HA-FX11

音質
 低音よりのドンシャリ。低域はある程度量が多い。やや柔らかくぼやけた質。重心の低さは普通。中低域はしっかり出る。中域はやや低域に埋もれる感じだが、聴こえてこないほどではないし、質的には変な癖はない。高域は中域と同量から若干多め。大きな癖はなく、あまり派手ではない。
 分解能は価格の割にやや良い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ最低限はある。音場感は、広さは普通からやや広め、明確さは普通からやや悪め。原音忠実性はそれなり。一聴して大きな違和感はない。原音の粗や生っぽさは必要量といった感じ。エッジはあまりきつくなく、それほど聴き疲れしない。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ若干痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルはあまり癖がなく聴きやすい。男性ヴォーカル、女性ヴォーカルどちらも普通に聴ける。どちらかと言うとおとなしい傾向。切れやスピード感よりは、低域に基づく迫力や力強さの方がある。響きはやや豊かでこもり感が若干気になる。
 弦楽器は繊細さや生楽器らしさにはやや欠けるが、比較的柔らかく聴きやすい。金管楽器は普通に聴けるが、どちらかと言うと地味。打ち込み系の音の表現はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。音の質感の相性にしろ切れにしろ若干不満。
 価格の割に大きな欠点がなく聴きやすい機種。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。比較的小さく、快適。ずれやすい、重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。
 イヤーピースの材質はシリコン。3サイズ付属している。ただし、XS・S・Mの3サイズなので、耳の穴の大きい人は要注意。デフォルトで装着されているイヤーピースはSサイズ。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。いずれもカナル型としては普通。
 作りは価格なり。デザインはそれほど癖はないが、カラーバリエーションが豊富でイヤーピース・本体のサイズが小さいことなどから女性向きと思われる。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約2.5mm・厚さ約1.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

付属品
イヤーピース3種類



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
HP-FXC50
HA-FX11は低音よりのドンシャリ、HP-FXC50はややドンシャリ。低域はHA-FX11の方が若干量が多い。HP-FXC50の方が締まりや制動が感じられる。重心はHP-FXC50の方がやや低い。中域はHP-FXC50の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHP-FXC50の方がやや量が多い。明るく鋭い質で目立つ。分解能はHP-FXC50の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感は、HA-FX11の方が広く、HP-FXC50の方が明確。HP-FXC50の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はHP-FXC50の方がやや上。HA-FX11は低域が目立ちすぎる。原音の粗や生っぽさはHP-FXC50の方が感じられる。エッジはHP-FXC50の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHP-FXC50の方が鋭く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FXC50の方が上。厚みはHP-FXC50の方がややある。温かみは曇っているHA-FX11の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではHP-FXC50の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはHP-FXC50の方がやや感じられる。HA-FX11の方がスモーキー、HP-FXC50の方が擦れやリップノイズを出してくれる。HP-FXC50の方がノリが良くかつ繊細。HP-FXC50の方が切れやスピード感がある。響きは、低域はHA-FX11の方が豊か、高域はHP-FXC50の方が豊か。HP-FXC50の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器は、HA-FX11の方が柔らかく聴きやすい、HP-FXC50の方が繊細で生楽器らしさが感じられる。金管楽器はHP-FXC50の方が鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はHP-FXC50の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはHP-FXC50、HP-FXC50では音場が狭いとか聴き疲れしやすいという不満があるならHA-FX11。

KH-C311
HA-FX11は低音よりのドンシャリ、KH-C311はややドンシャリ。低域はHA-FX11の方が若干量が多い。HA-FX11の方が柔らかくぼやけた質。KH-C311の方が圧力があるため存在感があるように感じられることも多い。重心はKH-C311の方が低い。中低域はHA-FX11の方がしっかり出る。中域はKH-C311の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、ソースによっては張り出すような癖が気になる。中高域はKH-C311の方がしっかり出る。高域はKH-C311の方が若干量が多い。どちらもあまり派手ではない点は似ている。分解能はKH-C311の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、HA-FX11の方が若干広く、KH-C311の方が明確。原音忠実性はHA-FX11の方が若干上。周波数特性上の癖が小さく、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはKH-C311の方が若干感じられる。エッジはKH-C311の方が若干きつく、音の圧力で疲れる面もあって聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろKH-C311の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはKH-C311の方がやや上。厚みはKH-C311の方があるが、それよりもKH-C311の方が締まった音である点に目が行く。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHA-FX11の方がやや感じられる。ヴォーカルはHA-FX11の方が癖がなく聴きやすい。KH-C311の方がノリが良い。KH-C311の方が切れやメリハリがある。響きはHA-FX11の方がやや豊かで、こもり感が気になる。弦楽器は、HA-FX11の方が柔らかく聴きやすいし音色も自然、KH-C311の方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器は、量的にはKH-C311の方が多く目立つが、HA-FX11の方が癖がなく若干金属的な質感を出してくれることもある。打ち込み系の音の表現はKH-C311の方がうまい。切れや厚みで勝っている。使い分けるなら、癖のなさや聴き疲れのなさを求めるならHA-FX11、分解能や切れを求めるならKH-C311。

