HGP-755
音質
低音より。低域はある程度重心が低く厚みもあるため、かなり存在感がある。やや柔らかめの質であまり締まっているとは言えないが、特別ぼやけたり曇ったりはしない。量はある程度多い。中域はやや低域の量に負ける感じではあるが、低域の量が多い割にははっきり聴こえてくるし、うわずったり張り出したりすることもない。ただ、ソースによっては多少癖が出ることはある。高域はやや線が細い質で、量も少なめであまり目立たない。
分解能は価格の割にやや悪い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや不満。音場感は広さ・明確さともにいまいちで、耳の近くで音を鳴らす感じがかなり気になる。原音忠実性はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。一聴して強い違和感のあるような音ではないが、存在感という意味で低域にウエイトが偏っているし、原音の粗や生っぽさももう少し欲しかった。エッジはきつくなく、聴き疲れしにくい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ痛いと感じることがほとんどない。
明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みは普通からやや厚め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。柔らかい低域とあまり主張しない高域が温かみを生んでいる印象。ヴォーカルはサ行の痛さや擦れが気にならないし、うわずったりしない点も良い。どちらかと言うとおとなしい鳴らし方ではあるが、低域の量感に基づく迫力はある。切れやスピード感には欠ける。響きは適度からやや豊かで、こもり感が多少気になる。
弦楽器は聴けないような癖はないしそれなりに心地よいが、生楽器らしさが不足気味。チェロやコントラバスは悪くないが、ヴァイオリンを澄んだ音で聴きたい場合には合わない。金管楽器は地味。金属的な質感が出ない。打ち込み系の音の表現はいまいち。音の質感の相性や切れが足りない。
低域が質・量ともに充実しているのが魅力だが、中域・高域はおざなりに鳴らしている感がある機種。
装着感
悪い。側圧は普通からやや弱めで、特にずれやすくはない。ヘッドバンドはほとんどクッションが入っていないが、幅広なので頭頂部が痛くなりやすいということはない。
イヤーパッドは耳を覆うサイズ、上下左右に角度調節ができる。深さが非常に浅く、耳への負担がかなり大きい。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。かなり蒸れる。
ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。
その他
遮音性及び音漏れ防止は普通からやや良いレベル。音漏れ防止よりは遮音性の方が良好な印象。
作りは基本的には価格なりだが、ヘッドバンドとハウジングの接続部がやや細く脆そう。デザインは癖がなく、悪くない印象。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、布巻きで癖がついても簡単に戻せるのは良いのだがやや硬い。イヤーパッドのサイズは、外周106mm×86mm、内周64mm×40mm、深さ8mm。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
メーカー製品ページ
周波数特性グラフ
比較メモ
AHP-505
どちらも低音より。低域はHGP-755の方が重心が低く厚みもあるため、かなり存在感がある。AHP-505の方が薄く曇ったような質。トータルの量はHGP-755の方が若干多いという程度。中域は、HGP-755の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はAHP-505の方が太く金属的な質で目立つ。量も若干多い。分解能はHGP-755の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はHGP-755の方が広く明確。AHP-505の方が頭内定位が気になる。原音忠実性はHGP-755の方がやや上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いで勝っている。エッジのきつさは大差ないが、AHP-505の方がこもり感で聴き疲れしやすい印象。高域にしろヴォーカルのサ行にしろどちらもあまり痛くない。明瞭さ、音の鮮やかさはHGP-755の方がやや上。AHP-505はかなり曇っているように感じるが、HGP-755は特に曇りは感じない。厚みはHGP-755の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは、曇っている分AHP-505の方が良いように感じられる面もあるが、その点を除けばHGP-755の方がやや良い。HGP-755の方がノリが良い。低域の量感に基づくしっかりとした迫力や力強さがある。響きはAHP-505の方がやや豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はHGP-755の方が繊細で生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はAHP-505の方が金属的で鮮やか。ただし、低域の多いソースでは曇りに殺されるような印象。打ち込み系の音の表現はHGP-755の方がややうまい。音の厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはHGP-755、どうしても高域の質が合わないならAHP-505。
ATH-PRO5MK2
どちらも低音より。低域はATH-PRO5MK2の方が若干量が多い。どちらもやや柔らかくかつ存在感がある点は似ている。重心はATH-PRO5MK2の方が若干低い。中域はどちらも低域の量に負ける感じ。ATH-PRO5MK2はソースによっては張り出すような癖が気になることがあるが、HGP-755はそういうことはない。高域はATH-PRO5MK2の方が若干量が多い。若干硬く明るい質で目立つ。分解能はATH-PRO5MK2の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとATH-PRO5MK2の方が勝っている。音場感はATH-PRO5MK2の方がやや広く明確。HGP-755の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はHGP-755の方が若干上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさはATH-PRO5MK2の方が若干感じられる。エッジはATH-PRO5MK2の方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろATH-PRO5MK2の方が若干痛い。