MHP-EP3

音質
 やや低音より。低域は、厚みは薄いが量がそれなりに多い。中域はやや低域に曇りに覆われるが、極端に酷いわけではない。高域はあまりとがった音を鳴らさないし目立たないが、必要量は出る。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて良くない。エッジはきつくないが、低域が強めでこもり感が気になるので、ソースによっては聴き疲れする。ホワイトノイズもやや大きい。
 明瞭さ、音の鮮やかさは悪い。厚みは薄い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいまいちだが、特別悪いわけではない。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはやや豊かで、こもり感が気になる。細かい音があまり聴こえてこない。
 弦楽器は下手。生楽器を鳴らしている感じがしない。金管楽器は意外と癖が無く普通に聴ける。打ち込み系の音の表現はうまくない。低域の量感、厚み、切れ、スピード感等、不満点が多々ある。
 音の厚み、切れがもう少し良ければポップス向きの機種としてそれなりに使えたかもしれない。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。その上、イヤーピースの先端が細くなっているため、更に耳に優しいと思われる。ただし、多少ずれやすい。重い、コードが顔に当たりやすい等の不満はない。
 イヤーピースの材質はラバーのようだ。3サイズ付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。ただし、遮音性はカナル型にしては良くない。
 作りはあまり良くない。デザインは、基本的な形状はEG-ER50と似ていて悪くは無いはずなのだが、売りにしている水晶ハウジングのせいか妙に安っぽい。
 プラグはミニプラグ。コードの太さは合流前は約1mm、合流後は幅約2.5mm・厚さ約1mm、多少硬めだがそれほど扱いづらさは感じない。

付属品
イヤーピース3種類
1m延長コード



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
E2c
E2cはかなりフラット、MHP-EP3はやや低音より。低域はMHP-EP3の方がやや低い音で量も多い。中域はMHP-EP3が低域の曇りに覆われるのに対してE2cはそんなことはない。高域はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らすが、量はほぼ同等。分解能、音場感、原音忠実性すべてE2cの方が上。MHP-EP3の方がややエッジがきつい上、曇りやこもり感のせいで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはE2cの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれほど差はないが、どちらかと言えばE2cの方が上だろう。どちらも特別ノリが良いわけでも繊細なわけでもない点は似ているが、ノリの良さにしろ繊細にしろE2cの方が勝っている。響きはMHP-EP3の方が豊か。弦楽器はE2cの方が繊細かつ心地よいし、何より原音に近い。金管楽器はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らすが、鮮やかさや力強さではE2cの方が勝っている。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。切れやスピード感で勝っている。使い分けるなら、基本的にはE2c、余程低域が欲しいときだけMHP-EP3か。

EG-ER50
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、MHP-EP3はやや低音より。低域は、量はそれほど差が無いが、EG-ER50の方がかなり低く厚みのある音を鳴らす。中域はMHP-EP3が低域の薄い曇りに覆われて聴き取りづらいのに対して、EG-ER50はほとんど気にならない。高域はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、量はほぼ同量。分解能はEG-ER50の方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ互角で、どちらも良くない。EG-ER50の方が若干エッジがきついが、MHP-EP3はこもり感のせいで疲れるため、総合的な聴き疲れとしてはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはEG-ER50の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。EG-ER50の方がノリが良い。響きはMHP-EP3の方がやや豊か。弦楽器はどちらもうまくないが、EG-ER50の方がまだまし。MHP-EP3は生楽器を鳴らしている感じがまったくと言って良いほどしない。金管楽器はEG-ER50の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はEG-ER50の方がうまい。厚みと切れがある。使い分けるなら、基本的にはEG-ER50、よほどドンシャリを避けたいときだけMHP-EP3。

HGP-710
HGP-710は低音より、MHP-EP3はやや低音より。低域はHGP-710の方が量感や弾力がある。所謂重低音がしっかり出る。MHP-EP3の方が薄く曇っているような質。全体的な量としてどちらが多いかは微妙だが、HGP-710の方が圧倒的に存在感がある。ここまで対照的な質も珍しい。中域はMHP-EP3の方が低域の曇りに覆われる感じ。HGP-710の方が紙のように薄く、癖がある。高域はMHP-EP3の方が硬く金属的で量も多い。分解能はMHP-EP3の方がやや上。音場感はMHP-EP3の方がやや広いが、HGP-710の方が明確で見晴らしが良い。原音忠実性はどちらも良くないが、原音の粗や生っぽさはMHP-EP3の方が感じられる。エッジはMHP-EP3の方がきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはHGP-710の方が上、音の鮮やかさはMHP-EP3の方が上。厚みは微妙。低域から中域にかけてはHGP-710の方が厚みがあり、中域から高域にかけてはMHP-EP3の方が厚みがあるように感じる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらも良くはないのだが、極端に悪くもない。基本的にMHP-EP3の方がノリが良いが、低域の質だけはHGP-710の方がノリの良さに貢献している感じ。響きはMHP-EP3の方が豊かで、こもり感が気になる。MHP-EP3は曇りが大きな欠点だが、HGP-710は中域から高域に生気がないのが大きな欠点。弦楽器はどちらも下手。HGP-710の方が心地よく聴けるが、MHP-EP3の方が多少なりとも生楽器らしさがある。金管楽器はMHP-EP3の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の量感はHGP-710の方が良く、音の質感の相性はMHP-EP3の方が良い。使い分けるなら、低域の量感や聴き疲れのなさ重視ならHGP-710、高域や基本性能重視ならMHP-EP3。