MDR-NWNC33
HA-FX11は低音よりのドンシャリ、MDR-NWNC33は低音より。低域はMDR-NWNC33の方がやや量が多い。特に所謂重低音より下はMDR-NWNC33の方がしっかり出る。MDR-NWNC33の方が濃く中身が詰まったような質。重心はMDR-NWNC33の方がやや低い。中域は低域の量が少ない分HA-FX11の方がはっきり聴こえてくる。質的にはMDR-NWNC33の方が癖がない。高域はHA-FX11の方が若干量が多い。若干線の太い質。分解能はMDR-NWNC33の方が若干上。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はMDR-NWNC33の方が若干勝っている。音場感は、HA-FX11の方が若干広い、MDR-NWNC33の方が若干明確。原音忠実性は微妙。低域の量を除けばMDR-NWNC33の方が一聴して違和感が無い。原音の粗はHA-FX11の方が若干感じられるが、生っぽさはMDR-NWNC33の方が若干感じられる。エッジはHA-FX11の方が若干きついが、MDR-NWNC33は低域の量やこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHA-FX11の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-FX11の方が若干上。厚みはMDR-NWNC33の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-NWNC33の方が若干感じられる。ノリの良さは微妙。MDR-NWNC33の方がどっしりとした安定感がある。HA-FX11の方があっさりしていて軽快。響きはほぼ同レベル。弦楽器はMDR-NWNC33の方がやや滑らかで心地よい。金管楽器は、HA-FX11の方が若干鮮やか、MDR-NWNC33の方が癖がない。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性にしろ切れにしろ大差ない。使い分けるなら、明瞭さや軽快さを求めるならHA-FX11、厚みや安定感を求めるならMDR-NWNC33。

RP-HJF3
HA-FX11は低音よりのドンシャリ、RP-HJF3はややドンシャリ。低域はHA-FX11の方が若干量が多い。HA-FX11の方がやや柔らかくぼやけた質。重心の低さはほぼ同レベル。中域はRP-HJF3の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HJF3の方がやや量が多い。明るく鋭い質で目立つ。分解能はRP-HJF3の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、HA-FX11の方がやや広く、RP-HJF3の方がやや明確。RP-HJF3の方が音像がシャープ。RP-HJF3の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はRP-HJF3の方が若干上。周波数特性上の癖のなさは大差ない。原音の粗や生っぽさはRP-HJF3の方がやや感じられる。エッジはRP-HJF3の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はRP-HJF3の方が細く刺さる。ヴォーカルのサ行は、HA-FX11の方がやや粗っぽく痛い、RP-HJF3の方がやや細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HJF3の方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみは曇っているHA-FX11の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではRP-HJF3の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはRP-HJF3の方がやや感じられる。RP-HJF3の方が線が細く、擦れやリップノイズを出してくれる。RP-HJF3の方が明るくノリが良い。RP-HJF3の方が切れやスピード感がある。響きはHA-FX11の方がやや豊かでこもり感が気になる。RP-HJF3の方がドラムや破裂音が目立つ。HA-FX11の方が生気に欠ける印象。弦楽器はRP-HJF3の方が繊細で生楽器らしさが感じられる。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならRP-HJF3の方が良い。金管楽器はRP-HJF3の方が鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はRP-HJF3の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはRP-HJF3、RP-HJF3では音場が狭いとか聴き疲れしやすいという不満があるならHA-FX11。

S1110
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はS1110の方がやや量が多い。S1110の方が濃厚で存在感があるが、量が多い分ぼやけている印象。重心はS1110の方がやや低い。中域はHA-FX11の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHA-FX11の方が若干量が多い。若干線が細く明るい質。分解能はHA-FX11の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、S1110の方がやや広く、HA-FX11の方がやや明確。原音忠実性はHA-FX11の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはHA-FX11の方が若干感じられる。エッジはHA-FX11の方が若干きついが、S1110は低域の量やこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うとHA-FX11の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-FX11の方がやや上。厚みはS1110の方がややある。温かみはS1110の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。HA-FX11の方が明るい女性ヴォーカルに合う、S1110の方が低い男性ヴォーカルに合う。どちらもノリが良いと言うよりはおとなしい印象。HA-FX11の方が軽快、S1110の方が重厚。HA-FX11の方が切れやスピード感がある。S1110の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはS1110の方がやや豊かで、こもり感が気になる。弦楽器は、HA-FX11の方が生楽器らしさが感じられるし音色も自然、S1110の方が滑らかで心地よい。金管楽器は、HA-FX11の方が若干明るい、S1110の方が若干芯が通っている感じ。打ち込み系の音の表現はHA-FX11の方がややうまい。音の質感の相性や切れで若干勝っている。使い分けるなら、原音忠実性や明るさを求めるならHA-FX11、低域の量や粗のなさを求めるならS1110。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



       

   










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 10Hz〜23kHz 106dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
3.2g - 1.2m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 5 4 4 3 5 低(高) 700円

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公開日:2011.6.2