S1110

音質
 低音よりのドンシャリ。低域はかなり量が多い。ぼやけたり曇ったりする感じ。重心は普通からやや低め。中域はやや低域の曇りに覆われる感じ。質的には落ち着いていて聴きやすい。高域は中域と同量から若干多め。あまり大きな癖はないが、どちらかと言うと地味で目立たない。
 分解能は価格なりからやや良いレベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ最低限はある。音場感はなかなか広いが明確さはいまいち。原音忠実性はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。低域の量は多すぎるが、一聴してそれほど大きな違和感はない。原音の粗や生っぽさはあまり感じられない。エッジはあまりきつくないが、低域の量やこもり感で聴き疲れする面は多少ある。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ若干鋭く刺さると感じることはあるが、特に酷くはない。ホワイトノイズはやや大きい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。全体的にやや曇っているように感じられる。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルはややスモーキーでソースによっては魅力的だが、明るさや透明感を求めるなら合わないだろう。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。どちらかと言うとおとなしい印象。低域に基づく迫力や力強さは多少あるが、切れやスピード感はいまいち。メリハリに欠け、音がするすると流れていってしまう感じ。響きはやや豊かでこもり感が多少気になる。瑞々しさや生気に欠けるように感じられることが多い。
 弦楽器は滑らかで聴きやすいが、生楽器らしさにはやや欠ける。金管楽器は普通に聴けるがやや地味。明るさ、力強さ、金属的な質感いずれも多少不満が出る印象。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の質感の相性、切れ、低域の質等、様々な点から見ていまいち。
 価格の割には大きな欠点がなく聴きやすい機種。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。ずれやすい、重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。
 イヤーピースの材質はシリコン。3サイズ付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。いずれもカナル型としては普通からやや良いレベル。
 作りは価格なり。デザインは色を除けば特に癖はない。S1111〜S1114は色違い。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は約2mm、エナメル仕上げのような感じで普通のコードとは多少勝手が違うが、癖がついてもすぐに元に戻せるし、硬さも普通。

付属品
イヤーピース3種類
コードリワインダー



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-CKM50
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方が若干量が多い。ATH-CKM50の方が締まっていて厚みや弾力がある。S1110の方が薄く曇ったような質。重心はATH-CKM50の方が若干低い。中域はATH-CKM50の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はATH-CKM50の方が若干量が多い。硬く明るい質で目立つ。分解能はATH-CKM50の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、S1110の方が広く、ATH-CKM50の方が明確で見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はATH-CKM50の方が若干上。周波数特性上の癖のなさは人によって評価が違ってきそうな印象。原音の粗や生っぽさはATH-CKM50の方が感じられる。エッジはATH-CKM50の方がきつく、やや聴き疲れしやすい。高域はATH-CKM50の方が痛いが、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CKM50の方が上。厚みはATH-CKM50の方がややある。温かみは曇っている分S1110の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではATH-CKM50の方が上。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。艶っぽさよりも他の質的な違いが大きい。ATH-CKM50の方が硬く明るく、S1110の方がスモーキー。ATH-CKM50の方が明るく元気でノリが良い。切れやメリハリがある。響きはS1110の方が豊かでこもり感が気になる。S1110の方が生気に欠ける印象。弦楽器はATH-CKM50の方が生楽器らしさが感じられ、S1110の方が滑らかで心地よい。金管楽器はATH-CKM50の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はATH-CKM50の方がうまい。音の質感の相性、切れ、低域の質、厚み等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、明るさや生楽器らしさ重視ならATH-CKM50、聴き疲れのなさや滑らかさ重視ならS1110。

BI-RACKEAR
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方が若干量が多い。S1110の方がかなりぼやけたり曇ったりする質。量よりも質の違いの方がかなり大きい印象。重心はBI-RACKEARの方がやや低い。中低域はS1110の方がしっかり出る。中域はBI-RACKEARの方が明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、ソースによってはうわずるような癖が気になる。中高域はBI-RACKEARの方がしっかり出る。高域はBI-RACKEARの方が若干量が多い。硬く明るい質で目立つ。分解能はBI-RACKEARの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感は、S1110の方がやや広く、BI-RACKEARの方がやや明確。BI-RACKEARの方が音像がシャープ。原音忠実性はBI-RACKEARの方がやや上。周波数特性上の癖のなさはほぼ同レベル。原音の粗や生っぽさはBI-RACKEARの方が感じられる。エッジはBI-RACKEARの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はBI-RACKEARの方が若干痛い、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはBI-RACKEARの方が上。厚みはBI-RACKEARの方が若干あるが、それよりもBI-RACKEARの方が硬く締まった音である点に目が行く。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはS1110の方が感じられる。ヴォーカルは、BI-RACKEARの方が擦れやリップノイズを出してくれる、S1110の方がかなりスモーキー。BI-RACKEARの方が明るくノリが良い。BI-RACKEARの方が切れやメリハリがある。響きはS1110の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器は、BI-RACKEARの方が生楽器らしさが感じられる、S1110の方が滑らか。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならBI-RACKEARの方が良いが、チェロやコントラバスを心地よく聴きたいならS1110の方が良い。金管楽器はBI-RACKEARの方が鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はBI-RACKEARの方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや切れを求めるならBI-RACKEAR、粗のなさや温かみを求めるならS1110。