HP-CN40
HP-CN40はかなりフラット、MHP-EP3はやや低音より。低域はMHP-EP3の方がかなり薄く曇ったような質。HP-CN40の方が重心が低く厚みもあるため、存在感がある。中域はHP-CN40の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はMHP-EP3の方が金属的で目立つ。HP-CN40の方が線が細く粗がない。分解能はHP-CN40の方がやや上。一つ一つの音の微細な描写を丁寧にこなしてくれる。音場感はHP-CN40の方が広く明確。原音忠実性はHP-CN40の方が上。一聴して違和感が小さいし、周波数特性上の癖のなさでも勝っている。エッジはMHP-EP3の方がややきつく、聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-CN40の方が上やや。ただし、MHP-EP3の方が中高域から高域が派手なので鮮やかに感じがち。厚みはHP-CN40の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-CN40の方が上。どちらかと言えばMHP-EP3の方がノリが良い。HP-CN40の方がおとなしく、癖や粗がないため安心して聴ける。響きはMHP-EP3の方がやや豊か。弦楽器はHP-CN40の方が滑らかで心地よい。金管楽器はHP-CN40の方が綺麗で聴きやすい。ただ、MHP-EP3の方が金属的で目立つことは目立つ。打ち込み系の音の表現はHP-CN40の方がややうまい。音の厚みや低域の質で勝っている。使い分けるなら、基本的にはHP-CN40、HP-CN40ではおとなしいところが合わないならMHP-EP3。

HP-RLF11
HP-RLF11は低音よりのドンシャリ、MHP-EP3はやや低音より。低域はHP-RLF11の方がかなり量が多い。重心が低く厚みもあるため存在感がある。中域はどちらも低域の曇りに覆われるような傾向。ソースによってはMHP-EP3の方が張り出すような癖があり目立つことがある。高域はHP-RLF11の方が癖がなく、良く伸びている。量はHP-RLF11の方が若干多い。分解能はHP-RLF11の方がやや上。一つ一つの音の微細な描写を丁寧にこなしてくれる。音場感はHP-RLF11の方がやや広く明確。原音忠実性はHP-RLF11の方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いは同程度。エッジはMHP-EP3の方が粗っぽい感じでややきつく、聴き疲れしやすい。高域はHP-RLF11の方が若干痛く、ヴォーカルのサ行はMHP-EP3の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-RLF11の方がやや上だが、それほど大きな差ではない。明瞭さはソースによっては逆転するように感じることもある。厚みはHP-RLF11の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-RLF11の方が上。HP-RLF11の方がノリが良くかつ繊細。響きはHP-RLF11の方がやや豊か。弦楽器はHP-RLF11の方が繊細かつ心地よいし、癖がなく安心して聴ける。金管楽器は弦楽器同様HP-RLF11の方が癖がない。基本的にはHP-RLF11の方が鮮やかで楽しめるが、MHP-EP3の方が硬く芯が通っているような質で力強さを感じる面はある。打ち込み系の音の表現はHP-RLF11の方がややうまい。MHP-EP3は音の厚みの薄さや違和感が気になる。使い分けるなら、基本的にはHP-RLF11、HP-RLF11では低域の量が多すぎるならMHP-EP3。

S1110
MHP-EP3はやや低音より、S1110は低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方がある程度量が多い。S1110の方が厚みや量感のあるしっかりした質。重心はS1110の方が低い。中域はどちらも低域に邪魔される感じだが、MHP-EP3の方が低域の薄い曇りに覆われる感じ、S1110の方が低域の量に負ける感じ。質的にはMHP-EP3の方が若干明るい。高域はS1110の方が若干量が多い。質的にはMHP-EP3の方が若干明るい。分解能はS1110の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとS1110の方が勝っている。音場感はS1110の方がやや広く明確。MHP-EP3の方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はS1110の方がやや上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。高域はMHP-EP3の方が若干痛い、ヴォーカルのサ行はS1110の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはS1110の方がやや上。厚みはS1110の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはS1110の方がやや上。ヴォーカルはどちらもスモーキーな点は似ているが、S1110の方が厚手で低い男性ヴォーカルをしっかり鳴らしてくれる。S1110の方がノリが良い。低域に基づく迫力や力強さがある。ただし、音色としてはMHP-EP3の方がやや明るい傾向。響きはほぼ同レベル。MHP-EP3の方が歪みが気になる。弦楽器は、S1110の方が音色が自然で安心して聴ける。金管楽器はMHP-EP3の方が若干明るく、S1110の方がやや力強い。打ち込み系の音の表現はS1110の方が若干うまい。音の質感の相性はMHP-EP3の方がやや良いが、厚みや低域の質はS1110の方が良い。使い分けるなら、基本的にはS1110、S1110では低域の量が多すぎるとか音色が暗いという不満があるならMHP-EP3。

