SE-CL30

音質
 高音よりのドンシャリ。低域は厚みは薄いが量はそれなりに出る。中域はかなり曇っている点を除けばそれなりに聴こえる。高域は硬く尖った音。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて価格なり。エッジがきつめな上、ホワイトノイズがかなり大きめで聴き疲れしやすい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。薄い低域が支配的なためだろう。厚みはやや薄い。温かみはいまいち、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。基本的にはノリが良いが、低域の厚みが足りないためどこか不満が残る。音が粗いのが難点。響きは適度。こもり感と言うよりも曇りが気になる。
 弦楽器は繊細さが足りない。金管楽器はなかなか高く鮮やかだが、楽器によっては低域の影響が拭い切れない印象。打ち込み系の音の表現はそれなりだが、低域の厚みがもう少しあればもっと良かった。接続する機器によってはホワイトノイズがかなり気になる。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。ずれやすい、重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。
 イヤーピースの材質は軟質ラバー。3サイズ付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。ただし、遮音性はカナル型にしては良くない。
 作り、デザインともに普通。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

付属品
イヤーピース3種類
1m延長コード
キャリングポーチ



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-CK52
どちらも高音よりのドンシャリ。低域はATH-CK52の方がしっかり低い音を鳴らす。SE-CL30の方が薄く曇っている感じ。全体的な量としてはそれほど差はない。中域はどちらもあまり目立たないが、ATH-CK52は遠くで音を鳴らしているような感じで目立たないのに対して、SE-CL30はやや低域の曇りに覆われる感じで目立たない。高域はATH-CK52の方が高く鋭い音で量も多い。分解能はATH-CK52の方がやや上。音場感はATH-CK52の方が広く明確。原音忠実性は、周波数特性上の癖のなさではSE-CL30の方が良いが、原音の粗が感じられるという意味ではATH-CK52の方が良い。ATH-CK52の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK52の方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が感じられる。ATH-CK52の方が荒々しい感じでノリが良く、SE-CL30の方が粗が少ないという意味で繊細。響きは、低域はSE-CL30の方が豊か、高域はATH-CK52の方が豊か。弦楽器はSE-CL30の方が心地よい。ATH-CK52は粗が気になる。金管楽器はATH-CK52の方が高く鮮やかだが、やりすぎな感がある。SE-CL30くらいでも十分鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-CK52の方がうまい。低域の質感や中域から高域の明るさが良い。ただし、音が粗く割れたりするのは気になる。使い分けるなら、聴き疲れや音の割れを避けたいならSE-CL30、そうでないならATH-CK52。

BA-PC15
BA-PC15は低音よりのドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はBA-PC15の方が低い音で量も多い。中域はSE-CL30の方が低域に邪魔されない上、高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSE-CL30の方がかなり高く鋭い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等レベルだが、SE-CL30の方が線の細い音を鳴らすため分解能がやや高く感じがち。SE-CL30の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みはBA-PC15の方がある。温かみはBA-PC15の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。BA-PC15の方がノリが良い。低域の量だけでなく、音の圧力や厚みも勝っているため。響きは、低域はBA-PC15の方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。弦楽器は基本的にはBA-PC15の方が心地よく聴けるが、ヴァイオリン等の線の細い鳴らし方を求めるならSE-CL30の方が良いこともある。金管楽器はSE-CL30の方が高く鮮やかだが、作ったような不自然な感じがあるのは否めない。打ち込み系の音の表現は、低域はBA-PC15の方が良く、中域から高域はSE-CL30の方が良い。得意分野は、BA-PC15がロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら、低域重視ならBA-PC15、高域重視ならSE-CL30。

EG-ER50
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域の量はEG-ER50の方がかなり多いが、厚みはさほど変わらないように感じる。中域はSE-CL30の方が癖がなくしっかり聴こえてくる。中高域はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、量はSE-CL30の方がかなり多い。高域はSE-CL30の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能はSE-CL30の方が上。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばSE-CL30の方が良いか。原音忠実性はどちらもあまり良くない。SE-CL30の方がエッジがきついが、EG-ER50は低域が出すぎなのとこもり感で疲れるため、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みはほぼ互角。温かみはどちらもあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方がかなり上。どちらも繊細さに欠ける。SE-CL30の方がノリが良い。低域の量はEG-ER50の方が出るものの、SE-CL30の方が圧倒的にスピード感がある。響きはEG-ER50の方が豊か。EG-ER50は非常にこもり感が気になるが、SE-CL30はそれほど気にならない。弦楽器はSE-CL30の方が繊細。EG-ER50は聴けたものではない。金管楽器はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、SE-CL30の方がかなり量が多いし、鮮やか。打ち込み系の音の表現SE-CL30の方がうまい。EG-ER50はぼやけた低域が出すぎで切れが足りない。ただ、SE-CL30も低域がやや不足気味に感じるし、線が細い点が相性の悪さに繋がっているようにも感じる。得意分野はEG-ER50がロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら、どうしても低域の量が欲しいときはEG-ER50、それ以外はSE-CL30。

