは普通で、特に聴き疲れしたりはしない。適度な刺激といった感じ。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルはもう少し低く落ち着いた鳴らし方の方が良かっただろう。明るく元気の良いノリの良さがあるが、ある程度の繊細さも持ち合わせている。響きは適度からやや豊か。
 弦楽器はもう少しウォームな感じが欲しかったところだが、ヴァイオリン等を澄んだ鳴らし方をして欲しいなら割と合う。金管楽器は適度な明るさ・鮮やかさがあり、楽しめる。打ち込み系の音の表現はそれなり。明るい鳴らし方が魅力的だが、もう少し厚みや切れが欲しかったところ。
 比較的バランス良くまとまっている機種で、明るく楽しみたいときに良い。

装着感
 良好。カナル型にしては耳に圧迫感がないのは良い。独特の形状のため慣れるまでやや装着しにくく、多少ずれやすいのが難点。
 イヤーピースの材質はシリコンが3サイズに加えて、低反発イヤーピースが付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。ただし、遮音性はカナル型にしては良くない。
 作り、デザインは普通からやや良いレベル。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は約2.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

付属品
イヤーピース3種類
低反発イヤーピース
0.7m延長コード
キャリングケース



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
HP-FX500
どちらもややドンシャリ。それなりに似た音。低域はHP-FX500の方がやや重心が低く、粘りがある。HP-FX300の方が薄く曇ったような質。全体的な量は同程度。中域はどちらもややうわずるような感じだが、どちらかと言うとHP-FX500の方がうわずりが気にならないことが多い。高域はHP-FX500の方がやや高く明るい音。量は大差ない。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言うとHP-FX500の方が上。音場感はHP-FX300の方が若干広く、HP-FX500の方が若干明確。原音忠実性はHP-FX500の方が若干上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いで若干勝っている。エッジはHP-FX500の方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ないが、どちらかと言えばHP-FX500の方がきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX500の方がやや上。厚みはほぼ同レベル。厚みよりもHP-FX500の方が締まっている点に目が行く。温かみはHP-FX300の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。どちらもうわずるような感じが気になることが多い点が似ている。どちらもノリの良さと繊細さをある程度両立しているが、HP-FX500の方がやや明るい傾向。響きはHP-FX300の方がやや豊か。弦楽器は、生楽器らしさが欲しいならHP-FX500、心地よさ重視ならHP-FX300。金管楽器はHP-FX500の方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベルだが、どちらかと言うとHP-FX500の方がうまい。切れで若干勝っている。使い分けにはあまり向かないが、あえて使い分けるなら基本的にはHP-FX500、HP-FX500では低域の質に違和感があるとか締まりすぎているという不満があるならHP-FX300。

HP-FX77
HP-FX300はややドンシャリ、HP-FX77は低音よりのドンシャリ。低域はHP-FX77の方がやや低い音で量も多い。中域はHP-FX300の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-FX300の方がやや高い音で量も多い。この2機種を比べた場合、HP-FX300の方が高音よりと言える。分解能はHP-FX300の方がやや上。単純に細かい音まで聴こえる。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルだが、HP-FX300の方が若干明確か。原音忠実性はHP-FX300の方が上。周波数特性上の癖のなさだけでなく、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いも違う。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、HP-FX300は中域がキンキンして聴き疲れすることがあるのに対して、HP-FX77は低域が出すぎで疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX300の方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみは低域が出る分HP-FX77の方が多少感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはソースによって異なる。HP-FX300でキンキンした感じが出ないものならHP-FX300の方が良いが、キンキンした感じが出るものはHP-FX77の方が良い。HP-FX300の方が明るく元気が良い。響きはほぼ同レベルだが、HP-FX77の方がこもり感が気になる。HP-FX300の方がやや硬質で澄んだ音。弦楽器はHP-FX300の方が生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はHP-FX300の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-FX300の方がやや良い。明るく元気が良い。使い分けるなら、基本的にはHP-FX300、よほど中域のキンキンした感じが気になるならHP-FX77。