VR-101PB
MHP-EP3はやや低音より、VR-101PBは低音より。低域はMHP-EP3の方がやや低い音だが、量はVR-101PBの方が多い。中域はどちらも低域の曇りに覆われ気味だが、MHP-EP3の方がまだ聴こえてくる。高域はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らす。この2機種の大きな違いは、薄い低域が支配的で曇っている度合いだろう。分解能、音場感、原音忠実性すべてMHP-EP3の方が上。エッジのきつさはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMHP-EP3の方がやや上。どちらもただ何となく鳴らしているだけの機種。響きはほぼ同等。MHP-EP3と比べて、VR-101PBは不自然で違和感のある音を鳴らす。弦楽器はどちらもうまくないが、MHP-EP3の方がまだまし。VR-1010PBは変な嫌味がある。金管楽器はMHP-EP3の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMHP-EP3の方がうまい。厚みやメリハリに差がある。ほとんど何を聴くにしてもMHP-EP3の方が良いだろう。

v-moda vibe
MHP-EP3はやや低音より、v-moda vibeは低音よりのドンシャリ。低域はv-moda vibeの方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし量も多い。中域は、低域が多いソースではMHP-EP3の方が低域に邪魔されず聴こえてくるが、そうでなければどちらもあまり目立たない感じ。どちらもやや癖があるところは似ているが、どちらかと言えばv-moda vibeの方が癖が小さい。高域はMHP-EP3の方がやや高い音で明るい鳴らし方。分解能はv-moda vibeの方がやや上。音場感はほぼ同レベルだがどちらかと言えばv-moda vibeの方が明確。原音忠実性はどちらも悪いが、周波数特性上の癖のなさという意味ではMHP-EP3の方が良く、原音らしさが感じられるという意味ではv-moda vibeの方が良い。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、v-moda vibeの方が低域が強くこもり感が気になる上に音の圧力もあるので聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはv-moda vibeの方が上。厚みはv-moda vibeの方がある。温かみはMHP-EP3の方が上。薄い低域の曇りと硬さの少ない音のため。ヴォーカルの艶っぽさはv-moda vibeの方が上。v-moda vibeの方がノリが良い。響きは、低域はv-moda vibeの方が豊か、高域はMHP-EP3の方が豊か。弦楽器はどちらも下手だが、どちらかと言えばv-moda vibeの方がまだ聴ける。金管楽器はMHP-EP3の方が明るい鳴らし方だが、力強さという意味ではv-moda vibeの方が良い。打ち込み系の音の表現はv-moda vibeの方がうまい。低域の量感、音の質感等で勝っている。使い分けるなら、低域があまり強いのは避けたいならMHP-EP3、低域が欲しいならv-moda vibe。

ZEN AURVANA
MHP-EP3はやや低音より、ZEN AURVANAはかなりフラット。低域はMHP-EP3の方がかなりぼやけていて量が多い。中域はZEN AURVANAの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、癖もない。高域はMHP-EP3の方が金属的、ZEN AURVANAの方が線が細い。分解能はZEN AURVANAの方が圧倒的に上。音の分離にしろ微細な描写にしろ段違い。音場感はZEN AURVANAの方が明確。原音忠実性はZEN AURVANAの方がかなり上。周波数特性上の癖もないし、原音の生っぽさも感じられる。エッジのきつさはほぼ同等レベルだが、MHP-EP3の方がこもり感がひどく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはZEN AURVANAの方がかなり上。厚みはMHP-EP3の方がやや上。温かみは低域の量が多い分MHP-EP3の方があるように感じがちだが、それ以上の差はない。ヴォーカルの艶っぽさはZEN AURVANAの方が上。ZEN AURVANAの方が繊細な鳴らし方。響きはMHP-EP3の方が豊か。弦楽器はZEN AURVANAの方が圧倒的に繊細だし、生楽器らしい感じも遥かに上。金管楽器はMHP-EP3の方が金属的で楽しめる部分もあるが、粗や癖があるので、無難に聴きたいならZEN AURVANAの方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はZEN AURVANAの方がうまい。切れやスピード感が違う。使い分けるなら、基本的にはZEN AURVANA、よほど低域の量が欲しいときだけMHP-EP3。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



 










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 20Hz〜20kHz 101dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
2g 10mm 0.4m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
1.5 4 4 5 2 5 均(低) 1800円

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公開日:2006.9.11