EHP-IN200
EHP-IN200はかまぼこ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はSE-CL30の方が低い音で量も多い。中域はEHP-IN200の方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけではなく、ややうわずり気味で芯の通った音だからだろう。高域はSE-CL30の方が細く硬く高い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-CL30の方が良いように感じる。ただ、かなり違う傾向の音なので、人によって判断は変わってきそう。特に原音忠実性はどちらも良くない上に、方向性がまったく違う。EHP-IN200は古臭い音で低域も高域も出ないのに対して、SE-CL30はいかにもドンシャリといった味付け。SE-CL30の方がエッジがきつく基本的には聴き疲れするが、EHP-IN200は中域が硬く芯の通った音なので、ソースによってはこちらの方が聴き疲れしそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-CL30の方が上。EHP-IN200はただ何となく鳴らしているだけなのに対して、SE-CL30はかなりノリが良い。響きはSE-CL30の方が豊か。弦楽器はSE-CL30の方が繊細かつ心地よい。EHP-IN200は心地よさがまったく感じられない。金管楽器はSE-CL30の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現もSE-CL30の方がうまい。低域の量や音の厚みが大きな差。ほとんど何を聴くにしてもSE-CL30の方が良いように感じる。

IE-1
IE-1はやや高音より、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はSE-CL30の方が薄くぼやけていてやや量が多い。中域はIE-1の方が低域の曇りに覆われず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はIE-1の方が量が多い。分解能はIE-1の方が上。音場感はIE-1の方が広く明確。原音忠実性はIE-1の方が良い。周波数特性上の癖のなさはSE-CL30の方が若干良いが、原音の粗や生っぽさはIE-1の方がかなりしっかり感じられる。IE-1の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはIE-1の方がかなり上。SE-CL30はIE-1に比べるとかなり曇っていて不明瞭。この点がこの2機種の最大の違いかもしれない。厚みはIE-1の方がややある。温かみは低域の曇りのおかげでSE-CL30の方が多少感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは、スモーキーな感じが良ければSE-CL30、明るくサラサラしているのが良ければIE-1。IE-1の方が明るく元気が良い。響きはIE-1の方がやや豊か。弦楽器は、心地よさ最優先ならSE-CL30、少しでも生っぽさが欲しいならIE-1。金管楽器はIE-1の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はIE-1の方がうまい。中高域の鮮やかさが違う。使い分けるなら、基本的にはIE-1、曇っていて明瞭さに欠けても良いからザラザラした質感や聴き疲れを避けたいならSE-CL30。

MDR-EX71SL
MDR-EX71SLはややドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はMDR-EX71SLの方が一段低くしっかりした厚みのある音を鳴らす。SE-CL30の方が薄く中域までぼんやり覆う感じ。中域はMDR-EX71SLの方が癖がなくしっかり聴こえてくる。高域もMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方が上。エッジのきつさはほぼ互角でどちらも多少聴き疲れするが、十分許容範囲だろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がノリが良い。響きはどちらも適度だが、高域はMDR-EX71SLの方が豊かでシンバル等が楽しめる。こもり感はSE-CL30の方がやや気になる。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細かつ心地よい。MDR-EX71SLはチェロ等の量感もしっかり感じられるのに対してSE-CL30はいまいち。金管楽器もMDR-EX71SLの方が鮮やか。SE-CL30も悪くはないのだが、薄い低域の影響を受けているのか、どこか垢抜けないように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらも可も不可もなくと言った感じだが、厚みと切れがある分MDR-EX71SLの方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いだろう。