HA-FX11
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方がやや量が多い。S1110の方が濃厚で存在感があるが、量が多い分ぼやけている印象。重心はS1110の方がやや低い。中域はHA-FX11の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHA-FX11の方が若干量が多い。若干線が細く明るい質。分解能はHA-FX11の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、S1110の方がやや広く、HA-FX11の方がやや明確。原音忠実性はHA-FX11の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはHA-FX11の方が若干感じられる。エッジはHA-FX11の方が若干きついが、S1110は低域の量やこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うとHA-FX11の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-FX11の方がやや上。厚みはS1110の方がややある。温かみはS1110の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。HA-FX11の方が明るい女性ヴォーカルに合う、S1110の方が低い男性ヴォーカルに合う。どちらもノリが良いと言うよりはおとなしい印象。HA-FX11の方が軽快、S1110の方が重厚。HA-FX11の方が切れやスピード感がある。S1110の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはS1110の方がやや豊かで、こもり感が気になる。弦楽器は、HA-FX11の方が生楽器らしさが感じられるし音色も自然、S1110の方が滑らかで心地よい。金管楽器は、HA-FX11の方が若干明るい、S1110の方が若干芯が通っている感じ。打ち込み系の音の表現はHA-FX11の方がややうまい。音の質感の相性や切れで若干勝っている。使い分けるなら、原音忠実性や明るさを求めるならHA-FX11、低域の量や粗のなさを求めるならS1110。

HP-TWF11R
HP-TWF11Rは低音より、S1110は低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方が若干量が多い。それなりに似た質。重心はS1110の方が若干低い。中域はどちらも低域に邪魔される感じだが、HP-TWF11Rの方が低域の量が少ない分はっきり聴こえてくるのに対して、S1110の方が質的に若干明るい分はっきり聴こえてくる。ソースによってはS1110の方が若干不要な芯が通っている感じが気になることがある。高域はS1110の方が若干量が多い。若干硬く明るい質で目立つ。分解能はHP-TWF11Rの方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとHP-TWF11Rの方が上。音場感はHP-TWF11Rの方が若干広く明確。HP-TWF11Rの方が上下に広い。原音忠実性はHP-TWF11Rの方が若干上。周波数特性上の癖のなさで若干勝っている。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いは大差ないが、どちらかと言うとHP-TWF11Rの方が上。エッジはS1110の方が若干きつく、低域の量で疲れる面もあり、やや聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろS1110の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-TWF11Rの方が若干上。厚みはHP-TWF11Rの方が若干ある。温かみはHP-TWF11Rの方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルはどちらも柔らかく落ち着いた質で、線の細さや透明感を求めるなら合わない。どちらも切れやスピード感より低域に基づく迫力や力強さの方が良い点は似ている。響きはほぼ同レベル。弦楽器はどちらも心地よい傾向だが、音色はHP-TWF11Rの方が若干自然。金管楽器はS1110の方が若干金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性、切れ、低域の質等、様々な点から見て大差ない。使い分けるなら、基本的にはHP-TWF11R、HP-TWF11Rでは低域の量が足りないとか高域が地味という不満があるならS1110。