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはATH-PRO5MK2の方が若干上。厚みはほぼ同レベル。温かみはATH-PRO5MK2の方が若干感じられる、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルはどちらもスモーキーな点は似ている。ATH-PRO5MK2の方がややノリが良い。メリハリがある。響きはATH-PRO5MK2の方がやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器は微妙だが、ATH-PRO5MK2の方が若干繊細かつ心地よいことが多い印象。金管楽器はATH-PRO5MK2の方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はATH-PRO5MK2の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、メリハリや音場の広さを求めるならATH-PRO5MK2、中域の癖のなさや聴き疲れのなさを求めるならHGP-755。
HP-RX900
HGP-755は低音より、HP-RX900はかなりフラット。低域はHGP-755の方が重心が低く、量もやや多い。どちらも中低域がしっかり出る点は似ている。中域はソースによって印象が変わってくる。中域の中でも低めの音は比較的似た音を鳴らすが、中域の中でも高めの音はHP-RX900の方がやや高い音でソースによってはキンキンする感じになる。高域はHP-RX900の方が明るく目立つ。量もある程度多い。分解能はHP-RX900の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はHP-RX900の方がやや広い。原音忠実性はHP-RX900の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っている。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはHP-RX900の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHP-RX900の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-RX900の方が若干上。厚みはHGP-755の方が若干上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルは基本的にはそれなりに似た質だが、高い女性ヴォーカルはHP-RX900の方が良くも悪くも明るく目立つ。どちらもややおとなしい傾向だが、HGP-755の方が低域の量感に基づく迫力や力強さがあり、HP-RX900の方が高域が出るぶん明るい。響きはHP-RX900の方がやや豊か。弦楽器はそれなりに似た質だが、ヴァイオリン等を澄んだ音で聴きたいならHP-RX900の方が良い。金管楽器はHP-RX900の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらかと言うとHP-RX900の方がうまい。音の質感の相性でやや勝っている。使い分けるなら、基本的にはHP-RX900、低域の重心の低さや量感が欲しいときはHGP-755。
MDR-XB700
HGP-755は低音より、MDR-XB700は低音よりのドンシャリ。低域はMDR-XB700の方がやや量が多い。MDR-XB700の方が柔らかくぼやけている。重心の低さはほぼ同レベル。中域はどちらも低域の量に負ける点は似ているが、MDR-XB700は更に低域の曇りに覆われるような感じになる。質的にはHGP-755の方がやや目立つ。高域はMDR-XB700の方がやや量が多い。明るい質で目立つ。分解能はMDR-XB700の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はMDR-XB700の方がある程度広い。HGP-755の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性は微妙。どちらも低域の量が多すぎる点はマイナス。一聴して大きな違和感のない点も似ている。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベルだが、MDR-XB700の方が音楽鑑賞向けの味付けを感じるという意味では原音忠実から外れる傾向。エッジはMDR-XB700の方がややきつく、低域の量が多いこともあって聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろMDR-XB700の方がやや痛い。明瞭さはHGP-755の方が若干上、音の鮮やかさはMDR-XB700の方がやや上。厚みはMDR-XB700の方が若干上だが、それよりもHGP-755の方が硬く締まった音である点に目が行く。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-XB700の方が感じられる。どちらも低域の量に基づく迫力や力強さがある。繊細さという意味ではMDR-XB700の方がやや上。どちらかと言うと、HGP-755の方が地味で味付けの少ないモニター用、MDR-XB700の方が音楽鑑賞用といった感じ。響きはMDR-XB700の方がやや豊か。弦楽器はMDR-XB700の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-XB700の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は微妙。低域から中域の締まりはHGP-755の方が合うのだが、中高域から高域の明るさはMDR-XB700の方が合う。使い分けるなら、低域に締まりや制動を求めるならHGP-755、低域に量感や心地よさを求めるならMDR-XB700。あるいは、基本的にはMDR-XB700、MDR-XB700の味付けを嫌うならHGP-755。
SE-M870