MDR-NC11A
MDR-NC11Aは低音より、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はMDR-NC11Aの方がかなり低い音を鳴らすし、量も多い。中域はSE-CL30の方がはっきり聴こえるが、どちらも基本的にやや曇っている印象。高域はSE-CL30の方がかなり高い音で、量も多い。分解能はSE-CL30の方が上。音場感はMDR-NC11Aの方が上。どちらも原音忠実とは言えない。MDR-NC11Aはとにかく低域が支配的。SE-CL30は中高域から高域にPioneer独特の色付けが濃い。SE-CL30の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。かなり違う音を鳴らすので厚みは比較が難しい。MDR-NC11Aの方が太くて柔らかく、SE-CL30の方が細くて硬い。温かみはどちらも感じられないが、低域が強い分MDR-NC11Aの方がまだ温かみがあるように感じられるかもしれない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が上。どちらも繊細さに欠け、ノリの良さ重視の傾向があるが、MDR-NC11Aは低域の量だけの鈍重な感じ、SE-CL30は鮮やかだが粗も多い高域に重点を置いた感じ。響きは低域はMDR-NC11Aの方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。こもり感はMDR-NC11Aの方が気になる。弦楽器はSE-CL30の方がうまい。MDR-NC11Aは繊細さが全く感じられない。金管楽器はSE-CL30の方が高く鮮やか。わざとらしい音作りが気になるものの、MDR-NC11Aのように全く聴こえてこないよりは良いと感じる。打ち込み系の音の表現は全く違うので比較が難しいが、低域重視ならMDR-NC11A、メリハリ重視ならSE-CL30か。得意分野はMDR-NC11Aがロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら低域が欲しいときはMDR-NC11A、それ以外はSE-CL30。

RP-HJE70
どちらも高音よりのドンシャリ。低域の量はそれほど変わらないが、RP-HJE70の方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。SE-CL30は厚みが薄く曇っている印象。そのため、中域はRP-HJE70の方がはっきり聴こえてくる。高域はどちらもなかなかしっかり鳴らしてくれるが、RP-HJE70の方がやや明るく硬く粗がない。分解能、音場感ともにRP-HJE70の方がかなり良い。原音忠実性はどちらも良くないが、原音の実体感といったものはRP-HJE70の方が感じられる。SE-CL30はただ何となく鳴らしている印象。RP-HJE70の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてRP-HJE70の方が上。RP-HJE70の方がノリが良くしかも繊細。響きはRP-HJE70の方が豊かだが、ぼやけたような感じはなくむしろ硬い。弦楽器はSE-CL30が曇っているだけなのに対して、RP-HJE70は原音の生っぽさや心地よさがそれなりに感じられる。金管楽器はどちらもかなり高い音で好印象だが、比較するとRP-HJE70の方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-HJE70の方がうまい。厚みと切れに差がある。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもRP-HJE70の方が良いだろう。

SPARKPLUG
SE-CL30は高音よりのドンシャリ、SPARKPLUGは低音より。低域はSPARKPLUGの方がかなり量が多い。中域はSE-CL30がはっきり聴こえてくるのに対して、SPARKPLUGは完全に低域に埋もれる。高域はSE-CL30の方が一段高く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-CL30の方が良い。SE-CL30の方がエッジがきついが、SPARKPLUGは低域の量が多すぎて聴き疲れすることが多いため、どちらが疲れるかはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みは判断が難しい。SE-CL30の方が芯の通った音、SPARKPLUGは非常に太くぼやけた音。どちらも温かみは感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が上。SPARKPLUGの方が低域の量が多いためノリが良く感じる人も多そうだが、実際はただ低域の量が多いだけでかなり鈍重。軽快さは圧倒的にSE-CL30の方が上。SPARKPLUGは繊細さがまったく感じられないのに対して、SE-CL30は最低限はあるように思う。響きは低域から中域はSPARKPLUGの方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。SPARKPLUG野方がかなりこもり感が気になる。弦楽器はSE-CL30の方が繊細。SPARKPLUGは聴けたものではないが、SE-CL30は何とか聴ける。金管楽器は、SPARKPLUGはまったく聴こえてこないのに対してSE-CL30はなかなか鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-CL30の方がうまい。切れがまったく違う。得意分野はSE-CL30がポップス、SPARKPLUGがロック。よほど低域の量が欲しいときを除いて、ほとんど何を聴くにしてもSE-CL30の方が良いように感じる。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



  










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 5Hz〜23kHz 102dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
5g 10mm 0.5m 両出し(ネックチェーン) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 5 4 5 3 5 高(低) 1700円

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公開日:2006.1.29