IE-20 XB
HP-FX300はややドンシャリ、IE-20 XBは低音よりのドンシャリ。低域はIE-20 XBの方がかなり量が多く、存在感がある。中域はHP-FX300の方が高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、ソースによってはうわずるような癖が気になる。高域はIE-20 XBの方が太く明るく金属的でやや目立つ。量は大差ない。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言うとIE-20 XBの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ない。音場感はIE-20 XBの方がやや広く明確。原音忠実性は微妙。どちらも一聴して違和感のあるような音ではない。HP-FX300は中域のうわずりが気になるのに対して、IE-20 XBは低域の量が多すぎる点が気になる。原音の粗や生っぽさはIE-20 XBの方が若干感じられる。エッジはIE-20 XBの方が若干きつい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろIE-20 XBの方がやや痛いが、HP-FX300が細く刺さるのに対してIE-20 XBは粗っぽく痛いので、人によって評価が分かれるかもしれない。また、HP-FX300は中域のうわずりで疲れることがあるのに対してIE-20 XBは低域の量が多すぎて疲れることがある。総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さはHP-FX300の方がやや上、音の鮮やかさはIE-20 XBの方が若干上。厚みはIE-20 XBの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはIE-20 XBの方がやや上。ヴォーカルは、HP-FX300がうわずることがあるのに対してIE-20 XBは低く落ち着いた音で聴きやすい。どちらもノリが良い傾向だが、HP-FX300の方が明るく軽快、IE-20 XBの方が低域の量に基づく迫力や力強さがある。HP-FX300の方がやや繊細。ソースによってはIE-20 XBの方がかなり情感豊かで素晴らしい鳴りを見せることがあるのだが、また別のソースでは低域が多すぎてバランスが悪かったり鈍重だったりしてHP-FX300の方が楽しめることも多い。響きはIE-20 XBの方がやや豊か。弦楽器は好みの差だろう。線が細い感じが良いならHP-FX300、生楽器らしさが欲しいならIE-20 XBか。ただし、チェロやコントラバスはIE-20 XBの方が量感はあるものの癖が気になる。金管楽器はHP-FX300の方が明るく、IE-20 XBの方が力強い。打ち込み系の音の表現はHP-FX300の方がややうまい。IE-20 XBは低域の量が多すぎるし、鈍重で切れに欠ける印象。使い分けるなら、低域が欲しいならIE-20 XB、適度で良いならHP-FX300。あるいは、明るさや線の細さが欲しいならHP-FX300、迫力や生楽器らしさが欲しいならIE-20 XB。

MDR-EX90SL
どちらもややドンシャリ。低域は質・量ともにある程度似ているが、MDR-EX90SLの方がやや厚みがある。中域はHP-FX300の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-FX300の方がやや高い音で明るい鳴らし方。分解能はほぼ同等だが、どちらかと言えばMDR-EX90SLの方が上。音場感は広さ・明確さともに同レベルだが、どちらかと言えばMDR-EX90SLの方が耳の近くで音を鳴らす感じ。原音忠実性はMDR-EX90SLの方がやや良い。HP-FX300は中域がややうわずっているのがマイナス。HP-FX300の方がエッジがややきつく、若干聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX300の方がやや上。厚みはMDR-EX90SLの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方がやや上。HP-FX300の方が明るく元気が良い。MDR-EX90SLの方が安定した鳴らし方で、モニター的な冷静さがある。響きはほぼ同等。弦楽器はMDR-EX90SLの方がしっかりと密度の高い音を聴かせてくれる。ただ、澄んだ感じを求めるならHP-FX300の方が良いだろう。金管楽器はHP-FX300の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。使い分けるなら、明るく元気が良いものを求めるならHP-FX300、癖のなさや安定感を求めるならMDR-EX90SL。

RP-HJE70
どちらもややドンシャリ。低域はRP-HJE70の方が重心が低く厚みがある。HP-FX300の方が柔らかくぼやけている感じ。中域はRP-HJE70の方が低域に邪魔されず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はRP-HJE70の方が高く鋭い音を鳴らす。HP-FX300の方が粗がない。分解能はRP-HJE70の方がやや上。音場感はRP-HJE70の方がやや広く明確。原音忠実性はHP-FX300の方が上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。ただし、原音の粗はRP-HJE70の方が感じられる。RP-HJE70の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HJE70の方がやや上。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-FX300の方がやや上。どちらもノリが良い傾向だが、どちらかと言うとHP-FX300の方がニュートラルな鳴らし方。HP-FX300の方がバランスが良い。響きは、低域はHP-FX300の方が豊か、高域はRP-HJE70の方が豊か。弦楽器はHP-FX300の方が繊細かつ心地よいが、生楽器らしさを優先するならRP-HJE70の方が良い。金管楽器はRP-HJE70の方が高く鮮やかだが、これはやりすぎな感がある。HP-FX300の方が適度な感じで好印象。打ち込み系の音の表現はRP-HJE70の方がややうまい。低域の質感や切れで勝っている。使い分けるなら、聴き疲れを避けたいならHP-FX300、聴き疲れしても良いから刺激を求めるならRP-HJE70。あるいは、温かみ重視ならHP-FX300、明瞭さ重視ならRP-HJE70。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 8Hz〜25kHz 100dB -
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
5.6g 8.5mm 0.8m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3.5 4 4 4 4 5 均(高、低) 7700円

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※生産終了

公開日:2008.1.23