j-JAYS
j-JAYSは低音より、S1110は低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方がやや量が多い。どちらも柔らかくぼやけた質だが、j-JAYSの方が薄く曇った質、S1110の方が厚みや量感のある質。重心はS1110の方がやや低い。中域は、どちらかと言うとj-JAYSの方が低域の曇りに覆われる感じ、S1110の方が低域の量に負ける感じ。質的にはS1110の方がやや明るく芯が通っている感じで目立つ傾向。高域はS1110の方が若干量が多い。j-JAYSの方が線が細い。S1110の方が硬く明るい質で目立つ。分解能はS1110の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろS1110の方が若干勝っている。音場感はS1110の方がやや広く明確。j-JAYSの方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はS1110の方が若干上。S1110の方が一聴して違和感が小さい。ただし、低域の量が多すぎる点はマイナス。原音の粗や生っぽさはS1110の方がやや感じられる。エッジはS1110の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろS1110の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはS1110の方が若干上。厚みはS1110の方がある。温かみはどちらも柔らかい低域のおかげでそれなりに感じられるが、j-JAYSの方がぬるま湯のような温かみ。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。j-JAYSの方がスモーキー、S1110の方が擦れやリップノイズを出してくれる。どちらも明るさや透明感を求めるなら合わない点は似ている。S1110の方がノリが良い。音色が明るくメリハリがあるし、低域に基づく迫力や力強さがある。響きはほぼ同レベル。弦楽器はj-JAYSの方が滑らかで心地よい、S1110の方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器はS1110の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はS1110の方がややうまい。音の質感の相性や中高域から高域の明るい表現で勝っている。使い分けるなら、基本的にはS1110、S1110では低域の量が多すぎるとか聴き疲れしやすいという不満があるならj-JAYS。

MHP-EP3
MHP-EP3はやや低音より、S1110は低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方がある程度量が多い。S1110の方が厚みや量感のあるしっかりした質。重心はS1110の方が低い。中域はどちらも低域に邪魔される感じだが、MHP-EP3の方が低域の薄い曇りに覆われる感じ、S1110の方が低域の量に負ける感じ。質的にはMHP-EP3の方が若干明るい。高域はS1110の方が若干量が多い。質的にはMHP-EP3の方が若干明るい。分解能はS1110の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとS1110の方が勝っている。音場感はS1110の方がやや広く明確。MHP-EP3の方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はS1110の方がやや上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。高域はMHP-EP3の方が若干痛い、ヴォーカルのサ行はS1110の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはS1110の方がやや上。厚みはS1110の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはS1110の方がやや上。ヴォーカルはどちらもスモーキーな点は似ているが、S1110の方が厚手で低い男性ヴォーカルをしっかり鳴らしてくれる。S1110の方がノリが良い。低域に基づく迫力や力強さがある。ただし、音色としてはMHP-EP3の方がやや明るい傾向。響きはほぼ同レベル。MHP-EP3の方が歪みが気になる。弦楽器は、S1110の方が音色が自然で安心して聴ける。金管楽器はMHP-EP3の方が若干明るく、S1110の方がやや力強い。打ち込み系の音の表現はS1110の方が若干うまい。音の質感の相性はMHP-EP3の方がやや良いが、厚みや低域の質はS1110の方が良い。使い分けるなら、基本的にはS1110、S1110では低域の量が多すぎるとか音色が暗いという不満があるならMHP-EP3。

TH-EB900
S1110は低音よりのドンシャリ、TH-EB900は低音より。低域はほぼ同量。質的にもそれなりに似ているが、TH-EB900の方が癖がある。どちらもぼやけたり曇ったりする質。ソースによってはTH-EB900の方が圧力があるように感じられる。重心の低さはほぼ同レベル。中域はS1110の方が若干明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。TH-EB900はソースによっては不要な芯が通っているような感じが気になることがあるが、S1110はそういうことはない。高域はS1110の方がやや量が多い。硬く明るい質で目立つ。分解能はS1110の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとS1110の方が勝っている。音場感はS1110の方がやや広く明確。原音忠実性はS1110の方がやや上。TH-EB900は高域が少なすぎる。原音の粗や生っぽさはS1110の方が感じられる。エッジはS1110の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろS1110の方がやや鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはS1110の方がやや上。厚みはTH-EB900の方がややある。温かみはTH-EB900の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはS1110の方がやや感じられる。ヴォーカルはS1110の方が線が細く、TH-EB900の方がスモーキー。S1110の方が明るくノリが良い。響きはほぼ同レベルだが、高域はS1110の方がやや豊か。弦楽器はS1110の方が繊細で生楽器らしさが感じられるし、音色も自然。金管楽器はS1110の方が明るく金属的、TH-EB900の方がやや太く力強い。打ち込み系の音の表現はS1110の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、原音忠実性や明るさ重視ならS1110、聴き疲れのなさや温かみ重視ならTH-EB900。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



       










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 20Hz〜20kHz 102dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
4g 10mm 1.2m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 5 4 4 3 5 低(高) 1400円

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公開日:2010.7.11