HGP-755は低音より、SE-M870はややドンシャリ。低域はHGP-755の方が重心が低く、量もやや多い。SE-M870の方が締まりや制動が感じられる。中域はSE-M870の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、癖がない。高域はSE-M870の方が高く鋭い音で、量も多いためかなり目立つ。分解能はSE-M870の方がやや上。一つ一つの音の微細な描写にやや差がある。音場感はSE-M870の方がやや広く明確。HGP-755の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はSE-M870の方がやや上。低域から中域はSE-M870の方が癖がなく、高域はHGP-755の方が癖がない。原音の粗や生っぽさはSE-M870の方が感じられる。エッジはSE-M870の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろSE-M870の方がかなり痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M870の方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみはほぼ互角だが、どちらかと言うとHGP-755の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方がやや上だが、サ行の痛さや擦れが気になる面があり、聴きやすさという点ではHGP-755の方が上。SE-M870の方がノリが良い。切れやスピード感がある。響きは、低域はHGP-755の方がやや豊か、高域はSE-M870の方がやや豊か。弦楽器はSE-M870の方が繊細で生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はSE-M870の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはSE-M870、SE-M870では高域の癖が気になるとか聴き疲れするという不満があるならHGP-755。
SHP2500
HGP-755は低音より、SHP2500は低音よりのドンシャリ。低域はほぼ同量。どちらもある程度しっかりした存在感のある低域だが、SHP2500の方が弾力がある感じ。重心の低さはほぼ同レベルだが、どちらかと言うとSHP2500の方が低い。中域はHGP-755の方がやや低域に覆われる感じ。SHP2500の方がやや明るい質。高域はSHP2500の方がやや量が多い。明るく金属的で目立つ。分解能はSHP2500の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はSHP2500の方がやや広く明確。HGP-755の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はSHP2500の方がやや上。周波数特性上の癖のなさは人によって評価が違ってきそうな印象だが、原音の粗や生っぽさはSHP2500の方が感じられる。エッジはSHP2500の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろSHP2500の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはSHP2500の方がやや上。厚みはSHP2500の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSHP2500の方が若干感じられる。ただし、高域の多いソースではSHP2500は刺激が前面に出るためHGP-755の方が温かみがあるように感じがち。ヴォーカルは、HGP-755の方がややスモーキーで聴きやすく、SHP2500の方が擦れやリップノイズを出してくれる。SHP2500の方が明るく元気でノリが良い。響きはSHP2500の方がやや豊か。HGP-755の方が生気に欠ける印象。弦楽器はSHP2500の方が生楽器らしさが感じられてうまいが、心地よさ最優先ならHGP-755の方が良いだろう。金管楽器はSHP2500の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はSHP2500の方がややうまい。HGP-755は中高域から高域が地味で暗い点が合わないことが多い。使い分けるなら、基本的にはSHP2500、SHP2500では聴き疲れするとか明るすぎるという不満があるならHGP-755。
Studiophile Q40
どちらも低音より。低域は質・量ともにそれなりに似ているが、Studiophile Q40の方がやや重心が低く圧力がある。HGP-755の方が柔らかい質。中域は、低域の多いソースだとどちらも低域に負ける点は似ている。Studiophile Q40の方が癖がない。高域は質・量ともに多少似ていてソースによって印象が変わってくる感じだが、基本的にはHGP-755の方がやや癖や味付けがあり明るめ。分解能はStudiophile Q40の方が若干上。一つ一つの音の微細な描写でやや勝っている。音場感はStudiophile Q40の方が広く明確。原音忠実性はStudiophile Q40の方がやや上。Studiophile Q40の方が全体的に癖の小さい音だし、原音の粗や生っぽさが感じられる度合いでも若干上。エッジはStudiophile Q40の方が若干きつく、圧迫感もあるため聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろどちらもあまり痛くない。明瞭さ、音の鮮やかさはStudiophile Q40の方が若干上。厚みはStudiophile Q40の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHGP-755の方が若干感じられる。Studiophile Q40の方がノリが良い。切れや音の圧力で勝っているし、骨太でがっしりしている。Studiophile Q40はモニター的なところがあるが、HGP-755はあまりそういうところはない。響きはHGP-755の方がやや豊か。弦楽器はStudiophile Q40の方が癖がなく安心して聴けるが、チェロやコントラバスはHGP-755の方が柔らかく心地よい。金管楽器はStudiophile Q40の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はStudiophile Q40の方がややうまい。切れや音の圧力で勝っている。ロックとの相性はStudiophile Q40の方が明らかに良いと感じることが多い。使い分けるなら、基本的にはStudiophile Q40、柔らかさや心地よさを求めるならHGP-755。
サイン波応答
位相+高周波歪み
インパルス応答(CSD)
インパルス応答(録音波形)
100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生
※生産終了
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 密閉型 | 10Hz〜22kHz | 98dB | 32Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
250g | 50mm | 3m | 片出し | 折りたたみ可能 |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
2.5 | 2 | 4 | 4 | 4 | 3 | 低 | 8800円 |
公開日:2009.4.7